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【2026年版】マイクロ法人の節税メリット・デメリットと設立7ステップ

全国47都道府県(フルリモート対応)で、会社設立や節税対策を通じて企業の成長を強力にバックアップする東京・新宿の税理士事務所、BIZARQ(ビズアーク)グループ 代表(公認会計士・税理士・行政書士)の吉岡伸晃です。
売上が伸びてきたフリーランスや個人事業主の方の中には、年々重くなる所得税や住民税、国民健康保険料の支払いに頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
そうした個人事業主の節税・手残り最大化の強力な手段として、近年非常に大きな注目を集めているのが「マイクロ法人」の活用です。
マイクロ法人とは、主に節税や社会保険料の削減を目的に、社長一人で設立・運営する小規模な会社のことです。個人事業主としての活動とマイクロ法人を上手に組み合わせる(二刀流で運用する)ことで、個人事業主のまま活動し続ける場合と比較して、年間で数十万〜百万円単位の節税・社会保険料削減効果を得られるケースがあります。
しかし、法人を設立する以上は手続きや決算の負担が増え、赤字でも発生する固定コスト(法人住民税の均等割など)がかかるといったデメリットや注意点も存在します。やり方を誤ると、税務署から「実体のないペーパーカンパニーによる租税回避」と判断されるリスクもあるため、正しい専門知識に基づいた設計が不可欠です。
今回は、マイクロ法人の概要から設立7ステップ、7つのメリット、手残りを最大化する「個人事業主×マイクロ法人」の二刀流スキーム、そして実務上の注意点まで、最新の税制動向を踏まえてプロの視点から徹底的に解説します。
なお、個人事業主が法人成りを行うのに適した全体的なタイミングや判断基準については、以下の関連記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
【関連記事】法人成りに最適なタイミングとは?会社設立時期の目安を解説!
【プロの視点】マイクロ法人は「単なる節税テクニック」ではなく持続可能な財務インフラ
数多くのスタートアップやITフリーランス、個人の資産形成をサポートしてきたプロの税理士の視点から最初にお伝えしたいのは、マイクロ法人を「税金を安くするための裏ワザ」程度に考えてはいけないということです。
マイクロ法人は、個人の手取り額を増やすだけでなく、将来的な事業の選択肢を広げ、手元キャッシュを守り続けるための「持続可能な財務インフラ(資産防衛の仕組み)」です。
特に東京・新宿エリアをはじめとするビジネスの最前線で活動するクリエイターやコンサルタント、エンジニアの方々は、売上の変動や税負担の重さに直面しやすい傾向があります。個人事業主の所得税率は、所得が増えるほど税率が上がる累進課税(最高税率45%、住民税と合わせて55%)が適用されるため、一生懸命働いて稼ぐほど手元に残る割合が減っていってしまいます。
そこで、事業の一部を切り離してマイクロ法人に移管し、「個人事業」と「法人」の2つの箱を戦略的に使い分けることで、個人と法人それぞれの税制上の優遇措置(青色申告特別控除や給与所得控除、社会保険料の下限設定など)をダブルで享受できます。過去の決算を処理するだけでなく、最新の税制(令和8年度税制改正大綱における給与所得控除の見直し等)を巧みに取り入れ、未来の手元キャッシュを最大化するための構造を作り上げることこそが、マイクロ法人活用の真髄です。
マイクロ法人の概要と一般的な会社・個人事業主との違い

まずは、マイクロ法人の基本的な概念や、一般的な企業・個人事業主との違いについて整理しておきましょう。
社長一人で運営するマイクロ法人とは
マイクロ法人とは、従業員や自分以外の株主を一切置かず、社長一人だけで運営する小規模な会社(法人)を指します。
法律上に「マイクロ法人」という特別な会社法上の形態が存在するわけではなく、あくまで「個人事業主が主に節税や社会保険料の最適化を目的として設立する、一人社長の法人」を総称したビジネス用語・実務用語です。
事業拡大を目指さない一般的な会社との違い
マイクロ法人と一般的な会社の違いを比較表にまとめました。
| 比較項目 | マイクロ法人 | 一般的な会社(通常法人) |
|---|---|---|
