脱税とは?申告漏れと所得隠しとの違いについても解説!

2024.08.23

脱税とは、不当な手段によって納付税額を軽減させる行為や、納税を逃れる行為の総称です。

税額を抑える手段として様々な行為が挙げられますが、法律に反するか否かが脱税の判断基準となります。

 

脱税は法律に反する行為であり、絶対にやってはいけません。

発覚すればペナルティの対象になり、ケースによっては刑罰を科されることもあります。

今回は脱税について詳しく解説します。

 

合法的に税額を抑える方法(節税)については以下の記事をご覧ください。

 

 

 

 

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CONTENTS

脱税とは

脱税とは、不当な手段によって納付税額を軽減させる、もしくは納税を逃れることです。

脱税は法律に反する行為でありペナルティの対象になります。また、ケースによっては刑罰を科されることもあります。

脱税に該当する行為として、収入の過少申告や経費の水増し等が挙げられます。

確定申告の内容を意図的に偽る行為はほぼ確実に脱税に該当するといって良いでしょう。

脱税と節税の違い

脱税と節税はいずれも税額を抑えるための行為ですが、両者は全く別物です。

脱税と節税の違いを一言で表すと、法律に則っているか否かとなります。

 

節税はルールに則った合法的な手段であり、税法の想定する一般的な範囲で行われるものです。

制度や特例を上手く活用し、税の過払いを防ぐための行為とも表現できます。

 

一方、脱税は前述のように法律に反する行為です。

虚偽の申告によって税額を不当に減らす行為であり、いかなる理由でも許されません。

脱税と申告漏れの違い

申告漏れとは、過失が原因による税金の過少申告です。

申告漏れに該当する行為として以下の例が挙げられます。

  • ・売上や収入の計上漏れ
  • ・経費の計算ミスや二重計上
  • ・税法に関する解釈の誤り
  • ・本来対象外である控除制度の適用
  • ・その他意図していないミスや漏れ全般

申告漏れという名前ではありますが、実際には集計漏れ等に限らず、過少申告につながる行為全般が該当します。

 

脱税との大きな違いは、意図的な行為であるか否かです。

脱税は過少申告になるとわかっていながら、税負担を抑えるために意図的に行います。

一方で申告漏れは意図したものではなく、過失によるものです。

 

申告漏れも過少申告である以上ペナルティの対象にはなりますが、脱税よりも罰則の内容は軽く設定されています。

脱税と所得隠しの違い

所得隠しとは、売上や収入を意図的に隠す行為です。

脱税行為のうち、所得を隠ぺいする行為を限定的に所得隠しと呼ぶイメージです。

脱税と租税回避の違い

租税回避とは、不合理な手法により納税額を抑えることや、納税を免れることです。

脱税ほどの違法性はないものの、節税のように合法的とは断言できない行為を租税回避と呼びます。

脱税と節税の間にあたる、グレーゾーンに該当する行為を指すイメージです。

 

租税回避に該当する行為として以下の例が挙げられます。

タックスヘイブンの活用

タックスヘイブンとは、法人税や所得税等の税率が低い国および地域の総称です。

タックスヘイブンで事業を行う、タックスヘイブンにペーパーカンパニーを設立する等の行為は租税回避に該当します。

なお現在はタックスヘイブン対策税制により、タックスヘイブンを活用した租税回避行為はほぼ不可能です。

会社設立の繰り返し

設立時の資本金が1,000万円未満の会社は、設立2期目まで消費税の免税事業者となる仕組みを利用する方法です。

会社の新設を繰り返して消費税の免除を受ける行為は租税回避に該当します。

脱税に該当する行為

続いて、脱税に該当する行為の具体例を紹介します。

売上・収入の過少申告

売上・収入の意図的な過少申告は脱税に該当する行為です。

前章で紹介したように、脱税行為のうち売上・収入の過少申告は所得隠しとも呼びます。

 

