資金調達ラウンドとは?ステージごとの特徴と資金調達方法について解説!

東京・新宿を拠点に全国47都道府県(フルリモート対応)で資金調達・創業融資サポートを手掛ける、BIZARQ(ビズアーク)グループ 共同代表(公認会計士・税理士・行政書士)の吉岡伸晃です。
「画期的なビジネスモデルを思いついたが、どうやって資金を集めればいいか分からない」「シリーズAやシードという言葉を聞くが、今の自社がどこに当てはまるのか知りたい」とお悩みのスタートアップ経営者の方は非常に多くいらっしゃいます。
資金調達ラウンドとは、スタートアップ企業が成長のために資金を調達するプロセスを段階(ステージ)ごとに分けたものです。自社が今どのステージにいるのかを正確に把握することで、取るべき財務戦略や最適な資金調達方法が見えてきます。
この記事では、数多くのスタートアップを支援してきたBIZARQの専門家が、資金調達ラウンドの各ステージの特徴と、失敗しないためのプロの視点を分かりやすく解説します。
【プロの視点】資金調達の罠!出資と融資のベストバランスで経営権を守る
各ラウンドの解説に入る前に、財務のプロとしてスタートアップ経営者の皆様に絶対にお伝えしたい鉄則があります。それは、「安易な『出資』の受け入れは、会社の経営権(シェア)を失う命取りになる」ということです。
資金調達と聞くと、エンジェル投資家やベンチャーキャピタル(VC)からの「出資(エクイティ)」ばかりをイメージしがちです。出資は返済不要という大きなメリットがある反面、株式(議決権)を渡すことになります。エンジェルやシードといった早い段階で多くの株式を投資家に渡してしまうと、経営の自由度が大きく下がり、最悪の場合は経営陣が会社から追い出されてしまうリスクすらあります。
そのため、私たちBIZARQが社外CFOとしてサポートに入る際は、出資だけでなく、日本政策金融公庫などの「創業融資(デット)」を戦略的に組み合わせることを強く推奨しています。
融資は返済義務がありますが、経営権を一切奪われません。「経営権を守りながら、未来の事業成長を最速で実現する」。これが、次世代のスタートアップに求められる正しい資本政策(財務戦略)です。
資金調達ラウンドとは
資金調達ラウンドとは、スタートアップ企業が成長のために資金調達を行うプロセスを段階ごとに分けたものです。
各プロセスは「ステージ」と表現され、アイディアしかない起業前から、IPO(株式公開)やM&Aを目指す成熟期まで、企業の成長に伴ってラウンドを進めていきます。
なお、この資金調達ラウンドは、投資家が「この企業は今どのフェーズにいて、どれくらいのリスク・リターンがあるか」を判断する際の目安にも使われます。投資家目線で語られる場合は「投資ラウンド」と呼ばれることもあります。
資金調達ラウンド|ステージごとの特徴と資金調達方法

