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中小企業退職金共済とは?メリットとデメリット、注意点について解説!

全国47都道府県(フルリモート対応)で、適切な税務顧問や人件費・福利厚生の最適化スキームを通じて企業の成長を強力にバックアップする東京・新宿の税理士事務所、BIZARQ(ビズアーク)グループ 代表(公認会計士・税理士・行政書士)の吉岡伸晃です。
中小企業や立ち上げ間もないスタートアップの経営者、あるいは個人クリニックの院長先生にとって、優秀な従業員を長期的に確保し、組織を安定して成長させるために避けて通れない経営課題が「退職金制度の構築」です。大企業に比べて手元のキャッシュに限りがある中小企業が、自社単独でまとまった退職金原資を準備することは容易ではありません。
このような小規模組織のバックアップを目的として、国が法律に基づいて設けている公的な退職金積立インフラが「中小企業退職金共済(中退共)」です。事業主が毎月掛金を拠出し、従業員が退職したときに共済から従業員に直接退職金が支払われる仕組みです。中小企業退職金共済にはさまざまなメリットがある一方で、注意するべきデメリットや実務上の厳しい縛りも存在します。中小企業退職金共済を上手く活用するためには、メリットとデメリットの両方、そして注意点も押さえることが大切です。
今回は、中小企業退職金共済の具体的な仕組みや加入条件、全額経費化による法人税の節税シミュレーション、精度を研ぎ澄ました最新の雇用統計・データに基づく実務上の罠にいたるまで、専門家ならではの財務の視点から詳しく解説します。経営者や役員向けの退職金を積み立てられる共済制度については、本記事の後半でも触れますが、まずは以下の関連記事をご覧ください。
目次
【プロの視点】人材投資へ舵を切る中退共財務戦略
多くの労務ノウハウ本や一般的なネットの記事では、「中退共を使えば従業員が喜び、会社は法人税が安くなるから、とにかく加入すべきだ」という表面的な利点ばかりが語られがちです。しかし、数多くの中小企業の財務と組織構造をスピード最適化してきたプロの税理士の視点から言わせていただくと、この中退共の導入は、「深刻な労働供給制約社会における『人材の定着・採用戦略』と、法人の『現預金の流動性(硬直化リスク)』を極めて冷静に天秤にかける未来財務の防衛戦略」なのです。
最新の中小企業白書のマニュアルデータを読み解くと、現在の日本の中小企業を取り巻く経営環境は非常にシビアです。後継者難などを理由に休廃業にいたる経営者の平均年齢は71.5歳まで上昇し、かつては大半を占めていた黒字のまま廃業する法人の割合が49.1%にまで低下、ついに「赤字廃業(50.9%)」が過半数となって構造が逆転しました。少しのコストバランスの狂いが即座に会社の存続危機に直結する時代だからこそ、デフレ思考から完全脱却し、リスクを取って生産性向上や成長、演じては「人的資本」へ投資し、稼ぐ力を高めることが欠かせません。
その縮図として、今回新たに開示された最新の「新規加入企業向けアンケート」の財務実務データには非常に興味深い変化が現れています。中退共に新規加入した法人のうち、じつに43.4%が「採用面接時や採用時に福利厚生の一環として中退共制度に加入していることを説明している」と回答し、「今後説明する予定(41.8%)」を合わせると、全体の85%を超える中小企業が中退共を採用活動の強力なフック(アピール材料)として戦略的に位置づけているのです。求人応募の増加や定着率の向上、従業員のモチベーションアップに直接寄与しているこのデータをみても、中退共は単なる「過去の処理」としての退職金積立ではなく、未来の組織を強くするための投資インフラであることが実証されています。
しかし、中退共の掛金は全額損金化できる一方で、「一度設定した掛金月額は、業績が落ち込んだからといって会社の都合だけで機動的に減額することが原則としてできない」という強い硬直性を伴います。さらに、令和8年度税制改正大綱に盛り込まれた「賃上げ促進税制の見直し」や「研究開発税制の強化」、防衛特別法人税の創設など、中小企業が直面する最新の税務環境は極めてドラスティックに変化しています。私たち東京・新宿のBIZARQグループでは、4士業連携の強みを活かし、最新の税制インフラとこの硬直的な中退共を美しくブレンドし、手元キャッシュを最大化させる次世代型の未来財務戦略をご提案しています。まずは中退共の正しい仕組みからハックしていきましょう。
