流動比率とは?計算方法と業種別の適正水準を紹介!

2026.02.06

流動比率とは流動負債に対する流動資産の割合で、主に企業の短期的な安定性を判断する目的で用いられる指標です。

流動比率が高いほど、資金状況が安定しているとみなされます。

 

流動比率は100%を超えることが大前提です。

その上で、業種別または規模別の流動比率の平均を目安と考えるのが良いでしょう。

流動比率が100%以下の場合や目安を大きく下回る場合は早急な改善策をとるべきといえます。

 

今回は流動比率について詳しく解説します。

 

流動比率は財務分析のうち「安全性分析」で多く用いられる指標の1つです。

財務分析については以下の記事をご覧ください。

 

 

 

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CONTENTS

流動比率とは

流動比率とは流動負債に対する流動資産の割合です。

主に企業の短期的な債務の支払能力を測り、短期的な安定性を判断する目的で用いられます。

 

なお流動資産は現金および1年以内に現金化が予定される資産、流動負債は1年以内に返済が必要な負債のことです。

流動比率の計算方法

流動比率の計算方法は以下の通りです。

  • 流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100

 

例えば流動資産の合計が450万円、流動負債の合計が300万円の場合、流動比率は以下のようになります。

  • 450万円÷300万円×100=150%

 

流動比率が高い(流動負債に対する流動資産の割合が大きい)ほど、資金状況が安定しているとみなされます。

流動資産と流動負債の例

続いて、流動資産と流動負債のそれぞれに該当する勘定科目の具体例を紹介します。

流動資産の例

流動資産に該当する勘定科目の例は以下の通りです。

  • ・現金
  • ・預貯金(満期まで1年を超える定期預金は除く)
  • ・受取手形
  • ・売掛金
  • ・有価証券(売買目的または満期日が1年以内の有価証券のみ)
  • ・商品
  • ・製品
  • ・原材料
  • ・仕掛品
  • ・短期貸付金
  • ・前払費用
  • ・未収入金
  • ・立替金
  • ・仮払金

前述のように、流動資産に該当するのは現金および1年以内に現金化する予定のある資産のみです。

満期までの期間が1年を超えるものや長期保有を前提とする資産は固定資産に該当します。

流動負債の例

  • ・支払手形
  • ・買掛金
  • ・未払法人税等
  • ・未払金
  • ・未払費用
  • ・預り金
  • ・短期借入金
  • ・前受金
  • ・前受収益

流動負債に該当するのは、1年以内に返済期限が到来する負債です。

同じ借入金でも、返済期限が1年よりも後に到来するものは固定負債である「長期借入金」として扱います。

流動比率の目安

流動比率は100%を超えることが大前提です。

流動比率が100%以下の場合、すぐに現金化できる資産よりも1年以内に返済が必要な負債が多い状態を意味します。

すなわち短期的な返済能力に懸念があり、資金ショートを起こす恐れがある状態です。

したがって最低でも流動比率は100%を超えている状態を維持し続けるべきといえます。

 

とはいえ、100%を少し超えた程度では流動資産の方が多少多いものの資金繰り面での余裕は小さい状態です。

資金繰りにある程度の余裕をもたせるという意味で、流動比率120%以上が目安、200%以上が望ましいとされます。

 

ただし、流動比率の目安は業種や企業の規模によって大きく異なるため一概にはいえません。

流動比率は全体の目安である120%ではなく、自社の業界・規模を考慮した上で考えるべきでしょう。

業種別の流動比率の平均

まずは業種別の流動比率の平均です。

中小企業実態企業調査の令和6年確報(令和5年度決算実績)によると、業種別の流動比率は以下の通りでした。

 

業種流動比率(小数第二位で四捨五入)
建設業208.9%
製造業204.1%
情報通信業238.1%
運輸業,郵便業178.4%
卸売業175.6%
小売業150.3%
不動産業,物品賃貸業169.4%
学術研究,専門・技術サービス業228.7%
宿泊業,飲食サービス業151.4%
生活関連サービス業,娯楽業158.6%
サービス業(他に分類されないもの)185.2%

参考:中小企業実態基本調査 令和6年確報(令和5年度決算実績) 2.資産及び負債・純資産(法人企業) (3)産業別・資本金階級別表 確報

「資産_流動資産÷負債及び純資産_負債_流動負債×100」で計算

 

情報通信業や学術研究,専門・技術サービス業のように、物理的な在庫をもたない業種は流動比率が高い傾向にあります。

企業の規模(資本金階級)ごとの流動比率の平均

続いて企業の規模(資本金階級)ごとの流動比率の平均を紹介します。

 

