会社設立すると節税になる?法人化によるメリット11選を徹底解説!

全国47都道府県(フルリモート対応)で、会社設立サポートを通じて企業の成長を強力にバックアップする東京・新宿の税理士事務所、BIZARQ(ビズアーク)グループ 代表(公認会計士・税理士・行政書士)の吉岡伸晃です。

個人事業主としてビジネスが軌道に乗ってくると、「そろそろ法人化した方が税金面で得になるのだろうか?」と考えるタイミングが必ず訪れます。

実際、個人事業主のまま規模を拡大していくよりも、会社を設立して「法人化」した方が、税制上で認められる優遇措置の数が圧倒的に多くくなります。使える経費の幅が広がり、税率そのものも低く抑えられる可能性が高いためです。

今回は、法人成りによって得られる数多くのメリットの中から、特に重要な「11の節税メリット」にスポットを当てて詳しく解説します。

※そもそも個人事業主と法人のどちらが良いのか、全体のメリット・デメリットを比較したい方は、以下の記事をぜひご覧ください。

【プロの視点】法人成りは「売上高」だけで決めるな!未来のビジョンから逆算する重要性

具体的な節税メリットを見る前に、多くの起業家を見てきた私からお伝えしたい大切な視点があります。それは、「法人化のタイミングを、単に目先の売上高や利益の数字だけで判断してはいけない」ということです。

巷では「利益が800万円〜1,000万円を超えたら法人成りがおすすめ」とよく言われます。確かに税金面のシミュレーションとしては一つの目安になりますが、それだけで決めてしまうのはもったいないと言えます。

なぜなら、法人化の本質とは、税金を安くすること(過去の処理)だけでなく、「会社の社会的信用を高め、未来の経営を加速させるための強固な基盤を作ること」だからです。法人にすることで、大手企業との取引が始まったり、優秀な人材の採用がスムーズになったり、銀行からの資金調達(融資)が圧倒的に有利になったりします。もし数年後に事業を大きく拡大したいというビジョンがあるのなら、多少売上が目安に届いていなくても、最初から専門家と組んで会社を設立した方が、スピード感を持って事業を成長させられるケースが多々あるのです。

個人事業主から会社設立へ!法人成りで得られる11の節税メリット

それでは、法人化することで具体的にどのように税負担を抑えられるのか、11のメリットを詳細に解説します。

個人とは異なる「法人税」が適用される(最高税率の差)

個人事業主に課せられる所得税は、所得(儲け)が大きくなればなるほど税率が上がっていく「累進課税」の仕組みになっています。税率は5%から段階的に引き上げられ、最高税率は45%(住民税と合わせると約55%)にまで達します。(参考:国税庁:所得税の税率

一方で、会社に課せられる「法人税」は、税率がほぼ一定(比例税率)です。中小法人の場合は、所得800万円以下の部分は15%、800万円を超える部分でも23.4%程度に抑えられています。そのため、事業の所得が一定のラインを超えた場合、個人事業のまま納税するよりも、法人税を適用させた方が手元に残るキャッシュを大幅に増やすことができます。

経営者の給料に「給与所得控除」を適用して二重で経費化できる

個人事業主の場合、売上から必要経費を差し引いた残りがそのまま本人の「事業所得」となり、そこに直接税金がかかります。経営者自身の生活費を「経費」にすることはできません。

しかし法人化すると、経営者は会社から「役員報酬(給料)」を受け取る形になります。この役員報酬には、会社員と同じ「給与所得控除」が適用されます。給与所得控除とは、いわば「概算で認められる個人の経費」のようなものです。
会社側では社長に支払った役員報酬を丸ごと「経費(損金)」として落とせる一方で、受け取る社長個人側でも給与所得控除によって税金が安くなります。このように、一つの売上に対して会社と個人の両方で「経費の差し引き(実質的な二重控除)」が行われるため、所得を大幅に圧縮して節税することが可能になります。

配偶者控除・扶養控除が適用され、家族への所得分散が可能になる

個人事業主の場合、事前に届け出を出すことで家族へ給与(専従者給与)を支払って経費にすることができます。しかし、この専従者給与をもらっている家族は、経営者本人の「配偶者控除」や「扶養控除」の対象から外れてしまうというルールがあります。