中小企業退職金共済(中退共)とは
中小企業退職金共済とは、単独で退職金制度を設けることが困難な中小企業をサポートする目的で設けられた共済制度です。略して「中退共」とも呼ばれます。
昭和34年に中小企業退職金共済法に基づき、中小企業者の相互共済と国の援助によって退職金制度を確立するために創設されました。独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部(中退共)が運営を行っており、国の厳しい統治下にあるため安全性と信頼性は抜群です。最新の事業概況によると、その運用資産額は「約5.6兆円」という巨大な規模を誇り、日本全国で約37万5,000以上の事業所、約350万人以上の従業員が在籍する、名実ともに中小企業のための最大級の退職金積立インフラとなっています。
中小企業退職金共済の仕組み
中小企業退職金共済の契約から退職金が支払われるまでの大まかな流れは以下の通りです。
- 事業主が中小企業退職金共済と退職金共済契約を結ぶ
法人の代表者(または個人事業主)が、中退共の取扱窓口となっている金融機関や委託事業主団体を通じて、正式に退職金共済契約を締結します。 - 事業主が毎月掛金を拠出する
契約成立後、事業主は従業員ごとにあらかじめ設定した月々の掛金を拠出します。掛金の支払は口座振替によって自動的に行われます。 - 従業員が退職したら、事業主から中小企業退職金共済へ退職届を提出する
従業員が自己都合や会社都合によって退職した際、事業主は速やかに中退共に対して退職届および退職手帳などの必要書類を提出します。 - 退職金が従業員に直接支払われる
退職届の提出後、退職者本人から中退共に対して直接給付の請求を行います。中退共本部は計算に基づき、事業主の口座を経由することなく、退職金を通帳から従業員の個人口座へと直接支払います。
拠出した資産の管理・運用・給付にいたるすべての複雑な実務は中小企業退職金共済側が代行して行うため、事業主の手間はほとんどありません。社内に退職金管理の専門部署を置く必要がないため、バックオフィスのリソースが限られている小規模組織にとって、非常に利便性の高いシステムとなっています。
中小企業退職金共済の月額掛金
中小企業退職金共済の月額掛金は、法人の財務体力や従業員のステージ、社内ランクに合わせて以下の16種類から従業員ごとに個別に任意に選択できます。
- 5,000円
- 6,000円
- 7,000円
- 8,000円
- 10,000円
- 12,000円
- 14,000円
- 16,000円
- 18,000円
- 20,000円
- 22,000円
- 24,000円
- 26,000円
- 28,000円
- 30,000円
なお、パートタイマーやアルバイトなどの短時間労働者については、一般の従業員よりもさらにスモールスタートができる特例として、以下の低い月額も個別に設定可能となっています。
- 2,000円
- 3,000円
- 4,000円
従業員ごとに任意に掛金を選択できます。また、会社の業績向上や本人の昇格に合わせた掛金の「増額」もいつでも柔軟に行うことができます。
中小企業退職金共済の加入条件
中小企業退職金共済の加入条件について、共済契約者(事業者)と被共済者(従業員)それぞれの要件を詳しく紹介します。
加入できる共済契約者の業種別の要件
中退共に加入できるのは、以下の基準に定める常用従業員数、または資本金・出資の総額の「いずれか一方」を満たしている小規模企業・中小企業のみとなります。
- 一般業種(製造業、建設業、運輸業、鉱業等)
常用従業員数300人以下 または 資本金・出資の総額3億円以下 - 卸売業
常用従業員数100人以下 または 資本金・出資の総額1億円以下 - サービス業
常用従業員数100人以下 または 資本金・出資の総額5,000万円以下 - 小売業
常用従業員数50人以下 または 資本金・出資の総額5,000万円以下
個人企業や医療法人、公益法人、組合組織などの資本金を持たない組織形態の場合は、上記の「常用従業員数」のみを基準として加入資格の可否をクリーンに判断します。
