ホーム » BIZARQインサイト » 信用保証協会とは?仕組みと創業融資でのメリット・デメリットを解説
信用保証協会とは?仕組みと創業融資でのメリット・デメリットを解説

全国47都道府県(フルリモート対応)で、創業融資の獲得や資金調達を通じて企業の成長を強力にバックアップする東京・新宿の税理士事務所、BIZARQ(ビズアーク)グループ 共同代表の吉岡和樹です。
信用保証協会とは、創業者や中小企業のスムーズな資金調達の支援を目的とする公的機関です。創業直後で事業実績がない状態では返済能力の判断に利用できる情報が少ないため、金融機関から融資を受ける難易度が高くなります。融資を受けられる場合でも、条件が厳しかったり融資額が希望よりも少ないといったケースが多くなります。
しかし、信用保証協会を利用すれば債務保証を実施してもらえるため、創業直後でも好条件で融資を受けられる可能性が高くなります。その一方で、保証料の支払いが必要で金銭的負担が大きくなるなどのデメリットにも注意が必要です。
今回は信用保証協会の概要や、創業融資に際して信用保証協会を利用するメリット・デメリットを紹介します。
創業融資の概要については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
【関連記事】創業融資とは何か?概要や種類、注意点についてわかりやすく解説!
【プロの視点】最新の利用実績から読み解く「信用補完制度」の重要性
創業期の資金調達において、金融機関の融資を後押しする信用保証協会は欠かすことのできない存在です。専門家の視点からお伝えすると、この制度は単なる「保証人代わり」にとどまらず、国を挙げた巨大なバックアップ体制によって成り立っています。
最新のデータによれば、信用保証制度は全国で約145万先、実に中小企業・小規模事業者のうち43%という非常に高い割合で利用されています。これほど多くの企業が活用できている背景には、「信用補完制度」という強固な仕組みが存在します。信用保証協会が中小企業の保証人となるだけでなく、その保証リスクに対して(株)日本政策金融公庫が「信用保険」をかけ、代位弁済額の70〜90%を保険金としてカバーする二段構えの体制が取られているのです。
また、通常は金融機関と保証協会がリスクを分担する「責任共有制度(80%部分保証など)」が原則ですが、「創業関連保証」に関しては例外的に責任共有制度の対象外(100%の保証対象)となる特例が設けられています。つまり、創業期は国が全力でリスクを引き受けてくれる最も有利なタイミングと言えます。この特権を最大限にハックし、手元のキャッシュフローを盤石にすることが、未来の経営を加速させるための最大の財務戦略となります。
信用保証協会の概要・創業融資との関係

まずは信用保証協会の概要と、創業融資との関係について解説します。
公的機関である信用保証協会とは
信用保証協会とは、創業者や中小企業のスムーズな資金調達の支援を目的とする公的機関です。融資を受ける人の債務保証を行い、万が一返済が不可能になったときは信用保証協会が残債の返済を金融機関へ肩代わりします(これを「代位弁済」と呼びます)。
債務者による返済が不可能になれば金融機関は債務を回収しきれず、大きな損失を受けてしまいます。そのため、返済能力に懸念がある事業者に対しては融資を行わないか、融資の条件を厳しくするのが一般的です。
しかし、信用保証協会による債務保証があれば、万が一の事態が起きても金融機関は貸付金をしっかり回収できます。そのため、返済能力の懸念がある事業者でも融資を受けられる可能性が高くなります。なお、保証協会が代位弁済を行った後は、事業者は金融機関ではなく信用保証協会に対して債務の返済を行っていくことになります。
スムーズな資金調達を実現する信用保証協会と創業融資の関係
信用保証協会はさまざまな融資制度に対する債務保証を行う機関です。中でも創業融資の申し込みに際して、信用保証協会を利用するケースは多くみられます。
通常、創業時に民間の銀行のような金融機関からの直接の融資(プロパー融資)を受けることは困難です。融資申し込みでは必ず審査が行われ、様々な情報から返済能力の有無や高さを判断されます。創業直後の事業者は事業実績がないため返済能力の判断がしにくく、融資で不利になりやすいです。
※銀行の創業融資については以下の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】創業融資は銀行でも受けられる?注意点と公庫との違いを徹底解説!
