損益分岐点比率とは?計算方法と安全余裕率の目安を解説

2026.02.05

損益分岐点比率とは売上高に占める損益分岐点売上高の割合です。

損益分岐点比率が低いほど利益が出ている状態で、売上が下がっても赤字転落をしにくい収益構造といえます。

反対に損益分岐点比率が高い場合、現在は黒字状態でも少しの売上減少で赤字になる恐れがあります。

損益分岐点比率が目安とされる水準よりも高い場合、早急な対応が必要です。

 

今回は損益分岐点比率の計算方法や目安、改善方法について解説します。

 

損益分岐点については以下の記事をご覧ください。

 

 

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CONTENTS

損益分岐点比率とは

損益分岐点比率とは、売上高に占める損益分岐点売上高の割合です。

損益分岐点とは売上と費用が等しくなる(損益がプラスマイナスゼロになる)売上高を意味します。

損益分岐点比率の関連用語

損益分岐点比率を計算・活用するために知っておくべき概念を7つ紹介します。

売上高

商品やサービスの販売など、本業によって獲得した収益です。

損益分岐点比率の計算で用います。

固定費

費用のうち、販売数量や生産量に左右されず常に一定額が発生するものです。

固定費に該当する項目として以下の例が挙げられます。

  • ・正社員の人件費(基本給、社会保険料など)
  • ・役員報酬
  • ・賃料
  • ・保険料
  • ・広告宣伝費
  • ・減価償却費

変動費

売上や生産量等によって金額が変動する費用です。

変動費に該当する項目の例を紹介します。

  • ・原材料費
  • ・製品仕入高
  • ・パートやアルバイト等の人件費
  • ・外注費
  • ・販売手数料
  • ・消耗品費
  • ・通信費や配送料

変動費率

売上高に対する変動費の割合を示す指標です。

以下の計算式で求められます。

  • 変動費率(%)=変動費÷売上高×100

変動費率は損益分岐点比率の計算に用いる「損益分岐点売上高」を求めるのに必要な要素です。

損益分岐点比率および損益分岐点売上高の計算方法は後述します。

限界利益

売上高から変動費を差し引いた利益です。

商品やサービスの販売など本業によって直接得られる利益であり、売上に連動して増減するため安定性や収益性の分析に欠かせない要素といえます。

前述した変動費率と同様、限界利益も損益分岐点売上高の計算に用いられます。

限界利益率

売上高に対する限界利益の割合です。

限界利益率が高いほど本業によって直接得られる利益が多く、事業が好調と分析できます。

安全余裕率

安全余裕率とは現在の売上が損益分岐点をどれほど上回っているかを示す指標です。

例えば安全余裕率が10%の場合、売上が今よりも10%下がると赤字になることを意味します。

 

安全余裕率の計算方法は以下の通りです。

  • 安全余裕率(%)=(売上高-損益分岐点売上高)÷売上高×100

 

なお、安全余裕率と損益分岐点比率の合計は必ず100%になります。

安全余裕率が10%の場合、損益分岐点比率は90%です。

損益分岐点比率の計算方法

損益分岐点比率の計算方法は以下の通りです。

  • 損益分岐点比率(%)=損益分岐点売上高÷売上高×100

 

損益分岐点売上高は「固定費 ÷ 限界利益率」または「固定費÷(1-変動費率)」で計算できます。

 

例えば損益分岐点売上高600万円、現在の売上高が750万円の場合、損益分岐点比率は以下の通りです。

  • 600万円÷750万円×100=80%

 

損益分岐点比率が低いほど利益が出ており、売上が下がっても赤字になりにくい収益構造といえます。

反対に損益分岐点比率が100%を超えている場合は現在の売上高が損益分岐点売上高を超えている状態、すなわち赤字状態です。

損益分岐点比率・安全余裕率の目安

続いて、損益分岐点比率および安全余裕率の目安について解説します。

損益分岐点比率は90%以下が目安、80%以下が理想

前述のように、損益分岐点比率が低いほど利益が出ており売上減少に強い収益構造といえます。

そのため損益分岐点比率は低く抑えるのが理想です。

 

損益分岐点比率の平均的な水準は80~90%程度、安全余裕率でいうと10~20%程度です。

80~90%あたりではまだ赤字転落のリスクがあるため、より低い数値にするのが理想と考えられます。

 

比較的安全といわれる水準は損益分岐点比率80%未満、安全余裕率20%超です。

損益分岐点比率が80%を下回っていれば、赤字転落のリスクは低いと考えて良いでしょう。

もちろん、さらに下げることでより売上減少に強い状態になります。

 