被共済者(従業員)の範囲と包括加入の原則
中小企業退職金共済に加入している企業では、原則として条件を満たす全従業員を加入させる必要があります(包括加入の原則)。特定の社員だけを選別してエコシステムから排除することは法的に認められていません。ただし例外として、以下のいずれかに該当する従業員は、雇用の流動性を考慮して加入しなくても良いと規定されています。
- 雇用期間の定めがある(契約社員など)
- 季節的業務で雇用される
- 試用期間中
- 短時間労働者(パート・アルバイト等。加入させない選択が可能)
- 休職期間中またはこれに準ずるケースに該当する
- 近いうちに定年や自己都合等で雇用関係が終了することが明らかである
また、以下のいずれかに該当する場合は、重複加入の禁止や適正化の観点から加入できません。
- すでに他の事業所で中退共制度に加入している
- 建設業退職金共済などの特定業種退職金共済制度に加入している
- 本人が加入に反対した
- 小規模企業共済制度に加入している(共同経営者や役員兼務の判定など)
現在の労働市場において、中小企業における非正規雇用や多様な働き方の割合は拡大を続けているため、どの範囲のスタッフまでが強制加入の対象となるのか、実務上の厳格な事前整理が必要です。
中小企業退職金共済の加入手続き
中小企業退職金共済の加入手続きの具体的な流れを紹介します。書類の不備によるタイムラグを防ぐため、ステップに沿ってスピーディーに進めていきましょう。
- 退職金共済契約申込書を入手する
取扱金融機関(銀行・信金)の窓口で入手・郵送で取り寄せ・公式ホームページからPDF書式をダウンロードという3つの方法が挙げられます。 - 従業員の同意を取る
加入させようとする従業員の個別の同意が必要です。中退共約款の規定に基づき、個人情報の取扱いの明示と加入への署名・同意を取得します。 - 従業員ごとの掛金月額を局定する
先述した16種類(短時間労働者は特例を含む)の中から、社内の退職金規程に準じて決定します。 - 「退職金共済契約申込書」と「預金口座振替依頼書」を記入する
法人の基本情報や口座情報を一寸の狂いもなく正確に記入します。 - 必要な添付書類を用意する
法人の場合は履歴事項全部証明書などが必要です。添付書類の最新の詳細については制度の公式サイトをご確認ください。 - 最寄りの金融機関または委託事業主団体の窓口に書類を提出する
最寄りの銀行、信用金庫、または商工会議所などの委託事業主団体の窓口へ提出します。ケースによっては、この後「解散存続厚生年金基金の残余財産の交付希望確認書類の送付」が必要になる場合もあります。 - 契約が成立し、中退共本部から事業主へ各従業員の「退職金共済手帳」が届く
審査を経て契約が完了すると、各従業員ごとの手帳が会社へ送達されます。
なお、中退共における契約成立日は、金融機関等での「書類受付日」となります。契約成立日の属する月分からさっそく掛金の口座振替(請求)が開始されるシステムとなっています。詳細な手続きの規定や最新の書式については、独立行政法人 勤労者退職金共済機構 中小企業退職金共済事業本部:中退共制度の概要の公式一次情報もあわせてご確認ください。
中小企業退職金共済のメリット

中小企業退職金共済を導入することで企業が得られるメリットを3つ紹介します。
支払う掛金の全額を損金算入できる
中小企業退職金共済で支払う掛金は、法人の場合は「全額損金算入(経費化)」が可能であり、個人事業主の場合は「必要経費」として全額を課税所得から差し引くことができます。新たに社外へ資産をストックしながら、同時に法人税をコントロールできるため、非常に強力な決算対策インフラとなっています。
なお、中小企業退職金共済の掛金は、日々の経理実務においては「保険料」や「福利厚生費」の科目を使用するのが一般的です。企業によっては、新たに「退職共済掛金」といった勘定科目を作るケースもあります。いずれの科目を使っても税務上の効果に問題はありませんが、財務分析の透明性を保つため、一度決めた科目は安易に変更せず、継続して使うことが大前提です。
国や自治体が掛金を強力にバックアップする助成制度
