
無借金経営とは貸借対照表に利子の付いた負債が一切存在しない状態で経営することです。
「利子の付いた負債がない」と聞くと、財務状態が良く理想的な印象を受けるかもしれません。
しかし無借金経営はメリットばかりではなく、むしろデメリットも多くリスクが高い経営スタイルともいえます。
無借金経営が理想形なわけではない旨を前提に、どのような経営状態を目指すか考えることが大切です。
今回は無借金経営について押さえるべきポイントを解説します。
負債と大きな関係のある「自己資本比率」について解説した記事も、ぜひあわせてご覧ください。
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CONTENTS
無借金経営とは

無借金経営とは、貸借対照表に利子の付いた負債が一切存在しない状態で経営することです。
負債がゼロの状態ではなく、あくまでも「利子の付いた負債が存在しない」状態を指します。
有利子負債とそれ以外の負債の具体例
前述のように無借金経営は利子の付いた負債、すなわち有利子負債が存在しない状態を意味します。
有利子負債として以下の例が挙げられます。
- ・金融機関等からの借入金
- ・社債
- ・コマーシャルペーパー
以下のような項目は負債ではあるものの利子はないため、無借金経営か否かの判断には影響しません。
- ・支払手形
- ・買掛金
- ・未払金
- ・未払費用
- ・預り金
実質無借金経営との違い
実質無借金経営とは、有利子負債を上回るキャッシュを確保できている状態です。
厳密にはキャッシュ残高が有利子負債を上回っており、かつ、仮に全額返済をしても経営に必要な最低限のキャッシュが残る状態を意味します。
必要であればいつでも負債を全額返済できる状態であれば、実質的には無借金経営と同じという考え方です。
無借金経営は前述のように、財務諸表に有利子負債が一切存在しない状態です。
有利子負債の有無のみが判断基準であり、キャッシュ残高は関係ありません。
無借金経営のメリット・デメリット

