経営セーフティ共済は節税になる?概要や注意点を徹底解説!

全国47都道府県(フルリモート対応)で、未来財務サポートや節税対策を通じて企業の成長を強力にバックアップする東京・新宿の税理士事務所、BIZARQ(ビズアーク)グループ 共同代表の吉岡和樹です。
「今期は利益が出そうだから、効果的な節税対策を探している」「経営セーフティ共済が節税になると聞いたけれど、どんな制度なのだろう?」とお悩みの経営者様や個人事業主様は非常に多くいらっしゃいます。
経営セーフティ共済(正式名称:中小企業倒産防止共済)は、取引先の不意の倒産による連鎖倒産を防ぐための公的な制度ですが、実は「支払った掛け金の全額を経費にできる」という非常に高い節税効果を持っています。
今回は、経営セーフティ共済がなぜ節税につながるのかという理由や加入手続き、そして活用する上で絶対に知っておくべき重要な注意点について、財務と節税に強いBIZARQの視点で徹底的に解説します。
※法人や個人事業主が取り組むべきその他の具体的な節税テクニックについては、以下の記事でも詳しく解説しておりますのでぜひご覧ください。
【プロの視点】経営セーフティ共済は「入るとき」よりも「出るとき(解約時)」の戦略で決まる
各論に入る前に、「攻めのコンサル」を信条とする私から、経営者の皆様へ非常に重要なアドバイスをお伝えします。それは、「経営セーフティ共済は、利益が出ているからと何となく入るのではなく、解約するときの『出口戦略』までセットで設計しなければ意味がない」ということです。
この共済は、掛け金を払っている間は全額経費(損金)にできるため、目先の法人税や所得税を減らすには抜群の効果があります。しかし、落とし穴は「解約してお金が戻ってきたとき」です。戻ってきたお金(解約手当金)は、その期の「会社の利益(益金・雑収入)」として扱われるため、何も対策をしないまま解約すると、そこに丸ごと税金がかかってしまいます。これでは単に税金を「将来へ先送りしただけ」になってしまいます。
本当のキャッシュフロー経営とは、解約してキャッシュが戻ってくるタイミングを、「大きな設備投資をする期」や「役員・従業員への退職金を支払う期」など、あえて大きな経費(赤字)が出るタイミングとぶつけて相殺することです。入るときの手軽さだけでなく、出るときの財務シミュレーションまでを税理士などの専門家と一緒に描くことこそが、この制度を最大限に活かす絶対条件です。
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)とは?
経営セーフティ共済とは、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する、取引先事業者の倒産による中小企業の連鎖倒産や経営難を防ぐための公的制度です。
規模の小さい中小企業や個人事業主は、特定の取引先への売上に依存していることも珍しくありません。そのため、たった1社から売掛金などの債権が回収できなくなっただけでも、一気に資金繰りがひっ迫し、自社まで経営難や連鎖倒産に陥ってしまう恐れがあります。
経営セーフティ共済に加入しておけば、万が一取引先が倒産して売掛金の回収が困難になった場合、すぐに無担保・無保証人で、回収困難となった債権額、または「納付した掛け金総額の10倍(最高8,000万円)」のいずれか少ない額の借入を受けることができます。これにより、不意のトラブルが起きても会社のキャッシュを守り、事業をストップさせることなく継続できるようになります。
なぜ節税になる?掛け金が全額経費になる仕組み
経営セーフティ共済がこれほど多くの経営者に活用されている理由は、支払った掛け金の全額を法人税法上の「損金(経費)」、または所得税法上の「必要経費」に算入できるためです。掛け金を支出した分だけ帳簿上の所得(儲け)を小さくできるため、ダイレクトに節税効果を得られます。
掛け金は、月額5,000円から最大20万円までの範囲で自由に選ぶことができ、総額で「800万円」に達するまで積み立てることが可能です。つまり、年間で最大240万円、最大で総額800万円もの金額を、会社の資産(将来への貯蓄)としてプールしながら、その全額を経費化して税負担を抑えることができるのです。
さらに、掛け金の増額や減額の手続きも自由に行えるため、今期は業績が良いから月20万円に増額し、来期は少し苦しいから月5,000円に減額する、といった経営状況に合わせた柔軟な調整ができる点も非常に優秀な仕組みと言えます。
【法人・個人別】経営セーフティ共済の加入方法と必要書類

経営セーフティ共済への加入手続きは、中小機構と業務委託契約を結んでいる団体(商工会・商工会議所など)または普段から融資取引のある金融機関の窓口で行います。(※会員となっていない委託団体や、融資取引のない金融機関の窓口で手続きをする場合は、特定の公的書類の提示を求められます)