売上・収入の中でも、銀行に入金される分は税務署側で容易にチェックされるため、過少申告の対象となるケースはあまり多くありません。

過少申告の対象になる売上等の多くは、現金や商品券の授受によるもの、すなわち口座を経由しないものです。

ただし過少申告のターゲットになりやすい以上、口座を通さない収入の有無は税務調査で特に重点的にチェックされます。

経費の水増し

経費の水増しも脱税の手段として多くみられる行為です。

具体的な方法として以下の例が挙げられます。

  •  
  • 事業に関係ない支出を計上
  • プライベートの支出を事業の経費として計上する方法です。事業と関係ない支出であり、当然やってはいけない行為です。
  •  
  • 他人の領収書を必要経費として計上する
  • 知人や取引先等からもらった領収書を必要経費として計上するケースもあります。
  • 事業に関係ない上に自身の支出でもなく、非常に悪質な行為といえるでしょう。
  •  
  • 架空仕入れ
  • 実際には行っていない支出を経費として計上する方法です。
  • 経費の水増し行為の中でも、最も悪質なものといえます。

二重帳簿の作成

二重帳簿とは、取引実態について正しく記録した帳簿と、過少申告を目的に実態とは異なる内容の帳簿の2つを作成する行為です。

前者の帳簿を税務調査の目をごまかすために使い、実際の税務申告は後者の帳簿を使うという方法がとられます。

また、利害関係者に見せる決算書は利益が大きい帳簿を、税務申告や税務調査で用いる決算書は利益が小さい帳簿を使うというケースもあります。

 

二重帳簿は財務諸表の根拠資料を複数用意する行為です。単一性の原則に反する行為であり、当然法律に反します。

悪質な脱税行為とみなされるのはもちろん、利害関係者をだます行為という面でも罰せられる恐れがあります。

期末在庫の調整

期末在庫、すなわち期中に売れ残った在庫は売上原価に含めません。

言い換えると、本来売上原価に含めることのできない期末在庫を売れたものとして計算すれば、売上から引ける額が増えます。

そのため期末在庫を調整して売上原価を不当に大きくし、税額を抑えようとする手段も多くみられます。

当然ですが、期末在庫の調整も架空計上の1つであり脱税に当たる行為です。

脱税が発覚するきっかけの例

脱税が明るみに出るきっかけは多岐にわたります。主な例として、以下が挙げられます。
① 銀行口座を利用した不自然な取引
② 社内からの内部告発や外部通報
③ 税務調査(反面調査を含む)

銀行口座を通じた不自然な動き

税務署は銀行口座の入出金履歴を容易に確認できます。そのため、会社の口座で不審な入出金が続けば、税務署が脱税の疑いを抱く可能性があります。
一度疑念を持たれると、詳細な調査が行われ、最終的に脱税の証拠が発見されるケースが多く見られます。企業は適切な取引履歴を残すことが重要です。

社内からの告発や通報

企業の脱税は、従業員や役員からの内部告発を通じて発覚する場合があります。脱税行為に加担した内部者が良心の呵責に耐えられず、自らの行為を公表する形で告発に踏み切ることがよくあります。
また、企業への不満や対立から通報を行うケースも少なくありません。このような通報を受けた税務署は、情報の正確性を確認し、必要に応じて調査を進め、脱税の証拠を掴む可能性が高いです。

税務調査や反面調査による確認

税務調査は脱税疑惑の有無を確認する主要な手段です。この調査は疑惑がある場合だけでなく、無作為に選ばれた企業にも実施されます。特に、取引先との共謀が疑われる場合は、取引先の税務調査を通じて脱税が発覚するケースが多いです。
反面調査と呼ばれるこの調査では、すでに集められた証拠を基に綿密に進められるため、脱税が確認される可能性が極めて高いです。

個人事業主でも脱税をするとリスクが大きい

脱税や所得隠し、申告漏れは、加算税だけでなく刑事罰に発展する危険性があります。信頼性を大きく損なう行為でもあり、事業運営に致命的な影響を与える可能性があります。
個人事業主は税務調査を受ける確率は低いものの、万が一に備え、正確な申告と納税を心がけることが重要です。
節税目的で行った経理処理が、意図せず脱税と判断されることもあるため注意が必要です。不安がある場合は税理士に依頼し、経理や確定申告の手続きを専門家に任せるのが安心です。

