
総資本回転率とは、企業が保有する総資産をどれだけ効率的に活用できているかを示す指標です。
小さな投資で大きな売上を上げる企業は、資本の回転数が多く総資本回転率は高くなります。
総資本回転率は1.0を超えることを大前提としつつ、業種別の平均を目指すべきといえます。
総資本回転率が1.0以下または業種別の平均を下回る場合、自社に適した方法での改善が必要です。
今回は総資本回転率について詳しく解説します。
総資本回転率以外にも、財務諸表の数値から分析できる指標は多く存在します。
以下の記事で様々な財務分析方法を紹介しているので、ぜひご覧ください。
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CONTENTS
総資本回転率とは

総資本回転率とは、企業が保有する総資本をどれだけ効率的に活用できているかを示す指標です。
「総資産回転率」とも呼ばれます。
総資本回転率の計算方法
総資本回転率の計算方法は以下の通りです。
- 総資本回転率(回)=売上高÷総資本
「率」という表現を用いていますが、単位はパーセンテージではなく「回」です。
例えば売上高が1,000万円、総資本が200万円の場合、総資本回転率は1,000万円÷200万円=5回になります。
資産の回転の意味
資産の回転とは現金を投資してから売上によって回収するまでの一連の流れです。
以下の1~4のステップをすべて終えることで1回転したと扱われます。
- 1.現金
- 2.投資(原材料の調達、設備投資など)
- 3.販売(商品・サービスを販売)
- 4.回収(売上として現金を回収)
4で現金を回収した後は1に戻り、同じように投資・販売・回収を進めていきます。
資産の回転により現金がどんどん増える仕組みです。
小さな投資で大きな売上を上げる企業は資本の回転数が多く、すなわち総資本回転率が高くなります。
総資本回転率の目安
総資本回転率の基準は1.0です。
1.0~1.2が標準的な範囲とされています。
総資本回転率の数値から判断できる経営状態や財務状態について紹介します。
- 0.7以下の場合
- 投下資本を上手く活用できていない状態です。
- 投下資本に対する売上高の伸びの低さから、大量の不良在庫が存在する可能性も考えられます。
- 0.8~0.9
- 1年間で投下資本を回収しきれていません。
- 原因の分析および適切な方法による対処が求められます。
- 1.0~1.2
- 標準的な数値であり、総資本回転率の面では全く問題ありません。
- 1.3以上
- 総資本回転率が高いと判断される基準は1.3です。
1.3以上の場合、総資本を効率良く活用できていると判断できます。
業種別の総資本回転率の平均
前節で目安の数値を紹介しましたが、総資本回転率は業種による違いが大きいため、全体だけでなく業種別の目安も把握する必要があります。
- 日本政策金融公庫の「小企業の経営指標調査」によると、業種別の総資本回転率の平均値は以下の通りでした。
- 情報通信業:2.2回
- 運輸業:2.3回
- 卸売業・小売業:2.5回
- 飲食店・宿泊業:1.8回
- 医療・福祉業:1.9回
- 教育・学習支援業:2.6回
- サービス業:2.2回
- 建設業:2.5回
- 製造業:1.6回
総資本回転率が最も大きい教育・学習支援業と最も小さい製造業では、1.0回という大きな差があります。
総資本回転率は1.0を超えることを大前提としつつ、業種別の平均を目指すべきといえるでしょう。
なお、今回紹介したデータは日本政策金融公庫が融資した小企業のみを対象とした調査結果を基にしたものです。
融資を利用していない企業や中規模以上の企業も加えると、総資本回転率はより小さくなるでしょう。
企業規模や融資の利用有無を問わない全体的な平均は、上記結果から0.5~1.0回程度小さいと考えられます。
総資本回転率の改善方法

総資本回転率の改善方法は以下の2つに大別できます。
- ・総資本を減らす(分母を減らす)
- ・売上高を上げる(分子を増やす)
この章では総資本回転率の改善方法について具体的に解説します。
借入金を返済する
総資本回転率の改善方法のうち、「総資本を減らす」に該当するものです。
借入金の返済によって他人資本が減るため、必然的に総資本回転率の分母である総資本の金額も少なくなります。
