
2025年12月24日、厚生労働省の公式ホームページで2026年度診療報酬改定の内容が公開されました。
公開された資料の中では診療報酬の引き上げ率のほか、今後の対応方針や措置について記載されています。
2026年度診療報酬改定に伴う対応や措置により、医療機関が様々な影響を受ける可能性があります。
変化による影響を最小限に抑えるためには、診療報酬改定に関連して医療機関が行うべき対策についても確認が必要です。
今回は2026年度診療報酬改定について詳しく解説します。
診療報酬改定DXについては以下の記事をご覧ください。
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CONTENTS
2026年度診療報酬改定の基本方針

診療報酬改定の内容の前に、まずは基本方針から確認しましょう。
2026年度の診療報酬改定の基本方針として4つの軸が定められていました。
それぞれ詳しく解説します。
医療機関等を取り巻く環境変化への対応
医療機関等を取り巻く環境変化への対応は、2026年度診療報酬改定における重要課題として定められたものです。
具体的な方向性として以下の2つが挙げられています。
- ・人件費、医療材料費、食材料費、光熱水費、委託費等の高騰を踏まえた対応
- ・賃上げ、業務効率化、負担軽減等の業務改善による医療従事者確保に向けた取り組み
詳しくは次の章で解説しますが、2026年度の診療報酬改定による診療報酬の引き上げが決定されました。
診療報酬の引き上げは、医療機関が上記の対応に必要な資金を確保できるように定められたという面があります。
医療機関の機能の分化・連携、地域における医療の確保、地域包括ケアシステムの推進
2040年頃を見据えた医療機関の機能の分化・連携、地域における医療の確保、地域包括ケアシステムの推進も重要事項です。
具体的な方向性として以下の8つが定められています。
- ・患者の状態や必要と考えられる医療機能に応じた入院医療の評価
- ・「治し、支える医療」実現のための各種取り組みの実施
- ・かかりつけ医、歯科医、薬剤師機能の評価
- ・外来医療の機能分化および連携
- ・質の高い在宅医療および訪問看護の実施
- ・人口や医療資源の少ない地域への支援
- ・医療従事者を確保し必要な医療機能を確保するための取組
- ・医師の地域偏在対策の推進
適切な医療を提供するための体制整備やシステム作りの推進も、診療報酬改定において重視されているポイントといえるでしょう。
安心・安全で質の高い医療の推進
安心・安全で質の高い医療の推進に関する事項として以下の例が挙げられます。
- ・患者が安心安全に医療を受けるための体制の評価
- ・医療DXやICT連携を活用する医療機関や薬局の体制の評価
- ・救急、小児・周産期等の重点的な対応が求められる分野への適切な評価
- ・地域の医薬品供給拠点としての薬局に対する適切な評価、対人業務の充実化
- ・イノベーションの適切な評価
医療機関の取り組みに応じた適切な評価やサポートが重視されています。
効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性および持続可能性の向上
医療保険制度の安定性および持続可能性の向上に関する項目の例は以下の通りです。
- ・後発医薬品やバイオ後続品の使用促進
- ・薬剤自己負担の在り方の見直し
- ・市場実勢価格を踏まえた適正な評価
医療保険を持続可能な制度とするための施策が考えられています。
2026年度診療報酬改定の内容

