令和8年度税制改正大綱を解説!法人・個人の重要ポイントまとめ

全国47都道府県(フルリモート対応)で、最新の税制改正への適応と戦略的な財務支援を通じて企業の成長を強力にバックアップする東京・新宿の税理士事務所、BIZARQ(ビズアーク)グループ 代表(公認会計士・税理士・行政書士)の吉岡伸晃です。
令和7年(2025年)12月26日に令和8年度(2026年度)税制改正大綱が公開されました。令和8年度の税制改正では、個人所得課税の基礎控除等の対応をはじめとした、私たちの暮らしやビジネスの根幹に関わる大きな変化が複数見受けられます。
税金の世界では「改正があったことを知らなかった」「古い情報のまま手続きをしてしまった」という理由は通用しません。知らずに不利益を被ることがないよう、税制改正の内容をしっかり把握し、常に最新の税制に沿った申告・納付手続き等を行う必要があります。今回は、令和8年度(2026年度)税制改正大綱から、経営者や個人事業主の皆様が押さえるべき重要なポイントを分かりやすく紹介します。
【プロの視点】変化を好機に変える未来財務
令和8年度税制改正大綱は、長引く物価高への対応を軸とした個人所得課税の緩和と、企業の積極的な投資・成長を促す法人課税のインセンティブ創設が両輪となっています。特に中小企業にとっては、少額減価償却資産の即時償却基準が40万円未満に引き上げられたことや、特定生産性向上設備等投資促進税制が新設されたことは、自社のDXや設備投資を加速させる大きなチャンスと言えるでしょう。
私たち東京・新宿を拠点とするBIZARQグループでは、こうした税制の変化を単なる「過去の処理」の変更として捉えるのではなく、一歩先を見据えた「未来の経営を加速させる財務戦略」としてご提案しています。変化の激しい時代だからこそ、いち早く最新の税制を自社の経営に組み込み、企業のキャッシュフローを最大化させることが重要です。
令和8年度税制改正大綱の概要
今回の税制改正は、長引く物価高に直面する家計の負担軽減と、持続的な経済成長を目指す企業の投資促進が主な柱となっています。個人所得、法人課税、消費税など多岐にわたる見直しが行われているため、それぞれの変更点が自身の事業やライフプランにどう影響するのかを正しく見極める必要があります。詳細な一次情報については、財務省「税制改正の概要」もあわせてご確認ください。
個人所得課税に関する重要ポイント

はじめに、個人所得課税に関係する税制改正について解説します。
物価高に対応する基礎控除等の見直し
令和8年度税制改正において特に重視されている要素が、物価高への対応です。具体的な変更点として、以下の11の項目がフラットに整理されています。
- 基礎控除の引き上げ
合計所得金額が2,350万円以下である個人の基礎控除額が4万円引き上げられ、62万円となりました。この控除額の引き上げに伴い、公的年金等に係る源泉徴収税額の見直し措置も実施されます。 - 給与所得控除の引き上げ
給与所得控除の最低保障額が65万円から69万円に引き上げられます。 - 各種控除制度の所得金額要件の調整
基礎控除および給与所得控除の引き上げに伴い、整合性を保つため配偶者や扶養親族等の所得金額要件が一律4万円引き上げとなります。 - 同一生計配偶者および扶養親族の合計所得金額要件
基礎控除等の引き上げに連動し、同一生計配偶者や扶養親族に該当するための合計所得金額要件がそれぞれ4万円引き上げられ、負担緩和が図られます。 - ひとり親の生計を一にする子の総所得金額等合計額の要件
ひとり親控除の適用要件となる、生計を一にする子の総所得金額等の要件についても、一律4万円の引き上げ調整が行われます。 - 勤労学生の合計所得金額要件
勤労学生控除の対象となる合計所得金額要件が4万円引き上げられます。また、家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保障額も4万円引き上げとなりました。 - 令和7年分以後の各年分の基礎控除等の特例
合計所得金額が655万円以下の場合、基礎控除の控除額に特定の金額が段階的に加算される特例的な措置が講じられます。 - 令和8年および令和9年の加算内容
合計所得金額が489万円以下の場合は42万円、合計所得金額が489万円を超える場合は5万円が、基礎控除の額にそれぞれ加算されます。 - 令和10年分以後の各年分の加算内容
令和10年分以後の各年分においては、基礎控除の控除額に一律で37万円が加算される仕組みへと移行します。 - 給与所得控除の最低保障額の特例の創設
特例の創設により、令和8年・令和9年の給与所得控除の最低保障額がさらに5万円引き上げとなりました。こちらは年末調整に際して適用可能です。 - ひとり親控除の引き上げ
ひとり親控除の控除額が、従来の35万円から38万円へと3万円引き上げられます。
個人所得課税の仕組みや各種控除額が変わることで、毎年の確定申告における所得計算や納税予測にも直接的な影響が生じます。個人事業主や副業を営む皆様はもちろん、還付申告を検討している方も、まずは申告手続きの基本的な流れや正しい手順について事前におさらいしておくことが大切です。確定申告の基本ルールについては、以下の関連記事を参考にしてください。