資本金階級流動比率(小数第二位で四捨五入)
1千万円以下191.7%
1千万円超~3千万円199.4%
3千万円超~5千万円176.8%
5千万円超~1億円179.4%
1億円超~3億円182.1%
3億円超146.3%
全体185.7%

参考:中小企業実態基本調査 令和6年確報(令和5年度決算実績) 2.資産及び負債・純資産(法人企業) (3)産業別・資本金階級別表 確報

「資産_流動資産÷負債及び純資産_負債_流動負債×100」で計算

 

資本金階級と流動比率の平均に明確な相関関係はみられません。

実際のところ、流動比率を大きく左右する要因は業種やビジネスモデルといえます。

企業の規模ごとの流動比率の平均はあくまで参考程度とし、業種別の平均を目指すのが良いでしょう。

参考|流動比率の動き

財務総合政策研究所の「法人企業統計からみえる企業の財務指標」では、財務指標の推移が公開されています。

同資料によると、1960年度から2023年度にかけて流動比率は右肩上がりの状態です。

2000年度の全産業の平均は100%程度でしたが、2023年度は152.3%と数値が大幅に上昇しています。

 

参考:法人企業統計からみえる企業の財務指標 : 財務総合政策研究所

流動比率の改善方法

流動比率を改善する方法は、流動負債を減らす方法と流動資産を増やす方法に大別されます。

財務状態、事業内容、経営戦略等によって適した方法が異なるため、自社に合うやり方を選ぶことが大切です。

流動負債を減らす方法の具体例

流動負債を減らす方法は大きく2つに分けられます。

返済や支払いにより計上額を減らす

最も単純な方法は流動負債の返済や支払いを行うことです。

具体的な方法として以下の例が挙げられます。

  • ・買掛金を早期に支払う
  • ・借入金の繰り上げ返済を行う
  • ・未払金や未払法人税等を支払う

 

ただし、期日よりも前の返済や支払いには債権者の許可が必要なケースもあります。

また、そもそも手元資金がなければ実施できません。

流動負債を減らそうと無理に返済を進めると、かえって資金不足を招くリスクが上がる点に注意が必要です。

返済期限を延ばしてもらう

借入金のうち、流動負債に計上するのは1年以内に返済期限が到来する分のみと紹介しました。

すなわち返済期限を1年よりも後にしてもらえれば長期借入金になるため、流動負債ではなく固定負債として扱われます

 

ただし、返済期限を延ばせるかは債権者次第であり、強要はできません。

また、期限が延びることで支払利息が増える点にも注意が必要です。

 

流動負債を減らす方法は資金面に悪影響を与える恐れがある上、債権者との交渉次第な面もあるため、実施できるとは限りません。

したがって流動比率の改善は、流動負債を減らす方法よりも流動資産を増やす方法の方が実施しやすいといえるでしょう。

流動資産を増やす方法の具体例

流動資産を増やす方法の例を3つ紹介します。

売掛金の回収サイクルを早める

売掛金の回収サイクルを早めることで現預金が増えるため、資金ショートを起こすリスクが下がります。

 

売掛金の回収により現預金が増えても、その分売掛金が減るため、厳密には流動資産が増えるわけではありません。

ただし売掛金はそのままの状態では現金としては使えない上、回収が長引けば不良債権になる恐れもあります。

売掛金を回収し現預金にすれば流動資産の質が高まるため、実質的な返済能力を上げる方法として効果的です。

在庫を処分して現金化する

前項で挙げた売掛金と同様、在庫も流動資産に該当します。

そのため在庫を処分して現金化しても流動資産の内訳が変わるだけで、流動資産そのものが増えるわけではありません。

しかし流動資産の質の向上により返済能力が上がれば、結果として安定性の向上にもつながるでしょう。

遊休資産を処分して現金化する

遊休資産の処分による現金化は、固定資産を減らし流動資産を増やす方法といえます。

すなわちこれまでに紹介した2つの方法と違い、流動資産の内訳を変えるだけではなく、必ず流動資産が増える方法です。

また、遊休資産の処分には、固定資産管理の手間の軽減や貸借対照表のスリム化というメリットもあります。

まとめ

流動比率とは流動負債に対する流動資産の割合を示す指標です。

主に企業の短期的な返済能力や安定性を判断する目的で用いられます。

 

流動比率は100%超が大前提です。

理想は120%超で、200%を超えていれば安全性が高いといわれています。

ただし流動比率の平均は業種や事業内容によって異なるため一概にはいえません。

全体的な目安や平均ではなく、自社の業種における平均を目指すのが良いでしょう。

 

流動比率が100%以下または平均を大きく下回る場合は早急な対処が必要です。

流動比率の改善策として複数の選択肢がありますが、どの方法を実施できるかはケースによって異なります。

自社の状況を適切に把握し、自社に合う改善策を選びましょう。

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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士

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