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個人事業主が法人化で得られる節税メリット9選!注意点や所得目安も徹底解説

全国47都道府県(フルリモート対応)で、会社設立サポートを通じて企業の成長を強力にバックアップする東京・新宿の税理士事務所、BIZARQ(ビズアーク)グループ 代表(公認会計士・税理士・行政書士)の吉岡伸晃です。
個人事業主として事業が順調に拡大し、売上や利益が増えてくると、必ずぶつかるのが「税負担の重さ」という壁です。個人事業主に課される所得税は、所得が上がるほど税率が高くなる超過累進税率が採用されているため、利益が出れば出るほど手元に残るキャッシュが少なくなってしまいます。そこで多くの経営者が検討し始めるのが「法人化(法人成り)」です。
個人事業主と法人では税務会計ルールが大きく異なります。適時な法人成りにより税負担を抑え手残りを最大化できる反面、設立コストや社会保険負担などの注意点も伴うため、慎重なシミュレーションが必要です。
本記事では、個人事業主が法人化で得られる9つの節税メリット、節税以外の事業上の利点、最適な判断基準となる所得目安、および失敗を防ぐための注意点を実務目線で徹底解説します。
なお、法人成りを行う具体的なスケジュールや準備ステップについては、関連記事『法人成りに最適なタイミングとは?会社設立時期の目安を解説!』でも詳しく解説していますので、併せてご参照ください。
プロの視点個人事業主の法人化(法人成り)における節税の真実と戦略
税務の現場において、多くの個人事業主様から「いくら稼いだら法人化すべきですか?」というご相談をいただきます。結論から申し上げますと、節税の最大の要は「所得(利益)の分散」と「経費として認められる範囲の構造的変化」にあります。
個人事業主の場合、どれほど事業規模が大きくなっても「個人」という単一の納税主体にすべての利益が集中します。これに対し、法人化すると「会社」と「経営者個人(役員)」という複数の納税主体に利益を分離・分散させることができます。
- 個人事業主
事業利益 = 社長の個人所得(そのまま高税率の超過累進課税が適用) - 法人
事業利益 = 法人利益(法人税率) + 役員報酬(給与所得控除適用後の所得税率)+ 家族給与(所得分散)
この構造変化により、個人事業主では認められなかった「自分自身への給与支払い(役員報酬)」や「役員退職金の損金算入」、「非課税での出張手当支給」といった合法かつ効果的な節税スキームが幅広く活用可能になります。
東京・新宿エリアをはじめ、全国の起業家・経営者の皆様を支援するBIZARQグループの実務感覚として、単に「税率の比較」だけで判断するのは危険です。後述する社会保険料の負担増や設立後のランニングコストまで含めた「総合的な手残りのキャッシュ(手元資金)」で有利・不利を判定することが、失敗しない法人成り戦略の鉄則です。
個人事業主が法人化で得られる節税メリット9選

個人事業主から法人へ組織変更(法人成り)することで活用できる、主要な9つの節税メリットを体系的に解説します。
1.【欠損金の繰越】最長10年間の赤字繰越で将来の税負担を軽減
個人事業主(青色申告)が事業で赤字(欠損金)を出した場合、その赤字を翌年以降に繰り越せる期間は最長3年間です。一方、法人の場合は、赤字を最長10年間繰り越して、将来の黒字(利益)と相殺することが可能です。
新規事業の立ち上げ期や設備投資が先行する局面では、どうしても数年間の赤字が発生しやすくなります。法人であれば、発生した赤字を10年という長期間でじっくり活用できるため、将来事業が軌道に乗って大きな黒字が出た際も、過去の赤字と相殺して法人税等の負担を最小限に抑えることができます。
2.【給与所得控除】役員報酬を活用した「二重の控除」による節税効果
個人事業主の場合、事業利益から必要経費を差し引いた額がそのまま個人の「事業所得」となり、そこから直接所得税が計算されます。経営者本人の労務に対する必要経費という概念は存在しません。
一方、法人化すると、会社から経営者に対して「役員報酬」を支払う形をとります。役員報酬は法人の損金(経費)になるだけでなく、受け取る経営者個人側でも「給与所得控除」が適用されます。給与所得控除とは、会社員などの給与生活者に認められている「概算の経費控除枠」です。
