
近年、副業を行うサラリーマンが増えています。
副業をする目的として、収入を増やす・空いた時間を活用する・スキルを身に付けるなど、さまざまなものが挙げられますが、最近は節税目的で副業を行う人も増加傾向です。
サラリーマンが副業によって節税を行うことは不可能ではありませんが、注意点も存在します。
今回はサラリーマンが副業で節税するために押さえたいポイントを詳しく解説します。
以下の記事でも会社員が個人でできる節税テクニックを紹介していますので、ぜひご覧ください。
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サラリーマンの副業で節税は可能?

副業による節税の可否を考える前に、まずは所得税の仕組みを押さえる必要があります。
大前提として、会社からの給料は給与所得、副業収入は事業所得または雑所得に該当します。
給与所得は文字通り、勤務先から受ける給料・賃金・賞与などの所得です。
額面そのままではなく、給与所得控除額を差し引いた金額が給与所得となります。
副業収入は前述したように、事業所得または雑所得に該当します。
それぞれの大まかな特徴や違いは以下の通りです。
- 事業所得
農業・漁業・製造業・卸売業・小売業・サービス業・その他の事業など、事業から生じる所得を指します。
雑所得
事業所得を含めたほかの所得区分に該当しない所得です。
例として、公的年金等・印税・非営業用貸金の利子などが挙げられます。
サラリーマンが副業で節税できるのは、副業収入が事業所得に該当し、かつ赤字である場合です。
この場合は損益通算によって所得税の還付を受けられます。
損益通算とは、所得金額の計算上生じた損失を、別の所得金額から控除できる仕組みです。
損益通算の対象となる所得は以下の4つです。
- ・不動産所得
- ・事業所得
- ・譲渡所得
- ・山林所得
給与所得が500万円、副業による事業所得がマイナス100万円(赤字)の場合を例にします。
この場合、損益通算によって課税対象となる所得は500万円-100万円=400万円となります。
給与所得のみの場合よりも課税対象となる所得が小さくなるため、節税につながるのです。
なお、給与所得にかかる所得税は勤務先による年末調整で精算され、納付も完了済の状態となります。
副業による節税のためには所得税の確定申告を行い、払いすぎた分の還付を受ける必要があります。
副業が節税に効果的な理由
サラリーマンが副業を行うことで節税効果が得られる理由は主に2つあります。
1つ目は「経費計上」が可能になることです。
通常のサラリーマンは給与所得のみで経費計上の余地がほとんどありませんが、副業を始めることで仕事関連の支出を経費として計上できるようになります。パソコンや書籍代、セミナー参加費、交通費など、副業に関連する支出を経費にできれば課税所得を減らすことができます。
2つ目は「青色申告特別控除」の活用です。
青色申告を選択すれば最大65万円の所得控除が受けられ、副業で利益が出た場合でも税負担を大幅に軽減できます。さらに、会社員は本業で社会保険料を納めているため、副業の所得に対して追加の社会保険料を支払う必要がないという利点もあります。
副業の種類による節税効果の違い
副業の種類によって節税効果は大きく異なります。最も節税効果が高いのは「事業所得」として認められる副業です。
フリーランスとしての仕事やコンサルティング、ウェブ制作など、継続性や反復性があり事業性が認められる副業であれば、赤字が出た場合に本業の給与所得と損益通算ができ、所得税の還付を受けられる可能性があります。
一方、単発のアンケート回答やポイントサイト、メルカリでの不用品販売などは「雑所得」に分類されることが多く、赤字が出ても本業の所得と相殺できないため節税効果は限定的です。
また、不動産所得として認められる副業(アパート経営など)も損益通算が可能で節税効果が高いと言えます。副業を始める際は、節税効果を最大化するために、どの所得区分に該当するかを事前に確認しておくことが重要です。
副業で節税をするためのポイント

サラリーマンが副業で節税するためのポイントを4点紹介します。
副業で使える経費の範囲を知る
副業で節税するためには、経費として計上できる範囲を正確に把握することが重要です。副業に関連する支出は基本的に経費として認められますが、具体的には以下のようなものが含まれます。
全額経費にできる可能性が高いものとしては、パソコンなどの電子機器、文房具、書籍代、セミナー参加費、仕事のための交通費、打ち合わせのための食事代などがあります。
