
パーパス経営とは、自社のパーパス(存在意義)を軸に会社経営をすることです。
持続可能な経営の実現や利害関係者からの信頼・共感の獲得などを目的に行われます。
パーパス経営を行うにはパーパスの明文化を始め、いくつかの工程をしっかり踏むことが大切です。
今回はパーパス経営の手法を中心に、パーパス経営について詳しく解説します。
パーパス経営は会社設立直後ではなく、設立からある程度の年数が経過し、規模が大きくなってから取り入れるべき手法といわれています。
会社設立直後に考えるべき事項については以下の記事をご覧ください。
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CONTENTS
パーパス経営とは

パーパス経営とは、自社のパーパス(存在意義)を軸に会社経営をすることです。
そもそもパーパスとは、目的や意図を意味する英単語です。
ビジネスの場面では存在意義や役割という意味で用いられています。
パーパスとMVVの違い
MVVはミッション(Mission)、ビジョン(Vision)、バリュー(Value)の頭文字を組み合わせたものです。
それぞれ以下のような意味をもちます。
- ミッション
- 企業の存在意義や企業が果たすべき使命を言語化したものです。
- ビジョン
- 企業のなりたい姿や未来像です。企業が目指す「あるべき姿」とも表現できます。
- バリュー
- 企業として大切にする行動指針、行動基準、大切にする価値観等です。
- ミッションやビジョンの実現につながるような内容に設定します。従業員の行動・判断の基準となります。
パーパスおよびMVVをピラミッド状に組み合わせると、最上部にくるのはパーパスです。
その後、ミッション、ビジョン、バリューと続いていきます。
パーパスは他者から見た自社の存在意義や言語化したもので、社会の中でどのような役割でいるかを示すものともいえます。
自社の価値観や理想ではなく、外部からの見え方を重視した考え方といえるでしょう。
パーパス経営の目的
パーパス経営を行う主な目的を5つ紹介します。
持続可能な経営の実現
パーパス経営を行う目的として多くみられるのが、持続可能な経営の実現です。
2015年のSDGs採択により、持続可能な社会の実現に向けた動きの一環としてサステナビリティ経営の注目度が高まっています。
SDGsへの取組およびサステナビリティ経営実現のために、まずは社会における自社の役割や存在意義を示す必要があります。
このような動きにより、パーパス経営に取り組む企業が増加傾向です。
顧客や関係者からの共感・支持の獲得
モノが溢れる豊かな時代の中、消費者はモノ自体よりも体験や想いを重視する傾向が強まっています。
近年は「応援したい企業を選ぶ」「共感できるかを判断基準とする」といった動きをする消費者が増加傾向です。
このように社会的意義を重視する価値観が強まっている中で共感や支持を獲得する手段として、パーパス経営が注目を集めています。
DX実現
DXはやみくもにデジタル技術を取り入れるのではなく、「DX化してどうなりたいか」が明確でなければなりません。
DX化実現後のイメージを具体化するためにも、企業の理想とする姿や果たすべき役割であるパーパスの明確化が必要です。
従業員のモチベーションアップ
パーパス経営により自社の存在意義が明確になれば、従業員は働く理由を実感しやすくなります。
仕事に対する意欲や目的意識が強まることで、モチベーションアップにつながります。
VUCA時代への適応
VUCAとは環境の変化等により社会やビジネスの予測が困難な時代を意味する造語です。
先の見通しが難しいVUCA時代だからこそ、進むべき方向性を見失わないためにもパーパスを軸とする動きが活発化しています。
パーパス経営の手法