つまり、法人側で経費(損金)に落としつつ、個人側でも給与所得控除という税制上の優遇枠を利用できるため、同一の利益水準であっても「法人と個人のダブルの控除」によって課税対象額を大幅に圧縮できます。
なお、役員報酬を損金算入するには、原則として事業年度開始から3ヶ月以内に金額を決定し、1年間同額を支給し続ける「定期同額給与」のルールを厳守する必要があります。
3.【家族への給与】配偶者や親族への役員報酬を損金算入し所得分散
個人事業主が家族(配偶者や親族)に給与を支払う場合、税務署への事前の届出(青色申告専従者給与に関する届出書)が必要です。さらに「専らその事業に専従していること(原則年6ヶ月以上)」という厳しい制約が課され、他で働いている家族やパートタイマー的な関わり方の家族への給与は経費にできません。
法人化した場合、実際の業務実態に応じ、かつ「定期同額給与」などの税務上のルールを遵守して適正な役員報酬や給与を支給することで、法人の損金(経費)として計上することが可能です。
高額な利益を社長1人で受け取ると高い累進税率が適用されますが、家族数人に給与を分散させて支給することで、各自の低い税率枠や基礎控除を活用でき、世帯全体としての税負担を大きく軽減できる傾向があります(※業務実態に見合わない不当に高額な報酬は損金不算入となるため注意が必要です)。
4.【扶養・配偶者控除】家族給与支払い時も経営者本人の控除が維持可能
個人事業主の場合、青色事業専従者として一度でも給与を支払った家族は、金額にかかわらず経営者本人の確定申告において扶養控除や配偶者控除の対象外となります。
一方、法人化して家族に給与や役員報酬を支払う場合は、給与を支払ったこと自体によって一律で控除対象外となる制度はありません。家族へ支給する給料等に応じた所得額(給与所得控除適用後の合計所得金額等)が税法上の各種要件を満たしていれば、法人側で給与等を損金算入しつつ、経営者本人側でも扶養控除や配偶者(特別)控除の適用を受けられる可能性があります。
5.【役員退職金】損金算入で大きな節税と老後資金の形成を両立
個人事業主の場合、自分自身に対する退職金という概念は存在せず、事業をやめる際に受け取るお金を経費にすることはできません。
一方、法人では、経営者が引退する際に支給する「役員退職金」を法人の損金(経費)として計上可能です。退職金は長年の労務に報いるための所得であるため、個人の所得税計算においても「退職所得控除」という非常に手厚い控除枠が用意されています。
さらに、控除後の金額を2分の1にした上で他の所得と分離して課税(分離課税)されるため、通常の役員報酬として受け取るよりも遥かに低い税率が適用されます。法人の利益を圧縮しながら、経営者個人の老後資金を極めて税効率よく残すことができる効果的な節税手法の一つです。
6.【出張手当】日当を経費化し個人・法人の双方で非課税メリット獲得
個人事業主の場合、出張にかかった新幹線代や宿泊費の実費は経費にできますが、自身に対する「出張手当(日当)」を計上することは認められていません。
法人化してあらかじめ社内規定(出張旅費規程)を作成しておけば、役員や従業員が出張した際、実費とは別に一定額の「出張手当」を支給できます。
この出張手当は以下のダブルの税務メリットを生み出します。
- 法人側
支給した出張手当の全額を適正に損金算入できる経費とできる。 - 個人側
受給した役員・従業員個人においては所得税・住民税が全額非課税となり、社会保険料の算定対象にも含まれない。
役員個人にとっては「税金・社会保険料がかからない手取り現金」が増え、法人にとっては「適正に損金算入できる経費」となるため、出張の多い事業者にとって非常に大きな節税効果をもたらします。ただし、不当に高額な日当を設定すると税務調査で給与認定されるリスクがあるため、社会通念上妥当な金額設定が必要です。
7.【福利厚生費】経費として計上できる対象項目が大幅に拡大
個人事業主の場合、事業主本人の支出を福利厚生費として計上することはできません。法人化し、全役員・従業員を対象とした公平な制度設計を行うことで、以下のような多岐にわたる支出を「福利厚生費」として経費化できるようになります。
- 社員旅行やレクリエーション費用
- 役員・従業員の健康診断費用・人間ドック費用