| 主な目的 | 節税・社会保険料の最適化(手残り最大化) | 売上・利益の拡大、事業スケール |
| 組織構成 | 社長一人(役員・従業員・外部株主なし) | 複数役員、従業員雇用、外部出資者あり |
| 事業規模 | 必要最小限の売上・利益にコントロール | 年々拡大を目指す |
将来的に従業員を何十人も雇って事業を大きくスケールさせることを目指す場合は、通常のスタートアップ・会社設立として扱われ、マイクロ法人とは区別されます。
適用税制と保険で比べる個人事業主との違い
個人事業主とマイクロ法人では、日々の働き方自体に大きな違いはありません。最大の差異は「法人格を持っているか否か」と「適用される税制・社会保険のルール」です。
| 比較項目 | 個人事業主 | マイクロ法人 |
|---|---|---|
| 税金 | 所得税(累進課税:最高45%)+住民税(10%) | 法人税(約15%〜)+役員報酬への給与所得控除 |
| 公的保険 | 国民健康保険(所得に比例して高額化) | 社会保険(役員報酬額に応じた固定化が可能) |
| 維持コスト | 無料(赤字なら税金ゼロ) | 法人住民税均等割(赤字でも年間約7万円〜)等 |
個人事業主は手続きが簡単で維持コストがかかりませんが、売上が増えるほど税率や国民健康保険料が高くなります。一方、マイクロ法人は設立費用や維持費、決算事務などの負担が生じるものの、社会保険料の抑制や経費枠の拡大といった絶大なメリットを得ることができます。
株式会社と合同会社マイクロ法人の2つの形態比較
マイクロ法人を設立する際、選択する法人形態としては「株式会社」と「合同会社(LLC)」の2つが代表的です。
| 比較項目 | 株式会社 | 合同会社(LLC) |
|---|---|---|
| 設立費用の相場 | 約25万〜30万円 | 約11万〜17万円 |
| 社会的信用度 | 非常に高い(認知度抜群) | 普通 |
| 決算公告の義務 | あり(毎年手間・費用が発生) | なし(維持が容易) |
| おすすめ対象 | 大手企業との取引や認知度重視 | コストと維持の手間を抑えたい節税重視 |
節税目的のマイクロ法人の場合、初期費用と維持コストを低く抑えられる「合同会社」を選択するケースが実務上非常に多く見られます。
技能や経験を活かすマイクロ法人の主な事業内容
マイクロ法人で行われる事業内容には、以下のような幅広い分野が挙げられます。
- アフィリエイト・ブログ運営
- 不動産管理・賃貸業
- せどり・ネット物販
- コンサルティング・各種アドバイザー
- 軽貨物などの配送業
- システム開発・プログラミング
- Webデザイン・動画編集
- ライティング・出版業
自身がこれまで培ってきた専門技能や知見を活かせる分野、あるいは個人事業主としての本業とは「別ライン」として切り離しやすい事業領域を選ぶことが推奨されます。
就業規則の確認が必須会社員のマイクロ法人設立
給与所得を得ているサラリーマン(会社員)が、副業や資産管理のためにマイクロ法人を設立すること自体は法律上まったく問題ありません。
ただし、勤務先の会社が就業規則で副業を禁止している場合、マイクロ法人の設立や役員就任が雇用契約違反となり、社内処分等のトラブルに発展する可能性があります。あらかじめ自社の就業規則を確認しておきましょう。
マイクロ法人設立のための7つのステップ

マイクロ法人を設立する際の手続きは、一般的な会社設立の流れと全く同じです。法務局や公証役場、税務署へ提出する具体的な7つのステップを解説します。
1.商号や事業目的を定める会社の基本事項決定
設立にあたり、まずは会社の根幹となる基本事項を決定します。
- 会社名(商号)
- 資本金額(1円から設定可能ですが、実務上は10万〜100万円程度が一般的)
- 決算時期(好きな月を設定可能。本業の繁忙期を避けるのがおすすめ)
- 会社住所(本店所在地)(自宅やバーチャルオフィス等)
- 事業内容(事業目的)
会社名を決定する際は、他社が商標登録している名称と被って商標権侵害にならないよう、「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」などを活用して事前調査を行いましょう。
2.登記に必要な印鑑を準備する法人の実印作成
