【2026年1月施行】取適法とは?下請法からの改正内容と重要ポイントを解説

2026.02.25

2026年1月1日、下請法の改正法である取適法が施行されました。

下請法と呼ばれていた法律が改正によって取適法に変わったイメージです。

 

今回、適用対象となる事業者の見直しをはじめとした様々な変更が行われました。

改正項目は多岐にわたりますが、発注者側は義務項目と禁止項目を抑えることが特に大切です。

 

今回は取適法について、変更点や特に重要な事項などを中心に解説します。

 

取適法と似た法律としてフリーランス新法が挙げられます。

フリーランス新法は受注者の中でもフリーランスの保護に特化したものです。

フリーランス新法の詳しい内容は以下の記事で解説しているので、ぜひこちらもご覧ください。

 

 

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2026年1月から「下請法」が「取適法」に!

2026年1月1日、下請法の改正法である「中小受託取引適正化法(取適法)」が施行されました。

規制内容の追加や規制の拡大など大幅な改正が行われています。

下請法改正の背景・趣旨

下請法改正の背景には、受注者に負担を押しつける商慣習の一掃という目的があります。

 

近年は賃上げに向けた取り組みが強く進められていますが、物価上昇を上回る賃上げを実現するには賃上げの原資の確保が必要です。

そして賃上げの原資を確保できるよう、適切な価格転嫁を定着させる必要があります。

 

しかし実際のところ、長く続く商慣習の中には、以下のように価格転嫁を阻害し受注側に負担を押し付けるものが存在しました。

  • ・金額に関する交渉や話し合いをしない
  • ・受注者の訴えや主張に耳を傾けようとしない
  • ・金額に関して行うべき説明や連絡事項を怠る
  •  

簡単にまとめると、規模が大きく力の強い発注側から、力の弱い受注側にして価格を一歩的に決める行為全般です。

受注側は仕事を受ける側という点で立場が弱くなりやすい上、規模が小さく経営資源に余裕がないため強く出るのが難しいという懸念がありました。

取引を失うことを恐れ、不利な条件や負担を押し付けられるような内容でも受け入れざるを得ないという事態が横行していたのです。

このような事態は受注者に不利益を与えるものであり、中小企業をはじめとする事業者の賃上げを阻害する原因といえます。

 

受注者が賃上げ原資を確保できるような状態を実現するためには、取引の適正化および価格転嫁が必要です。

このような背景・趣旨により長い期間にわたって改正の検討が進められており、結果として今回の取適法につながりました。

お金を支払う側・受け取る側、規模が大きい・小さいといった違いに関係なく、対等な関係の構築を目指しています。

改正の目的

今回行われた改正の主な目的は以下の2つです。

  • ・大規模な企業から中小企業者等に対する委託取引の公正化
  • ・受注者である中小企業者等(フリーランス含む)の利益保護

これまでも立場の弱い受注者を守るための法律ではありましたが、改正に伴いさらに強化されました。

【取適法】下請法からの改正内容

下請法から取適法への改正による主な変化を6つ紹介します。

法律名・用語名の変更

改正に伴い、法律名が以下のように変わりました。

 

  • 正式名称
  • 旧:下請代金支払遅延等防止法
  • 新:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律
  • (略称は「中小受託取引適正化法」)
  •  
  • 通称
  • 旧:下請法
  • 新:取適法
  •  

下請という言葉には委託側と受託側に上下関係がある旨を連想させるため、下請という表現は使用されなくなりました。

他にも以下のような用語の変更が行われています。

  • ・下請代金→製造委託等代金
  • ・親事業者→委託事業者
  • ・下請事業者→中小受託事業者

適用対象となる事業者の見直し

法律の適用対象に該当するか否かは、取引の内容と規模要件から判断します。

以前は規模要件の基準が資本金に関する事項のみでしたが、従業員基準が加わっています。

資本金と従業員のいずれか一方でも基準を満たす場合は適用対象とみなされます

対象取引の追加

特定運送委託」が対象取引に加わりました。

製造業や販売業を行う事業者が行う、目的物の引渡しに必要な運送が該当します。

一方的な金額の決定の禁止

代金を一方的に決める行為も明確に禁止事項とされています。

該当する行為の例は以下の通りです。

  • ・代金に関する交渉や話し合いに応じない
  • ・代金の変更に関する説明や情報の提供を怠る

いずれも価格据え置き取引への対応とされています。

面的執行の強化

従来の制度においては、違反があった場合の指導・助言を行えるのは公正取引委員会や中小企業庁のみでした。

事業所管省庁が実施できたのはあくまでも調査のみであり、違反行為への対応が不十分という課題があったのです。

 

