年金にも税金がかかる?確定申告は必要?徹底解説!

2023.09.05

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公的年金は所得税法の雑所得に該当するものであり、所得税・住民税の課税対象です。

ただし、年金を受給しているからといって、必ずしも税金がかかるとは限りません。

受給額の合計や年金以外の収入の有無によって、税金が発生するかが異なります。

 

また、税金が発生する人でも確定申告が不要なケースもあります。

正しい対応を行うためには、年金にかかる税金に関する正しい知識が必要不可欠です。

 

今回は年金にかかる税金や年金受給者の確定申告、さらには節税について詳しく解説します。

 

退職金にかかる税金について解説した記事もございますので、ぜひこちらもご覧ください。

 

CONTENTS

公的年金は課税対象

一口に年金といっても支給元や支給要件はさまざまです。

以下4種類の年金は公的年金であり、雑所得として扱われます。

  • 1.共済組合法の規定により支給される年金
  • 2.過去の勤務実績等により会社から支給される年金
  • 3.確定給付企業年金法の規定に基づく年金
  • 4.外国の法令に基づく保険や共済に関する制度であり、1の法律の規定に基づいて支給される年金

 

一方、生命保険契約や生命共済契約に基づく年金・互助年金等は公的年金に該当せず、課税対象でもありません。

また障害年金・遺族年金も公的年金に含まれますが、いずれも非課税です。

 

今回は年金のうち、課税対象である公的年金(老齢年金)に絞って解説します。

年金にかかる税金の種類

前述したように、公的年金は雑所得に該当するため、所得にかかる税金が課せられます。

所得にかかる税金は所得税と住民税の2種類です。

 

所得税は個人の所得に対して課せられる国税です。

所得額が大きいほど税率も高くなる累進課税制度が導入されており、税率は5%から45%の7段階に区分されています。

所得額1,949,000円までは5%、1,950,000円 から 3,299,000円の部分には10%のように、一定額を超えた部分に高い税率を適用する制度(超過累進課税)を用いています。

 

住民税は地方自治体へ納付する地方税です。

所得額に対して一定の税率を乗じた金額である所得割と、所得額に関係なく住民税の対象者すべてに一律で課せられる均等割によって構成されています。

年金に所得税がかからないケース

前述のように、公的年金は雑所得として扱われますが、以下2つの要件を満たす場合は所得税が発生しません。

  • ・収入が公的年金のみである
  • ・公的年金の受給額が一定以下である
  •   65歳未満:108万円以下
  •   65歳以上:158万円以下

収入があるにも関わらず所得税が発生しないのは、上記の要件を満たす場合、課税対象所得が0円になるためです。

 

所得税および住民税の計算に用いる所得額は、収入額そのものではありません。

所得とは収入から必要経費を差し引いた金額です。

さらに、所得から所得控除を引いた残りの額が課税所得となり、課税所得に税率を乗じて所得税を計算します。

 

公的年金等の場合、年金の収入金額から公的年金等控除額を差し引いた額が、公的年金等に係る雑所得となります。

公的年金等控除額は65歳未満の場合60万円、65歳以上の場合は110万円です。

また、納税者本人の合計所得金額が2,400万円以下の場合、所得控除のひとつである基礎控除48万円が適用されます。

 

収入が公的年金のみであり、公的年金が前述した金額以下であれば、公的年金等控除額と基礎控除額の合計以下になります。

控除の適用により課税対象となる金額が残らないため、所得ゼロとなり所得税も発生しないのです。

年金受給者も確定申告が必要?

年金の受給額が一定以上で所得税が発生する場合でも、確定申告が必要とは限りません。

この章では年金受給者の確定申告について解説します。

確定申告不要制度の適用要件

確定申告不要制度とは、年金受給者の確定申告にかかる負担を減らす目的で導入されている制度です。

以下2つの要件を満たす場合、所得税の確定申告が不要となります。

  • ・公的年金等の受給の合計額が400万円以下
  • ・公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下

確定申告が必要なケースの例

前述した2つの要件のうち、どちらか一方でも要件を満たさない場合は確定申告が必要です。

確定申告が必要になるケースの具体例として、以下の2つが多くみられます。

 

  • 年金を受給しながら働いており、給与所得がある
  •  定年後再雇用制度を利用する・アルバイトとして働く等
  •  
  • 家賃収入(不動産収入)がある
  •  不動産所得が発生するため、確定申告が必要です