会社の基本事項が決まったら、法務局への登記申請や口座開設で使用する「法人実印(代表者印)」を作成します。印鑑通販サイト等を利用すれば、代表者印・銀行印・角印の3点セットが数千円〜1万円程度、数日で作成可能です。
3.絶対的記載事項を押さえる定款作成
定款(ていかん)とは、会社の基本ルールを定めた定款(ルールブック)です。商号、事業目的、本店所在地、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額、発起人の氏名及び住所といった「絶対的記載事項」を漏れなく記載する必要があります。記載漏れがあると定款が無効になるため注意してください。
4.公証役場でチェックを受ける定款の認証(株式会社のみ)
株式会社を設立する場合は、作成した定款を本店所在地を管轄する公証役場へ提出し、公証人による認証を受ける必要があります。定款に貼る収入印紙代(4万円)は、専門家の「電子定款」を活用することで0円に節約可能です。なお、合同会社の場合は公証人による定款認証手続き自体が不要です。
5.個人口座で証明を取る資本金の払い込み
定款認証の完了後(合同会社は定款作成後)、発起人個人の銀行口座へ資本金を振り込みます(※この時点ではまだ法人口座が存在しないため)。払込後、通帳の表紙・1ページ目・振込明細ページのコピーを取り、発起人が作成した「払込証明書」と綴じて会社実印で割印します。
6.必要書類10種を提出する登記申請書の作成と申請
管轄の法務局へ設立登記申請を行います。必要な提出書類は主に以下の10種類です。
- 登記申請書
- 登録免許税分の収入印紙を貼った納付用台紙(※合同会社6万円〜、株式会社15万円〜)
- 定款
- 発起人の決定書
- 設立時取締役の就任承諾書
- 設立時代表取締役の就任承諾書
- 設立時取締役の印鑑登録証明書
- 資本金の払込があったことを証する書面(払込証明書)
- 印鑑届出書
- 登記すべき事項を記載した書面(または保存したCD-R)
書類に不備がなければ、申請からおよそ1週間〜10日程度で登記が完了し、正式に法人格が誕生します。
7.税務署や年金事務所へ出向く設立登記後の各種手続き
登記完了後、速やかに各公的機関へ設立後の届出書類を提出します。
- 税務署:法人設立届出書、青色申告承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書など(※設立から2ヶ月以内を目安に提出)
- 都道府県税事務所・市町村役場:法人設立届出書(法人住民税・事業税用)
- 年金事務所:健康保険・厚生年金保険新規適用届(※設立から5日以内)
- 労働基準監督署・ハローワーク:従業員を雇用する場合のみ労働保険の届出
マイクロ法人を設立する7つのメリット

個人事業主がマイクロ法人を設立・運用することで得られる、具体的な7つの絶大なメリットを解説します。
1.給与所得控除の改定を活用する所得税や住民税の節税
個人事業主の所得は「売上 − 経費 − 青色申告特別控除(最大65万円)」で計算されます。
一方、マイクロ法人を設立して自分に役員報酬(給料)を支払うと、個人側では受け取った給与に対して税法上の優遇措置である国税庁:No.1400 給与所得控除が適用されます。
令和8年度税制改正大綱により、給与所得控除の最低保障額は従来の55万円から69万円へと引き上げられ、さらに令和8年および令和9年においては特例措置として5万円が上乗せ(計74万円)されます。これにより、法人側の経費と個人側の手厚い控除をダブルで活用でき、個人の所得税・住民税をこれまで以上に安く抑えることが可能となります。
2.国保から社会保険に切り替える社会保険料の削減
マイクロ法人設立の最大のメリットと言っても過言ではないのが「社会保険料(健康保険・厚生年金)の適正化・大幅削減」です。
個人事業主が加入する国民健康保険(国保)は、前年の所得に比例して保険料が高くなり、上限額(年間100万円超)まで際限なく上がっていきます。
しかし、マイクロ法人を設立して役員報酬を支給すると、国保から法人の「社会保険(健康保険・厚生年金)」へ強制的に切り替わります。社会保険料は「毎月の役員報酬額(標準報酬月額)」をベースに計算されるため、役員報酬を低く設定することで、社会保険料の支払額を国民健康保険の半額以下(年間数万〜数十万円レベル)にまで削減することが可能になります。
3.個人と法人の売上を分散する消費税の免税事業者化