創業者を対象とした融資であっても、創業計画書の内容や面接の厳しいチェックが実施されます。書類作成や面接対策など、融資を受けるために必要な準備が多く、事業者にかかる負担も大きくなものとなります。
一方、信用保証協会の保証がついた融資であれば創業時でもスムーズに利用できる可能性が高くなります。特に利用しやすいのが、地方自治体・金融機関・信用保証協会の三者が連携して実行する「制度融資」と呼ばれるものです。
制度融資の申し込み窓口は自治体であり、やり取りを行うのは自治体と金融機関の二者がメインとなります。制度融資の場合、信用保証協会への保証申し込みは基本的に金融機関を経由して実施されるため、事業者自身の手間は最小限で済みます。
制度融資の詳細は自治体によって異なるため一概にはいえませんが、創業者を対象とした制度も多く存在します。創業融資で信用保証協会の保証を利用したい・創業融資を好条件で利用したい場合におすすめです。
創業融資で信用保証協会を利用するメリット
創業融資で信用保証協会の保証制度を利用するメリットを2つ紹介します。
創業直後でも銀行からの融資を受けられる可能性が高い
信用保証協会を利用する大きなメリットとして、銀行からの融資を受けられる可能性が高くなる点が挙げられます。
前述したように、創業直後に銀行の融資を利用するのは困難です。銀行が行う融資制度は、創業から一定以上の年数が経過していることを要件にしているケースがほとんどです。融資では返済能力の有無や高さが重要であり、創業直後で事業実績がない場合は返済能力を判断する材料が不十分なためです。
信用保証協会の債務保証があれば、債務者による返済が不可能になった場合に信用保証協会が代わりに返済を行います。金融機関は確実に貸付金の回収ができるため、返済能力に対する懸念があっても融資を行いやすくなります。そのため、銀行の融資でも利用できる可能性が高くなるのです。中小企業信用保険制度によれば、事業資金の保証限度額は普通保険で最大2億円、無担保保険で8,000万円が用意されており、最大で2億8,000万円という大きな枠組みが中小企業の成長を支えています[cite: 10]。
特に前章で紹介した制度融資は、創業直後の事業者を対象とした制度が多くみられます。信用保証の申し込みは金融機関を経由して実施されるため、事業者にかかる手間は大きくありません。手軽かつ高確率で、好条件の創業融資を利用できる方法といえます。
融資の申し込みがしやすく金利が低いケースが多い
信用保証協会の保証を受けるもうひとつのメリットが、創業融資をより好条件で利用できる可能性が高くなることです。具体的には、信用保証を受けない場合よりも融資の申し込みがしやすくなり、金利が低くなるケースが多くなります。
創業直後は、過去の事業実績から返済能力を判断することができません。返済能力を判断する手段として創業計画書や事業計画書を用いますが、あくまで計画である以上、どうしても厳しい見方をされてしまいます。融資が無事決定しても、希望額より少ない融資額になったり、金利が高いといった厳しい条件になる恐れがあります。担保や保証人がない場合は、より厳しい条件になってしまうでしょう。
しかし、信用保証協会による債務保証があれば、金融機関は確実な貸付金回収が可能です。返済可能性に対する懸念が少なくなるため、結果として融資を受けられる可能性が高くなるだけでなく、責務補償がない場合と比較してより好条件で融資を受けられることが期待できます。
創業融資で信用保証協会を利用するデメリット

信用保証協会には大きなメリットがある一方、注意するべきデメリットも存在します。創業融資で信用保証協会を利用するデメリットを2つ紹介します。
融資のコストとして保証料の支払いが必要
信用保証協会の債務保証を利用するデメリットのひとつが、保証料の支払いが必要となる点です。信用保証を利用するための対価と表現できます。
信用保証協会の保証を利用することで融資の条件が有利になり、金利が低くなる可能性があると紹介しました。しかし、金利が低くなっても保証料の支払いが必要である分、トータルでの負担は変わらない、もしくは大きくなる可能性もあります。
「信用保証を利用すれば金利が低くなり負担を減らせる」という認識をしないようご注意ください。事前に金融機関が提示する金利と、信用保証協会へ支払う保証料率を合わせた「実質的なトータルコスト」をしっかりとシミュレーションしておくことが重要です。(※自治体の制度融資の中には、この保証料の全額または一部を自治体が補助してくれるケースもあります)
公庫の創業融資よりも融資実行までの期間が長い傾向
創業融資に際して信用保証協会を利用する場合、公庫(日本政策金融公庫)の創業融資よりも融資実行までの期間が長くなる傾向です。