- 結婚祝い金や香典などの慶弔見舞金
- 業務に必要な資格取得費用・自己啓発補助
- 通勤手当(非課税枠内での実費支給)
これらを法人の経費としながら、役員や従業員の満足度向上と生活支援につなげることができます。
8.【社保・生命保険料】会社負担分および法人名義保険の損金算入
個人事業主が支払う国民健康保険料や国民年金保険料は、事業の経費にはならず、個人確定申告時の「社会保険料控除」として所得から差し引くだけです。また、個人で加入する生命保険も「生命保険料控除(最大12万円)」の制限を受けます。
法人化した場合、会社が負担する社会保険料(健康保険・厚生年金保険の折半負担分)は全額が法人の損金(経費)となります。
また、法人名義で加入する生命保険については、契約内容や保険種類に応じて、保険料の全部または一部を損金算入できる場合があります。詳細な保険活用と税制改正の影響については、関連記事『法人向け保険に節税効果はない?税制改正の注意点について解説!』もあわせてご確認ください。
9.【消費税免税】設立初期の免税とインボイス経過措置
消費税の仕組みにおいて、前々年(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超えると消費税の課税事業者となります。個人事業主として売上が1,000万円を超えたタイミングで法人成りを行うと、基準期間の売上実績が一度リセットされるため、資本金1,000万円未満で設立された新設法人は、一定の要件を満たす場合、設立1期目・2期目について消費税の納税義務が免除される可能性があります。
ただし、インボイス制度導入以降は、買い手(取引先)からの要件に応じて「適格請求書発行事業者」に登録する場合、設立1期目から免税メリットを放棄して課税事業者となる選択が必要なケースが増えています。
その場合でも、インボイス制度導入後は、免税事業者から課税事業者となった場合の負担軽減措置として2割特例や少額特例が設けられています。また、令和9年分・令和10年分については、一定の個人事業者を対象として納税額を売上税額の3割とする特例(3割特例)が予定されています。
ただし、3割特例は法人が対象外となるなど、これらの特例の適用可否は事業形態や登録状況によって異なります。法人成り後の新設法人においてどの特例が適用可能か(2割特例や簡易課税等)については、最新の税制に基づく事前の個別確認が必要です。インボイス導入下での消費税実務については、関連記事『インボイスの少額特例とは?要件と注意点について解説!』をご参照ください。
節税だけじゃない!法人成りで得られる3つの事業運営メリット
法人化には、税負担の軽減という財務上の利点だけでなく、事業の成長や安定化を後押しする事業運営上のメリットも存在します。
①【社会的信用】取引先の拡大と金融機関からの融資審査での優位性
日本国内の多くの大手企業や上場企業では、コンプライアンスや与信管理の観点から「個人事業主とは直接取引を行わず、法人格を持つ企業としか契約しない」という規定を設けています。法人化して法務局に登記されることで会社情報が公示され、社会的信用度が飛躍的に向上します。
これにより、これまで参入できなかった大手企業との直接取引が可能になり、新規顧客の獲得チャンスが広がります。また、銀行や日本政策金融公庫などの金融機関からの融資審査においても、財務諸表の信頼性が高い法人の方が資金調達において有利に働く傾向があります。
②【決算月の自由設定】繁忙期を避けた決算期設定による経営の柔軟化
個人事業主の会計期間は、法律により「1月1日〜12月31日」と完全に一律で固定されており、確定申告時期(2月15日〜3月15日)も変更できません。
一方、法人は事業年度の「決算月」を自由に設定できます。自社の繁忙期を避けて落ち着いた時期を決算月に選ぶことで、業務負担の分散が図れます。また、年間の売上見込みがほぼ立つ時期を決算月に設定すれば、期末に向けた節税対策や資金繰り計画(役員報酬の改定など)を非常に立てやすくなるという経営上の大きなアドバンテージが得られます。
③【有限責任】事業上の負債リスクから個人資産を保護
個人事業主は「無限責任」を負います。万が一、事業で多額の負債や借入金を抱えた場合、個人のプライベートな資産(自宅や個人預金)をすべて投げ出してでも返済し続けなければなりません。
