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法人税申告書とは?種類・書き方・提出方法を税理士がわかりやすく解説

全国47都道府県(フルリモート対応)で、適切な税務顧問と戦略的な決算・申告支援を通じて企業の成長を強力にバックアップする東京・新宿の税理士事務所、BIZARQ(ビズアーク)グループ 代表(公認会計士・税理士・行政書士)の吉岡伸晃です。
会社を設立して初めての決算期を迎える経営者や、個人事業主から法人成りした起業家にとって、最大の難所とも言えるのが「法人税の確定申告」です。その申告手続きにおいて中心となる書類が「法人税申告書」ですが、これまでに個人の確定申告を経験したことがある方でも、法人の書類を目にした瞬間にその圧倒的な量と複雑さに驚かれるケースが少なくありません。
法人税申告書は、厳密には「確定申告書」本体と、それぞれの計算根拠を示す大量の「明細書(別表)」に分かれており、これらを総称して法人税申告書と呼んでいます。税金の世界では「ルールを知らなかった」「計算の手順を間違えてしまった」という理由は一切通用しません。知らずに誤った申告をしてしまうと、将来の税務調査で重いペナルティを課されるリスクがあります。
目次
【プロの視点】単なる事後処理ではない!別表を読み解く未来財務への第一歩
多くの経営者にとって、法人税申告書は「決算が終わった後に税理士から渡される、よく分からない数字が並んだ分厚い書類の束」という認識になりがちです。しかし、医業や中小企業の財務を数多く支援してきたプロの視点から言わせていただくと、法人税申告書(特に別表四と別表五)は、「会社の真の収益力と、将来自由に動かせる『税引後のリアルな内部留保』が100%可視化された、究極の経営診断書」なのです。
会計上の「利益」と、税法上の「所得(課税対象となる原資)」は、ルールが根本的に異なります。例えば、経営者が「将来のために」と社用車を購入したり、取引先と情報交換を行ったりしても、税法上の減価償却上限額や交際費の足切り要件によって、会計上は経費でも税務上は損金として認められない(加算される)ケースが多々あります。これらを調整する「別表四」の仕組みを理解することは、自社の「真の税負担率」をコントロールするための必須知識です。
また、「別表五(一)」は、会社が過去から蓄積してきた利益のうち、税金を支払い終えて名実ともに「会社のもの」となった本当の財産を表す、いわば法人版の確定純資産の履歴書です。銀行融資を有利に進め、次の大きな設備投資やDX(デジタルトランスフォーメーション)への投資、あるいは将来の事業承継へとスムーズに舵を切るためには、この別表五の数字をいかに綺麗に、かつ力強く育てていけるかが攻めの経営の成否を分けます。
私たち東京・新宿を拠点とするBIZARQグループでは、こうした申告書の作成を単なる「過去の利益の事後報告」として処理するのではなく、一歩先を見据え、手元のキャッシュフローを最大化させるための「未来の財務プラットフォーム」としてご提案しています。
法人税申告書の概要
はじめに、法人税申告書の概要について解説します。
法人税申告書とは
法人税申告書とは、法人税の確定申告に用いる書類です。厳密には確定申告書と明細書に分かれており、まとめて法人税申告書と呼んでいます。個人の所得に課される所得税の申告書と違い、書類の数や項目が圧倒的に多く、構造と計算ルールが極めて複雑であるという実務的な特徴があります。
個人事業主の時代に行っていた確定申告の手続きや全体の流れについて改めて振り返り、法人税の仕組みとの違いを比較してみたい方は、以下の関連記事をあわせて参考にしてください。
提出が必要になる主要な法人税申告書(別表)の種類
法人税申告書の別表は「別表一」から「別表二十」まで存在し、決算の内容によって作成すべき明細書が異なります。ここでは、すべての会社において提出が必須となる最重要書類と、実務上発生しやすい代表的な別表をフラットに整理しました。詳細な一次情報や様式については、国税庁:法人税の申告・届出等の手続もあわせてご確認ください。
- 別表一(各事業年度の所得に係る申告書)
法人税の「確定申告書」本体に該当する最重要書類です。すべての別表の集計結果がこの一枚に集約され、最終的に国へ納めるべき確定税額をここに記載します。※すべてのケースで提出必須 - 別表二(同族会社等の判定に関する明細書)
