相続税の節税対策とは?おすすめの手法5選と最新の注意点を税理士が解説

全国47都道府県(フルリモート対応)で、戦略的な相続税対策と税務顧問を通じて企業の成長を強力にバックアップする東京・新宿の税理士事務所、BIZARQ(ビズアーク)グループ 代表(公認会計士・税理士・行政書士)の吉岡伸晃です。

相続税は、相続発生時という限られたタイミングのみに課税の可能性が発生し、かつ、納付額が非常に高額になりやすい税金です。大切なご家族への負担を最小限に抑えるためには、相続が発生してから慌てるのではなく、早い段階からの計画的な節税対策が求められます。

相続税には節税につながる合法的な手法が複数存在し、制度を上手く活用できれば税負担を劇的に軽減することができます。その一方で、他の税金に比べてルールが厳しく、手続きや期限において注意するべき点が多いため、事前に十分確認し正しく理解することが必要不可欠です。

今回は、相続税の節税対策におすすめの手法と、実際に節税を行う際に気をつけなければならない注意点について、最新の税制を踏まえて詳しく解説します。

なお、経営者や個人事業主の方に向けた所得税の節税については以下の記事で解説していますので、ぜひこちらもあわせてご覧ください。
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【プロの視点】最新の法改正を踏まえた「争族」を防ぐための相続対策

数多くの経営者様や資産家の方々の財務支援を行ってきたプロの税理士としてお伝えしたいのは、相続税の節税対策は単なる「税金逃れ」ではないということです。残されたご家族が円満に資産を引き継ぎ、事業や生活を安定して継続していくための「未来への投資(防衛策)」に他なりません。

特に近年は、税制改正によって相続や贈与に関するルールが目まぐるしく変化しています。国税庁の公表する最新のルールによると、亡くなる前に行われた生前贈与を相続財産に持ち戻して加算する「加算対象期間」のルールが大きく変わります。被相続人の相続開始日が令和8年(2026年)12月31日以前の場合は「相続開始前3年以内」ですが、それ以降に発生する相続については、加算対象期間が段階的に「7年以内」へと大幅に延長されていきます。

これはつまり、「亡くなる直前に慌てて生前贈与をして相続税を減らそうとしても、税務署には通用しなくなる」ということを意味しています。国は「早い段階からの計画的な資産移転」を強く促す方針へと舵を切っているのです。

また、相続税の納付は原則として「現金一括払い」であり、その期限は「被相続人の死亡したことを知った日の翌日から10か月以内」と厳しく定められています。残されたご家族が納税資金の捻出に苦しみ、大切な不動産や自社株を手放すことになっては本末転倒です。私たちは過去の処理を行うだけでなく、最新の税制をフル活用し、キャッシュフローを守りながら次世代へバトンをつなぐための高度なタックスプランニングをご提案しています。

相続税の節税対策におすすめの手法5選

課税対象となる遺産を圧縮し、無駄な税負担を抑えるためにはどのようなアプローチがあるのでしょうか。相続税の節税対策におすすめの手法を5つご紹介します。

生前贈与を行い課税対象となる相続財産を減らす

生前贈与とは、相続が発生する前、すなわち生前に財産移転を進めることで、将来的に課税対象となる相続財産の総額を減らす王道の手法です。

暦年課税における贈与税には、財産を受け取る人1人につき「年間110万円の基礎控除額」が設けられています。贈与する財産の内容や相手に関係なく、年間110万円までの贈与には税金が課されません。この贈与税の基礎控除の仕組みを使い、毎年少しずつ長期間にわたって贈与を行うことで、贈与税の発生を避けながら相続財産の額を確実に小さくすることができます。

また、生前贈与は相続よりも財産移転が容易という大きなメリットもあります。被相続人による遺言書がない場合、相続人同士で話し合い、誰が何を相続するかを決めるのが一般的です(この話し合いを「遺産分割協議」といいます)。しかし、相続人が多い場合や、相続人同士の関係性が悪いなどの理由から、遺産分割協議がスムーズに進まないケースも珍しくありません。

一方で贈与は、贈与をする人と受ける人の二者間で合意があれば、生前に狙った相手へ確実に財産を移転することが可能です。財産移転に必要な手続きや書類も、相続の場合よりも少なく済みます。生前贈与は節税面だけでなく、将来の「争族トラブル」を未然に防ぎ、財産移転をスムーズにする意味でもメリットが大きい手法と言えるでしょう。