一方、株式会社や合同会社などの法人の出資者は「有限責任」です。原則として出資者の責任は出資額に限定されます。ただし、代表者保証付き融資や役員個人の責任が問われるケースでは、法人化していても個人資産への影響が生じる場合があります。
法人化による節税効果が期待できる所得・売上の目安と判断基準

法人化すべきかどうかの判断で最も重要な指標は、売上(年商)ではなく経費を差し引いた後の「課税所得(利益)」です。
【所得800万円の壁】個人所得税と法人税の税率逆転ポイント
一般的に、法人成りで十分な節税メリットが出る分岐点は「課税所得800万円」と言われています。その最大の理由は、個人と法人の「税率構造の違い」にあります。
| 項目 | 個人事業主(所得税) | 法人(法人税・実効税率) |
|---|---|---|
| 税率構造 | 超過累進課税(5%〜45%) | ほぼ一定(中小法人は軽減税率あり) |
| 年800万円以下の部分 | 所得が増えるほど高税率(23%以上) | 軽減税率 15%(※1) |
| 年800万円を超える部分 | 最大45%(住民税込み約55%) | 実効税率 約23%〜30%前後 |
※1:資本金1億円以下の中小法人の場合、国税庁:No.5759 法人税の税率の通り、年800万円以下の所得に対して15%の軽減税率が適用されます。
個人所得税率は国税庁:No.2260 所得税の税率に規定されている通り、所得が伸びるほど税率が跳ね上がりますが、法人税の実効税率は一定水準(約23%〜30%前後)で頭打ちになります。所得800万円を超えると税率差が顕著になり、法人化による節税メリットが大きくなりやすい水準と言えます。
【数値比較】所得800万円における個人と法人の概算税額シミュレーション(簡易試算)
実際に、課税所得800万円のケースで「個人事業主のまま」と「法人化した場合(利益を法人のみで受け取る簡略モデル)」の概算税額を比較してみましょう。
※前提条件: 資本金1,000万円未満、控除総額120万円と仮定、住民税10%、個人事業税(対象業種により3〜5%)※試算では5%と仮定(事業主控除290万円適用)。復興特別所得税・社会保険料は除いて試算。※本概算は現行税制に基づく仮定であり、令和8年度税制改正による基礎控除額・給与所得控除額の引き上げ等により、実際の税額や法人成りの損益分岐点は変動する可能性があります。※法人税額には地方法人税等が含まれていない等、あくまで大枠の目安を把握するための簡易的なモデル試算です。※本表は、法人利益を800万円として単純化した概算モデルです。
| 比較項目 | 個人事業主のまま | 法人化した場合 | 差額(節税見込) |
|---|---|---|---|
| 所得税 / 法人税(国税) | 93.25万円 | 120.00万円(800万×15%) | — |
| 住民税(個人 / 法人割+均等割) | 68.00万円(10%) | 15.40万円(均等割7万+税額割) | — |
| 事業税(個人事業税 / 法人事業税) | 25.50万円(5%の場合) | (※地域・規模により変動) | — |
| 概算税額合計 | 約 186.75 万円 | 約 135.40 万円 | 法人化で 約51.35万円 削減 |
さらに、法人の利益を適切に役員報酬として社長個人や家族に分散支給することで、給与所得控除が適用され、世帯全体の税負担はさらに軽くなる可能性があります。
【所得800万円未満】売上1,000万円超や家族雇用で法人化が有利なケース
課税所得が800万円に達していない場合(所得300万〜600万円程度)であっても、以下の状況に当てはまる場合は早期の法人化が非常に有利になります。
- 課税売上高が1,000万円を超えている場合
消費税の課税事業者になるタイミングを遅らせる、あるいはリセットする節税効果が得られます。 - 家族を従業員として雇用したい場合
青色専従者の制約を受けず、パートや非常勤役員として自由度の高い給与設定と所得分散が実現できます。 - 許認可や大手との取引を開始したい場合
建設業許可の取得や大手企業との新規口座開拓など、社会的信用が必要なケースです。
【注意が必要なケース】所得800万円超でも法人化を見送るべき状況