信用保証協会は申し込めば必ず保証を実施するわけではありません。信用保証協会による審査も実施されます。金融機関と信用保証協会両方での審査が必要になるため、必然的に審査に要するトータルの期間が長くなります。地方自治体・金融機関・信用保証協会の三者が連携する制度融資は、それぞれの機関で審査を行うため、より長い時間が必要です。
創業直後の時期において、資金調達のスピード感や入金されるタイミングは重要な要素といえます。審査にかかる時間が長く融資実行が想定よりも遅い場合、イメージ通りの事業展開が進められない恐れもあります。融資実行に時間がかかる点を押さえた上で、早めの準備や余裕のあるスケジュール設定が必要です。
「信用保証協会と創業融資」まとめ
- 返済を肩代わり(代位弁済)し、創業期でも銀行融資を可能にする公的機関
信用保証協会は、実績のない創業期の中小企業であっても、万が一の際に返済を保証することで、民間金融機関(銀行や信用金庫)からの資金調達をスムーズにしてくれる重要な機関です。 - 制度融資の活用で、好条件の融資を手間なく引き出せるメリット
自治体・金融機関・保証協会が連携する「制度融資」を活用すれば、金融機関経由で保証申し込みができるため手間が少なく、プロパー融資よりも低い金利など好条件で借り入れできる可能性が高まります。 - 保証料のコストと、3重の審査による融資実行までの「時間」に注意
保証を受けるには「保証料」の支払いが必要なため、金利と合わせたトータルコストの確認が必要です。また、各機関がそれぞれ審査を行うため、日本政策金融公庫単独の融資に比べて融資実行までに2〜3ヶ月近い長い時間がかかる傾向があります。
創業直後で事業実績がない状態では返済能力の判断に利用できる情報が少ないため、金融機関から単独で融資を受ける難易度が高くなります。しかし、信用保証協会の債務保証を利用すれば、金融機関からの融資を受けられる可能性が高くなります。希望通りの融資を受けることができ、通常よりも金利が低くなるといったメリットも期待できます。一方で、保証料の支払いが必要であったり、複数の機関が審査を行うため融資実行までに時間がかかるといったデメリットに注意が必要です。
一口に創業融資といってもさまざまな制度があり、信用保証を受けるか否かによって条件が変わるケースもあります。融資申し込みの経験がない人が、自分に適した方法を選択するのは容易ではありません。事業の状況や必要な資金のタイミングを見極め、公庫の融資と信用保証協会付き融資のどちらを優先すべきか、あるいは併用するべきかを慎重に判断することが大切です。
創業融資の利用を検討している、信用保証を受けるか迷っている、あるいは協調融資(併用)で確実に資金を調達したいとお考えの経営者様は、融資支援に強みを持つ専門家へご相談ください。当法人の資金調達・創業融資サポートでは、公庫と制度融資の双方に精通した専門チームが、自社に最適なスキームをご提案いたします。初回相談は無料でお受けしておりますので、以下の税理士無料相談よりお気軽にお問い合わせください。貴方の描くビジネスの未来を、私たちが強力にサポートいたします。
「信用保証協会」に関するよくある質問
いいえ、借金がなくなるわけではありません。代位弁済とは、あくまで信用保証協会が金融機関に対して「立て替え払い」をしてくれた状態です。代位弁済が行われた後は、債権(返済を求める権利)が金融機関から信用保証協会に移るため、以降は信用保証協会に対して借入金を返済していく義務が残ります。
原則として、法人代表者以外の連帯保証人は必要ありません。また、一定の要件を満たす法人であれば「経営者保証免除特例制度」などを活用することで、代表者個人の連帯保証を外す(経営者保証を不要とする)ことも可能です。創業関連の融資においても、無担保・無保証で利用できる制度が充実してきています。
はい、同時に申し込むこと(併用)は可能です。これを「協調融資」と呼び、手元の資金を最大化するための有効な戦略となります。ただし、両方の機関から審査を受けることになるため、矛盾のない整合性の取れた事業計画書を作成し、各機関の担当者にしっかりと事業の実現性をアピールする必要があります。手続きが複雑になるため、税理士などの専門家を通じた事前の対策をおすすめします。
この記事の監修者

吉岡 和樹 Kazuki Yoshioka
BIZARQグループ 共同代表
上智大学を中退後、7年間にわたり中堅会計事務所に勤務し、2014年にBIZARQ Groupの前身となる会計法人を設立。「経営のアクセルを踏む『攻め』のコンサル」を信条とし、会計・税務だけでなく経営や財務の相談に幅広く対応。創業融資やリスケジュール支援など、資金調達を通じた伴走支援で企業の成長を力強く後押ししている。事業計画の策定と銀行対応に多数の実績を持つ。