借入金の返済は総資本回転率の改善策として最も確実かつ実施しやすい方法といえるでしょう。
ただし、借入金の返済によってキャッシュが少なくなると資金繰りに悪影響を及ぼす恐れがあります。
また、契約内容によっては繰り上げ返済が難しい恐れや、高額の手数料が発生する恐れもあります。
資金計画や契約内容を十分に確認し、借入金の返済を実施しても問題がないか入念な検討が必要です。
不要な資産を処分する
前節の「借入金を返済する」と同様に、不要な資産の処分も総資本回転率の分母である総資本を減らす方法です。
不要な資産とは収入に貢献しない資産を意味します。該当する資産として不良在庫や遊休資産が挙げられます。
長く残っている在庫であっても、将来的に何らかの方法で売れる見込みがあるならば不良在庫ではないと考えられます。
同様に、訳あって現在は稼働を休止しているだけで再稼働が確実な固定資産も、不要な資産には該当しません。
現時点で収入に直接貢献していない場合でも処分せず管理しましょう。
反対に、売れる見込みのない在庫や稼働予定のない固定資産を所有し続けるメリットはないといえます。
総資本回転率の数値が小さくなるだけでなく、時間が経つほど資産価値が下がるリスクもあります。
総資本回転率の改善を実現するはもちろん、なるべく高く売却するためにも、不要な資産があれば早めに処分するのがおすすめです。
売上高を上げる
総資本を減らすのではなく、分子である売上高を増やすことで総資本回転率を改善させる方法です。
売上高を上げる方法として以下の例が挙げられます。
- ・客単価を上げる(アップセル、クロスセル)
- ・新規顧客を獲得する
- ・販路を拡大する
- ・リピート率を高める
- ・販売価格を引き上げる
総資本を減らす方法に比べて、売上高を上げる方法は効果が出るまでに時間がかかります。
そもそも、前述のように売上高を上げる方法として複数の選択肢がありますが、どの方法でも成果が出るとは限りません。
自社の現状や課題に合う方法でなければ、労力のわりに効果を得られないという事態も起こり得ます。
いずれの方法も一定のコストがかかるため、一時的に利益が減少する恐れにも注意が必要です。
ビジネスモデルを見直す
総資本回転率の数値が小さいとは、現金を投資してから売上によって回収するまでに時間がかかっている状態を意味します。
すなわち、「現金→投資→販売→回収」のうち、投資と販売の工程に何らかの問題がある可能性が高いです。
根本的な問題を解決しなければ、一時的には数値が改善したものの、すぐに元の状態に戻ってしまう恐れがあります。
販売している商品がターゲット層に合わず不人気な場合を例にします。
前述のように、不良在庫の処分によって分子である総資本が減るため、総資本回転率の一時的な改善は可能です。
しかし、同じ商品を同じ方法で販売し続けても人気が出るとは考えにくく、また不良在庫が多く計上される結果になる恐れがあります。
このような場合、本当に行うべきであるのは不良在庫の処分ではなく、ターゲット層に合う商品の開発やターゲティングの見直しです。
このように総資本回転率の根本的な改善のためには、原因追及およびビジネスモデルの見直しが必要といえます。
まとめ
総資本回転率とは企業が保有する総資本をどれだけ効率的に活用できているかを示す指標です。
総資本回転率の数値が大きいほど小さな投資で大きな売上を上げている状態で、資本を効率良く活用できていると判断できます。
総資本回転率の基準は1.0です。
1.0未満の場合や業種別の平均を大きく下回る場合、総資本回転率を改善させるための対処が必要でしょう。
総資本回転率の改善方法は、資本を減らす方法と売上を増やす方法の2つに大別できます。
どちらの方法が良いかはケースによって異なるため一概にはいえません。
自社に合う方法を選び、総資本回転率を下げる根本的な原因を解消するためには、原因追及およびビジネスモデルの見直しも必須です。
短期的な数値改善だけでなく、長期的な収益性や効率性も視野に入れましょう。
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記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士