株式の保有割合などから、自社が「同族会社」や「特定同族会社」に該当するかどうかを判定するための情報を記載する書類です。※すべてのケースで提出必須 - 別表四(所得の金額の計算に関する明細書)
決算書の「税引前当期純利益」を出発点とし、税法上の損金に算入できない費用(交際費の超過分や役員賞与など)を加算し、逆に益金にならないものを減算して、正しい「課税所得」を算出する最重要の計算書です。※すべてのケースで提出必須 - 別表五(一)(利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書)
税法上の「内部留保(過去からの利益の蓄積額)」や資本金等の動きを管理する、法人の税務上の貸借対照表(純資産の部)に該当する重要な書類です。※すべてのケースで提出必須 - 別表五(二)(租税公課の納付状況等に関する明細書)
法人税、住民税、事業税などの税金を、当期中にいつ、いくら支払ったのか、また期末時点でいくら未払いがあるのかという、税金の納付履歴と納税状況を管理する明細書です。※すべてのケースで提出必須 - 別表六(一)(所得税額の控除に関する明細書)
銀行預金の利息などから源泉徴収された所得税がある場合に、その額を法人税額から直接差し引く(税額控除)ための計算明細書です。 - 別表七(一)(欠損金の損金算入等に関する明細書)
過去の赤字(繰越欠損金)を、当期の黒字(利益)と相殺して節税を図る場合に作成する書類です。 - 別表八(一)(受取配当等の益金不算入に関する明細書)
他社から受け取った株主配当金など、すでに法人税が課された後の利益について、二重課税を防ぐために益金(売上)から除外するための明細書です。 - 別表十五(交際費等の損金算入に関する明細書)
期中に支出した交際費や接待費のうち、中小企業の特例枠(年間800万円など)を超えて経費(損金)にならない金額を割り出すための書類です。 - 別表十六(一・二)(減価償却資産の償却額の計算に関する明細書)
建物や車両などの固定資産について、税法で定められた正しい減価償却費が計算されているかを証明するための書類です。 - 別表十六(七)(少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書)
中小企業の特例を活用し、30万円未満の資産を購入した期に一括で即時償却(経費化)した場合に提出する明細書です。
法人税申告書の正しい作成ステップ

法人税申告書は、最終的な成果物としては別表一を一番上に並べて提出しますが、各書類がパズルのように複雑に連動しているため、1から数字の順番通りに書くことはできません。実務の現場では、以下の正しい順番を徹底して進める必要があります。
記帳を終わらせ財務諸表を完成させる
はじめに財務諸表を完成させる必要があります。決算整理仕訳を含むすべての記帳を終わらせましょう。ただし、この段階では税額が未定のため、未払法人税等の仕訳はできません。そのため財務諸表も確定版ではなく、税引前段階のもの(税引前当期純利益の確定)となります。
別表二を作成して同族会社の判定を行う
別表二は「同族会社等の判定に関する明細書」です。期末時点の発行済株式の総数や株主の情報等、同族会社・特定同族会社の判定に必要な情報を記載します。なお、別表二の情報は決算や他の別表の税額計算には直接影響はしないため、必ずしも最初に書く必要はありません。実務上は最後に作成する選択肢もあります。
別表六以降の個別明細書を作成する
別表六以降は個別項目に関する明細書です。どの別表の作成必要かはケースによって異なります。たとえばPCなどの備品を一括経費処理した場合は、特定の償却明細書の作成が必要です。後述する別表四には別表六以降の個別項目を転記する部分があるため、まずは別表六以降を作成する必要があります。ただし例外として、赤字を相殺する別表七は別表四の後に作成する点にご注意ください。
中小企業がスマートに利益を圧縮し、手元にキャッシュを残すための具体的な減価償却特例の仕組みや、一括経費化を行う際の詳しい実務ルール・注意点について深くおさらいしておきたい経営者様は、以下の関連記事を合わせてご確認ください。
別表六以降の内容を別表四にまとめる
