絵画購入が節税になる?経営者におすすめの美術品の減価償却について解説!

2024.05.30

絵画をはじめとした美術品は、一定の条件を満たせば減価償却資産の計上が可能です。そのため絵画購入は節税テクニックの1つといえるでしょう。

しかし、美術品による節税対策ができる条件は細かく定められているため、条件について事前に確認が必要です。

また、一見条件を満たしている美術品であっても、例外として減価償却ができないケースがあります。

美術品購入による節税効果を確実に得られるよう、節税方法やルールについて事前に十分確認しましょう。

 

今回は絵画をはじめとした美術品購入による節税対策について詳しく解説します。

 

減価償却資産に課される税金については以下の記事をご覧ください。

 

 

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CONTENTS

絵画等の美術品を用いた節税対策の概要

はじめに、絵画等の美術品購入が節税対策になる理由や、節税対策ができる条件・できないケースの例を紹介します。

絵画等の美術品購入が節税になる理由

絵画等の美術品購入が節税になる理由は、一定の条件を満たす美術品は減価償却資産として計上できるためです。

 

減価償却資産とは文字通り減価償却の対象になる資産です。減価償却資産は取得価額を耐用年数にわたって按分して費用計上する必要があります。

取得価額を按分して費用計上する会計処理を減価償却、減価償却によって計上される経費を減価償却費といいます。

 

かつて美術品が減価償却資産に該当するかは、取得価額が20万円以上であるか、美術年鑑に掲載された作家の作品であるか等が判断基準でした。

しかし2015年の税制改正により、取得価額が100万円未満の美術品は原則として減価償却資産に該当するという扱いに変わりました。

税制改正により減価償却資産となる美術品の範囲が広くなったため、美術品の購入により節税できるケースが多くなったのです。

 

なお、減価償却資産は原則として耐用年数にわたって償却をする必要がありますが、以下のような制度を使えばより短い期間での減価償却ができます。

一度に計上できる減価償却費が高額になるため、大きな節税効果が期待できます。

 

  • 一括償却資産
  • 耐用年数に関係なく、3年間で均等に減価償却費を計上する方法をとる資産です。
  • 取得価額が20万円未満の固定資産は一括償却資産として扱うことができます。
  •  
  • 少額減価償却資産の特例
  • 取得価額全額を購入した年に一括して経費計上できる制度です。
  • 取得価額が30万円未満であり、かつ、一定の要件を満たす場合に選択できます。

美術品による節税対策ができる条件

美術品による節税対策ができるのは、対象の美術品が減価償却資産に該当する場合のみです。

具体的には以下2つの条件を満たす場合が該当します。

  • ・取得価額が100万円未満である
  • ・対象の美術品を事業の一部に用いる

例として、会社のロビーや会議室、店舗などの装飾用や展示用とする方法が挙げられます。

なお、取得価額が100万円以上の美術品でも、時の経過によって価値が減少することが明らかなものは減価償却が可能です。

取得価額100万円以上の美術品を減価償却できるケースとして以下の例が挙げられます。

  • ・不特定多数が使用する場所に展示する
  • 国税庁公式サイト「美術品等についての減価償却資産の判定に関するFAQ」では、会館のロビーや葬祭場のホール等が具体例として挙げられています。
  • ・移設が難しい品であり、特定の用途のみで用いることが明らかである
  • ・他の用途に転用した場合に価値が著しく下がる見込みである

減価償却ができない美術品の例

取得価額が100万円未満でも、時間の経過に伴う価値の減少が起こらない美術品は減価償却資産に該当しません。

減価償却ができない美術品の具体例を紹介します。

  • ・出土品
  • ・遺物
  • ・古美術品
  • ・古文書
  • ・その他国宝と呼ばれる美術品や工芸品

歴史的価値の高いものや代替品が存在しないものが当てはまるイメージです。

絵画の価格帯別にみる節税対策の方法

美術品の購入における税務処理は、取得価格によって異なります。価格ごとに適用される経費処理の方法を理解することで、適切な節税対策を講じることが可能です

10万円未満の節税策

美術品は通常、消耗品とはみなされませんが、取得価格が10万円未満であれば「消耗品費」として経費計上できます。

また、1点あたり10万円未満であれば、複数購入しても個別に消耗品費として計上可能です。さらに、使用可能期間が1年未満の美術品も適用対象となり、年間の経費上限はなく、無制限に計上できます。

10万円以上20万円未満の節税策

取得価格が10万円以上20万円未満の場合、会計処理には「少額減価償却資産」と「一括償却資産」の2つの方法があります。

「一括償却資産」では、購入価格を3年間で均等に分割して経費計上できます。例えば、18万円の絵画を購入した場合、毎年6万円ずつ計上し、3年で全額を経費処理することが可能です。

