
個人事業主の確定申告の方法には、青色申告と白色申告の2種類があります。
「節税のために青色申告にするべき」「白色申告はメリットがない」と聞いたことがある人もいるでしょう。
実際のところ、節税という面で考えると青色申告の方が圧倒的に有利なのは事実です。
しかし単に「青色申告の方が良い」といわれても、理由がわからず納得できないと感じるケースが多いのではないでしょうか。
効果的な節税対策をするためには、確定申告の方法や仕組みについてある程度理解しておくことが大切です。
今回は青色申告と白色申告を徹底比較し、それぞれの特徴やメリット・デメリット、青色申告の方が節税につながる理由について解説します。
所得税の仕組み全般については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。
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CONTENTS
青色申告とは

青色申告とは、所得金額の計算で有利な取り扱いを受けられる申告の方法です。
青色申告を行うためには一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告を行う必要があります。
この章では、青色申告について詳しく解説します。
青色申告のメリット
青色申告の大きなメリットを2つ紹介します。
青色申告者を対象とした特典がある
青色申告の最も大きなメリットは、青色申告者を対象とした特典が複数ある点です。
青色申告者の特典として以下の4つが挙げられます。
- 青色申告特別控除
- 青色申告者であれば必ず適用される所得控除制度で、最大で65万円の控除を受けられます。
- 青色申告には税金面での優遇措置が複数設けられていますが、青色申告特別控除は特に大きな節税効果につながる仕組みです。
- 青色事業専従者給与
- 青色申告の場合、家族や親族への給与を全額経費計上できます。
- 白色申告の専従者控除制度は上限額が定められているため、節税面での効果は薄いです。
- 貸倒引当金
- 売掛金や貸付金など債権の貸し倒れによる損失の見込額を引当金として繰り入れたときに、繰り入れ分を必要経費にできる制度です。
- ただし、貸倒引当金として計上できるのは債権の期末残高合計の5.5%以下と定められています。
- 赤字を最長3年間繰り越せる
- 青色申告の場合、その年に発生した赤字を最長3年間繰り越すことができ、翌期以降の黒字と相殺できます。
- 前年も青色申告の場合は赤字の繰り越しにかえて、損失額を前年に繰り戻し、前年分の所得税の還付を受けることも可能です。
- ※国税庁サイトに記載されている正式な呼び方は「純損失の繰越しと繰戻し」です。
30万円未満の固定資産を一括で経費にできる
青色申告の場合、30万年未満の固定資産は耐用年数にわたっての減価償却ではなく、購入した年に一括で経費計上できます。
減価償却とは、固定資産の購入価額を耐用年数に応じて少しずつ費用にする会計処理です。
取得価額が10万円以上かつ1年以上使用可能な固定資産は、原則として減価償却を行う必要があります。
そのため、購入した年に計上できる費用は取得価額の一部のみです。
しかし前述のように、青色申告者は取得価額が30万円未満の固定資産を一括で経費にできます。
購入した年に計上できる減価償却費が大きいため、仕組みを上手く活用すれば効果的な節税が可能です。
青色申告で必要な作業
青色申告の適用を受けるために必要な作業を3つ紹介します。
1つ目は、青色申告承認申請書の提出です。
青色申告承認申請書は、青色申告にしようとする年の3月15日までに提出する必要があります。
(その年の1月16日以降に事業を開始した場合、事業開始の日から2ヶ月以内が期限です。)
青色申告承認申請書を提出しなければ青色申告ができないため、忘れないよう早めに行う必要があります。
2つ目は、複式簿記による記帳です。
既に紹介したように、青色申告は一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告を行うことで有利な扱いが受けられる仕組みです。
一定水準の記帳について、国税庁公式サイトでは「年末に貸借対照表と損益計算書を作成することができるような正規の簿記によることが原則」と明記されています。
正規の簿記とは簡単にいうと「網羅性・立証性・秩序性の3つを兼ね備えた会計帳簿を作成するべき」という原則です。
そして、この3つを兼ね備えた簿記は一般的に複式簿記と解釈されています。
そのため青色申告は複式簿記による記帳が大前提です。
※簡易的な記帳の場合は青色申告特別控除が10万円になります。
3つ目は、青色申告決算書の作成です。
青色申告の場合、確定申告書とあわせて青色申告決算書(貸借対照表・損益計算書)を提出する必要があります。
白色申告とは