また、一部経費として計上できるものには、家賃、水道光熱費、通信費などがあります。これらは「家事按分」といって、副業に使用している割合(時間やスペース)に応じて経費計上できます。
一般的には3〜5割程度を目安にすることが多いですが、実際の使用状況に基づいて税務署に説明できる範囲内で設定することが大切です。経費の範囲について判断に迷う場合は、税理士や税務署に相談することをお勧めします。
青色申告にする
副業による節税のためには、青色申告にすることが大切です。
青色申告にすることで以下のメリットを受けられます。
- 青色申告特別控除
青色申告にすることで、最大65万円の所得控除が適用されます。 - 赤字の繰り越し
青色申告では最大3年にわたって赤字の繰り越しが可能です。
たとえば前年に50万円の赤字が発生・その翌年に100万円の黒字となった場合、前年の赤字と相殺することで、その年の黒字を50万円にできます。 - 家族への給与を経費計上できる
青色申告の場合、家族に支払う給与の経費計上が可能です。
ただし、一定の要件を満たした上で所定の手続きを行う必要があります。
以上の仕組みによって、青色申告の方が事業所得を小さくできるため、所得税を抑えることが可能となります。
青色申告にするためには、所得税の青色申告承認申請書を提出する必要があります。
期日は以下のいずれかです。
- ・1月15日までに開業の場合:青色申告の承認を受けようとする年の3月15日まで
- ・1月16日以降に開業の場合:開業から2ヶ月以内
青色申告では、正規の簿記の原則に則った複式簿記による記帳が必要です。
また、確定申告書とあわせて貸借対照表および損益計算書も提出する必要があります。
基本的なルールやその他の節税対策もしっかり押さえる
サラリーマンの効果的な節税のためには、所得税に関する基本的なルールや、副業以外の節税対策もしっかり押さえることが大切です。
副業が節税につながるのは、副業が事業所得に該当し、かつ赤字である場合と解説しました。
節税のために事業所得をどうにか赤字にしたいと考えるかもしれません。
節税のメジャーな手法として「赤字副業」という言葉も存在します。
しかし、意図的に赤字にしようとすると、脱税行為とみなされる恐れがあります。
実際、赤字副業は税務署が目を光らせている行為です。本業がサラリーマンで副業が赤字の場合、悪質な脱税行為でないか非常に細かくチェックされます。
脱税行為とみなされてしまうと、赤字が認められず所得税が増えるだけでなく、延滞税や加算税が課せられることも有り得ます。
もちろん、真剣に取り組んだものの赤字が生まれてしまった場合に、給与所得と事業所得の損益通算をするのは問題ありません。
ただし、意図的な赤字副業は避けるべきでしょう。節税ではなく、悪意のある脱税行為になってしまいます。
損益通算を活用した節税対策を優先するのではなく、基本的なことが大切です。
脱税行為とみなされないために押さえるべきポイントを2つにまとめます。
- ・簿記のルールに則った正しい記帳を行う
- ・経費にするのは副業において必要性と関係性がある支出のみにする
また、節税のためには所得控除の活用も必須です。
適用を受けられる所得控除を最大限活用するだけでも、所得税を大きく抑えられる可能性があります。
節税目的でいきなり副業に手を出すのではなく、まずは簡単に実施できる他の節税対策から始めることをおすすめします。
会社員の所得控除については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。
副業が赤字の場合の節税方法を押さえる
副業が赤字になった場合でも、適切に対応すれば節税につなげることができます。
まず重要なのは、副業が「事業所得」として認められることです。事業所得の場合、赤字分を本業の給与所得と損益通算できるため、所得税の還付を受けられる可能性があります。
例えば、年収600万円のサラリーマンが副業で50万円の赤字を出した場合、課税所得が550万円として計算され、本来支払った所得税の一部が還付されます。この損益通算を行うためには確定申告が必要です。
また、その年に相殺しきれなかった赤字は、青色申告を選択していれば最大3年間繰り越すことができます。これにより、将来の副業で利益が出た際に相殺して税負担を軽減できます。
ただし、副業が「雑所得」に分類される場合は損益通算ができないため、赤字でも節税効果はありません。副業開始前に、自分の副業が事業所得として認められるかどうかを確認しておくことが大切です。
副業で節税をする際の注意点

サラリーマンが副業で節税をする際の注意点を4つ紹介します。
雑所得に該当する場合は節税につながらない
サラリーマンの副業が節税につながるのは、副業収入が事業所得に該当し、赤字である場合です。
