財務分析とは?5つの重要指標と分析方法をわかりやすく解説

2026.01.16

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財務分析とは財務諸表の数字を分析して経営状況を把握することです。

一般的に、ある時点の財政状態を示す貸借対照表と、一定期間の経営成績を示す損益計算書の2つを用いて行います。

 

財務分析の代表的な指標は5つあり、それぞれ分析方法が異なります。

経営状況を正しく把握するためには、財務分析の方法について十分な理解が必要です。

 

今回は財務分析について詳しく解説します。

 

貸借対照表・損益計算書については以下の記事をご覧ください。

 

 

 

 

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CONTENTS

財務分析とは

財務分析とは、財務諸表の数字を分析して経営状況を把握することです。

財務分析によって把握できた情報をもとに、現状の課題分析や戦略立案などを行います。

財務分析に使う書類

財務諸表に該当する書類は複数ありますが、財務分析で主に使用するのは貸借対照表と損益計算書の2つです。

それぞれの特徴を紹介します。

貸借対照表

貸借対照表は特定のタイミングにおける企業の財務状態を示す書類です。

英語表記である「Balance Sheet」を略した「B/S」や、「バランスシート」とも呼ばれます。

 

貸借対照表の借方(左側)には保有する財産が、貸方(右側)には財産の調達方法が示されています。

貸借対照表を構成する要素は以下の3つです。

 

  • 資産
  • 資産は会社が保有する財産のことです。
  • 資産の性質によって「流動資産」「固定資産」「繰延資産」の3つに分けられます。
  •  
  • 負債
  • 負債とは他人資本(将来的に返済の必要があるお金)のことで、貸方の上部に記載されます。
  • 原則として返済期日が1年以内に到来するものが「流動負債」、返済期日まで1年を超えるものが「固定負債」に該当します。
  •  
  • 純資産
  • 資産から負債を差し引いた差額部分です。
  • 返済義務のないお金が該当します。

 

貸借対照表についての詳細は以下の記事をご覧ください。

 

損益計算書

損益計算書は一定期間における経営成績を表す書類です。

英語表記である「Profit&Loss Statement」を略した「P/L」とも呼ばれます。

 

損益計算書の構成要素は以下の3つです。

  • 収益:事業活動によって得た資産の増加分
  • 費用:事業活動によって発生したコスト
  • 利益:収益から費用を引いた差額部分

損益計算書では収益・費用を性質に応じて区分した上で、5つの利益を表示します。

各利益の特徴を紹介します。

 

  • 売上総利益
  • 主たる営業活動による収益(売上高)から売上原価を差し引いた利益です。
  •  
  • 営業利益
  • 売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いた利益で、本業の活動による利益を意味します。
  •  
  • 経常利益
  • 本業以外による収益と費用を含めて計算した利益です。
  • 企業の経常的な活動による利益を表します。
  •  
  • 税引前当期純利益
  • 臨時的または偶発的な収益および費用を含めて計算した利益です。
  •  
  • 当期純利益
  • 法人税等を差し引いた最終的な利益です。

 

損益計算書については以下の記事で詳しく解説しています。

 

財務分析の目的

財務分析を実施する目的について、企業側と投資家側それぞれ詳しく解説します。

企業側の実施目的

企業が財務分析を行う目的は経営判断や戦略立案に向けた材料を集めることです。

 

自社の財務分析によって、以下のような効果を得られます。

  • ・現状の課題を正確に把握する
  • ・将来起こり得るトラブルの前兆を早い段階でみつける
  • ・客観的な根拠に基づく将来性の予測ができる

 

財務分析の実施により、数字という客観的な根拠に基づいた意思決定が可能になります。

投資家側の実施目的

投資家が財務分析を行う目的は、投資判断を行うために必要となる材料を集めることです。

 

投資先の判断基準は人によって違いがあるものの、多くの場合は以下の2点を重視します。

  • ・財務状態が健全であるか
  • ・高い収益性や成長性が期待できるか

 

詳しくは後述しますが、安全性、収益性、成長性はいずれも財務分析における代表的な指標です。

投資判断の根拠となる材料を集めるため、多くの投資家は財務分析を行います。

財務分析 代表的な5つの分析対象ごとの分析方法と指標

財務分析の主な分析対象として、収益性、安全性、成長性、生産性、効率性の5つが挙げられます。

それぞれ分析を行う目的や分析方法、重視される指標について解説します。

収益性分析

収益性分析の目的は企業にどれだけ稼ぐ力があるかを分析することです。

単純な売上や利益の額ではなく、本業が好調であるか、資本を効率良く活用できているか等を把握するために行います。

 

収益性分析で用いられる主な指標を3つ紹介します。

売上高総利益率

売上高に対する売上総利益の割合です。「粗利率」とも呼ばれます。

売上高総利益率の計算式は以下の通りです。

  • 売上高総利益率(%)= 売上総利益÷ 売上高 × 100

売上高総利益率が高いほど、商品やサービスの提供により利益を生み出す力があると判断できます。

ROA(総資産利益率)

ROAとは英語の「Return On Assets」を略した言葉で、投下した資産をどれだけ効率良く活用できているかを示す指標です。

日本語では「総資産利益率」と呼ばれます。

 