逆に、所得が800万円を超えていても、即座の法人化を慎重に検討すべきケースもあります。
- 従業員を雇用しておらず、社会保険の会社負担額を抑えたい場合
法人化すると社会保険(健康保険・厚生年金)への強制加入となり、人件費に対して約15%の会社負担が発生します。 - 源泉徴収や会計処理などの事務負担を極力増やしたくない場合
給与計算や源泉所得税の毎月納付など、個人事業主時代にはなかった管理実務が発生します。
失敗を防ぐ!個人事業主が法人化する際の6つの注意点・デメリット
法人化には多くのメリットがある反面、無視できない注意点やコストも存在します。後悔しないために、以下の6つのデメリットを事前に把握しておきましょう。
1.【設立コスト】株式会社・合同会社の設立における法定費用と初期支出
会社を設立するには、公証役場や法務局に納める「法定費用(実費)」が必要となります。個人事業主の開業届(費用0円)とは大きく異なります。
| 費用項目 | 株式会社(紙定款 / 電子定款) | 合同会社(LLC) |
|---|---|---|
| 定款用収入印紙代 | 40,000円 / 0円 | 40,000円 / 0円 |
| 定款認証手数料 | 30,000円〜50,000円(資本金の額等により変動) | 不要(0円) |
| 登録免許税(国税) | 最低 150,000円(資本金×0.7%) | 最低 60,000円(資本金×0.7%) |
| 法定費用合計(最低) | 約 20万円〜24万円 | 約 6万円 |
※BIZARQグループでは電子定款に対応しているため、定款印紙代4万円は0円となります。
株式会社を設立する場合、法定費用だけで最低約20万円の支出を伴います。これに加えて実印作成費用や行政書士・司法書士への代行報酬が発生します。初期費用を抑えたい場合は合同会社の設立も選択肢となります。
2.【均等割】赤字決算であっても毎年発生する最低7万円の法人住民税
個人事業主であれば、事業が赤字で所得がゼロの場合、所得税や住民税(所得割)は課税されません。
しかし法人の場合、たとえ決算が赤字であっても、所在する都道府県・市区町村に対して「法人住民税の均等割」として毎年最低約7万円を必ず納付しなければなりません。事業の売上や損益に関わらず発生する固定コストとなる点に留意が必要です。なお、この均等割の金額は資本金や従業員数に応じて変動するため、資本金を1,000万円超に設定した場合などは負担額が上がる点に注意が必要です。
3.【社会保険の強制加入】社長1人の会社でも発生する社保負担と事務手続き
法人化すると、たとえ社長1人だけの会社であっても、社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が法律で義務付けられます。
個人事業主が加入する国民健康保険・国民年金と比較して、将来受け取れる年金手当が増えるというメリットはあるものの、保険料は「会社と個人で半分ずつ折半して負担」することになります。実質的に会社側の経費負担(人件費の約15%分)が増加するため、資金計画に与えるインパクトを計算しておくことが不可欠です。
4.【税率逆転リスク】所得水準が低すぎる場合に法人税負担が重くなる可能性
所得が十分に高くない状態(例:課税所得が年間200万〜300万円未満)で安易に法人化してしまうと、個人の累進税率(5%〜10%)よりも法人税の実効税率(約23〜30%前後)の方が高くなり、かえって税負担が増えてしまう「税率の逆転現象」が起こります。
節税目的で法人化する場合は、自社の所得水準が税率逆転ラインを超えているかを事前に税理士と確認することが強く推奨されます。
5.【資産引き継ぎ】個人から法人への事業用資産移行における課税注意点
個人事業主時代に使用していた店舗、車両、在庫、売掛金、機械設備などの事業用資産を新会社へ引き継ぐ際には、税務上の「資産の譲渡(売却)」や「現物出資」などの手続きが必要です。
適正な時価で取引を行わないと、個人側に「みなし譲渡所得」として所得税が課されたり、法人側で受贈益課税が発生したりするトラブルに発展します。引き継ぎ方法(売買・賃貸・現物出資)の選定は専門的なノウハウを要するため、事前の慎重なシミュレーションが必要です。
6.【事務負担・ランニングコスト】複式簿記・確定申告の高度化と税理士顧問料