別表四は所得の金額の計算に関する明細書です。前述のように、別表六以降の内容を転記します。別表四で所定の項目について加算や減算を行い、会計上の収益・費用と税務上の益金・損金の違いを調整します。内容に誤りがあると所得金額および税額がズレてしまうため、転記の際は注意が必要です。なお前期からの繰越欠損金を損金算入する場合、この段階では別表四のすべてを埋めることはできません。空欄については別表七の作成後に埋めていきます。
別表七を作成して欠損金の損金算入を行う
別表七は繰越欠損金を利益と相殺する場合に作成する必要があります。「控除前所得金額」に記載するのは、別表四の「差引計」の額です。その後は他の項目も埋めていき、記載した内容をもとに当期控除額や翌期繰越額等を計算します。別表七が完成したら、そこで算出された「当期控除額」の金額を、別表四の「欠損金等の当期控除額」に転記しましょう。この作業により、別表四の最下部にある所得金額を埋めるのに必要な情報が揃います。
別表五を作成して積立金と租税公課を管理する
別表五(一)は「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書」、別表五(二)は「租税公課の納付状況等に関する明細書」です。この段階では一部の項目は埋められませんが、金額が確定している部分は埋めていくのが効率的です。まずは(二)の方から埋めていきましょう。期首の金額を入れる部分には前期の申告書の内容を転記します。続いて期中の納付税額を該当箇所に入れましょう。その後、期末税額を計算して該当の項目を埋めます。ただし、この段階では「法人税及び地方法人税」などの当期発生税額は記載できません。これらは別表一の作成後に埋めます。続いて(一)を埋めていきましょう。前期の申告書や当期の財務諸表を確認しながら金額を転記し、最後に翌期首の金額(=当期末の金額)を計算して記入します。
別表一を作成し法人税を確定させる
別表一は法人税の確定申告書に該当します。法人の基本事項やそれぞれの明細書で算出した合計額等を、所定の箇所に入れていきます。各項目の転記が完了したら、別表一の次葉(税額を計算するための書類)の作成に移ります。各項目に計算の方法が書かれているため、指示に従いながら計算しましょう。最後に、計算した税額を別表一の該当箇所に転記すれば別表一の完成です。これにより、今期納めるべき確定税額が完全に確定します。
別表五の空欄箇所をすべて埋める
税額が確定したことで、別表五の空欄箇所(当期発生税額の欄)を埋められるようになります。当期の税額等を転記した後、期末の未納税額等を計算して埋めることで、別表五も完成です。また、この段階で未払法人税等に関する最終仕訳も会計ソフトに入力しましょう。法人税等の仕訳を行うことで必要な仕訳がすべて完了し、当期純利益(税引後当期純利益)が確定します。
別表四を修正し空欄箇所を最終確定させる
未払法人税等の金額が確定したことで、別表四の出発点である「当期利益又は当期欠損の額」が変わります。そのため以下の作業が必要です。
- 「当期利益又は当期欠損の額」を、法人税等の仕訳を反映させた後のもの(損益計算書の税引後当期純利益と一致する数字)に修正する
- 別表四の「損金経理をした納税充当金」の項目に、先ほど仕訳した未払法人税等の額を入れる
法人税等を反映させることで当期利益が当初よりも小さくなりますが、その後加算項目として同額の税額を入れるため、結果としてこれより下の小計や所得金額に影響はありません。最終的な所得金額は最初に記載した額と全く同じになります。
会社経営をより盤石にし、手残りのキャッシュを最大化させるためには、申告書の作成だけでなく、日頃から戦略的なタックスプランニングを行うことが重要です。中小企業が今すぐ導入できる具体的な節税ノウハウや、決算対策の全貌について網羅的におさらいしておきたい経営者様は、ぜひ以下のコラムを合わせてチェックしておいてください。
法人税申告書の提出期限と4つの提出方法
苦労して完成させた法人税申告書は、定められた期日までに正しい方法で提出しなければなりません。実務上の期限のルールと提出手段を把握しておきましょう。
申告および納税の絶対的な期限