法人の場合は、家族を役員や従業員にして給料を支払うことが可能なのはもちろん、要件を満たしていれば個人の所得からさらに「配偶者控除」や「扶養控除」を重複して適用させることができます。
先述の通り、所得税は累進課税のため、社長一人が1,000万円の報酬を独り占めするよりも、社長に600万円、役員である配偶者に400万円というように「家族へ所得を分散」させた方が、世帯トータルでかかる所得税・住民税を劇的に低く抑えることができます。

「出張手当(日当)」の支給により、会社は経費・個人は非課税にできる

個人事業主が出張をした場合、経費として認められるのは新幹線代やホテル代といった「実際にかかった実費」のみです。

しかし法人の場合、あらかじめ社内で「出張旅費規程」を作成しておくことで、実費とは別に「出張日当(手当)」を支給できるようになります。この日当は、会社側にとっては全額が「経費(損金)」になるだけでなく、受け取る社長や従業員個人にとっても所得税がかからない「非課税扱い」になります。会社から個人へ、税金を1円も課されることなく合法的にキャッシュを移せる、法人ならではの非常に強力な節税メリットです。(※出張旅費規程を作成していない場合は、単なる給与扱いとなって経費化できないため注意が必要です)

「慶弔見舞金」の支給を規程化して会社経費として処理できる

個人事業主の場合、身内や親族の結婚祝い、出産祝い、葬儀の香典などの費用は、すべてプライベートな支出(家事費)とみなされ、ビジネスの経費にすることは原則として不可能です。

法人の場合は、事前に「慶弔規程」を整備しておくことで、役員や従業員(およびその親族)に対する結婚祝金、出産祝金、傷病見舞金、香典などを、会社の福利厚生費として「経費」にすることが認められます。出張手当と同じく、会社は損金算入ができ、受け取った個人側も非課税となるため、いざという時の出費を会社の経費でスマートにカバーできるようになります。

減価償却で初期の費用化が大きい「定率法」を選択できる

パソコンや車、オフィスの機械、器具備品などの固定資産は、購入した年に一括で経費にするのではなく、数年にわたって少しずつ費用化していく「減価償却」を行います。この計算方法には主に、毎年同じ額を均等に落とす「定額法」と、初期に大きな金額を落として年々減らしていく「定率法」の2種類があります。

個人事業主は、原則として「定額法」しか使えません。しかし法人の場合は、原則として「定率法」を自由に選択することができます。どちらの方法を選んでも最終的に償却できる総額は同じですが、定率法を選んだ方が「購入した最初の年に、より多くの経費を計上できる」ため、利益が大きく出ている期の税負担を今すぐ抑えたいという場面で、非常に高い節税効果を発揮します。

自宅を社宅にすることで「家賃」の大部分を経費化できる

個人事業主が自宅兼オフィスで仕事をしている場合、家賃のうち経費にできるのは「実際に仕事で使っている面積(または時間)の割合」に応じた家賃(家事按分)のみです。ワンルームマンションであれば、せいぜい3〜4割程度を経費にするのが限界でしょう。

法人の場合は、不動産の賃貸契約を個人から「法人名義」へと切り替え、そこを役員社宅として社長に貸し出す形を取ることができます。この手法を使うと、物件の家賃全体の最大8〜9割近くを会社の「経費(損金)」として落とすことが可能になります。ただし、国税庁が定める「賃貸料相当額」と呼ばれる一定の比率(通常は家賃の1〜2割程度)を、社長個人のポケットマネーから会社へ自己負担金として支払う必要がありますが、それを差し引いても個人事業主とは比較にならないほどの節税になります。

「車両(車)」に関わる費用をビジネスの経費として全額算入できる

個人事業主がプライベートでも使う自家用車を事業に使う場合、これも家賃と同様に「週に何日仕事で使っているか」などの走行実績に応じて、一部しか経費に認められません。

法人の場合は、車両の所有名義を会社(法人)にすることで、購入代金(減価償却費)はもちろん、毎月のガソリン代、自動車税、車検代、任意保険料にいたるまでの全額を会社の「経費」として処理することが可能になります。法人の場合、社用車がプライベートで私用されることは原則として想定されていないため、按分の必要がなくなるのです。