特例や控除制度を最大限活用する

相続税には、残された家族の生活を保障するための特例や控除制度が多く存在します。これらの制度を最大限活用することで、相続税の額を大幅に抑えられたり、場合によっては納税額をゼロにできる可能性が高くなります。相続税の代表的な特例・控除制度を3つ紹介します。

  • 配偶者控除(配偶者の税額軽減)
    亡くなった人の配偶者は、「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のいずれか大きい方の金額まで非課税となる非常に強力な制度です。この制度によって、故人の配偶者にかかる相続税はゼロ、または極めて少なく抑えることができます。
  • 相次相続控除
    相続の発生から10年以内に次の相続(二次相続)が発生した際に利用できる制度です。例として、父親が亡くなって相続が発生し、その後10年以内に父親の相続人であった子供が亡くなった場合などが挙げられます。相続が短期間で続けて発生すると、同じ相続財産に対して相続税が二重で課せられてしまい、遺族の負担が過大になります。このようなケースにおける相続税の負担を軽減するための制度です。
  • 小規模宅地等の特例
    小規模宅地等の特例とは、一定の要件を満たす宅地等について、相続税の計算に用いる評価額を大幅に減額できる制度です。土地は評価額が高額になりやすいため、この特例を使えるかどうかで税負担が数百万円〜数千万円単位で変わります。対象となる宅地等は以下のとおりです。
    • 被相続人等の居住の用に供されていた宅地等(亡くなった人が住んでいた場所の土地)
    • 特定事業用宅地等(亡くなった人が事業を営んでいた場所の土地)
    • 貸付事業用宅地等(亡くなった人がアパート等の賃貸事業に使用していた土地)
    減額割合は50%または80%で、宅地の種類によって異なります。また、宅地の種類ごとに減額を受けられる面積の上限(330㎡や400㎡など)が設定されていますので、事前に専門家へ確認した上での精密な計算が必要です。

生命保険の非課税限度額を活用して納税資金も確保する

生命保険の受取額(死亡保険金)には、一定額まで相続税がかからない「非課税限度額」という優遇枠が設けられています。この非課税限度額は、以下の計算式で求められます。

500万円 × 法定相続人の数

例えば、法定相続人が妻と子供2人の計3人であれば、「500万円 × 3人 = 1,500万円」までの死亡保険金には相続税がかかりません。現金や預金としてそのまま1,500万円を残せば全額が相続税の課税対象になりますが、生命保険という形に変えておくことで、この非課税限度額を活用して相続税がかからない現金を相続人に遺すことができます。相続税の負担を抑えつつなるべく多くの財産を遺したい場合や、残された家族が相続税を支払うための「納税資金」を確実に準備しておく手段として、非常に効果的な手法です。

生前にお墓や仏具を購入して非課税財産を増やす

お墓や仏具といった財産は「日常礼拝している財産」と呼ばれ、亡くなった人の名義であっても相続税の課税対象にはなりません。そのため、生前にお墓などの非課税財産を購入する方法も相続税の節税対策に効果的です。

非課税財産の具体例は以下のとおりです。

  • 墓地や墓石
  • 霊廟(れいびょう)
  • 仏壇や仏具など神を祀るもの

生前にお墓や仏具を購入し、支払いを済ませておけば、課税対象となる手元の現預金を小さくしつつ、遺された人がお墓などを購入する金銭的負担も軽減できます。なお、節税対策として非課税財産を購入する際には、以下の3点に注意が必要です。

  • 相続の発生後(亡くなった後)にお墓を購入した場合は対象外となります。
  • 生前に購入したお墓の代金が「未払い(ローン等)」となっている場合は、その未払金は債務控除の対象外となります。
  • 投資用に購入したもの(日常礼拝用ではない純金製の仏具など)や、骨董品としての価値があるものなどは対象外となります。

生前に「相続対策コンサルティング」などを依頼し、専門家報酬を支払う

相続税申告自体の報酬を前払いしても『前渡金』として相続財産に加算されるため節税にはなりません。しかし、生前の節税対策コンサルティングや遺言書作成などのサポートを税理士等の専門家に依頼し、生前にサービスを受けて支払いを完了させておけば、手元の現預金を減らす合法的な節税につながります。残された家族の負担を減らす意味でも、早めに専門家へ相談(依頼)しておくのがおすすめです。