確定申告をした方が良いケース

確定申告不要制度の対象者であっても、各種控除制度の適用要件を満たす場合は確定申告を行うのがおすすめです。

 

原則として、65歳未満は108万円・65歳以上は158万円以上の年金を受け取っている場合、源泉徴収が行われています。

しかし、源泉徴収税額はあくまで概算に基づくものであり、最終的な所得税額は1年間の収入が明確になるまでわかりません。

そのため、適用対象となる控除制度がある場合、源泉徴収税額の合計よりも実際に納付が必要となる所得税額が少なくなる可能性があります。

 

控除の適用および還付を受けるためには確定申告が必要であるため、税負担を最小限に抑えるために必ず確認しましょう。

 

要件を満たしやすい所得控除の例を紹介します。

  • 医療費控除
  •  自分自身や生計を一にする配偶者・親族のために支出した医療費の額が一定を超える場合に利用できる制度です。
  •  
  • 寄付金控除
  •  国や地方公共団体への特定寄附金の支出があった場合に適用を受けられます。
  •  
  • 住宅ローン控除
  •  一定要件を満たす住宅の購入や増築等に際して契約したローンがある場合に適用される制度です。
  •  
  • 雑損控除
  •  災害・盗難・横領などによって資産が損害を受けた場合、一定金額の所得控除を受けられます。
  •  
  • 配当控除
  •  剰余金や利益等の配当、剰余金・金銭・証券投資信託の収益の分配などの配当所得がある場合に受けられる制度です。
  •  対象となる配当所得には一定の要件があります。

年金受給者ができる節税対策3選

所得税の額は、少しの工夫や対策によって減らせるケースがあります。

この章では、年金受給者でもできる節税対策を3つ紹介します。

控除制度を最大限活用する

年金受給者に限らず、控除制度の活用は税額を抑える上で特に重要です。

 

前章で、控除制度の適用要件を満たす場合、納付し過ぎた所得税の還付を受けられる可能性がある旨を紹介しました。

控除制度は自動的に適用されるわけではなく、確定申告での手続きが必要です。

 

適用対象となる控除制度を正しく把握していない・必要な手続きを行わないなどの場合、本来受けられる控除を利用できない恐れがあります。

控除制度を最大限活用するためには、以下の3つを押さえることが大切です。

  • ・控除制度の種類や要件を理解する
  • ・自身が要件を満たす制度があるか入念に確認する
  • ・控除を受けるための手続きを正しく行う
  •  

控除制度について疑問や不安がある場合、専門家である税理士への相談をおすすめします。

経費を漏れなく計上する

家賃収入や事業収入がある人がやるべき節税対策です。

 

税額の計算で用いる所得は、収入から経費を引いた額と紹介しました。

つまり、経費が増えれば増えるほど所得が減って、税額も抑えられます。

 

言い換えると、経費に計上漏れがあれば所得が増え、必要以上の税額となってしまうのです。

経費にできる支出を漏れなく計上することも、節税のために欠かせない要素です。

 

漏れやすい経費については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

 

 

 

ふるさと納税を行う

ふるさと納税は好きな自治体に寄付ができる制度です。

寄付をした自治体からはお礼として返礼品を受けることができる上、寄付した金額のうち自己負担額2,000円を引いた額が控除対象となります。

個人事業主やサラリーマンの節税手段というイメージが強いかもしれませんが、年金受給者も実施できます。

 

なお、ふるさと納税は控除額に上限があり、上限を超えた分は自己負担になるためご注意ください。

 

ふるさと納税については以下の記事で詳しく解説しています。

 

まとめ

公的年金は雑所得に該当するため、所得税・住民税の課税対象です。

公的年金の受給額が一定額を超える場合は納税の義務が生じます。

確定申告の必要有無はケースによって異なるため、事前に確認する必要があります。

 

今回、年金受給者が実施できる節税テクニックを3つ紹介しました。

年金受給者に限らず、節税のためにはなるべく所得を減らすことが大切です。

そのためには、控除制度を漏れなく活用する・経費にできる支出をすべて計上する必要があります。

 

効果的かつ正しい節税を実施するにあたって、専門家である税理士のサポートを受けるのが確実です。

節税対策をしたい・節税について疑問や不安があるとお悩みの人は、ぜひお気軽にご相談ください。


法人・個人事業主の節税対策は
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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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