創業融資のタンス貯金は自己資金として認められる?注意点について解説!

2024.01.12

タンス貯金(タンス預金)とは、自宅に保管されている現金の俗称です。金融機関に預けている預貯金と対比する言葉として多く用いられます。

創業融資の審査では自己資金が重視されますが、自己資金の金額や貯めた方法は通帳をはじめとした証拠書類を用いて確認されます。

 

しかし、タンス貯金にはお金の流れを証明する手段がありません。

そのため「タンス貯金は自己資金として認められる?」「タンス貯金を自己資金とするにはどうすれば良い?」と疑問に思う人も多いでしょう。

 

今回はタンス貯金が自己資金と認められるのかを中心に、自己資金に関する注意点について詳しく解説します。

 

創業融資を受けるのに必要な自己資金の割合について、以下の記事で解説しています。

 

 

審査に通過する通帳の作り方については、こちらの記事をご覧ください。

 

 

CONTENTS

タンス貯金は創業融資で自己資金と認められない

結論として、タンス貯金は創業融資で自己資金と認められません

なぜタンス貯金が自己資金として認められないのか、理由を詳しく解説します。

タンス貯金が認められない理由

タンス貯金が創業融資の審査において自己資金として認められない理由は、お金の流れを説明できないためです。

 

自己資金として認められるのは、以下の2つを満たしたお金のみとなります。

  • ・出所が明確である
  • ・借入金ではない

創業融資の審査では、お金の流れを確認する資料として通帳を用います。

通帳だけではお金の出所や詳細、借入金でないかの判断ができない場合、追加で別の資料も必要です。

このように非常に厳しいチェックを受けた上で、出所が明確であり借入金ではないと認められたお金のみが自己資金とみなされます。

 

タンス貯金はお金の出所の証明やお金の流れを記録できず、お金の流れを証明できる資料が存在しません。

そのため、自己資金とみなされないのです。

タンス貯金以外に自己資金と認められないお金の例

タンス貯金以外に自己資金とならないお金として以下の2つが挙げられます。

 

  • 借入金
  • 金融機関からの借入金に限らず、親戚や友人・知人からの借入金も認められません。
  • 自己資金として認められるのは返済の必要がないお金のみです。
  •  
  • 売却していない有価証券
  • 株をはじめとした有価証券は現金同等物に該当するものの、売却前の状態では自己資金に含められません。
  • 売却して現金化したものは自己資金として扱われます。

自己資金として認められるお金の例

続いて、自己資金として認められるお金の例を紹介します。

 

  • 本人名義の通帳の預貯金
  • 本人名義の通帳の預貯金は基本的に自己資金とみなされますが、通帳残高の全額が認められるとは限りません。
  • 創業融資の審査では通帳の残高だけでなく口座取引の内容もチェックされます。
  • 残高の中に借入金が含まれている場合、その分は自己資金として認められません。
  •  
  • 配偶者名義の通帳の預貯金
  • 配偶者の合意があれば認められます。
  •  
  • 贈与
  • 贈与を受けた財産を自己資金に充てる場合、お金の出所を証明する書類として贈与契約書を用意するのが理想です。
  •  
  • 出資金
  • 出資金はお金の出所が明確であり、かつ、返済不要という条件を満たしています。
  • そのため外部から受けた出資金も自己資金になります。
  •  
  • 資産を売却してできたお金
  • 有価証券や不動産の売却によって得た資金が該当します。
  • なお、前項で紹介したように売却前の状態では、たとえ価値があっても自己資金とはみなされません。
  •  
  • みなし自己資金
  • みなし自己資金とは、創業融資の申し込み前に使用した事業資金を指します。
  • 例としてオフィスの敷金や礼金、備品の購入費等が挙げられます。
  • みなし自己資金の証明書類として契約書や領収書が必要です。

創業融資の自己資金に関する注意点

これまで紹介したように、タンス貯金そのままでは自己資金にできません。

タンス貯金に限らず、お金の流れを証明できないものは自己資金にできない旨を押さえる必要があります。

自己資金について注意点を知らずにいると、せっかく貯めてきたお金が自己資金として認められず、創業融資の審査で不利になってしまう恐れがあるため注意が必要です。

 