消費税の納税義務は、前々年(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超えた場合に発生します。個人事業主と法人は税務上「別人格」として扱われるため、売上を個人と法人に分散させることで、どちらの売上も1,000万円未満に抑え、消費税の免税事業者としてのポジションを維持しやすくなります。
※ただし、インボイス制度の導入に伴い、BtoB取引においては免税事業者のままだと取引上で不利になるケースがあるため、自社の取引先の属性(法人向けか一般消費者向けか)を考慮した事前シミュレーションが必要です。
4.旅費規程や退職金も使える経費計上の幅の拡大
個人事業主と比較して、法人の方が税法上経費として認められる範囲が格段に広くなります。
- 役員報酬(自らの給料を経費化)
- 出張手当(日当)(出張旅費規程を作成することで、実費とは別に日当を支給し、法人は全額損金・個人は非課税で受け取れる)
- 慶弔見舞金(規程を作成すれば結婚祝いや香典等を経費化)
- 役員退職金(将来の退職金を適正額まで損金計上可能)
- 法人名義の生命保険料(一定の条件のもと保険料を損金化)
5.BtoB取引で有利になる取引先の信頼獲得と事業拡大
大手企業や上場企業の中には、コンプライアンスや与信管理の観点から「個人事業主とは直接契約を結ばない(法人格を持つ企業のみ取引可能)」という社内規程を設けているところが少なくありません。
マイクロ法人を設立して法人名義で契約を結べるようになることで、これまで断られていた大手企業からの案件受注や、新しい取引先の開拓がスムーズに行えるようになります。
6.法人の選択肢が増える資金調達のしやすさ
将来的に事業をさらに拡大したくなった際、法人は個人事業主よりも資金調達の選択肢が豊富です。金融機関の創業融資やプロパー融資において法人のほうが審査対象となる制度が多く、株式会社であれば第三者割当増資などによる出資を受け入れることも可能になります。
7.赤字を最長10年活かす欠損金の繰越期間
事業で赤字(欠損金)が発生した場合、翌年以降の黒字と相殺して税金を減らすことができる「欠損金の繰越控除」制度があります。
個人事業主(青色申告)の繰越期間が「最長3年間」であるのに対し、法人の場合は「最長10年間」にわたって赤字を繰り越すことができます。初期投資がかさんだ年の赤字を、将来の利益と長期にわたって相殺できるため、税負担を安定して抑えられます。
マイクロ法人の3つのデメリットと維持コスト
メリットが大きい反面、マイクロ法人を維持するためには相応の手間とコストがかかります。
1.決算申告が必要になる経理業務・事務手続きの負担増加
個人事業主の確定申告(青色申告)に比べ、法人の「決算申告」は作成すべき書類が非常に複雑です。
- 貸借対照表(BS)
- 損益計算書(PL)
- 株主資本等変動計算書
- 勘定科目内訳明細書
- 法人事業概況説明書
- 法人税・法人住民税・法人事業税の申告書
これらの複式簿記に基づく専門的な書類を知識のない個人が一人で作成するのは極めて難しいため、通常は税理士へ決算申告の作成代行や税務顧問を依頼することになり、その分の専門家費用が発生します。
2.設立初期費用と固定費がかかる会社設立費や維持費の発生
法人を立ち上げるための初期費用(株式会社約25万〜30万円、合同会社約11万〜17万円)に加え、設立後も毎年固定費(ランニングコスト)がかかります。具体的には、税理士報酬、会計ソフト利用料、バーチャルオフィス代や固定電話代などが挙げられます。
これら年間数十万円の維持コストと、節税・社会保険料削減によって得られるメリットのどちらが大きいかを試算することが重要です。
3.赤字でも発生する法人住民税の均等割負担
個人事業主の場合、年間の所得が赤字であれば所得税も住民税もかかりません。
しかし法人の場合は、たとえ売上がゼロで大幅な赤字決算であっても、会社が存続している限り「法人住民税の均等割」という地方税を毎年納付する義務があります。最も小規模な法人(資本金1,000万円以下かつ従業員50人以下の場合)であっても、年間で最低約7万円の固定コストが発生します。
マイクロ法人で節税効果を最大化する「二刀流」のポイント
マイクロ法人単体で稼ぐのではなく、「個人事業主×マイクロ法人」の二刀流で活用することこそが、節税効果を劇的に引き上げる鍵となります。
自宅家賃や車両代を按分する経費計上の範囲拡大