中小企業退職金共済は、民間の生命保険や独自の積立にはない、国による手厚い掛金の助成制度がインフラとして用意されています。新規に中小企業退職金共済に加入する事業主に対しては、以下の助成が行われます。
- 新規加入助成
加入後4ヶ月目から1年間、掛金月額の2分の1(従業員1人当たり上限5,000円)を国が直接助成して負担を大幅に軽減してくれます。 - 短時間労働者の上乗せ助成
パートタイマー等の特例月額掛金については、上記の新規加入助成に加えて、次の金額がさらに上乗せされます。掛金2,000円の場合は300円、3,000円の場合は400円、4,000円の場合は500円が国から補填されます。
ただし、新規加入助成には一定の除外要件(過去に解約して再加入した場合など)もあるためご注意ください。また、掛金月額が18,000円以下の従業員の掛金を増額する場合、増額分の3分の1に相当する金額を、国が1年間助成します。
なお、これらの掛金助成は、後から会社口座に現金が振り込まれる助成金支給方式ではなく、毎月の口座振替の請求額から助成金相当額が最初から免除(相殺)される方法によって行われるため、キャッシュの手間を驚異的にスピード削減できます。さらに最新の公式統計によると、日本全国で「260地域(1都1県・2区・168市・72町・16村)」の地方自治体が、独自に中退共の掛金補助(掛金助成自治体等)を実施しているため、自社の拠点の制度と連動させることで、社内の人件費コストをさらに徹底的に最適化させることが可能です。
管理の手間なく退職金制度を永続運営できる
前章で紹介したように、拠出した掛金の管理・日々の運用・退職した従業員への支給実務にいたるまで、すべてを行うのは中小企業退職金共済側です。掛金は口座振替によって自動で引き落とされるため、一度設定すればその後の作業は必要ありません。
このように中小企業退職金共済に加入すれば、社内に人事・労務の専門スタッフを置くことなく、事業主側での手間は最小限に退職金制度を高い透明性で運営できます。
中退共と特定退職金共済(特退共)の節税メリット比較
中小企業向けの退職金共済制度には、中退共の他に特定の業種や地域を対象とした「特定退職金共済(特退共)」も存在します。どちらの制度も、従業員の福利厚生を充実させながら、企業にとって大きな節税メリットが期待できるのが特徴です。ここでは、両者の違いと具体的な節税効果について詳しく解説します。
中退共と特退共の主な違い
中小企業退職金共済(中退共)が幅広い中小企業を日本全国からカバーする国の制度であるのに対し、特定退職金共済(特退共)は各地域の商工会議所や商工会などが運営し、その地域の事業者を対象とする制度です。また、建設業界の「建退共」に代表される、特定の業種を対象とする「特定業種退職金共済」も存在します。
最大の相違点は、中退共には新規加入時や掛金増額時に国からの手厚い助成がありますが、特退共には原則として助成制度がありません。ただし、どちらの共済を選っても、掛金が全額損金算入できる(経費化できる)点は共通しており、企業の状況や業種、所在地に応じて最適な制度を選択することが重要です。
掛金の全額損金算入による法人税の節税シミュレーション
中退共や特退共の最大の節税メリットは、事業主が負担する掛金を全額損金(個人事業主の場合は必要経費)として計上できる点です。これにより、法人税の課税対象となる所得をクリーンに圧縮できます。
例えば、雇用している従業員10人に対し、1人あたり月額20,000円の掛金を拠出する場合、年間での損金算入額は「20,000円 × 10人 × 12ヶ月 = 年間240万円」となります。仮に法人の実効税率(比例税率)が約30%であれば、この積立を行うだけで、単純計算で年間約72万円の法人税額を軽減できる効果が期待できます。将来の退職金原資を準備しながら、同時に確実な節税対策となるのが大きな魅力です。
従業員にもメリットがある退職所得控除
節税メリットは事業者側だけではありません。従業員(被共済者)が将来退職金を受け取る際にも、税制上の優遇措置が受けられます。退職金は給与所得とは分離して扱われ、「退職所得控除」という非常に大きな控除が適用されます。この控除額は勤続年数に応じて決まり、税負担が大幅に軽減される仕組みになっています。