ROAは以下のように計算します。

  • ROA(%)=当期純利益÷総資産×100

 

ROAが高いほど資産を効率良く活用して利益を生み出せていると判断できます。

ROE(自己資本利益率)

ROEは「Return On Equity」を略したもので、企業の当期純利益に対する自己資本の割合を示す指標です。

日本語では「自己資本利益率」と表します。

 

ROEの計算方法は以下の通りです。

  • ROE(%)=当期純利益÷自己資本×100

 

前述したROAと違い、ROEは投下資本のうち自己資本のみを計算に用います。

ROEが高いほど自己資本を使って効率良く利益を上げている状態と判断できます。

 

ROEの詳細は以下の記事をご覧ください。

 

安全性分析

安全性分析の目的は企業の支払い能力および健全性を評価することです。

倒産リスクの判断とも表現できます。

 

安全性分析の主な指標を3つ紹介します。

流動比率

流動比率とは流動資産と流動負債の割合を示す指標です。

以下の計算式で求められます。

  • 流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100

流動比率が100%を切っている場合は流動負債が流動資産を上回っている状態です。

短期的な支払い能力に問題があるため、資金繰りが困難になる恐れに注意する必要があります。

固定比率

固定比率とは自己資本に占める固定資産の割合で計算式は以下の通りです。

  • 固定比率(%)=固定資産÷自己資本×100

 

固定比率が100%以下の場合、保有する固定資産をすべて自己資金でまかなえている状態です。

支払い能力に余裕があり、長期的な安全性が高いと判断できます。

自己資本比率

自己資本比率とは資本全体に占める自己資本の割合です。

自己資本比率は以下の式で計算します。

  • 自己資本比率(%)=自己資本÷総資本×100

 

自己資本比率が低いと他人資本の返済による影響を受けやすく、債務超過を原因とした経営悪化や倒産のリスクが高いと判断できます。

成長性分析

成長性分析の目的はこれまでの成長実績を分析し、将来の成長の可能性を予測することです。

成長性分析の主な指標を2つ紹介します。

売上高成長率

売上高成長率とは、前期と比較してどれほど売上高が増えたかを示す指標です。

以下のように計算します。

  • 売上高成長率(%)=(当期売上高-前期売上高)÷ 前期売上高×100

成長性を判断するためには、複数年の売上高成長率を計算し推移を確認するべきといえます。

経常利益成長率

経常利益成長率は前期と比較してどれほど経常利益が増えたかを示す指標で、計算式は以下の通りです。

  • 経常利益成長率(%)=(当期経常利益-前期経常利益)÷ 前期売上高×100

前述した売上高成長率は本業での収益のみを考慮した指標でした。

本業以外の経常的な活動を含めた成長性の分析には経常利益成長率が適しています。

生産性分析

生産性分析の目的は、経営資源をどれほど効率良く活用できているかの分析です。

生産性分析で重視される指標を2つ紹介します。

労働生産性

労働生産性とは従業員1人あたり、または労働時間1時間あたりにつき生み出される付加価値を算出する指標です。

 

労働生産性を求めるには、まずは付加価値を計算する必要があります。

付加価値の計算方法は2種類存在します。

  • 控除法:売上高-外部への支払い費用(材料費、外注加工費、運送費など)
  • 加算法:経常利益+人件費+金融関連費用+賃借料+租税公課+減価償却費

 

労働生産性の計算方法は以下の通りです。

  • 労働生産性(円)=付加価値額÷従業員数または労働時間

労働分配率

労働分配率とは付加価値に対する人件費の割合を示す指標です。

労働分配率は以下の計算式で求められます。

  • 労働分配率(%)=人件費÷付加価値額×100

 

適正な水準は事業規模や業種によって異なるため、業種ごとの平均や競合他社との比較による分析が必要です。

効率性分析

効率性分析の目的は企業がどれほど資産を効率的に活用しているかの分析です。

効率性分析の主な指標を2つ紹介します。

総資本回転率

総資本回転率とは総資本をどのぐらい効率的に活用できているかを示す指標です。

「現金→投資(原材料の調達や設備投資)→販売→回収」を1回転とし、1年間の売上で資本を何度回収できたかを確認します。

総資本回転率の計算方法は以下の通りです。

  • 総資産回転率(回)=売上高÷総資本

総資本回転率が多いほど、少ない資本で多くの売上を獲得できたことを意味します。

棚卸資産回転率

棚卸資産回転率は在庫回転の早さを示す指標です。

以下の計算式で求めます。

  • 棚卸資産回転率(回)=売上高÷棚卸資産

数値が大きいほど在庫の回転が早く、在庫管理が効率良く行われていると判断できます。

まとめ

財務分析とは財務諸表の数値を用いて経営分析を行うことです。

企業は経営判断や戦略立案に向けた材料を集めるため、投資家は投資判断に必要な情報を集めるために行います。

 

財務分析の主な分析対象は「収益性」「安全性」「成長性」「生産性」「効率性」の5つです。

分析手法によって使用する指標および把握できる情報が全く異なります。

自社の目的に合う財務分析を実施するため、分析手法や主な指標について理解を深めることが大切です。

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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士

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