パーパス経営の考えを取り入れるまでの工程は大きく4つに分けられます。
各工程について詳しく解説します。
パーパスを明文化する
最初に行うのはパーパスの明文化です。
パーパスは社会から見た自社の存在意義であるため、ステークホルダー(自社の関係者)視点で考える必要があります。
パーパスを考える際のポイントは以下の3点です。
- ・自社とステークホルダーの関係についての情報を収集し、関係性を明確化する
- ・社会貢献および自社の事業との関連性のある内容にする
- ・自社の理念等と矛盾がなく、従業員から共感を得られる内容にする
また、浸透しやすさや共感の得やすさを考慮し、シンプルでわかりやすい表現にすることも大切です。
パーパスを社内に浸透させる
パーパス経営を行うため、まずは体制づくりの一環としてパーパスを社内へ浸透させる必要があります。
パーパスを浸透させるための方法として以下の例が挙げられます。
- ・社内メールや文書等でパーパスを周知する
- ・パーパス経営に関する研究や教育を行う
- ・直接的なコミュニケーションを通じて明文化したパーパスについて知らせる
経営戦略や事業戦略にパーパスを組み込む
パーパス経営実現のためには単にパーパスを明文化するだけでなく、実際に経営に落とし込む必要があります。
経営戦略や事業戦略にパーパスを組み込み、パーパスが企業活動の軸になる状態を整えましょう。
パーパスを日々の業務に落とし込む
本当の意味でのパーパス経営を行うには、常にパーパスを意識できる環境づくりが必要です。
そのため、日々の業務で自然とパーパスに触れる機会を増やすための仕組み作りが求められます。
具体的には、定期的にパーパスを周知する機会を設ける、パーパスが目に入る状態をつくる等の工夫が必要です。
パーパスの取組事例

最後に、パーパスの取組事例として5社の例を紹介します。
味の素
味の素のパーパスは「アミノサイエンス®で、人・社会・地球のWell-beingに貢献する」です。
味の素の主力事業はアミノサイエンスであり、創業以来アミノサイエンスの技術を磨き続けています。
そんな味の素ならではの強みを活かしながら、事業を通じて社会課題の解決に向けた取り組みを続けています。
事業の方向性にブレがないのは、味の素のパーパスが明確であり、強みを磨き続けているためといえるでしょう。
東京海上グループ
各種保険商品を提供する東京海上グループのパーパスは「お客様や社会の“いざ”をお守りする」です。
保険はいざというときの備えであるため、まさに事業活動にピッタリのパーパスといえるでしょう。
また、東京海上グループはパーパスについて
「時代が移り変わるにつれて、社会課題やリスクも変化します。いつ、いかなる時でも、お客様や社会の“いざ”を支える会社でありたい。」
ともコメントしています。
変化に対応しつつパーパスを軸とした活動を行うための考え方についても明確化されているといえます。
花王
花王のパーパスは「豊かな共生世界の実現」です。
花王は日用品、掃除用品、お手入れ品の製造・販売を行います。
そんな花王が大切にするのは、「一人ひとりのいのちを輝かせるきれい」「皆が笑顔で暮らせるきれい」「持続可能な生態のきれい」の3つのきれいへの貢献です。
公式サイトでは、きれいへの貢献を通じて生命、生活、生態の豊かな共生世界の実現を目指す旨が紹介されています。
エプソン
エプソンのパーパスは、『「省・小・精」から生み出す価値で人と地球を豊かに彩る』です。
それぞれ以下のような意味をもちます。
- 省:より効率的に
- 小:より小さく
- 精:より精緻に
エプソンは社会課題の解決に向けて誠実な取り組みを続けてきました。
その過程で大切にしていた考えが「大きいこと、量が多いことだけが豊かさではない。」です。
「省・小・精」を追求しながら、自然環境にやさしく、人々のこころを豊かにする活動を続けています。
パタゴニア
パタゴニアはアメリカのアウトドア用品ブランドです。
パタゴニア公式サイトで、自社の目的について以下のように述べています。
- 2018年に、パタゴニアの目的を「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」に変更しました。
- (中略)
- 私たちは「株式公開に進む(Going public)」のではなく、「目的に進む(Going purpose)」のです。
- 自然から価値あるものを収奪して投資家の富に変えるのではなく、パタゴニアが生み出す富をすべての富の源を守るために使用します。
パタゴニアはパーパスに沿った活動として、売上の寄付や環境保護を目的とした団体への配当金分配などを行なっています。
まとめ
パーパス経営とは自社のパーパスを軸とした経営を行うことです。
持続可能な経営の実現や共感・支援の獲得、VUCA時代への適応などを目的としています。
パーパス経営を行うには、単にパーパスを明確にするだけでは足りません。
パーパスを社内に浸透させるための工夫や、経営戦略・事業戦略への組み込み等が必須です。
もちろん、自社に合うパーパスの設定が大前提となります。
効率的かつ適切なパーパス経営を行うため、今回紹介した内容をしっかり押さえましょう。
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記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士