この方法は、中小企業に限らずすべての事業者が利用可能であり、より幅広い節税対策となります。

20万円以上30万円未満の節税策

取得価格が30万円未満の美術品は、1事業年度内で最大300万円まで「少額減価償却資産」として一括で経費計上できます。

ただし、この制度の適用には青色申告を行い、資本金1億円以下、従業員1,000人以下の事業者であることが条件となります。

30万円以上100万円未満の節税策

取得価格が30万円以上100万円未満の美術品は、「減価償却資産」として耐用年数に応じて按分し、経費計上できます。

耐用年数の目安は以下の通りです。

  • 絵画や陶磁器などの装飾品:8年
  • 金属製の彫刻など:15年

例えば、80万円の絵画を購入した場合、1年間の償却額は10万円となり、8年間かけて経費計上できます。美術品の種類によって耐用年数が異なるため、どの作品を購入するかも節税のポイントとなります。

100万円以上の絵画は基本的に経費計上が難しい

取得価格が100万円以上の美術品は、通常「非減価償却資産」として分類されます。これは、時間の経過による価値の減少が認められない資産とみなされるためです。

このため、原則として経費として計上することはできず、固定資産として長期間にわたって保有する扱いとなります。

100万円以上でも減価償却が可能な条件とは?

100万円以上の美術品でも、特定の条件を満たす場合、「減価償却資産」として扱われることがあります。

具体的には、以下の条件に該当する美術品です。

  1. ・一般公開される施設に展示する目的で購入されたもの
  2. ・移動が難しく、特定用途に限定されるもの
  3. ・転用が困難で、市場価値が見込めないもの

これらの条件を満たす場合、時間の経過による価値の減少が認められるため、減価償却資産として経費計上が可能となります。

絵画等の美術品で節税対策をする際のポイント・注意点

絵画等の美術品で節税対策をする際のポイント・注意点を3つ紹介します。

事業の用に供することが大前提

絵画等の美術品で節税対策をするためには、美術品を減価償却資産として計上する必要があります。

つまり、対象の美術品を事業の用に供することが大前提です。

単に美術品を保有しているだけでは減価償却ができず、一切の節税効果を得られません。

オフィスや店舗等の事業関連施設で、装飾用や展示用に美術品を使うのが一般的かつ手軽な方法です。

 

なお、倉庫等に保管された状態の美術品が減価償却資産に該当するか否かは、以下の基準で判断します。

  • ・展示や装飾を休止している美術品等について、休止期間中に必要な維持管理が行われている
  • ・対象の美術品がいつでも展示可能な状態である

上記2点を満たす美術品は、展示や装飾を休止している状態でも事業の用に供しているとみなされます。

(参考|国税庁公式サイト「美術品等についての減価償却資産の判定に関するFAQ」)

 

一方、美術品の必要な維持管理をせず、すぐに展示や装飾目的での使用ができない状態では、減価償却資産として扱うことができません。

事業の用に供しているとはいえず、単に美術品を保有しているだけの状態とみなされます。

取得価額には付随費用も含まれる

美術品が減価償却資産に該当するか否かは、取得価額100万円未満というのが主な判断基準となります。

そして美術品に限らず、固定資産の取得価額は本体価格だけでなく付随費用も含めて計算する点に注意が必要です。

 

国税庁公式サイト「美術品等についての減価償却資産の判定に関するFAQ」では、美術品の取得価額に含まれる費用として以下の例を挙げています。

  • ・美術品本体
  • ・引き取り運賃
  • ・購入手数料
  • ・荷役費(荷役作業にかかるお金全般)
  • ・運送保険料
  • ・関税
  • ・据付費

また、絵画の額縁も絵画の一部として取得価額に含めるものとされます。

 

仮に美術品そのものの価額が100万円未満でも、付随費用を含めて100万円以上になった場合、減価償却資産にできない恐れが大きいです。

節税目的で美術品を購入する場合、本体価格だけでなく付随費用を含めた合計額を確認しましょう。

少額減価償却資産として計上する場合は条件に注意

「絵画等の美術品購入が節税になる理由」で、少額減価償却資産の特例について簡単に紹介しました。

少額減価償却資産の特例とは、固定資産の取得価額を購入した年に全額費用計上できる制度です。

一度に高額の減価償却費を計上できるため、制度を上手く活用すれば大きな節税効果を得られます。

 

しかし、少額減価償却資産の特例には以下のように複数の条件が定められています。

  • ・適用対象法人は青色申告の中小企業者または農業協同組合等に限られる
  • ・適用対象資産は取得価額が30万円未満の減価償却資産のみ
  • ・1事業年度あたり300万円が限度
  •  たとえば30万円の資産を11点購入した場合、11点すべてに少額減価償却資産の特例を用いることはできません。
  •  同ケースの場合、特例の適用対象となるのは最大でも10点となります。