無借金経営にはメリットだけでなく注意するべきデメリットが多く存在します。
この章では無借金経営のメリット・デメリットをそれぞれ詳しく解説します。
無借金経営のメリット
無借金経営の主なメリットを4つ紹介します。
返済の負担がない
無借金経営の最も大きなメリットは返済の負担がない点です。
金融機関からの借入金がある場合は毎月返済が発生しますが、無借金経営では当然ながら返済のための支出がありません。
返済が資金繰りに影響を及ぼす恐れや、損益計算書に高額の支払利息が計上される可能性等はゼロとなります。
決算書の見栄えが良い
無借金経営の会社の貸借対照表には有利子負債が一切計上されません。
自己資本比率が高くなるため、財務面での安定性が高く体力のある会社にみえます。
他人資本による影響がゼロで、債務超過を原因とした経営悪化や倒産は起こり得ません。
このように無借金経営であれば決算書の見栄えが良くなり、経営状態が健全という印象を与えやすいです。
資金管理にかかる労力が少なく済む
無借金経営で有利子負債が一切存在しなければ、資金管理において借入金を考慮に入れる必要がありません。
そのため以下のような作業が不要となります。
- ・借入金の返済を考慮した上で資金計画を立てる
- ・返済遅延が起こらないよう十分な預金残高を維持する
- ・自己資本比率を改善させるための対策を行う
資金管理にかかる労力が少なく済み、浮いたリソースを別の作業等に充てることが可能です。
心理的な安定感を得られる
無借金経営で有利子負債が存在しなければ、返済について考える必要性も生じません。
返済のプレッシャーがなく、心理的な安定感を得られます。
資金繰り悪化による返済遅延や、債務超過を原因とした倒産のリスクを考える必要がない点は大きなメリットといえるでしょう。
無借金経営のデメリット
最初に紹介したように、無借金経営はデメリットも多くリスクが高い経営スタイルともいえます。
今回は無借金経営の主なデメリットを3つ紹介します。
資金調達の選択肢が狭まる
無借金経営の状態を実現・維持しようとする場合、当然ながら融資や社債発行による資金調達ができません。
デットファイナンスに該当する資金調達手法を一切活用できなくなります。
このように選択肢が狭まるため、スムーズな資金調達ができなくなる可能性が高いです。
なお資金調達手法として以下の例が挙げられます。
- ・デッドファイナンス(融資や社債などの負債)
- ・エクイティファイナンス(株主からの出資)
- ・アセットファイナンス(資産の売却)
- ・公的な支援(補助金や助成金)
- ・クラウドファンディング
- ・ファクタリング
それぞれ異なるメリット・デメリットが存在するものの、最も主流といえるのはデッドファイナンスに該当する方法です。
調達できる金額、スピード、確実性などのバランスが良く労力も比較的小さく済むため、多くの会社で実施されています。
デッドファイナンスを一切利用できない無借金経営は、資金調達の面で大きく後れをとる恐れがあります。
事業規模の拡大がしにくい
「資金調達の選択肢が狭まる」で解説したように、無借金経営ではデッドファイナンスに該当する方法での資金調達が一切できません。
デッドファイナンスに該当する銀行の融資や社債発行などは、まとまった資金を調達する方法として有用です。
反対に、これらの方法による資金調達ができなければ、まとまった資金を確保するのは難しいといえるでしょう。
資金面での余裕がなく動かせるお金が少ない場合、収益が出るまでに時間がかかる事業や、設備投資などの実施が難しくなります。
このような理由により、無借金経営の会社は事業規模の拡大がしにくいという恐れがあります。
金融機関との関係構築がしにくい
「しばらくは無借金経営を続けて、事業規模の拡大を検討するタイミングで初めて融資を受ければ良い」
「本当に必要なタイミングまで融資は利用しない」
このような考えにより無借金経営を続けようと考える人もいるでしょう。
しかし、多額の資金が必要になったタイミングで初めて融資に申し込んでも、希望額の融資を受けられるとは限りません。
融資の利用実績がない以上、金融機関側で返済能力や信用力を判断するのが難しいためです。
融資を一切受けないのではなく、少額でも融資を利用し遅延なく返済をする方が、金融機関との信頼関係の構築につながります。
無借金経営を目指すべき?

前述のように、無借金経営には資金ショートのリスクや事業拡大がしにくい等のデメリットが存在します。
そのため、必ずしも無借金経営が理想形なわけではありません。
結果的に無借金経営になるのはともかく、無借金経営にこだわり過ぎるのは避けるべきです。
後の事業拡大や資金調達、万が一に備えた資金の確保などの観点から、ある程度の借入は経営に良い影響をもたらすと考えられます。
無借金経営のメリットを得つつもデメリットを避ける方法として「実質無借金経営の状態を保つ」が挙げられます。
返済負担が重くなりすぎるのを避けるため、借入の前に資金計画の策定やシミュレーションは必須です。
また、借入によって調達した資金を活用しなければ事業拡大や成長にはつながりません。
適切な借入額の設定や借入金の有効活用が大切です。
まとめ
無借金経営とは借入金や社債などの有利子負債が一切存在しない状態です。
有利子負債がなければ決算書の見栄えが良く、財務状態が健全という印象を与えやすいです。
ほかにも返済負担がない、心理的な安定感を得られる等のさまざまなメリットがあります。
しかし、無借金経営にはデメリットも多く、必ずしも理想的な状態とは限りません。
資金調達の選択肢が狭まる、事業拡大がしにくい、金融機関との関係を構築しにくい等は大きなデメリットです。
結果として無借金経営になっている場合はともかく、こだわり過ぎは避けるべきといえます。
無借金経営のデメリットを避けつつメリットを得たいと考える場合、実質無借金経営を目指すのが良いでしょう。
無借金にこだわり過ぎるのではなく、借入金などの負債を上手く活用しつつ、負債の影響を受けすぎないよう注意することが大切です。
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記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士