事業主が拠出した掛金は従業員の給与所得とはみなされず、所得税がかからないため、現役時代の税負担を増やすこともありません。このように、企業と従業員の双方にとって税制上のメリットがある制度です。消費税のインフラなどと連動した会社全体の節税スキームについて深く知りたい方は、以下の関連記事もあわせて参考にしてください。
中小企業退職金共済のデメリット・注意点
優遇措置が非常に強力な中小企業退職金共済ですが、その裏返しとして、国の公的インフラとしての厳しい実務上のルールや注意点、キャッシュの制限が設けられています。デメリット・注意点を3つ紹介します。
一度決定した掛金を減額できるのは要件を満たした場合のみ
中小企業退職金共済の増額変更は自由にできますが、減額できるのは以下のいずれかに該当する場合のみです。
- 掛金月額の減額について、対象となる当該従業員が個別に「同意」した
- 現在の掛金月額の継続が著しく困難であると厚生労働大臣が客観的に認めた
一度決めた掛金月額を減らすのは極めて難しいという強い硬直性を伴います。業績の悪化などを理由に安易に掛金を減額することはできないため、将来の経営状況や現預金の流動性も見据えた上で、計画的に最初の掛金額を決める必要があります。
経営者や役員層は対象外
中小企業退職金共済は従業員を対象とした制度です。原則として法人の代表取締役や取締役などの経営者や役員には、中小企業退職金共済の加入資格はありません。
すでに加入済みの従業員が社内昇進によって役員になった場合は、役員に就任した日の前日を退職日として、中退共に対して退職金の請求手続きを速やかに行う必要があります。経営者ご自身や役員層の将来のリタイア資金(退職金)を合法的に経費化して積み立てたい場合は、中退共ではなく、経営者専用の防衛策である「小規模企業共済」などの別格のインフラを活用する戦略が必須となります。
加入期間によっては元本割れや不支給の恐れがある
中小企業退職金共済の加入期間が短い場合、納付した掛金総額よりも退職金が少なくなる、つまり元本割れしてしまいます。
- 加入期間が11ヶ月以下の場合
原則として退職金の支給は「完全にゼロ(不支給)」となります。会社が支払った掛金は中退共側に没収され、会社に戻ってくることもありません。 - 加入期間が12ヶ月以上23ヶ月以下の場合
支給額は、これまで会社が払い込んってきた掛金納付総額を下回る額になり、確実に元本割れを起こします。 - 加入期間が24ヶ月以上42ヶ月以下の場合
ようやくこれまで払い込んできた掛金相当額(元本と同額)が回収できるようになります。 - 加入期間が43ヶ月以上の維持の場合
ここから初めて、長期運用の成果として運用利息と「付加退職金」が法的に加算され、積立以上のリターンが従業員へ還元される仕組みです。
このように、中小企業退職金共済は加入期間が長いほど有利な制度となります。スタッフの入れ替わりや離職率が突発的に高いスタートアップなどの初期フェーズにおいては、会社が法定コストを一方的に損をする財務リスクを孕んでいる点には実務上細心の注意が必要です。
「中小企業退職金共済(中退共)」まとめ
- 掛金の全額損金算入と最大5.6兆円規模の国の積立インフラ
中小企業退職金共済(中退共)は、事業主が負担する掛金の全額を無条件で法人の損金(個人事業主は経費)として処理できるため、将来の退職金原資を安全に社外へストックしながら、確実な法人税の課税所得圧縮(10人・月2万円で年約72万円の法人税軽減効果)のレバレッジを効かせることが可能です。 - 新規加入の85%超が採用時にアピールする強力な人的資本投資
最新のアンケートデータによると、新規加入企業の43.4%が「採用面接時や採用時に中退共への加入を説明している」と回答し、予定を含めると85%超の法人が福利厚生のフックとして戦略的にアピールしています。転職時に職歴と退職金を持ち運べるポータビリティ制度も含め、労働供給制約社会における人材定着・モチベーション向上に直結します。 - 減額における硬直性リスクと短期退職時の元本割れ・不支給の罠
赤字廃業(50.9%)が過半数を超える過酷な経済環境であっても、一度設定した掛金の減額には従業員の同意などの厳しい要件があり機動的なコストカットは不可能です。また、経営者や役員は対象外である点、42ヶ月以下の短期退職では確実な元本割れ(11ヶ月以下は完全不支給)となる実務上のデメリットに注意が必要です。