 

少額減価償却資産の特例は節税効果が期待できると人気の制度ではありますが、その分条件が厳しいです。

適用対象法人の条件を満たさないのに制度を利用してしまう・1事業年度の上限を超えて計上してしまう等、ミスが起こりやすい制度ともいえます。

そもそも、少額減価償却資産の特例の適用が必ずしも最善とは限りません。

 

少額減価償却資産の特例は、利用できるか否か・そもそも自社で利用するメリットが大きいかを検討した上で選択しましょう。

絵画を売却した際の税務処理と出口戦略

絵画による節税は購入時だけでなく売却時まで見据えることが重要です。減価償却によって帳簿価額を下げた絵画を売却した場合、どのような税金が発生するのか、その仕組みと出口戦略を解説します。

売却益は法人税の課税対象になる

減価償却が進んだ絵画を売却する場合、多額の「売却益」が発生し、法人税の課税対象となる点に注意が必要です。例えば、30万円で購入し即時償却(全額経費化)した絵画を、数年後に同額の30万円で売却した場合、帳簿価額(1円)との差額である29万9999円が利益(雑収入)として計上されます。

つまり、購入時に減らした税金が、売却時に課税される形となり、実質的には「課税の繰り延べ」となります。このため、赤字決算が予想される年度に合わせて売却するなど、計画的な出口戦略が求められます。​

個人事業主の場合は譲渡所得として総合課税

個人事業主が事業用に保有していた絵画を売却した場合、その利益は事業所得ではなく譲渡所得として扱われます。所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得となり、課税対象額が半分になる優遇措置が適用されますが、5年以下の場合は短期譲渡所得として全額が課税対象となります。

また、これらは他の所得と合算して税額を計算する総合課税となるため、本業の所得が高い年に売却すると、累進課税により税率が跳ね上がるリスクがあります。売却タイミングの分散が必要です。​

絵画の節税についてよくある質問

美術品の税務処理は、平成27年の制度改正により大きく変わりました。ここでは、経営者の皆様から寄せられる、絵画等の購入や設置場所、税務調査に関する代表的な疑問にQ&A形式で回答します。

社長の自宅や応接間に飾っても経費になりますか?

原則として、社長の自宅に飾る場合は経費として認められず、役員賞与(現物給与)とみなされるリスクが高いです。

税務上、減価償却資産として認められるには事業の用に供している実態が必要であり、不特定多数の社員や来客が目にするエントランスや応接室への設置が前提となります。特定の役員しか立ち入らない場所や、私的な空間への展示は私的流用と判断され、税務調査での否認対象となる典型的なケースですので避けるべきです。​

将来値上がり益が期待できる絵画でも減価償却できますか?

取得価額が1点100万円未満であれば、将来の値上がりが期待できる著名な作家の作品であっても、原則として減価償却が可能です。平成27年の通達改正以前は、美術品は価値が減少しない資産とされていましたが、現在は金額基準(100万円未満)で形式的に判断されます。

ただし、購入の主目的が投資であり、事業実態(展示による装飾効果など)が伴わない場合は否認されるリスクも残るため、あくまで事業用資産としての運用が必要です。​

リースやレンタルで絵画を導入した場合の処理は?

絵画を購入せず、レンタル業者から借りる場合は、支払ったレンタル料を賃借料やリース料として全額経費計上できます。資産として計上する必要がないため、固定資産税(償却資産税)の申告も不要であり、事務処理が簡素化されるメリットがあります。

ただし、契約終了後に所有権が移転するような契約(所有権移転外ファイナンス・リース取引等)の場合は、売買として扱われ、資産計上が必要になるケースもあるため、契約内容の確認が必要です。​

まとめ

2015年の税制改正により、絵画を含む美術品について減価償却資産にできる範囲が広くなりました。

現在の税制では、取得価額が100万円未満の美術品は原則として減価償却資産として扱われます。

美術品の購入や活用は、節税対策としておすすめできるテクニックの1つといえます。

 

美術品が節税につながるのは事業の用に供している場合のみです。単に保有しているだけの状態では節税効果を得られません。

また、取得価額は付随費用も含めた金額です。本体価格が100万円未満でも、付随費用を含めて100万円以上となる場合、減価償却資産として扱えないため注意しましょう。

 

美術品を用いた節税対策を確実に行うため、今回紹介した内容をしっかり押さえましょう。

節税のご相談はBIZARQへ

絵画を活用した節税は、購入時の価格判定だけでなく、設置場所の選定や将来の売却タイミングまで含めた緻密な計画が必要です。判断を誤ると税務調査で否認され、多額の追徴課税が発生するリスクもあります。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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