基本的な加入の手順は以下の4ステップです。
- 加入に必要な公的書類等を用意する
- 窓口等で「契約申込書」「掛金預金口座振替申出書」「重要事項確認書兼反社会的勢力の排除に関する同意書」を入手し、必要事項を記入する
- 必要書類をすべて窓口へ提出し、申請手続きを行う
- 中小機構から後日届く書類受け取る。この書類が手元に届いた段階で、正式に加入完了となる
手続きに必要な公的書類は、法人と個人事業主でそれぞれ以下の通り異なります。
【法人の場合に必要な書類】
- 商業登記簿謄本または登記事項証明書(3ヶ月以内に発行された原本)
- 法人税の確定申告書(決算書などの添付書類一式を含む)
- 法人税の納付を証明する書類(納税証明書「その1」、または法人税の領収書など)
【個人事業主の場合に必要な書類】
- 所得税の確定申告書(確定申告書B、青色申告決算書や収支内訳書などの添付書類一式を含む)
- 所得税の納付を証明する書類(納税証明書「その1」、または所得税の領収書など)
- (白色申告の場合のみ)確定申告書の作成時に用いた帳簿一式
※申込書等のフォーマットは、中小機構:経営セーフティ共済 公式サイトからオンラインで簡単に請求可能です。窓口によって受付手順が一部異なる場合があるため、事前に確認しておくと確実です。
節税だけじゃない!経営セーフティ共済の2つの大きなメリット
掛け金を経費にできる節税面が目立ちますが、経営セーフティ共済には中小企業を守り、経営の自由度を上げるための強力なメリットが他に2つあります。
メリット① 無担保・無保証人でスピーディーな借入が可能
取引先の倒産という緊急事態が起きた際、銀行融資を申し込んでいては審査に数週間〜数ヶ月かかってしまい、その間に黒字倒産してしまう恐れがあります。また、中小企業や小規模事業者では、急な融資に対して保証人や担保が用意できず、審査落ちしてしまうリスクも高いでしょう。
経営セーフティ共済の共済金貸付は、「無担保・無保証人」が原則です。しかも、審査から借入までの実行スピードが非常に速いため、不測の事態が起きても即座に資金調達を完了させ、資金繰りの悪化を未未然に防ぐことができます。
メリット② 40か月以上の納付で掛け金が「100%」戻ってくる(解約手当金の支給率一覧)
経営セーフティ共済は掛け金を掛け捨てにする制度ではありません。納付期間が「40か月(3年4ヶ月)以上」あれば、自己都合の解約であっても掛け金の100%全額が解約手当金として戻ってきます。また、40か月に満たない場合でも、12か月以上の納付期間があれば、全額とはいきませんが8割以上のお金が戻ってきます。将来への備えや節税として支払ったキャッシュが、解約時にはしっかりと戻ってくるため、経営者も安心して積み立てを続けることができます。
なお、解約手当金の「支給率」は、以下の3つの解約理由(区分)と、掛け金を納めた月数によって細かくパーセンテージが定められています。
【任意解約(契約者が好きなタイミングで自主的に行う解約)】
- 12か月未満:0%
- 12か月〜23か月:80%
- 24か月〜29か月:85%
- 30か月〜35か月:90%
- 36か月〜39か月:95%
- 40か月以上:100%
【みなし解約(個人事業主の死亡、または法人の解散や分割に伴う自動的な解約)】
- 12か月未満:0%
- 12か月〜23か月:85%
- 24か月〜29か月:90%
- 30か月〜35か月:95%
- 36か月〜39か月:100%
- 40か月以上:100%
【機構解約(12か月分以上の掛け金の滞納や、不正行為があった場合に中小機構側から強制的に行われる解約)】
- 12か月未満:0%
- 12か月〜23か月:75%
- 24か月〜29か月:80%
- 30か月〜35か月:85%
- 36か月〜39か月:90%
- 40か月以上:95%(※機構解約の場合、40か月以上であっても100%には届きません)
落とし穴に注意!経営セーフティ共済を活用する際の2つの留意点
非常にメリットの大きい経営セーフティ共済ですが、知らずに加入すると後悔しかねない重要な注意点が2つあります。
注意点① 解約手当金は「課税対象(益金)」になる
「プロの視点」でもお伝えした通り、掛け金を支払うときは全額経費(損金)になりますが、解約して戻ってきた「解約手当金」は、税法上の「益金(所得・収入)」としてカウントされ、課税対象となります。
もし会社の業績が良く、利益が大きく出ている期に、特に理由なく40か月以上経ったからと共済を解約してしまうと、戻ってきた数百万円の解約手当金に対して多額の法人税(または所得税)が課せられてしまいます。そのため、解約を行う際は、赤字が出そうな期や、役員退職金の支給、大規模なオフィス移転、設備の購入など、「会社から大きな支出(経費)が出るタイミング」を狙って解約手当金と相殺させるのが鉄則です。