住宅ローン控除の延長と拡充措置
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)について、以下の内容を含む改正が行われます。
- 適用期限を令和12年12月31日に延長
- 省エネ性能の高い中古住宅の借入限度額引き上げおよび控除期間を13年へ拡充
なお、省エネ基準適合住宅については借入限度額の引き下げが行され、2028年以降は原則として対象外となる予定ですので注意が必要です。
NISAの口座開設年齢の制限撤廃
2026年度税制改正により、非課税口座(NISA口座)の口座開設可能年齢の下限が完全に撤廃されます。年齢の下限撤廃に伴い「未成年者特定累積投資勘定」が新たに設けられ、多様なニーズに応えるための様々なルール・制度の整備も行われました。これにより、より早い段階からの若い世代の資産形成が可能となります。
法人課税に関する重要な変更点
続いて、法人課税に関する重要なポイントを紹介します。
法人の財務においては、こうした最新の優遇税制や控除枠をどれだけ決算予測に組み込めるかで、最終的な納税額やキャッシュの残り方に驚くほどの差が生まれます。今回の改正点を自社の節税へどう活かすべきかという視点に加え、経営者が今すぐ実践できる具体的な節税テクニック全般について網羅的におさらいしたい方は、ぜひ以下のコラムをご覧ください。
特定生産性向上設備等投資促進税制
法人課税に関する改正の中でも特に大規模な投資を検討している企業にとって重要なポイントが、「特定生産性向上設備等投資促進税制」の創設です。現時点で確認できる概要は以下の通りです。
- 要件
生産性向上設備等の取得価額の合計額が35億円以上(中小企業者等は5億円以上)であり、投資計画における年平均の投資利益率が15%以上の見込みとして経済産業大臣の確認を受ける必要があります。 - 措置の内容
経済産業大臣の確認を受けた日から5年以内に取得した対象資産について、「即時償却」または「取得価額の7%相当の税額控除(建物、建物附属設備、構築物の場合は4%)」のいずれか有利な方を選択して適用可能です。 - その他
税額控除を選択する場合、その上限は当期の法人税額の20%までとなります。ただし、控除しきれなかった限度超過額については、3年間の繰越が認められています。
少額減価償却資産の基準が40万円に
中小企業の強い味方である特例に嬉しい見直しが入りました。即時償却ができる資産の取得価額の基準が、従来の30万円未満から「40万円未満」に引き上げられます。
東京・新宿の経営者の皆様からも非常に関心の高いこの特例ですが、今回の拡充によってPCや各種オフィス機器、ソフトウェアの導入など、より幅広い設備投資において迅速な経費化が可能となります。自社の状況に合わせた最適な活用方法については、ぜひ専門家へご相談ください。
研究開発を促進する戦略技術領域型
研究開発税制の拡充を目的とした「重点産業技術試験研究費の額に係る税額控除制度(通称:戦略技術領域型)」が創設されます。概要は以下の通りです。
- 対象経費
AI(人工知能)、量子技術、バイオテクノロジーなどに係る最先端分野の試験研究費が対象となります。 - 措置の内容
当該試験研究費の額の40%相当の税額控除を受けられます。(産業技術力強化法の重点産業技術共同研究開発機関との共同・委託研究の場合は50%に引き上げ) - その他
税額控除の上限は当期の法人税額の10%で、控除限度超過額については3年間の繰越が可能です。また、他の者に委託し、国外で行われる試験研究については50%相当額(令和8年分は70%、令和9年分は60%相当)が税額控除の対象となります。
賃上げ促進税制の適用期限と見直し
企業の賃上げを後押ししてきた賃上げ促進税制について、以下4つの変更および見直しが行われます。
- 全法人向けの措置は令和8年3月31日をもって終了
- 中堅企業(従業員数2,000人以下)向けの措置は令和9年3月31日をもって終了
- 中小企業向けの措置における教育訓練費に係る上乗せ措置は廃止
- 雇用者給与等支給額の対前年度増加額を付加価値額から控除する措置は見直しを実施
各企業の区分によって適用期限や優遇内容が異なるため、今後の人件費計画と照らし合わせて確認しておく必要があります。
消費税に関する新たな経過措置等

続いて、消費税に関する改正を2つ紹介します。
消費税はインボイス制度の導入以降、複雑な実務処理を求められる場面が激増しています。事業の取引構造(外注費の設計など)を最適化して合法的に消費税負担を抑えるための王道の節税ノウハウについて事前に理解を深めたい方は、以下の関連記事をあわせてチェックしておいてください。
国境を越えた電子商取引の課税見直し
海外との電子商取引(クロスボーダー取引)にかかる課税の適正化に向け、以下の変更が行されました。
- 課税の対象の見直し
1万円以下の少額輸入貨物の販売が、資産の譲渡等に係る消費税の課税対象となります。 - 物品販売に係るプラットフォーム課税の導入