白色申告とは、青色申告ではない確定申告方法を指す言葉です。
白色申告という単語そのものは税法の中には存在せず、青色申告以外の確定申告の方法を白色申告と呼んでいます。
この章では白色申告について詳しく解説します。
白色申告のメリット
白色申告のメリットを2つ紹介します。
事前申請が不要
白色申告は青色申告のような事前申請が必要ありません。
そもそも前述のように、青色申告でない場合は自動的に白色申告になります。
特別な作業が必要なく誰でも実施できる点は白色申告のメリットとして挙げられます。
記帳や確定申告が簡単
白色申告の最大の魅力は記帳の簡便さにあります。青色申告では複式簿記による記帳が求められますが、白色申告では簡易簿記(単式簿記)での記帳が認められています。
簡易簿記は項目数が少なく、会計知識がなくても比較的容易に記帳できるため、経理作業に不慣れな方でも取り組みやすいでしょう。
例えば、業務で使った交通費1,500円を記録する場合、日付、勘定科目(旅費交通費)、金額、摘要(電車賃)といったシンプルな項目を記入するだけで済みます。また申告手続きも青色申告に比べて簡素化されているため、確定申告の負担を最小限に抑えたい方に適しています。
白色申告のデメリット
白色申告の大きなデメリットとして以下の3つが挙げられます。
- ・青色申告のような控除制度がない
- ・家族への給与を経費計上できない
- ・白色申告という理由から社会的信用を得にくい恐れがある
- 影響を受けやすいケースの例として融資が挙げられます。
青色申告vs白色申告 節税対策ができるのはどっち?

青色申告と白色申告どちらの方が節税につながるのかを解説します。
節税対策ができるのは青色申告!
すでに紹介したように、節税対策ができるのは青色申告です。
青色申告の方が節税につながる理由として、主に以下の3つが挙げられます。
- ・青色申告特別控除がある
- ・経費にできる支出の幅が広い
- ※30万円未満の固定資産を一括で経費計上できる、家族への給与を経費計上できる等
- ・赤字の繰り越しができるため損失が無駄にならない
そもそも青色申告は、一定水準の記帳をし記帳に基づく正しい申告をする人が有利な取り扱いを受けられるよう定められた制度です。
労力がかかる分課税対象となる所得を抑えられる仕組みという位置づけである以上、青色申告の方が節税効果が高いのは明らかといえます。
白色申告が向いている人とは?
白色申告が向いている人の特徴として、以下の2つが挙げられます。
- ・経理や事務作業が苦手な人
- ・とにかく手間を抑えたい人
- 経理や税務にかかる手間が少なくて済む点は、青色申告と比較した白色申告のメリットです。
ただし、青色申告は確かに「手間がかかる」点がデメリットですが、このデメリットよりも「節税対策がしやすい」というメリットの方が大きいでしょう。
つまり、白色申告にはあえて選ぶほどのメリットはないといえます。
現時点で白色申告の個人事業主も、いずれは青色申告にするのがおすすめです。
白色申告でも活用できる節税テクニック