続いて、2026年度診療報酬改定の具体的な内容について解説します。
診療報酬本体の引き上げ
2026年度診療報酬改定における大きな変化の1つは、診療報酬本体の引き上げです。
令和8年度に+2.41%、令和9年度に+3.77%の引き上げ、2度平均で+3.09%の引き上げとなります。
引き上げ率の内訳は以下の通りです。
- 賃上げ分
- ・令和8年度:+1.23%
- ・令和9年度:+2.18%
- 物価対応分
- ・令和8年度:+0.55%
- ・令和9年度:+0.97%
- 特に令和8年度以降の物価上昇への対応として、令和8年度+0.41%、令和9年度+0.82%を充てる。施設類型ごとの費用関係データに基づいた以下の配分を実施
- ・病院:+0.49%
- ・医科診療所:+0.10%
- ・歯科診療所:+0.02%
- ・保険薬局:+0.01%
- 食費・光熱水費分
- +0.09%
- また、入院時の食費基準額の引上げ(40 円/食)の措置を実施
- 2024年度診療報酬改定以降の経営環境の悪化を踏まえた緊急対応分
- +0.44%
- 施設類型ごとの内訳は以下の通り
- ・病院:+0.40%
- ・医科診療所:+0.02%
- ・歯科診療所:+0.01%
- ・保険薬局:+0.01%
- 処方や調剤に係る評価の適正化等に関する調整
- ▲0.15%
- その他の改定分
- +0.25%
- 各科改定率は以下の通り
- ・医科:+0.28%
- ・歯科:+0.31%
- ・調剤:+0.08%
薬価等の引き下げ
薬価等は以下のように引き下げが実施されます。
- 薬価:▲0.86%(国費▲1,052 億円程度)
- 材料価格:▲0.01%(国費▲11 億円程度)
- 合計:▲0.87%(国費▲1,063 億円程度)
薬価の引き下げは2026年4月、材料価格の引き下げは2026年6月に施行予定です。
診療報酬制度・薬価制度に関連する事項
診療報酬制度・薬価制度に関連する事項として、特に重要なポイントを紹介します。
賃上げの実効性確保のための対応
今回の賃上げ措置は、物価上昇を超える賃上げを実現する目的で行われるものです。
確実な賃上げの実現に向けて、賃上げ措置の実効性が確保される仕組みの構築を行う旨が明示されています。
更なる経営情報の見える化のための対応
2026年度の診療報酬改定から、医療法人の経営情報のデータベース等の活用が可能となっています。
今後の診療報酬改定に向けて、医療機関の経営実態をさらに詳細に把握できるような仕組み作りに向けた検討が行われる予定です。
費用対効果評価制度の更なる活用
費用対効果評価制度の更なる活用のために以下の措置が検討されています。
- ・追加的な有用性がなく、単なるコスト増につながる医薬品に係る価格調整範囲の拡大
- ・費用対効果評価制度の対象品目や価格調整の範囲の拡大
- ・診療ガイドラインへの反映を含めた医療現場での普及につながる措置
2026年度診療報酬改定による影響と対策

2026年度診療報酬改定の中で医療機関に求められる事項が複数存在します。
変化に上手く対応し影響を最小限に抑えるためには、医療機関が行うべき対策についても確認が必要です。
この章では2026年度診療報酬改定による影響と対策について詳しく解説します。
人材確保に向けた賃上げ等の取り組みの強化が求められる
2026年度診療報酬改定の公表資料「3.診療報酬制度関連事項」の中で、措置の意図や医療機関に求める対応などが記載されています。
このうち「②賃上げの実効性確保のための対応」の中で、今回の賃上げ措置が物価上昇を超える賃上げを実現するためのものである旨が明記されています。
また「2026年度診療報酬改定の基本方針」で紹介した通り、医療従事者の人材確保に向けた取組は重要課題の1つです。
賃上げを前提とした診療報酬の引き上げが実施された以上、医療機関には人材確保に向けた賃上げ等の取り組みの強化が求められるといえるでしょう。
業務効率化・医療DXに向けた取り組みの必要性が高まる
令和8年度診療報酬改定の基本方針の概要で、具体的方向性として以下の例が挙げられています。
- ・業務の効率化に資する ICT 、AI、IoT等の利活用の推進
- ・医療DXやICT連携を活用する医療機関や薬局の体制の評価
- ・電子処方箋の活用
- ・医師および病院薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用等の推進
これらの情報から、業務効率化および医療DXに関する動きが今後さらに活発化すると考えられます。
医療機関側に求められる動きも増えるため、対応が必要となるでしょう。
医療機関ごとの役割の明確化が進む
2026年度診療報酬改定の4つの軸の1つとして「医療機関の機能の分化・連携、地域における医療の確保、地域包括ケアシステムの推進」があります。
1つの医療機関が幅広い医療を提供するというよりは、機能の分化および他院との連携が求められているといえるでしょう。
実際、診療報酬改定の具体的方向性として以下のような項目が明記されています。
- ・医師の地域偏在対策の推進
- ・外来医療の機能分化と連携
- ・地域における医療の確保
- ・地域包括ケアシステムの推進
これらの実現に向けて、各医療機関は自院の役割を認識し、それに向けた対策を行う必要があるといえるでしょう。
まとめ
2026年度診療報酬改定により、診療報酬が2026年度に+2.41%、2027年度に+3.77%の引き上げとなります。
このうち半分以上は賃上げ分であることから、医療従事者の賃料引き上げは重要性・緊急性が高いと判断できます。
その他にも、業務効率化・医療DXに向けた取り組みや、医療機関ごとの役割の明確化なども必要です。
診療報酬改定に関する公表資料からは、医療業界における課題や医療機関に求められる対策等を読み取れます。
診療報酬の引き上げ率等だけでなく、今後起こり得る影響や対策も意識しながら情報収集を行うと良いでしょう。
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記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士