すべての税理士が複雑な生前対策のコンサルティングに精通しているわけではありません。生前対策の契約を検討している場合は、相続税に強い税理士へ早い段階で相談することが安心への第一歩です。

相続税の節税を行う際の注意点

今回紹介した相続税の節税対策は、いずれも効果が出やすく比較的簡単で実施しやすい方法です。しかし、相続税のルールについて注意点を知らずにいると、税務調査で否認され、多額の追徴課税を受けて節税対策の効果が得られない恐れがあります。相続税の節税を行う際に押さえたい注意点を3つ紹介します。

生前贈与が否認されないよう正確な手続きを行う

生前贈与は相続税の節税対策として人気かつ主流な方法ですが、やり方を誤ってしまうと、生前贈与が税務署に否認されて相続税の課税対象となってしまうケースがあります。生前贈与を行う場合、否認されないよう確実な証拠を残す注意が必要です。

生前贈与が否認されるケースの具体例を紹介します。

  • 現金手渡しかつ贈与契約書を用意していない
    銀行の振込履歴や贈与契約書といった客観的な証拠がないため、単なる名義預金とみなされ、生前贈与が否認されるリスクが高いです。
  • 毎年同じ金額を贈与する(定期贈与)
    毎年一定額(例:毎年100万円を10年間)をあらかじめ約束して贈与する行為は「定期贈与」に該当する可能性があります。定期贈与とみなされると、年間110万円以下であっても最初から多額の贈与を行う約束があったと判断され、全額が贈与税の課税対象になるため、節税効果が小さくなってしまいます。

また、前述した通り、加算対象期間内に被相続人から暦年課税に係る贈与によって取得した財産は、相続財産に加算される点に注意が必要です。令和8年12月31日以前の相続であれば「亡くなる3年以内」、それ以降は段階的に「7年以内」に行われた贈与が加算対象となります。亡くなる直前の駆け込み贈与は相続税の対象になるということをきちんと認識しておきましょう。ただし、延長された4年間(亡くなる前4年〜7年)に行われた贈与については、すべてが加算されるわけではなく、「総額100万円までは相続財産に加算しなくてもよい」という緩和措置が設けられています。

控除・特例制度によって相続税がゼロになっても申告が必要なケースがある

相続税の控除や特例制度を用いることで相続税の計算額が大幅に減額され、結果的に納める相続税がゼロになるケースもあります。しかし、制度や特例の適用要件によっては、納めるべき相続税がゼロであっても「相続税の申告手続き」自体は必ず行わなければならないケースがあるため注意が必要です。

今回紹介した制度のうち、「配偶者控除(配偶者の税額軽減)」と「小規模宅地等の特例」は、適用を受けるために期限内(被相続人の死亡したことを知った日の翌日から10か月以内)に相続税の申告書を提出する必要があります。

相続税の申告をしなければ制度の適用を受けられず、控除が認められません。結果として、特例を適用しない通常の高い評価額の状態で相続税を計算し、多額のペナルティを含めて納付することになってしまいます。(※相次相続控除の適用によって相続税がゼロになった場合は申告不要ですが、申告をしても問題ありません。)特例や控除制度を利用する際は、申告が必要かどうか必ず税理士に確認しましょう。

遺産総額が基礎控除額以下なら相続税の申告は不要になる

特例などを適用する前の「課税対象となる正味の遺産総額」が、相続税の基礎控除額以下の場合は、そもそも相続税がかからないため申告自体が不要となります。相続税の基礎控除額は、国税庁の定める以下の計算式で求められます。

3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

たとえば法定相続人が、被相続人の配偶者と子供2人の計3人である場合、基礎控除額は以下のようになります。
3,000万円 +(600万円 × 3人)= 4,800万円

このケースにおいて、遺産総額が4,800万円以下であれば相続税は発生しないため、配偶者控除などの特例をわざわざ使うまでもなく、相続税の申告も必要ありません。ただし、被相続人に養子がいる場合、法定相続人の数に含める養子の数は「実子がいる場合には1人、実子がいない場合は2人まで」となる点には留意して、正確な基礎控除額を計算しましょう。