今回の改正により、事業所管省庁にも指導・助言権限が設定されました。

また、省庁間の相互情報提供に係る規定も追加され、違反に対する取り締まりの強化が期待されます。

取適法で発注者側が押さえるべきポイント

取適法に則った適切な取引を行うため、発注者側は義務項目と禁止項目を押さえる必要があります。

この章では義務項目と禁止項目それぞれについて解説します。

義務項目

発注者側である委託事業者に課された義務項目は以下の4つです。

発注内容等の明示

給付の内容、代金、支払期日、支払方法を書面または電子メール等で明らかにする義務です。

発注内容の連絡に漏れがある場合や、口頭のみでの連絡は違反行為とみなされるためご注意ください。

書類等の作成・保存

対象取引の記録を書面または電磁的記録で作成し、2年間保存するよう義務付けられています。

支払期日の設定

受領日から60日以内で支払期日を定める必要があります。

受領物の検査を行うかは問いません。

遅延利息の支払い

以下のいずれかに該当する場合、年率14.6%の遅延利息の支払いが必要です。

  • ・支払期日を超過した
  • ・正当な理由なく減額を行なった

利息は遅延日数や減らした額に応じて計算します。

禁止項目

取適法では11の禁止項目が定められています。

禁止行為をしてしまった場合、意図の有無に関係なく罰則の対象となる恐れがあるため注意しましょう。

受領拒否

物品等の受領を拒否する行為のほか、発注の取り消しや納期の延長を理由とした受領の拒否も禁じられています。

支払遅延

支払期日までに支払わない・手形払をする等は禁止です。

減額

受注者側に責任がない場合に、事前に決定した金額を発注後に減らす行為は禁止されています。

返品

受注者側に責任がない状態で、発注物等を受領後に返品する行為も禁止項目です。

買いたたき

金額に明確な基準はありませんが、相場を大幅に下回る金額やコスト上昇を無視した価格設定は買いたたきにあたる可能性が高いです。

購入・利用強制

指定の商品やサービスを強制的に購入・利用させる行為です。

正当な理由がある場合を除き、これらを強制する行為は認められません。

報復措置

発注者側による禁止行為を各省庁等に知らせたことを理由に、取引量の削減や金額引下げ、取引停止などを行うことです。

有償支給原材料等の対価の早期決済

受注者側に対する代金の支払日よりも前に、原材料等の対価を支払わせる行為です。

不当な経済上の利益の提供要請

自己の利益のために、経済上の利益を不当に提供させる行為です。

例えば運送業務のみの契約において、荷物の運送が完了した後に積み下ろしや特定の場所へ運ぶこと等、契約外の業務を要請する行為は違反とみなされます。

不当な給付内容の変更、やり直し

受注者側に責任がない状態で、発注のキャンセルや変更、修正、やり直し、追加作業を指示する等の行為です。

正確にはこれらの行為があり、かつ、当該費用を支払わなかった場合に違反とみなされます。

不可抗力により発注取消等が必要になった場合でも、その分の費用を支払えば問題ありません。

協議に応じない一方的な代金決定

新たに追加された項目です。

前章ですでに紹介した通り、受注者からの話し合いや交渉の申し出に応じない、必要な説明を行わない等は禁止されています。

 

なお、罰則は以下の3種類です。

  • ・刑事罰:50万円以下の罰金
  • ・行政措置:勧告に従わない場合に企業名を公表する
  • ・民事責任:所定の方法で計算した利息を負担する

まとめ

下請法改正により通称が「取適法」へと変わりました。

名前だけでなく、用語の変更や義務項目・禁止項目の追加なども行われています。

 

法律は専門的な言い回しが多くボリュームもあるため、すべてを完璧に理解するのは現実的とはいえません。

意図せず違反行為をしてしまう事態を避けられるよう、義務項目や禁止項目といった重要な点はしっかり押さえましょう。

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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士

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