損益通算によって所得額を小さくできるため、所得税も小さくなります。
しかし、はじめに解説したように、副業収入は事業所得ではなく雑所得に該当するケースもあります。
副業収入が雑所得に該当する場合、損益通算ができません。
そのため副業が赤字であっても、所得税の節税にはつながりません。
事業所得と雑所得に明確な判断基準はありません。
国税庁の公式サイトにおいても、雑所得の例として、副業に係る所得が挙げられています。
事業実態や取引額など、さまざまな要素から総合的な判断が行われます。
事業所得と雑所得を区分する基準のひとつが、事業に反復性および継続性があるか否かです。
売上発生が一時的である場合や事業活動が単発である場合などは、反復性および継続性がないため、雑所得とみなされるでしょう。
副業で赤字の状態が何年も続いている場合も、事業に該当しないと判断される可能性が高くなります。
副業収入が事業所得と認められるよう、反復性や継続性を説明できるだけの体制を整える必要があります。
なお、副業に関する帳簿書類の保存がない場合、原則として雑所得と扱われます。
金額に関係なく、帳簿書類の作成および保存も必要です。
事業所得と雑所得の見分け方
副業が節税に効果的かどうかを判断するためには、その副業が「事業所得」と「雑所得」のどちらに該当するかを見極めることが重要です。
事業所得と認められるためには、主に以下の要素が考慮されます。
まず「継続性・反復性」があるかどうか。単発ではなく、継続的に行われる活動であることが必要です。次に「営利性」があるか。利益を得る目的で行われていることが求められます。
また「自己責任」と「独立性」も重要で、自分の判断で事業を行い、特定の会社に従属していないことが条件です。さらに「社会的地位」として、世間から見て事業と認められる規模や内容であることも考慮されます。
具体的には、フリーランスのエンジニアやデザイナー、コンサルタント、ライターなどは事業所得に該当する可能性が高いです。
一方、ポイントサイトでの収入、単発のアンケート回答、不用品の販売などは雑所得に分類されることが多いでしょう。判断に迷う場合は、税理士や税務署に相談することをお勧めします。
本業と並行して副業を行うのは大きな負担になる可能性も
サラリーマンの場合、本業はあくまでも会社での仕事です。
空いた時間に事業とみなされるほどの副業をこなし、かつ、正しい会計処理や税務関連の作業を行うのは容易ではありません。
副業による節税のためには、副業収入が事業所得に該当するためのポイントを押さえる必要があります。
事業所得と雑所得の明確な区分はありませんが、事業の継続性・反復性、さらには収入の発生などがひとつの基準となります。
また、帳簿書類の作成および保存も必要不可欠です。
副業という呼び方ではありますが、実際には片手間でできるものではないといえるでしょう。
また、副業による節税は青色申告が前提とも紹介しました。
青色申告は簿記の知識が求められ必要な作業も多いため、それだけでも大きな負担になります。
誤った処理をしてしまうと、かえって税負担が大きくなったり追徴課税の対象になる可能性があります。
サラリーマンの副業は上手くいけば所得税の節税につながりますが、副業での節税は簡単ではなく、ある程度の負担がかかることを認識しておきましょう。
副業の確定申告と税務処理の効率化
副業を行う際、確定申告や日々の税務処理が大きな負担になることがあります。この負担を軽減するためのポイントをいくつか紹介します。
まず、会計ソフトやアプリを活用しましょう。現在は個人事業主向けの使いやすい会計ソフトが多数あり、領収書をスマホで撮影するだけで自動的に経費として記録できるものもあります。次に、事業用の銀行口座やクレジットカードを別に作成することで、プライベートと事業の支出を明確に分けられます。
また、日々の記帳習慣をつけることも重要です。毎日少しずつ処理しておけば、確定申告時期に慌てることがありません。さらに、確定申告が複雑で自信がない場合は、税理士に依頼することも検討しましょう。費用は10〜15万円程度かかりますが、適切な節税アドバイスを受けられるメリットがあります。
最後に、確定申告の期限(通常は3月15日)を必ず守り、余裕をもって準備を進めることが大切です。
サラリーマンの副業と節税に関するよくある質問

副業を始めようとしているサラリーマンの方々からは、税金や手続きに関する質問が多く寄せられています。ここでは、特に多い質問について回答します。副業を始める前に知っておくべき重要なポイントですので、ぜひ参考にしてください。
副業の所得はいくらから確定申告が必要ですか?