法人の決算・税務申告は、個人事業主の白色申告や単期的な青色申告と比べて遥かに複雑で高度な専門知識が求められます。自力での決算書類(別表の作成など)の作成は非常に困難であり、税理士への申告依頼や顧問契約がほぼ必須となります。
それに伴う税理士顧問料や決算報酬、会計ソフトのライセンス料などのランニングコストが毎年継続して発生することを念頭に置く必要があります。
「個人事業主が法人化で得られる節税メリット9選」まとめ
- 所得分散と各種控除の最大化
役員報酬による給与所得控除の適用、家族への給与支給による所得分散、非課税の出張手当や役員退職金の活用により、個人の超過累進税率を回避して世帯全体の税負担を大幅に削減できる。 - 経費範囲の拡大と長期リスクヘッジ
会社負担の社会保険料や法人保険の経費化、福利厚生費の拡充に加え、赤字(欠損金)の繰越期間が10年に伸びることで、長期的な財務基盤と節税枠を確立できる。 - 法人化の判断と注意点
節税分岐点の目安は課税所得800万円。設立費用や赤字でもかかる均等割(7万円)、社会保険の強制加入といったコスト増加分を考慮し、トータルの手残りで判断することが重要。
東京・新宿をはじめ全国の個人事業主様で、法人化(法人成り)の最適なタイミングや節税シミュレーション、会社設立手続きでお悩みなら、ぜひ一度BIZARQグループへご相談ください。当グループでは、平均年齢33歳の機動力とIT対応力を活かし、お客様一人ひとりの事業状況に合わせた「最も手元にキャッシュが残る設立戦略」をご提案いたします。設立手続きの行政書士業務から、融資・資金調達、クラウド会計の初期導入、設立後の税務顧問まで、4士業がワンチームで力強くサポートいたします。まずは弊社の東京・新宿の会社設立サポートページをご覧いただき、現在の売上・所得状況をお気軽にお聞かせください。専門家による初回オンライン相談を実施しております。以下よりお気軽にお申し込みください。ご相談は、以下の税理士無料相談窓口よりいつでもお気軽にお問い合わせください。
「法人化の節税」に関するよくある質問
一般的には「課税所得(利益)が800万円を超えたタイミング」または「課税売上高が1,000万円を超えたタイミング」が大きな目安となります。
所得800万円を超えると個人所得税の累進税率よりも法人税の税率の方が低くなるため、大きな節税メリットが生まれます。また、売上1,000万円を超えると2年後に消費税の課税事業者となるため、その前に法人成りを行うことで消費税免税期間(またはインボイス経過措置)を最適化できます。
原則として、資本金1,000万円未満で設立された新設法人は最大2期、消費税の納税義務が免除されます。
ただし、特定期間(前事業年度の開始から6ヶ月間)の課税売上高または給与支払額が1,000万円を超えた場合や、自らインボイス発行事業者の登録を行った場合は、設立1期目・2期目であっても課税事業者となります。インボイス登録による取引維持と免税メリットのどちらが有利か、最新税制に基づいた個別のシミュレーションが不可欠です。
法人の解散・清算手続きを行えば、再び個人事業主として事業を継続することは可能です。
しかし、法人の解散・清算には官報告示費用や登録免許税、税理士への決算報酬など、設立時以上のコスト(最低でも十数万円以上)と手間がかかります。また、社会保険から国民健康保険への切り替え手続きなども発生するため、一時的な節税目的だけで安易に法人化するのではなく、中長期的な事業展望を持って判断することが重要です。
役員報酬を高く設定すれば法人の利益が圧縮されて法人税は安くなりますが、経営者個人の所得税・住民税および社会保険料の負担が増加します。逆に役員報酬を低くしすぎると、法人の利益が残りすぎて法人税率が適用されます。
世帯全体で最も手元にキャッシュが残るのは「法人税・個人所得税・住民税・社会保険料の合計額が最小になるポイント」です。これは経営者の家族構成や控除状況、将来の資金需要によって異なるため、税理士による精密な試算を行うことをおすすめします。
この記事の監修者

吉岡 伸晃 Nobuteru Yoshioka
BIZARQグループ 代表 / 公認会計士・税理士・行政書士
大手監査法人での経験を経て、現在はスタートアップから医療法人まで幅広い企業の財務・経営戦略をサポート。事業計画策定や資金調達支援に強い。