自宅兼事務所として使用している賃貸マンションの家賃や光熱費、業務で使用する自家用車のリース代やガソリン代などを、業務での使用実態に合わせて合理的な基準(面積比や使用時間比など)で経費に按分計上します。
特に役員社宅制度を活用する場合、法律上の規定に沿って固定資産税課税標準額から算出された「適正な賃貸料相当額」を役員個人から徴収することで、要件を満たした上で家賃の一定割合(5割〜8割程度)を法人の損金(福利厚生費)として安全に経費化することが可能です。
月額4.5万円で社保・税金を最安化適切な役員報酬の設定
マイクロ法人からの役員報酬額を「月額45,000円(年額54万円)」程度に設定するのが、二刀流スキームにおけるゴールデンルールとされています。
- 社会保険料の最小化
月額45,000円は、健康保険・厚生年金保険料の「最低等級(第1等級)」に該当するため、法人の社会保険料負担額を極限まで低く抑えられます。 - 個人税の非課税
年額54万円であれば、最新の給与所得控除(最低69万円+特例5万円=74万円)の範囲内に完全に収まるため、役員報酬に対する個人の所得税・住民税は「0円(非課税)」となります。
法人側で発生した利益は、この少額の役員報酬や出張手当、その他の経費で相殺し、法人の課税所得をほぼゼロ(赤字〜数万円の黒字)にコントロールするのが基本戦略です。
個人と法人の二刀流で勝つ所得配分の最適化
メインの大きな利益を生み出す事業は「個人事業主」として存続させ、個人側で「青色申告特別控除(65万円)」や各種所得控除を適用します。そして、一部の副次的な事業のみを「マイクロ法人」へ移管します。
マイクロ法人側で最低水準の社会保険に加入すれば、個人事業主側の膨大な利益に対して高額な「国民健康保険料」がかかるのを完全に遮断できます。個人側では税率の低い範囲で確定申告を行い、法人側では社会保険料を最安化するという、まさに「良いとこ取り」の節税構造が完成します。
マイクロ法人設立を検討すべき人の特徴と成功事例

どのような人がマイクロ法人を設立すれば大きな恩恵を受けられるのか、具体的な判断基準と職種別の成功事例を紹介します。
事業所得500万円超が目安個人事業主の損益分岐点
個人事業主としての年間の事業所得(売上から経費を引いた利益)が「500万円以上」を超えてきたタイミングが、マイクロ法人設立を本格検討すべき最大の損益分岐点です。
所得500万円を超えると、個人事業主の所得税率+住民税率の合計(約30%超)や国民健康保険料の負担(上限近く)が重くのしかかってきます。法人の維持費(年20万〜30万円程度)を支払ったとしても、二刀流スキームによる節税・社保削減メリットの方が大きく上回るようになります。
資産管理会社として活用する不動産収入があるオーナー
アパートやマンションを所有し賃貸収入を得ている不動産オーナーも、マイクロ法人(不動産管理会社)との相性が抜群です。所有物件の管理業務(集金や清掃手配など)をマイクロ法人へ委託して管理手数料を支払うことで、不動産所得を法人へ分散できます。また、家族を役員にして適正な役員報酬を支払うことで、世帯全体の税負担を下げることが可能になります。
ITフリーランスやWeb制作の職種別節税成功事例
- ITフリーランス(システムエンジニア)の事例
年商1,200万円のフリーランスエンジニアが、ソフトウェア保守運用事業のみを分離して合同会社(マイクロ法人)を設立。役員報酬を月額4.5万円に設定して法人の社会保険に加入しました。国民健康保険料が年間約100万円から社会保険料年間約26万円へ激減し、法人の経費化と合わせて年間で約80万円の手残りキャッシュ増加に成功しました。 - Web制作事業の事例
Webデザインとアフィリエイトメディアを運営する事業者が、アフィリエイト事業のみをマイクロ法人化。要件を満たした上で自宅家賃の一定割合を借り上げ社宅として法人経費化し、個人側の事業所得を低く抑えることで、所得税・住民税・社会保険料のトータルコストを大幅に削減できました。
マイクロ法人を運用する際の3つの注意点
最後に、マイクロ法人を運用する上で絶対に犯してはならない3つの注意点を解説します。
1.勤務先の社保が優先される会社員は社会保険料節税ができない
本業が会社員(サラリーマン)の方が副業でマイクロ法人を設立した場合、本業の勤務先で既に社会保険に加入しているため、二重で社会保険料を最安化するスキームは使えません。会社員の場合は、社会保険料の削減ではなく「経費枠の拡大」や「所得税・住民税の節税」をメイン目的として検討する必要があります。