白色申告でも効果的な節税は可能です。まず、経費を漏れなく計上することが基本です。事業に関連する支出は細かく記録し、必要経費として計上しましょう。
次に、小規模企業共済への加入も検討する価値があります。掛金は全額が所得控除となり、最大で年間84万円の控除が可能です。また、家族を事業専従者として認めてもらえれば、配偶者は最大86万円、その他の親族は最大50万円まで事業専従者控除を受けられます。
さらに、iDeCoなどの年金制度を活用すれば、掛金が全額所得控除となるうえ、運用益も非課税となります。白色申告でもこれらの節税テクニックを組み合わせることで、税負担を効果的に軽減できるのです。
白色申告から青色申告への切り替え方法
将来的に青色申告への切り替えを検討している方のために、その手続き方法を解説します。青色申告を行うには、原則としてその年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を管轄の税務署に提出する必要があります。
年の途中で事業を開始した場合は、開業日から2ヶ月以内の提出が必要です。申請書は国税庁のウェブサイトからダウンロードできるほか、税務署でも入手可能です。申請が承認されると、その年分の所得から青色申告特別控除などの特典を受けられるようになります。
白色申告から青色申告への移行は、複式簿記の知識が必要になりますが、会計ソフトを活用すれば負担を軽減できますので、節税効果を考慮して検討してみてください。
個人事業主の申告方法に関するよくある質問

ここでは、申告方法の選択や手続き、節税対策に関する代表的な質問について解説します。これらの情報を参考に、自分の事業形態や状況に最適な申告方法を選択し、効率的な税務管理を実現しましょう。
青色申告と白色申告はいつでも切り替えられますか?
青色申告から白色申告への切り替えは、いつでも可能です。特別な手続きは不要で、単に青色申告をしないことで自動的に白色申告となります。
ただし、一度青色申告をやめると、その後3年間は青色申告の承認申請ができないというペナルティがあるため注意が必要です。
一方、白色申告から青色申告への切り替えには期限があります。青色申告を行いたい年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。
年の途中で開業した場合は、開業日から2ヶ月以内に提出しなければなりません。申請が間に合わなかった場合は、翌年からの青色申告となりますので、計画的に手続きを進めることをおすすめします。
青色申告と白色申告、どちらが自分に向いていますか?
青色申告と白色申告の選択は、事業規模や経理能力、時間的余裕によって異なります。年間の所得が少ない場合や、副業程度の事業規模であれば、手続きが簡単な白色申告が向いているかもしれません。
特に、年間所得が65万円以下の場合は、青色申告特別控除を最大限活用しても税負担に大きな差が出ないため、白色申告でも問題ないでしょう。
一方、事業が本格化し所得が増えてくると、青色申告の節税メリットが大きくなります。また、将来的に事業拡大を考えている場合も、早めに青色申告に切り替えておくと良いでしょう。経理作業に不安がある場合は、会計ソフトの活用や税理士への相談も検討してみてください。
確定申告を忘れていた場合はどうすればいいですか?
確定申告を期限内に行わなかった場合は、できるだけ早く「期限後申告」として申告手続きを行いましょう。期限後申告の場合、本来納めるべき税額に加えて、延滞税や無申告加算税が課される可能性があります。
延滞税は納付期限の翌日から納付日までの期間に応じて計算され、無申告加算税は本来納めるべき税額の15%(50万円を超える部分は20%)が課されます。ただし、期限から1ヶ月以内に自主的に申告した場合は、無申告加算税が5%に軽減されます。
また、正当な理由がある場合は、加算税が免除されることもあります。不安な場合は、税務署に相談するか、税理士のアドバイスを受けることをおすすめします。確定申告は毎年必要な手続きですので、次回からは期限を守るよう心がけましょう。
まとめ
「節税のためには青色申告にするべき」というのが一般的な意見ではありますが、青色申告にするには手間がかかります。
そのため、青色申告にするべき理由を知らなければ白色申告のままで良いと考える人も多いかもしれません。
しかし、青色申告の方が節税につながるのは確かな事実です。
そもそも青色申告は一定のルールに沿った処理を行った人の税金を安くするために定められた仕組みといえます。
そのため白色申告にはない様々な優遇措置が存在し、白色申告よりも青色申告の方が税額を抑えられるのです。
白色申告にも手間がかからないというメリットがありますが、あえて白色申告を選ぶほどのメリットとはいえません。
現時点で白色申告の個人事業主も、いずれは青色申告にするのがおすすめです。
青色申告に切り替える方法や、白色申告と青色申告の税額の違い等、確定申告の方法について疑問があれば税理士へご相談ください。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士






