
コアコンピタンスとは他社に真似できない自社ならではの強みを指す言葉です。
単なる強みではなく、特定の条件を満たす要素のみが認められます。
他社との差別化および競争力維持のためには、自社のコアコンピタンスを正しく把握し上手く活用する必要があります。
まずはコアコンピタンス自体に対する理解を深め、その上で自社の強みを確立させる方法を知ることが大切です。
今回はコアコンピタンスについて詳しく解説します。
コアコンピタンスの確立はマーケティング戦略で重要な役割を果たす要素の1つでもあります。
中小企業のマーケティング戦略については以下の記事をご覧ください。
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CONTENTS
コアコンピタンスとは

コアコンピタンスとは、他社に真似できない自社ならではの強みを指します。
経営学者ゲイリー・ハメル氏とC.K.プラハラード氏が著書『コア・コンピタンス経営』の中で提唱しました。
他社との差別化を図り競争力を維持し続けるために必要となるもので、企業の中核的な力といえます。
(書籍では「コア・コンピタンス」という表記が用いられていますが、本記事では「コアコンピタンス」と記載します。)
コアコンピタンスの3つの条件
『コア・コンピタンス経営』の中で、コアコンピタンスの条件として以下の3つが掲げられています。
顧客に利益や価値を提供できる能力
顧客が購入するか否かを判断する基準は「購入する価値があるか」「購入によって利益を得られるか」です。
そのため顧客に利益や価値を提供できる能力が必須となります。
競合他社による簡単な模倣ができない能力
競合他社が簡単に模倣できる能力では差別化につながらないため、コアコンピタンスとはみなされません。
多様な市場、製品に対応可能な能力
企業の中核的な力である以上、様々な場面で能力を発揮できることが絶対条件です。
そのため特定の分野ではなく、多様な市場や製品に対応可能な能力のみが該当します。
どれか1つでも条件を満たさない場合はコアコンピタンスとは認められません。
コアコンピタンスを見極めるために必要な視点
コアコンピタンスを見極めるために必要な視点として以下の5つが挙げられます。
模倣可能性(Imitability)
前述のように、コアコンピタンスと認められるのは競合他社による簡単な模倣ができない能力のみです。
模倣可能性が高い要素は条件を満たさないため候補から外れます。
移行可能性(Transferability)
新製品や新サービスの開発にも活用できる能力であるかを検討します。
3つの条件の1つである「多様な市場、製品に対応可能な能力」の判断に必要です。
代替可能性(Subsitutability)
競合他社の製品やサービスなど、代替できるものがあるかを検討します。
代替困難な要素は差別化につながるものであり、優位性の獲得を期待できます。
希少性(Scarcity)
「ほかにはみられないユニークであるか」「珍しいものであるか」とも表現可能です。
5つの視点の1つではあるものの、基本的には模倣可能性と代替可能性の両方を満たす能力は希少性も兼ね備えていると判断されます。
耐久性(Durability)
ここでいう耐久性とは、長期にわたり優位性を維持できるかを意味します。
短期間で消えてしまう、もしくは通用しなくなる能力の場合、自社の利益に貢献する期間はわずかです。
競争力を長く維持できるかを検討するために、耐久性の視点からも評価を行う必要があります。
コアコンピタンスとケイパビリティの違い
ケイパビリティとは、もとは「能力」や「才能」などの意味をもつ言葉です。
ビジネス用語としては、企業の組織的能力や組織全体の強みを意味します。
コアコンピタンスは企業のもつ特定の能力にフォーカスした言葉であるのに対し、ケイパビリティは組織的能力に焦点を当てた言葉です、
どちらも強みに関する言葉ではありますが、どこに焦点を当てているかが全く異なります。
コアコンピタンスの確立方法