脱税のペナルティ

脱税によって実際に発生するペナルティを紹介します。

附帯税の支払い

附帯税とは、本税に対して付加的に課される税金の総称です。期限までに申告や納付をしなかった場合や、申告内容が誤っていた場合に課されます。

脱税によって発生する附帯税として以下の例が挙げられます。

 

  • 過少申告加算税
  • 申告内容に誤りがあり、納める税金が本来より少なかった場合に課される税金です。
  •  
  • 無申告加算税
  • 確定申告義務があるのに申告を怠った場合に課されます。
  •  
  • 重加算税
  • 意図的な隠ぺい・仮装をした場合に、過少申告加算税や無申告加算税に代わって課される税金です。
  • 過少申告加算税や無申告加算税よりも税率が高く設定されています。
  • 脱税とみなされる行為は過少申告加算税や無申告加算税ではなく重加算税が課されるケースが一般的です。
  •  
  • 延滞税
  • 税金が期日までに納付されない場合に課される税金です。利息の性質を持ちます。
  •  
  • 利子税
  • 税金の一括納付ができない場合に未納部分に対して課される税金です。

罰金や懲役等の刑罰

脱税の金額が大きい場合や特に悪質と判断された場合は、刑事罰の対象になるケースもあります。

法人税法第159条において、脱税行為は10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金に処すと定められています。

【参考】脱税の時効

脱税の時効は7年です。時効が適用されれば、該当する事業年度分の納付義務はなくなります。

ただし、申告・納税の時効期間は税務署から納税を促す督促状が届いた段階でリセットされます。

また、時効期間のリセットはされても延滞税の計算期間のリセットはされません。

 

実際のところ、7年間一切指摘を受けず脱税を隠し通すのはほぼ不可能です。

脱税に該当する行為は絶対に避け、期日までにしっかり申告・納税を行いましょう。

脱税をしないようにするための2つの注意点

脱税を未然に防ぐためには、次の2点を意識しながら正確な経理を行うことが求められます。

 

① 取引の実態を反映した適正な経理処理を行う
② 疑問点があれば税理士に相談する

取引の実態に沿った経理を行う

企業の経理処理では、取引の実態を忠実に反映することが必須です。不適切な経理処理は財務諸表の不備につながり、脱税リスクを高める重大な要因となります。適正な経理を行うために、経理担当者は以下の事項を十分に理解しなければなりません。

  • 【経理担当者が注意すべき事項】
  • ・取引の仕訳方法(勘定科目や時期など)
  • ・総勘定元帳などへの仕訳の反映方法
  • ・申告書作成方法および確認すべき項目
  • ・取引証憑の適切な保存方法

また、経理業務が一人に集中する「ワンマン体制」は不正の温床となるため、複数担当者でのチェック体制を整備することが推奨されます。

税観点で疑問点があれば税理士に確認・相談する

税法は複雑で、経理担当者であっても理解が難しい場合が多々あります。疑問点を放置したまま経理業務を進めると、不適切な税務申告につながるリスクが高まります。


税務上の疑問が生じた際には、速やかに税理士へ相談することが不可欠です。税理士の専門的なアドバイスを受けることで、経理や会計業務が適切に進められます。
さらに、税務調査の際も税理士が合理的な説明を行うことで、企業の信頼性を確保し、トラブルを未然に防ぐことが可能です。

まとめ

脱税は、不当な手段によって納付税額を軽減させる行為や納税を逃れる行為のことです。

脱税行為は法律で明確に禁じられており、発覚すると附帯税や刑事罰の対象になる恐れがあります。

脱税に該当する行為は絶対にしてはいけません。

 

一方で節税は、税法の想定する範囲内で行う行為であり、ルールに則った合法的な手段です。

脱税と同じく税額を抑える目的の行為ではありますが、法的な問題は一切ありません。

納付税額を抑えるためには、脱税ではなく節税に該当する手段を選びましょう。

 

自社に合った適切な節税手段を知る・税務申告を正しく行うためには、専門家である税理士に相談するのが安心です。

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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士

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