資金調達ラウンドは、大きく分けて以下の6つのフェーズに分類されます。それぞれの状況と、適している資金調達手段を詳しく解説します。
1. エンジェル
資金調達ラウンドの第一段階である「エンジェル」は、起業前の段階です。まだビジネスのアイディアのみがある状態で、準備段階といえます。
- 特徴
準備段階のため、数千万円単位の多額の資金は必要としていません。また、法人としての実績がないため、資金調達手段の選択肢が少なく、従業員や顧客をほとんど抱えていない状態です。 - 主な資金調達方法
エンジェル投資家
起業前後で実績がない会社に対して、将来性を見込んで個人資産から投資を行う個人の投資家です。
ベンチャーキャピタル(VC)
未上場のスタートアップ企業への投資を専門とする投資会社やファンドです。エンジェル投資家が「個人」であるのに対し、VCは「法人(ファンド)」という違いがあります。
2. シード
シードラウンドは、起業直前や起業直後の段階です。企業として芽が出る前、つまり種(シード)の状態です。
- 特徴
会社設立費用、市場調査、初期プロダクト開発、人材確保などに充てる資金が必要です。まだ売上収益が発生する仕組みが完成していないため赤字が続きやすく、実績がないため資金調達の選択肢は限られています。 - 主な資金調達方法
エンジェル投資家 / ベンチャーキャピタル(VC)
クラウドファンディング
インターネットを通じて不特定多数の支援者から少額ずつ資金を調達する方法。テストマーケティングとしても機能します。
創業融資
実績がない創業直後でも申し込める融資の総称です。代表的なものとして、無担保・無保証人で利用しやすい日本政策金融公庫の「創業時の融資」や「制度融資」などが挙げられます。
3. シリーズA(およびプレシリーズA)
シリーズAラウンドは、本格的にビジネスを開始した段階です。なお、シードとシリーズAの間に、製品の改善を重ねる「プレシリーズA」を設けるケースもあります。
- 特徴
製品やサービスの本格的なリリースを開始し、認知度向上やユーザー獲得を目指します。PMF(Product Market Fit)の実現が最大の目標となり、事業拡大に向けた高額のコストが発生し始めます。 - 主な資金調達方法
エンジェル投資家 / ベンチャーキャピタル(VC) / 創業融資 / クラウドファンディング
シリーズAでは数千万円〜数億円規模の本格的な資金調達が必要になるケースが珍しくありません。
4. シリーズB
シリーズBラウンドは、ビジネスが軌道に乗り、さらなる成長が十分に見込める段階です。
- 特徴
市場における認知度や売上が大きく向上します。経営が安定し、単月黒字化を達成するケースも多く、新規人材の採用活動や新規商品の開発も積極的に行われます。 - 主な資金調達方法
ベンチャーキャピタル(VC) / 日本政策投資銀行(DBJ)などからの出資 / 民間金融機関(銀行)からのプロパー融資
企業としての実績や売上がしっかりと証明できるため、メガバンクを含む民間金融機関からの融資(借入)も受けやすくなります。
5. シリーズC
シリーズCは、黒字経営が安定化し、経営基盤のさらなる強化を図る段階です。また、IPO(新規株式公開)やM&A(企業の合併・買収)といった出口戦略(イグジット)を本格的に意識し始める時期でもあります。
- 特徴
調達した資金は「経営基盤の安定化」や「企業規模のさらなる拡大(海外進出など)」に使われます。収益が十分に安定している企業では、追加の資金調達は不要と判断するケースもみられます。 - 主な資金調達方法
ベンチャーキャピタル(VC) / 日本政策投資銀行からの出資 / 民間金融機関からの融資
これ以上の外部資本を入れず、シリーズCを最終的な資金調達ラウンドとする企業も多く存在します。
6. シリーズD
シリーズDは、IPOやM&Aなどの出口戦略に本格的に着手、あるいは大規模な新規事業を展開する段階です。
- 特徴
日本全国および海外を視野に入れた大規模な事業展開や、関連事業(新規ビジネス)の開発を進めます。多くのスタートアップ企業にとって、このシリーズDが最終の資金調達ラウンドとなり、投資家へのリターン(投資回収)を実現します。
「資金調達ラウンドとステージの特徴」まとめ
- 資金調達ラウンドは、企業の成長フェーズ(エンジェル〜シリーズD等)に合わせて必要な資金を集めるプロセス。
- ステージごとに「開発・人件費」「マーケティング」「海外展開」など資金の使い道が異なり、適した調達方法も変わる。
- 安易な出資受け入れによる経営権の喪失を防ぐため、「融資」と「出資」を組み合わせた資本政策が不可欠。
自社が今、資金調達ラウンドのどの段階にいるかを正確に把握することは、将来を見据えた財務戦略を立てる第一歩です。しかし、融資のタイミングやVCとの交渉、出資比率のコントロールを経営者お一人で行うのは非常に困難です。
「事業をスケールさせたいが、最適な調達方法がわからない」「自社のビジネスモデルが評価される事業計画書を作りたい」とお考えの経営者様は、ぜひBIZARQにご相談ください。私たちは、税理士・弁護士・社労士の4士業連携とDXを駆使し、過去の数字をまとめるだけでなく「未来の経営を加速させる」次世代型のパートナーとして伴走します。
事業計画の策定や最適な資金調達の提案については、当法人の資金調達・創業融資サポートもご覧ください。現在の自社のフェーズ診断や資金繰りに関するお悩みは、ぜひ税理士無料相談をご利用ください。
資金調達ラウンドに関するよくある質問
エンジェル投資家は「個人」の投資家であり、主に自己資金から投資を行います。投資決定のスピードが早く、経営者の熱意やアイディアを重視する傾向があります。一方、ベンチャーキャピタル(VC)は投資家から集めた資金を運用する「法人(ファンド)」です。組織として厳格な審査を行い、投資後はリターンを最大化するために経営に深く関与(ハンズオン支援)するケースが多いのが特徴です。
はい、可能です。資金調達ラウンドはあくまで成長の目安であり、厳密な法律やルールがあるわけではありません。例えば、自己資金や少額の融資で初期の開発を乗り切り、シードやシリーズAを飛ばして、事業が軌道に乗った段階でいきなりシリーズB規模の大型調達を行うスタートアップも存在します。
最大のメリットは「経営権(株式)を渡さずに済むこと」です。融資は借入金なので返済の義務や利息の支払いが発生しますが、会社のシェア(持ち株比率)が低下しないため、経営の自由度を完全に維持できます。早い段階で安易に株式を放出しすぎると、将来の意思決定に支障をきたす恐れがあるため、創業融資を優先的に活用することは非常に有効な戦略です。
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この記事の監修者

吉岡 和樹 Kazuki Yoshioka
BIZARQグループ 共同代表
上智大学を中退後、7年間にわたり中堅会計事務所に勤務し、2014年にBIZARQ Groupの前身となる会計法人を設立。「経営のアクセルを踏む『攻め』のコンサル」を信条とし、会計・税務だけでなく経営や財務の相談に幅広く対応。創業融資やリスケジュール支援など、資金調達を通じた伴走支援で企業の成長を力強く後押ししている。事業計画の策定と銀行対応に多数の実績を持つ。