申告書の提出および税金の納付期間は、原則として「決算日(事業年度終了日)の翌日から2ヶ月以内」と法律で厳格に定められています。ただし、定款において株主総会の開催を事業年度の終了から3ヶ月以内と定めている場合など、事前に所定の手続き(申告期限の延長の特例の申請)を行うことで、申告期限だけを1ヶ月延長できます。
しかし、ここで最も注意しなければならないのは、延長できるのはあくまで「申告書の提出期限だけ」であり、税金の納付期限は延長されない点です。そのため申告期限を延長する場合、本来の2ヶ月の期日までに概算の税額を見込納付し、実際の申告の際に改めて精算する必要があります。これを行わなければ延滞税の対象となります。
実務で選べる4つの提出方法
完成した法人税申告書一式は、以下の4つのいずれかの方法で管轄の税務署へ提出します。
- e-Tax(電子申告)による提出
オフィスのパソコンからインターネット経由で提出を完了させる、実務上最も主流の方法です。書類の印刷や郵送の手間・コストが一切なくなり、バックオフィスのDX(デジタル化)を強力に推進することができます。 - 管轄の税務署へ直接持参する
印刷した申告書(提出用と控え用の2部)を、法人の所在地を管轄する税務署の受付窓口へ直接持って行って提出する方法です。その場で控えに受領印を貰うことができます。 - 税務署の時間外収受箱に投函する
夜間や休日など、税務署の開庁時間外であっても、税務署の入り口付近に設置されている専用のポスト(時間外収受箱)に申告書一式を投函することで提出する方法です。 - 郵送で税務署へ送付する
遠方の税務署である場合などに、郵便局から郵送で提出する方法です。税務上の提出日は「郵便物を差し出した日(消印の日)」とみなされます。提出の際は、特定記録郵便や簡易書留を利用し、切手を貼った返信用封筒と控えを同封する必要があります。
法人税申告書を巡る実務上の最重要チェックシート
法人税申告書の作成から提出にいたるまで、初心者が実務上で特に見落としやすいポイントをチェックシート形式で整理しました。決算を確実に完了させるための最終確認としてお役立てください。
| 検証項目 | 実務上のチェックポイントと財務リスク |
|---|---|
| 書類の連動性と転記 | 会計上の「税引前利益」を出発点とし、個別明細(別表十五や十六等)の集計結果が別表四へ、そして最終的な税額が別表一へ正確に連動・転記されているか。 |
| 別表四の最終修正 | 確定した法人税等の金額を会計ソフトに仕訳入力した後、別表四の「当期利益」を税引後の確定値に修正し、「損金経理をした納税充当金」の欄を正しく埋めているか。 |
| 提出および納付期限 | 決算日の翌日から「2ヶ月以内」の絶対期限を満たしているか。申告期限の延長特例を受けている場合でも、2ヶ月の期日までに「概算の見込納付」を済ませているか。 |
| 添付書類の網羅性 | 法人税申告書(別表一〜五等)のほかに、法人の義務である「貸借対照表・損益計算書などの決算書一式」「勘定科目内訳明細書」「法人事業概況説明書」を漏れなく添付しているか。 |
「法人税申告書」まとめ
- 書類の多さと複雑な連動性を伴う申告書の全体像
法人税申告書は、個人の所得税とは比較にならないほど種類(別表)や項目が多く、会計上の利益を税法上の所得へと修正する「申告調整」を行うため、各書類がパズルのように複雑に連動しています。 - 別表四や別表五を外側から埋めていく厳格な作成手順
1から数字の順番通りに書くことはできず、税引前利益の確定から、個別明細、別表四での加減算、別表七の欠損金相殺、別表一での税額確定、その後未払仕訳を経て別表四・五を最終確定させるという厳格な手順の徹底が必要です。 - 決算翌日から2ヶ月以内の絶対期限とDXを推進する提出方法
申告と納税の期限は決算日から2ヶ月以内であり、事前の手続きで申告期限のみ1ヶ月延長可能ですが、納税期限は延長できず見込納付が必要です。提出はバックオフィスのDXを加速させるe-Tax(電子申告)の活用が最もスムーズです。
法人税申告書の作成や提出手続きは、単に税金を計算して義務を果たすだけの事後処理ではありません。自社の「真の課税所得」や「税引後のリアルな内部留保」を正確に可視化し、銀行融資や将来の多角化投資を有利に進めるための極めて重要な経営コンサルティングのデータとなります。