コアコンピタンスを確立するまでのステップは大きく4つに分けられます。
各工程の進め方やポイントについて解説します。
自社の強み、機会、優位性などを洗い出す
最初に自社の強み、機会、優位性などを洗い出しましょう。
この工程ではコアコンピタンスに該当するか否かの細かな分析はせず、プラスといえる要素をなるべく多く挙げていきます。
強みや機会、優位性の洗い出しに適したフレームワークとしてSWOT分析が挙げられます。
SWOT分析は自社の内部環境・外部環境に存在するプラス要因とマイナス要因を洗い出す分析手法です。
自社を取り巻く要素をStrength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つに分類し分析します。
SWOT分析の手順については以下の記事をご覧ください。
コアコンピタンスの条件に該当するか評価する
続いて、最初の工程で洗い出した強み、機会、優位性などの項目がコアコンピタンスの条件に該当するかを評価します。
前章で紹介したように、コアコンピタンスと呼べるのは以下3つの条件をすべてみたす要素のみです。
- ・顧客に利益や価値を提供できる能力
- ・簡単な模倣ができない能力
- ・多様な市場、製品に対応可能な能力
例えば顧客に多大な価値を提供できても、特定の製品でしか活用できない能力であればコアコンピタンスとはいえません。
前節で触れたSWOT分析によって洗い出す要素のうち、コアコンピタンスになり得るのはStrength(強み)とOpportunity(機会)です。
StrengthまたはOpportunityとして挙げた項目が、コアコンピタンスの3つの条件をすべて満たすかチェックしていきましょう。
強みの絞り込みを行う
コアコンピタンスの条件に該当する項目が複数存在する場合、さらなる絞り込みを行う必要があります。
前章で挙げた5つの視点から改めて評価を行いましょう。
すべての項目で高く評価ができる能力が、企業の核となる可能性が高い本質的な強みといえます。
コアコンピタンスとして明文化する
コアコンピタンスを最大限に活かすためには、社内の全員が自社にとっての中核的な能力が何であるかを理解する必要があります。
誰もが正確に把握できる状態にするためには、わかりやすい表現での明文化も必要です。
明文化した内容は、ミーティングや研修等の場面での発表や、社内報・社内向けメールへの記載等により周知しましょう。
コアコンピタンスの具体例

最後に具体例として、コアコンピタンスをもつ企業3社を紹介します。
HONDA|エンジン技術
自動車メーカーであるHONDA(本田技研工業株式会社)がもつコアコンピタンスはエンジン技術です。
1970年の大気浄化法改正法により、自動車の販売許可の条件が不可能といわれるほどに厳しくなりました。
そのような中、HONDAは低公害技術を駆使した新型エンジン「CVCC」を開発し、アメリカ環境保護局の認定を取得します。
圧倒的なスピードで新技術を開発したとして世界中から高く評価されました。
エンジン技術は自動車だけでなく、オートバイや農機、除雪機など幅広い製品にも活用されています。
マイクロソフト|オペレーティングシステム
マイクロソフトはWindowsやDOSなどのオペレーティングシステム(OS)の標準規格を獲得しています。
顧客に利益を与えるのはもちろん、簡単な模倣ができない点や、世界中の市場に対応できるという条件も満たします。
長期にわたり市場優位性を維持し続け安定した売上収入を得るための要素で、まさにマイクロソフト社の中核的な能力といえるでしょう。
味の素|アミノ酸のノウハウ・技術力
味の素のコアコンピタンスはアミノ酸のノウハウ・技術力です。
味の素は創業以来アミノ酸に関する研究開発を続けており、アミノ酸技術を活かした製品を数多く開発・販売しています。
味の素社も、アミノ酸について研究を続けていることについて「我々独自のアプローチであり、とても強いコアコンピタンスだと思っている」と明言しています。
まとめ
コアコンピタンスとは自社ならではの強みのことで、企業の中核的な力といえます。
顧客に利益や価値を提供する、簡単な模倣ができない、多様な市場等に活かせるという3つの条件を満たす能力が該当します。
コアコンピタンスを見極めるには、模倣可能性をはじめとした5つの視点が必要です。
自社の強みといえる要素でも、コアコンピタンスの条件を満たすとは限りません。
コアコンピタンスを確立するには強みの洗い出しや評価など一定の工程を踏む必要があります。
能力を最大限に活用するためには、明文化および社内への周知も必要です。
今回紹介した内容を押さえ、自社のコアコンピタンスをしっかり確立させましょう。
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記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士