2.実体がないペーパーカンパニーはNG脱税行為とみなされるリスク
実質的な事業活動(請求書の発行、役務の提供、契約の締結など)が何も行われていない実体のない会社は「ペーパーカンパニー」とみなされます。
単に紙の上だけで利益を隠したり、不当に社会保険料を逃れたりする行為は、税務調査や年金事務所の調査で「租税回避・脱税行為」と認定され、過去に遡っての追徴課税や社保料徴収といった重いペナルティを受けることになります。取締役会(決定過程)の議事録の作成や実際の業務記録の保存など、法人としての事業実体を厳格に持たせることが絶対条件です。
3.個人事業と明確に分ける本業とは別の業種選定
税務署から「個人事業と法人が実質的に同一の事業である」と判断されるのを防ぐため、個人事業で行っている業務とマイクロ法人で行う業務は、業種、取引先、契約内容、請求書の発行元を明確に区分しなければなりません。
類似するWeb領域であっても「個人=クライアントワーク(受託Webライティング)」「法人=自社メディアのアフィリエイト運営」のように、事業の性質や収入の発生源をはっきりと切り離して管理することが実務上の鉄則です。
「マイクロ法人を活用した節税」まとめ
- 「個人事業×マイクロ法人」の二刀流で社会保険料・税金を大幅に削減できる
副次事業をマイクロ法人へ移管し役員報酬を低く抑えることで、法人の社会保険料を最安化し、膨大な個人利益にかかる高額な国民健康保険料の発生を遮断できます。 - 最新税制の給与所得控除や法人経費(社宅・出張手当等)を活用して手残りを増やす
役員報酬を非課税枠(給与所得控除69万円+特例5万円)の範囲に抑えつつ、個人では認められない出張日当や社宅の経費化により、個人と法人のダブルで節税メリットを享受できます。 - ペーパーカンパニー回避と明確な事業分離、維持コストの検討が運用の必須条件
実体のある業務記録や議事録の作成、個人事業との明確な業種・取引先分離を徹底し、年間維持費(均等割約7万円〜+専門家費用等)を上回る削減効果があるか事前に検証することが重要です。
自社や個人の状況に合わせた最適な節税シミュレーションを行い、安全かつ確実に手元キャッシュを最大化したいとお考えの方は、全国47都道府県でオンライン対応が可能な当法人の税務顧問サービスや会社設立サポートをぜひご検討ください。初回のご相談は無料でお受けしておりますので、マイクロ法人の設立や二刀流スキームに関するお悩みは、以下の税理士無料相談窓口よりいつでもお気軽にお問い合わせください。貴方のビジネスと資産を守る最適な戦略を、専門家チームが全力でバックアップいたします。
「マイクロ法人」に関するよくある質問
一般的に、個人事業主としての年間の事業所得(売上から経費を引いた利益)が「500万円以上」を超えてきたタイミングが、マイクロ法人設立による節税・社会保険料削減のメリットが大きくなる目安(損益分岐点)となります。所得が500万円を超えると所得税・住民税の累進税率や国民健康保険料の負担が非常に重くなるため、法人の維持費(年間約20万〜30万円程度)を考慮しても、二刀流スキームによる削減効果の方が上回るようになります。
売上がゼロで赤字決算となった場合でも、法人は「法人住民税の均等割」という固定の地方税を毎年納付する義務があります。資本金1,000万円以下かつ従業員50人以下の小規模法人の場合、自治体によって若干異なりますが最低でも年間約7万円の固定コストが発生します。また、赤字(欠損金)自体は最長10年間にわたって繰り越し、翌期以降の黒字と相殺して節税に活かすことが可能です。
いいえ、個人事業と実質的に同一の業務をマイクロ法人で行うことは税務上非常に危険です。税務調査で「同一事業の実体なき所得分散(租税回避)」と判定され、法人格が否認されるおそれがあります。例えば「個人=受託Webデザイン」「法人=自社ECサイトでの物販」のように、業種や収入の発生源、契約相手を明確に切り離して事業を行う必要があります。
この記事の監修者

吉岡 伸晃 Nobuteru Yoshioka
BIZARQグループ 代表 / 公認会計士・税理士・行政書士
大手監査法人での経験を経て、現在はスタートアップから医療法人まで幅広い企業の財務・経営戦略をサポート。事業計画策定や資金調達支援に強い。