損益分岐点比率が90%超(安全余裕率が10%未満)の場合、少しの変化ですぐに赤字転落となる恐れがあります。

現時点では黒字であっても早急な改善が求められる状態です。

 

損益分岐点比率100%超の場合はすでに赤字状態で、安全余裕率はマイナスとなります。

早急な改善が必要といえるでしょう。

 

以上をまとめると、損益分岐点比率は90%以下が目安、80%以下が理想です。

業種別の損益分岐点比率の平均

業種別の損益分岐点比率の平均として、中小企業庁の公式サイトで公開されているデータを紹介します。

 

業種損益分岐点比率の平均
宿泊業、飲食サービス業97.5%
運輸業、郵便業91.1%
情報通信業88.5%
小売業88.4%
生活関連サービス業、娯楽業85.2%
製造業85.1%
卸売業80.9%
建設業78.2%
全産業(金融保険業を除く)85.1%

出典:2021年版「中小企業白書」 第1節 中小企業の財務基盤・収益構造と財務分析の重要性|中小企業庁

 

前節で、損益分岐点比率は90%以下が目安、80%以下が理想と紹介しました。

しかし上記のように、損益分岐点比率の平均が目安・理想どちらよりも低い業種は多く存在します。

実際、中小企業は全体の約6割が赤字といわれています。

赤字企業の多さも、損益分岐点比率の平均を引き上げる原因といえるでしょう。

損益分岐点比率の改善方法

損益分岐点比率を改善する方法は、「経費を減らす」「売上を増やす」2種類に大別できます。

経費を減らすといっても固定費と変動費では注意点に違いがあるため、実質は「固定費を減らす」「変動費を減らす」「売上を増やす」の3種類です。

損益分岐点比率の具体的な改善策を種類別に紹介します。

固定費を減らす

経費は固定費と変動費に分けられますが、最初に固定費から見直しを行いましょう。

固定費は売上に関係なく発生するため、売上が少ないほど負担が重くなりやすいです。

また、事業規模に対して固定費が多すぎるケースや、売上につながっていない固定費が存在する可能性もあります。

以上の理由から、まずは固定費の見直しを行い、コスト削減を図るのがおすすめです。

 

固定費を減らす具体的な方法として以下の例が挙げられます。

  • ・広告宣伝費の見直し
  • ・アウトソーシングの活用による人件費削減
  • ・リースやレンタルの見直し
  • ・テレワークやリモートワークの導入
  • ・保険会社や保険プランの変更

変動費を減らす

固定費の見直しが一通り終わったら、変動費の見直しを行います。

変動費を減らす方法として以下の例が挙げられます。

  • ・仕入の見直し(仕入先の変更、一括購入による値下げの交渉、原材料の変更等)
  • ・消耗品等の購入ルールの見直しや購入品の変更
  • ・オンライン面談の活用(旅費交通費や出張費の削減)
  • ・ペーパーレス化の促進(通信費や消耗品費の削減)
  • ・過剰在庫の削減

 

前述のように、変動費は売上や生産量に連動する費用です。

そのため変動費の無理な削減は、売上や生産量の減少をまねく恐れがあります。

変動費のうち減らせるところは減らすべきですが、必要な費用までなくさないよう注意しましょう。

売上を増やす

売上を増やす効果が期待できる方法として以下の例が挙げられます。

  • ・販路を拡大し新規顧客を獲得する
  • ・リピート率を高める
  • ・販売価格を上げる
  • ・セット販売により客単価を上げる(クロスセル)
  • ・顧客が検討中または購入済みの商品よりも上位の商品を提案し購入してもらう
  • (アップセル)

 

経費を減らす方法と違い、売上を増やす方法は効果が出るまでに時間がかかる上、そもそも効果が出るとも限りません

各施策の展開後は小まめに経過観察を行い、効果が出ない場合は改善や別の施策への切り替えをする必要があります。

まとめ

損益分岐点比率とは売上高に占める損益分岐点売上高の割合を示す指標です。

損益分岐点比率が低いほど利益が出ており、売上が下がっても赤字転落をしにくい状態といえます。

現在の売上が損益分岐点をどれほど上回っているかを示す指標を安全余裕率といいます。

損益分岐点比率と安全余裕率を足すと必ず100%になる仕組みです。

 

損益分岐点比率は100%未満の状態が大前提となります。

目安は90%以下、理想は80%以下ですが、中小企業では90%を上回るケースも珍しくありません。

損益分岐点比率が高すぎる場合、赤字転落のリスクが高い状態といえます。

経費の削減や売上アップの施策等を行い、損益分岐点比率を改善する必要があります。

 

損益分岐点比率の改善に際して、ぜひ本記事で紹介した内容を参考にしてください。

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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士

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