しかし、法人税申告書は作成する書類や記載項目が驚くほど多く、個々の明細書から別の別表へ転記する項目や複雑な計算が必要な部分もあります。少しでも記載内容や計算にミスがあると税額がズレてしまい、将来の税務調査で手痛い指摘(追徴課税などのペナルティ)を受けてしまう恐れがあります。実際のところ、専門知識のない人がこれらすべてを100%完璧に対応しようとするのは負担が非常に重く、どうしてもミスや漏れのリスクが大きくなります。
変化の激しい時代だからこそ、自社ですべての対応に追われて頭を悩ませるのではなく、私たち4士業が緊密に連携する次世代型パートナーの強みを活かし、正確かつスピード感のある決算・申告体制を構築することが重要です。
ミスのない確実な税務基盤を築き、攻めの財務戦略でキャッシュを最大化させたいとお考えの経営者様は、東京・新宿を拠点に全国対応が可能な当法人の税務顧問サービスをぜひご検討ください。自社に最適な決算前の納税予測や、具体的な節税シミュレーション、クラウド会計を活用した申告の効率化に関するお悩みは、以下の税理士無料相談窓口よりいつでもお気軽にお問い合わせください。貴社の未来の経営を、ワンストップで全力で強力にバックアップいたします。
法人税申告書に関するよくある質問
はい、法人税申告書(別表一や各明細書)を税務署へ提出する際は、法律上、決算書一式(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書など)に加えて、「勘定科目内訳明細書」と「法人事業概況説明書」という2つの重要な書類を必ずセットで添付して提出しなければなりません。勘定科目内訳明細書とは、決算書の「売掛金」「買掛金」「借入金」などの各勘定科目について、期末時点でどこの取引先に、いくらの残高があるのかという具体的な内訳をA4の指定用紙に細かく記載する明細書です。法人事業概況説明書は、法人の事業内容、従業員数、主要な取引先、当期の売上高や仕入高の月別推移など、会社の経営状況の全体像を税務署が一目で把握できるように要約したサマリーシートです。これらが1つでも不足していると、申告書として正式に受理されなかったり、税務調査の選定リスクが跳ね上がったりするため実務上必須の書類となります。
はい、当期の決算が赤字で納めるべき法人税額が0円であったとしても、法人税申告書は必ず期限内に作成し、税務署へ提出(確定申告)しなければなりません。特に、税法上の数々の優遇措置(最大のメリットである『青色申告の繰越欠損金控除制度』)を適用するためには、赤字が発生した事業年度において連続して期限内に申告書を提出していることが絶対的な法理の要件となります。法人が青色申告を行っていれば、当期に発生してしまった赤字(欠損金)を、翌期以降の「最長10年間」にわたって繰り越し、将来会社が黒字化した際の利益と相殺して将来の法人税を劇的に抑えることが可能になります。もし「税金が0円だから」と申告を放置してしまうと、青色申告の承認が取り消され、この強力な将来の節税権利をすべて失ってしまうため、赤字の期こそ丁寧な申告実務が極めて重要となります。
実務上、会計や税務の高度な専門知識を持たない経営者が、市販の書籍やネットの情報だけで法人税申告書(数十枚の別表の連動)を100%完璧に、かつ一切のミスなく作成することは「極めて困難であり、現実的ではない」と言わざるを得ません。個人の確定申告であれば、国税庁の確定申告書作成コーナーに売上と経費を打ち込めばある程度自動で完成しますが、法人税の場合は「別表四の加減算調整」や「別表五の翌期繰越残高の完全な一致」など、複式簿記と税法固有の申告調整ロジックを完璧に理解していなければ、必ずどこかで計算の辻褄が合わなくなり、エラー(申告書の不備)が発生します。無理に自社で作成して間違ったまま提出すると、後の税務調査で手痛い追徴課税を課されるリスクがあるため、経営の本分である本業の売上を伸ばすことに時間を集中させ、申告実務は信頼できるプロの税理士へアウトソーシング(外注)するのが、結果として最もコストパフォーマンスが高く、キャッシュを最大化させる賢明な経営判断となります。
この記事の監修者

吉岡 伸晃 Nobuteru Yoshioka
BIZARQグループ 代表 / 公認会計士・税理士・行政書士
大手監査法人での経験を経て、現在はスタートアップから医療法人まで幅広い企業の財務・経営戦略をサポート。事業計画策定や資金調達支援に強い。