この章では、創業融資の自己資金に関する注意点を2つ紹介します。

タンス貯金が多い場合は申し込みをいったん保留にする

事業用資金を貯める方法としてタンス貯金を行っていた場合、タンス貯金は自己資金にならないため創業融資の申し込み時に不利になってしまいます。

そのため、タンス貯金が多い場合は創業直後すぐに創業融資に申し込むのではなく、一旦保留にするのがおすすめです。

 

タンス貯金が多い場合、以下いずれかの方法をとって創業融資の対策をしましょう。

  • 1.手元にあるタンス貯金で事業をはじめて実績を作り、実績をアピールポイントとして創業融資に申し込む
  • 2.タンス貯金を生活費として使う

創業融資の申し込み時に実績をアピールするのは効果的な方法です。

創業融資の申し込み段階ですでに実績があれば、事業の成功可能性がある・十分な実力があると判断され有利になります。

「資金が足りず大きな実績は作れない」と思うかもしれませんが、大切なのは実績の有無であり、大小はそれほど重要ではありません。

 

2の方法であれば生活費を口座から引き出す必要がなくなり、月々の給与収入の大部分をそのまま自己資金として貯め続けることができます。

十分な自己資金を用意しつつ、自己資金を貯める過程をしっかり経たことの証明にもつながる方法です。

 

いずれにせよ、タンス貯金以外に自己資金がない状態で創業融資に申し込んでも不利になる可能性が高いといえます。

タンス貯金が大きい場合は無理に創業融資を申し込もうとせず、一旦保留にして上記対応を検討しましょう。

見せ金は絶対にしない

自己資金が少なく創業融資の審査で不利になりそうな場合でも、見せ金は絶対にやめましょう

 

見せ金とは、多くの自己資金があるように見せる目的で一時的に借り入れたお金です。

金融機関からの借入に限らず、知人や友人から一時的に借りているお金も見せ金に該当します。

 

前提として、見せ金はほぼ確実にバレます。

見せ金目的の入金は、通帳の取引をさかのぼれば不自然な入金であることが明らかになるためです。

 

見せ金は自己資金として認められないどころか、金融機関をだます目的の行為として審査でかなりのマイナスになります。

場合によっては詐欺罪に問われる恐れもあります。

 

自己資金が足りない場合やタンス貯金しかない場合でも、見せ金は絶対にしてはいけません。

現時点での創業融資は一旦保留にし、次章で紹介する対処法をとりましょう。

自己資金が足りない場合の対処法

これまで紹介したように、自己資金が少ない状態は創業融資の審査で不利になりやすいです。

自己資金が足りない場合はすぐに創業融資の申込をしようとせず、別の方法をとるのも1つの手段です。

 

自己資金が足りない場合の対処法として、以下の例が挙げられます。

  • 創業の時期を遅らせて貯金をする
  •  自己資金を十分に貯めてから創業し、創業融資に申し込む方法です。
  •  
  • 親族や知人から援助を受ける
  •  直接現金を渡す方法ではお金の流れが記録されないため、振込にする必要があります。
  •  
  • 出資を受ける
  •  出資金は出所が明確かつ返済の必要がないため、自己資金として認められます。
  •  
  • 補助金や助成金制度を使う
  •  創業者が申し込める補助金や助成金制度を使って資金調達を行うのもおすすめです。
  •  
  • 資金が少ない状態で創業をし、何らかの事業実績を作ってから創業融資に申し込む
  •  前述のように、実績は創業融資において強いアピールポイントとなります。
  •  小さなものでも実績を作ってから、創業融資に申し込むのも良いでしょう。

まとめ

タンス貯金は自己資金として認められません。タンス貯金を自己資金に充てるつもりでいると、自己資金として認められる額が想定より下がる可能性があります。

 

創業融資に申し込む際は、自己資金として認められないお金について十分な理解が必要です。

また、自己資金が少ない場合は創業融資の申し込みをいったん保留にし、紹介した例のような対策をとることをおすすめします。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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