中小企業退職金共済(中退共)をどのタイミングで導入し、月々の掛金をどのように従業員のステージに合わせてバランスよく配分していくかは、単に福利厚生の書類を右から左へ処理するだけの受動的な事務代行ではありません。2026年最新の中小企業白書データが示す「赤字廃業の過半数逆転構造(50.9%)」や人手不足の荒波、保持するべき現預金の流動性、保存するべきインフラ、そして最新の税制改正が求める賃上げと設備投資への対応を正確に先読みし、自社のキャッシュフローの安全性と連動させながら、名実ともに会社と個人に残る現預金を最大化させるための、極めて高度な「攻めと守りの未来財務・人的資本戦略」そのものなのです。
しかし、包括加入の原則における非正規スタッフの正しい判定ラインの整理や、一度設定すると固定費化する掛金のリスクコントロール、さらには経営者ご自身の資産形成である小規模企業共済や役員報酬の設定との複雑な組み合わせのシミュレーションを、専門知識のない経営者様が独力で100%完璧に行うことは容易ではありません。安易な金額設定で中退共に加入してしまい、後から法人の急な業績悪化や資金ショートの際に現金を動かせずに頭を悩ませる経営者が後を絶ちません。
変化の激しい時代だからこそ、ネットの断片的な情報や目先のブームだけに受動的に踊らされて動くのではなく、税務・財務の圧倒的なノウハウをフルに有し、法人の会社設立から資金調達、バックオフィスのクラウド会計によるDX化までをワンストップでスピード解決できる私たちの強みを使い倒してください。
ミスのない確実な退職金・節税スキームを組み立て、各種の優遇制度を賢くハックして手元資金を最大化させたいとお考えの経営者様は、東京・新宿にオフィスを構え、全国47都道府県のどこからでもオンラインでの相談が可能な当法人の税務顧問サービスをご検討ください。自社の現状の業績や人員構成に合わせた精密な中退共・特退共の拠出額シミュレーションや、会社全体の攻めの財務戦略に関するお悩みは、以下の税理士無料相談窓口よりいつでもお気軽にお問い合わせください。貴方のこれからの攻めの経営のスタートを、ワンチームで全力で強力にバックアップいたします。
「中小企業退職金共済(中退共)」に関するよくある質問
いいえ、中小企業退職金共済(中退共)は、あくまで従業員のための制度です。そのため、会社の役員(取締役など)や個人事業主本人は加入対象外となります。また、役員と兼務している従業員も原則として加入できません。ただし、個人事業主の場合、事業を手伝っている同居の親族は、一定の条件を満たせば従業員として加入させることが可能です。役員の退職金準備には、役員退職慰労金制度や生命保険などを活用する別の方法や、小規模企業共済の活用を検討する必要があります。
掛金の増額はいつでも可能ですが、減額には制約があります。掛金を減額するには、原則として「従業員の同意」または「現在の掛金月額を継続することが著しく困難であると厚生労働大臣が認定した場合」のいずれかの要件を満たす必要があります。業績の悪化などを理由に安易に掛金を減額することは難しいため、導入時には無理のない範囲で掛金額を設定することが重要です。将来の経営状況も見据えた上で、計画的に掛金を決めるようにしましょう。
どちらの制度を選ぶべきかは、企業の業種や所在地によって異なります。まず、建設業、清酒製造業、林業といった特定の業種の場合は、それぞれの業種向けの「特定業種退職金共済」が第一の選択肢となります。それ以外の業種の中小企業であれば、全国をカバーし国の助成制度もある「中退共」が基本となります。また、お住まいの地域の商工会議所などが運営する「特退共」も選択肢となり得ます。福利厚生の充実度や利便性を比較し、自社に最適な制度を選択することが大切です。
この記事の監修者

吉岡 和樹 Kazuki Yoshioka
BIZARQグループ 共同代表
上智大学を中退後、7年間にわたり中堅会計事務所に勤務し、2014年にBIZARQ Groupの前身となる会計法人を設立。「経営のアクセルを踏む『攻め』のコンサル」を信条とし、会計・税務だけでなく経営や財務の相談に幅広く対応。創業融資やリスケジュール支援など、資金調達を通じた伴走支援で企業の成長を力強く後押ししている。事業計画の策定と銀行対応に多数の実績を持つ。