「相続税の節税対策と注意点」まとめ

  • 生前贈与や特例を活用し、計画的に相続財産を圧縮する
    年間110万円の暦年贈与の活用や、お墓・仏具等の非課税財産の生前購入などによって課税対象の財産を減らします。また、小規模宅地等の特例を利用すれば土地の評価額を最大80%減額することが可能です。
  • 生命保険の非課税限度額で、相続税の「納税資金」を確実に残す
    「500万円×法定相続人の数」の非課税枠を利用することで、無税で現金を残せるだけでなく、残された家族が相続税を支払うための納税資金を確保できます。
  • 生前贈与の加算期間(3年→7年)と申告要件(ゼロでも申告が必要な特例)に注意
    税制改正により亡くなる直前の駆け込み贈与は相続財産に加算されるようになります。また、配偶者控除などの特例は「申告期限内(10ヶ月以内)の申告」が適用条件となるため、事前の正確な手続きが不可欠です。

相続税は、生前贈与や生命保険の非課税限度額の活用、小規模宅地等の特例など節税の方法が複数存在するため、早い段階からの事前の対策によって税額を大幅に抑えることは十分に可能です。ただし細かな要件や法改正によるルールの変更があり、誤った方法をとってしまうと節税効果が得られないばかりか、追徴課税の恐れもあります。そもそも相続税や贈与税は制度が極めて複雑で、専門知識がない人が独力で基礎控除の計算や特例の適用判断を正確に行うのは容易ではありません。また、単に税金を減らすだけでなく、将来の事業承継や円満な遺産分割までを見据えたトータルな設計が必要です。相続税の効果的な節税対策を実施し、相続税の計算・申告も正しく行うためにも、実務に精通した専門家に相談するのが最も確実で安心です。将来の円満な事業承継や、大切な資産を守るための戦略的な相続税対策にお悩みの経営者様は、ぜひ当法人の税務顧問サービスをご検討ください。公認会計士・税理士・行政書士の4士業が連携し、複雑な手続きをワンストップでサポートいたします。初回のご相談は無料でお受けしておりますので、以下の税理士無料相談窓口よりいつでもお気軽にお問い合わせください。貴方の築き上げた大切な資産を守るため、私たちが全力でバックアップいたします。

「相続税の節税対策」に関するよくある質問

A.定期贈与とみなされないためには、「毎年新たに贈与を行う」という客観的な事実を残すことが重要です。具体的には、贈与のたびに「贈与契約書」を作成し、双方の署名・捺印を残すこと。さらに、毎年同じ金額や同じ時期(誕生日など)を避け、あえて110万円を少し超える額を贈与して少額の贈与税を申告・納付し、税務署に対して「単発の贈与であること」を明確に示す方法も有効です。資金移動も現金手渡しではなく、必ず銀行振込を利用して記録を残してください。

A.生命保険の非課税限度額(500万円×法定相続人の数)の適用を受けるためには、原則として「契約者(保険料を支払う人)」および「被保険者(保険の対象となる人)」が被相続人であり、「受取人」が法定相続人である必要があります。もし、受取人が孫や友人など法定相続人以外であったり、契約者が妻で被保険者が夫であったりと形態が異なると、相続税の非課税枠が使えない、あるいは贈与税・所得税の対象となってしまうケースがあるため、契約形態には十分に注意してください。

A.被相続人と同居していなかった場合でも、一定の条件を満たせば「家なき子特例」として適用を受けられる可能性があります。具体的には、被相続人に配偶者や同居親族がいないこと、かつ、相続開始前3年以内に「自分や配偶者の所有する家」に住んだことがない親族が相続するケースなどが該当します。しかし、要件が非常に細かく厳しいため、事前に税理士へ適用可能かどうかの確認を依頼することを強くお勧めします。

この記事の監修者

BIZARQグループ 代表 / 公認会計士・税理士・行政書士 吉岡伸晃

吉岡 伸晃 Nobuteru Yoshioka

BIZARQグループ 代表 / 公認会計士・税理士・行政書士

大手監査法人での経験を経て、現在はスタートアップから医療法人まで幅広い企業の財務・経営戦略をサポート。事業計画策定や資金調達支援に強い。

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