※社用車を活用した節税対策の具体的なやり方や、注意点については以下の記事で詳しく解説しています。

事業の赤字(欠損金)を最大「10年間」にわたって繰り越せる

ビジネスを行っていれば、どうしても予期せぬトラブルや投資が重なり、赤字(欠損金)が出てしまう期もあります。個人事業主(青色申告者)の場合、この赤字を翌年以降に持ち越して、翌年の黒字から差し引いて税金を安くできる期間は「最大3年間」です。

法人の場合は、赤字を繰り越せる期間がさらに長く、なんと「最大10年間」にわたって繰り越し控除を受けることができます。創業期に大きな赤字を出してシステム投資や採用を行ったとしても、その後に生まれた黒字と10年間にわたって相殺し続けられるため、中長期的な税負担を劇的に減らし、企業の財務基盤を安定させることができます。

従業員や役員への「退職金」を損金(経費)として計上できる

個人事業主の場合、退職金を支給しても経費にすることはできません。

法人の場合は、あらかじめ規程を設けておくことで、従業員への退職金はもちろん、社長自身の「役員退職金」であっても、会社の「経費(損金)」として計上することが可能です。退職金は支払う会社側が経費になるだけでなく、受け取る個人側でも「退職所得控除」という非常に優遇された税制が適用されるため、通常の給与やボーナスでもらうよりも遥かに少ない税金で、老後の資金やまとまったキャッシュを個人に残すことができます。(※不当に高額すぎる支給は認められないため、事前の設計が必要です)

法人設立により「消費税の免税期間」をさらに延長できる

消費税は、原則として「前々年の売上(課税売上高)が1,000万円を超えているか」を基準に、納税義務が発生します。そのため、個人事業主も法人も、開業した最初の2年間は原則として消費税の支払いが免除されます。

これを利用し、まず個人事業主としてスタートして2年間の免税メリットを受け、売上が伸びてきたタイミングで「法人成り(会社設立)」をすれば、新しくできた法人としてさらに最初の2年間、消費税の免税期間を引き延ばすことができます。つまり、最長で「計4年間」にわたり消費税の支払いが免除されるという非常に大きなキャッシュ面のメリットを享受できるのです。(※ただし、前年上半期の売上高、または給与の支払総額が1,000万円を超えた場合には、この免除規定が適用されないため注意しましょう)

※会社設立直後の消費税免除の仕組みや、注意すべき要件については以下の記事で詳しく解説しています。

「会社設立による節税メリット」まとめ

  • 会社設立(法人化)には、法人税の比例税率の適用、給与所得控除による二重控除、家族への所得分散など、個人事業主にはない数多くの節税メリットが存在する。
  • 家賃(社宅)や社用車の全額経費化、出張手当や退職金の活用、さらには赤字の10年繰越など、手元にキャッシュを残すための強力な仕組み作りが可能。
  • 個人事業から法人へ切り替えることで、消費税の免税期間を最長4年間まで延長できる大きなチャンスがある。

このように、法人化によって得られる節税効果は、会社の財務基盤を強固にし、次の投資へ打って出るための強力な武器になります。

しかし、ただ「税金が安くなるから」という理由だけでなんとなく会社を設立してしまうのは危険です。「役員報酬をいくらに設定すれば、会社と個人のトータルの税金が最も安くなるのか」「消費税の免税要件を確実にクリアするにはどうすればいいか」といった判断には、税法に裏付けられた高度なシミュレーションと専門知識が不可欠です。設計を誤ると、かえって税負担が増えたり、設立費用が無駄になってしまうケースもあります。

「自分の売上規模で今すぐ法人化すべきか知りたい」「損をしないための最適な節税プランを立ててほしい」とお考えの経営者様は、ぜひBIZARQにご相談ください。私たちは「経営のアクセルを踏む攻めのコンサル」として、事前の徹底した税額シミュレーションから、迅速な会社設立手続き、設立後のバックオフィスDX(クラウド会計導入)までをワンストップで力強くリードし、貴社の未来の事業成長を加速させます。

法人成りの最適なタイミングや設立手続きについては、当法人の会社設立サポート(または税務顧問サービス)もご覧ください。自社の場合の具体的な節税効果を知りたい方は、ぜひお気軽に税理士無料相談をご利用ください。