国外事業者による日本国内での物品販売や、事業者による少額輸入貨物の販売について、取引を仲介するプラットフォーム事業者に消費税の納税義務を転換(肩代わり)させる制度です。 - 特定少額資産販売事業者登録制度の創設
本制度の導入に伴い、令和9年10月1日から、特定少額資産販売事業者の登録申請の受付が開始されます。
インボイス制度の経過措置と負担緩和
インボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入に伴う経過措置の負担軽減および見直しです。
- 個人事業主への負担緩和(3割特例)
2割特例の終了後、個人事業主は納税額を売上税額の3割にできる措置が、2年間(令和9年および10年分)に限り実施されます。 - 仕入れに係る経過措置の延長と緩和
免税事業者からの仕入れに係る経過措置について、最終的な適用期限を2年延長した上で、引き下げのペースが以下のように緩和されました(令和8年10月以降:7割、令和10年10月以降:5割、令和12年10月から令和13年9月末まで:3割)。 - 適用上限の見直し
1免税事業者ごとの年間適用上限仕入額が、現行の10億円から1億円へと大幅に引き下げられます。
経過措置の延長などは事業者にとって追い風となりますが、上限額の引き下げといった変更点もあるため、事前のサプライチェーン確認が重要です。
その他の注目すべき税制改正項目
最後に、これまで紹介した税金以外に関する重要な改正を2つ紹介します。
教育資金の一括贈与非課税措置の終了
多くの世帯で活用されてきた「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」は、令和8年3月31日をもって終了します。なお、令和8年3月31日までに計画的に拠出された金銭等については、本特例による措置の適用が引き続き可能です。検討されている方は早めの手続きをおすすめします。
防衛特別所得税の創設と復興税の調整
防衛力強化に係る財源確保のための税制措置として、「防衛特別所得税(仮称)」が創設される予定です。大綱に基づく概要は以下の通りです。
| 項目 | 大綱に基づく詳細内容 |
|---|---|
| 納税義務者 | 所得税の納税義務者 |
| 税額 | 所得税額の1% |
| 課税期間 | 令和9年以後の当分の間 |
なお、この防衛特別所得税の導入による急激な家計負担の増加を防ぐため、既存の「復興特別所得税」の税率は1%引き下げとなります。ただし、復興事業に影響を与えないよう、復興特別所得税の課税期間自体は令和29年まで延長される予定です。
「2026年度税制改正大綱」まとめ
- 個人所得課税の負担軽減と物価高対策
基礎控除や給与所得控除が4万円引き上げられ、ひとり親控除の拡充や住宅ローン控除の適用期限延長など、生活を支える減税措置が多く盛り込まれています。 - 法人向け投資インセンティブと特例の拡充
少額減価償却資産の即時償却基準が40万円未満に引き上げられ、特定生産性向上設備等投資促進税制や「戦略技術領域型」の研究開発税制が創設されるなど、企業の成長・DXを促す施策が目立ちます。 - 消費税やその他制度の見直しと激変緩和
インボイス制度の経過措置延長や負担軽減措置が実施される一方で、教育資金の一括贈与非課税措置が終了し、防衛特別所得税が創設されるなど、事前の準備が必要な変更点も存在します。
税制改正により税金に関するルールは大きく変わりますが、変化を的確に捉え、新たなルールに沿った適切な申告・納税、そして何より「最新の税制を活用した財務戦略」を立てることが企業の未来を左右します。
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令和8年度税制改正に関するよくある質問
令和8年度(2026年度)税制改正により、取得価額の基準が30万円未満から40万円未満に引き上げられます。具体的な適用開始時期や経過措置の詳細は、今後の法案成立および財務省・国税庁からの公式発表に準じますが、原則として令和8年4月1日以後に取得・供用開始する資産が対象となる見込みです。
はい、合計所得金額が2,350万円以下の個人事業主であれば、基礎控除額が従来の58万円から62万円へと4万円引き上げられます。これにより、所得税・住民税の負担が軽減されるため、物価高に直面する個人事業主にとって直接的な節税効果(手残りキャッシュの増加)に繋がります。
はい、本特例措置は令和8年(2026年)3月31日をもって終了することが大綱に盛り込まれています。ただし、令和8年3月31日までに信託設定や拠出が完了した金銭等については、終了後も引き続き非課税措置の適用を受けることができます。検討されている場合は、期限前の早めのお手続きが必須です。
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この記事の監修者

吉岡 伸晃 Nobuteru Yoshioka
BIZARQグループ 代表 / 公認会計士・税理士・行政書士
大手監査法人での経験を経て、現在はスタートアップから医療法人まで幅広い企業の財務・経営戦略をサポート。事業計画策定や資金調達支援に強い。