副業による所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要になります。これは「給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える場合」というルールに基づいています。
例えば、副業で年間25万円の収入があり、経費が5万円の場合、所得は20万円となり確定申告は不要です。
しかし、同じ収入でも経費が3万円だと所得は22万円となり、確定申告が必要になります。ただし、節税効果を得るためには、所得が20万円以下でも確定申告をすることをお勧めします。
特に青色申告を選択している場合は、赤字の繰越控除などのメリットを受けるためにも申告すべきです。また、将来的に副業を拡大する予定がある方は、最初から確定申告の習慣をつけておくと良いでしょう。
副業をしていることを会社に報告する必要がありますか?
副業を行うことを会社に報告する必要があるかどうかは、勤務先の就業規則によって異なります。多くの企業では副業禁止や届出制を採用しているため、まずは自社の就業規則を確認することが重要です。
就業規則で副業が明示的に禁止されている場合、無断で副業を行うと懲戒処分の対象となる可能性があります。届出制の場合は、所定の手続きに従って会社に報告する必要があります。
近年は働き方改革の一環として副業を認める企業も増えていますが、競合他社の仕事や本業に支障をきたす可能性のある副業は認められないケースが多いです。
また、副業の内容によっては利益相反や情報漏洩のリスクもあるため、会社に相談した上で進めることをお勧めします。なお、会社に報告せずに副業を行った場合でも、税務署から会社に情報が漏れることはありませんが、長期的なキャリア形成を考えると、透明性を保つことが重要です。
副業の経費として計上できるものとできないものの違いは?
副業の経費として認められるのは、「業務との関連性」と「必要性」が認められる支出です。具体的に経費として計上できるものには、仕事用のパソコンやソフトウェア、書籍、文房具、交通費、通信費、会議費、セミナー参加費などがあります。
また、自宅の一部を仕事場として使用している場合は、家賃や光熱費の一部も「家事按分」として経費計上できます。
一方、経費として認められないものには、完全に私的な用途の支出(趣味の本、家族との食事代など)、通勤用の洋服、一般的な健康維持のためのジム会費などがあります。また、接待交際費については、取引先との関係構築に必要な場合は経費になりますが、友人との食事を業務上の会議と偽って計上するような行為は税務調査で否認される可能性が高いです。
経費の判断に迷う場合は、「この支出がなくても業務が成立するか」という観点で考えると良いでしょう。不明な点は税理士に相談することをお勧めします。
まとめ
サラリーマンが副業で節税を行う際には、損益通算の仕組みを活用します。
副業が事業所得に該当し赤字である場合、損益通算によって課税対象となる所得額を小さくできます。
所得額が小さくなることで所得税が抑えられるため、結果として節税につながるのです。
ただし、副業による節税のためには、複数のポイントや注意点を押さえる必要があります。
誤った方法で進めてしまうと、かえって税負担が大きくなる事態も起こり得ます。
本業と並行して副業を行うのは大きな負担にもなるため、所得税の節税を目指す場合、いきなり副業を行うのではなく、まずは他の節税テクニックの実施をおすすめします。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士