会社設立と節税に関するよくある質問

A.はい、あります。最大の注意点は、会社が赤字であっても毎年最低約7万円が発生する「法人住民税の均等割」の支払義務があることです。個人事業主は赤字であれば住民税の所得割はかかりませんが、法人は法人の形を維持しているだけで税金がかかります。また、社長一人の会社であっても「社会保険(健康保険・厚生年金)」への加入が義務付けられるため、個人事業主の時よりも社会保険料の負担が増えるケースが一般的です。これらの維持コストを踏まえても節税メリットが上回るかを事前に試算することが重要です。

A.個人事業主の所得税(累進課税)の税率が、法人の実効税率(約21〜34%)を逆転するタイミングが、おおむね「課税される所得(利益)が800万円前後」になるからです。また、売上高が1,000万円を超えると2年後に消費税の課税事業者になってしまいますが、そのタイミングで法人成りをすればさらに2年間消費税の免税期間を延ばせるため、ちょうどこの数字が法人化の大きな目安として定着しています。

A.いいえ、税法上、株式会社と合同会社で節税メリットに違いはありません。今回ご紹介した11のメリット(役員報酬の給与所得控除、社宅の利用、出張手当、車の経費化、赤字の10年繰越など)は、合同会社であっても全く同じように適用されます。合同会社は株式会社よりも「設立費用(登録免許税など)」を安く抑えられるという初期コストのメリットがあるため、実利や節税効果だけを重視して合同会社を選ぶ経営者の方も非常に増えています。

【全国フルリモート対応】
税理士があなたの経営を「加速」させる。

BIZARQが税務・法務・労務・許認可のワンストップ体制で経営をサポートします。
セカンドオピニオンや税理士変更のご相談も歓迎です。まずはお気軽にお悩みをお聞かせください。

無料相談する

この記事の監修者

BIZARQグループ 代表 / 公認会計士・税理士・行政書士 吉岡伸晃

吉岡 伸晃 Nobuteru Yoshioka

BIZARQグループ 代表 / 公認会計士・税理士・行政書士

大手監査法人での経験を経て、現在はスタートアップから医療法人まで幅広い企業の財務・経営戦略をサポート。事業計画策定や資金調達支援に強い。

キャッシュフロー経営とは?メリットと黒字倒産を防ぐポイントを解説

全国47都道府県(フルリモート対応)で、キャッシュフロー改善や資金調達サポートを通じて企業の成長を強力にバックアップする東京・新宿の税理士事務所、BIZARQ(ビズアーク)グループ 共同代表の吉岡和樹です。 「売上も利益も順調に上がっているはずなのに、なぜか常に資金繰りに追われている…」「黒字倒産という言葉を耳にしたが、自社は本当に大丈夫だろうか?」とお悩みの経営者様は非常に多くいらっしゃいます。...

あわせて読みたい

法人税申告書とは?種類・書き方・提出方法を税理士がわかりやすく解説

全国47都道府県(フルリモート対応)で、適切な税務顧問と戦略的な決算・申告支援を通じて企業の成長を強力にバックアップする東京・新宿の税理士事務所、BIZARQ(ビズアーク)グループ 代表(公認会計士・税理士・行政書士)の吉岡伸晃です。 会社を設立して初めての決算期を迎える経営者や、個人事業主から法人成りした起業家にとって、最大の難所とも言えるのが「法人税の確定申告」です。その申告手続きにおいて中心...

あわせて読みたい

会社設立後の社会保険加入手続きとは?必要書類や流れを徹底解説

全国47都道府県(フルリモート対応)で、最新の税制改正への適応と戦略的な財務支援を通じて企業の成長を強力にバックアップする東京・新宿の税理士事務所、BIZARQ(ビズアーク)グループ 代表(公認会計士・税理士・行政書士)の吉岡伸晃です。 会社設立そのものは、会社設立の登記申請が受理されれば完了となります。しかし、会社設立が完了しても、会社運営を進めるためにはさまざまな作業が必要です。会社設立後、迅...

あわせて読みたい
電話でのお問い合わせ メールでのお問い合わせ LINEでのお問い合わせ