注意点② 開業・設立から1年間は加入できない(その他の加入制限)
経営セーフティ共済に加入できるのは、引き続き1年以上事業を行っている中小企業者や個人事業主(所定の従業員の従業員数または資本金以下の会社)に限られます。そのため、会社を設立したばかりの初年度や、開業届を出した直後の1年間は加入することができない点に注意が必要です。
また、開業から1年以上経過していても、以下のようなケースに該当する場合も加入が認められません。
- 住所や事業内容が頻繁に変更されており、継続的な経営状況・取引状況を客観的に把握できない場合
- 経理内容が著しく不明瞭で、適切な財務状態が確認できない場合
- 過去に受けた共済金や一時貸付金などの返還を怠っている(滞納している)場合
- 所得税や法人税などの国税を滞納している場合
- 過去に「機構解約」を受けた経験があり、その解約日から1年以上が経過していない場合
「経営セーフティ共済の節税効果と注意点」まとめ
- 経営セーフティ共済は、掛け金を年間最大240万円(総額800万円)まで全額経費(損金)に算入できる、中小企業にとって極めて効果的な節税制度。
- 無担保・無保証人でのスピーディーな緊急借入が可能で、40か月以上納付すれば任意解約でも掛け金が100%戻ってくるという高い安全性を誇る。
- 最大の注意点は「解約手当金が課税対象(益金)になる」こと。税金の先送りで終わらせないために、専門家と共に出口戦略(経費との相殺)を練ることが必須。
経営セーフティ共済は、取引先の倒産トラブルから会社を守る防衛策としてだけでなく、手元のキャッシュを賢くプールしながら税負担を減らすための最強のツールです。しかし、ただ目先の節税のためだけに加入・解約を繰り返してしまうと、税務上のメリットを活かしきれず、かえって解約時に重い税負担を背負うリスクがあります。
「今期、掛け金をいくらに設定するのが一番節税になるか」「解約手当金を無税で受け取るための、最適な役員退職金や設備投資のプランを立ててほしい」とお悩みの経営者様は、ぜひBIZARQにご相談ください。私たちは「経営のアクセルを踏む攻めのコンサル」として、加入時の最適な掛け金シミュレーションから、数年後を見据えたドラスティックな出口戦略、さらにはクラウド会計を活かしたリアルタイムの財務改善までをワンストップで力強くサポートし、貴社の未来の事業成長をバックアップします。
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経営セーフティ共済に関するよくある質問
はい、可能です。経営セーフティ共済には、将来の掛け金を事前に一括で支払う「前納」という仕組みがあります。これを利用して、決算月に最大1年分(最大240万円)の掛け金を前納すれば、その支払った金額の全額を「今期の経費(損金)」として一括計上することができます。今期、予想以上に突発的な利益が出てしまい、急ぎで強力な節税対策を打ちたいという場面において、実務上非常によく使われる定番のテクニックです。
はい、借りられます。取引先の倒産時に無利息で借りられる「共済金貸付」とは別に、契約者が一時的に臨時のビジネス資金を必要とした際、積み立てている掛け金の範囲内(原則として解約手当金の95%を上限)で借入ができる「一時貸付金」という制度があります。こちらは担保・保証人は不要ですが、所定の金利が発生します。それでも、銀行の一般融資よりも非常に低金利かつスピーディーに調達できるため、急な納税や想定外の運転資金のショートに対応するための「自社のお財布」として活用することができます。
掛け金が上限の800万円に達すると、それ以上は毎月の掛け金を支払う(経費にする)ことはできなくなります。ベストな運用としては、そのまま解約せずに「将来の連鎖倒産への備え(無担保・無保証融資の権利)」として会社に据え置いておくか、または、大きな赤字が出る期(社長の退職、オフィスの購入、事業転換など)に合わせて一度「任意解約」をして800万円のキャッシュを無税で回収し、その後すぐに「再加入」して再び毎月20万円(年間240万円)の経費枠を作り直す、というローテーションを組むのが、財務の効率を最大化する実務上のテクニックです。
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この記事の監修者

吉岡 和樹 Kazuki Yoshioka
BIZARQグループ 共同代表
上智大学を中退後、7年間にわたり中堅会計事務所に勤務し、2014年にBIZARQ Groupの前身となる会計法人を設立。「経営のアクセルを踏む『攻め』のコンサル」を信条とし、会計・税務だけでなく経営や財務の相談に幅広く対応。創業融資やリスケジュール支援など、資金調達を通じた伴走支援で企業の成長を力強く後押ししている。事業計画の策定と銀行対応に多数の実績を持つ。








