バランススコアカード(BSC)とは?4つの視点から考える経営戦略の作り方について解説

2026.01.20

バランススコアカード(BSC)とは企業の経営状況を「財務」「顧客」「業務プロセス」「学習と成長」の4つの視点から評価する経営管理方法です。

BSCの活用により、多角的でバランスの良い業績評価や経営戦略の明確化、組織の一体化などが可能となります。

BSCは視点の偏りを起こさないことが最重要であり、評価に用いる指標や作成の流れについて深い理解が必要です。

 

今回はBSCを作成するにあたって知っておくべき事項を詳しく解説します。

 

経営戦略の策定に活かせるその他のフレームワークについて解説した記事もぜひご覧ください。

 

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CONTENTS

バランススコアカード(BSC)とは

バランススコアカード(BSC)とは企業の経営状況を「財務」「顧客」「業務プロセス」「学習と成長」の4つの視点から評価する経営管理方法です。

1992年にR・S・キャプラン氏とD・P・ノートン氏によって提唱されました。

 

BSCは、従来の定量的な財務業績を中心とした業績管理の欠点を補うものとして登場したものです。

BSCの活用により、過去の業績だけにとらわれないマネジメントおよび経営戦略の策定が可能となります。

バランススコアカードの4つの視点

前述のように、BSCにおける評価視点は「財務」「顧客」「業務プロセス」「学習と成長」の4つです。

それぞれの基本となる考え方や評価に用いる指標について解説します。

財務

財務の視点において基本となる考え方は以下の2つです。

  • ・利害関係者に財務的な利益がもたらされているか
  • ・財務的な成功のために利害関係者に対してどのように行動するべきか

利害関係者には株主だけでなく従業員や取引先なども含まれます。

 

評価の指標として以下の例が挙げられます。

  • ・売上高
  • ・利益額
  • ・利益率
  • ・自己資本比率
  • ・ROE(自己資本利益率)
  • ・ROA(総資産利益率)
  • ・EPS(1株当たり純利益)

目標に届いていない項目があれば、課題の分析や改善策の提案などを行います。

顧客

顧客の視点で基本となる考え方は「経営目的やビジョンを達成するためには顧客に対してどのように行動するべきか」です。

顧客の視点における評価指標の例を紹介します。

  • ・顧客満足度
  • ・リピート率
  • ・市場シェア
  • ・顧客1人あたりの売上高
  • ・顧客1人あたりのコスト
  • ・クレーム発生率
  • ・返品率、解約率

業務プロセス

業務プロセスの視点における軸は「財務および顧客の視点からの評価を上げるために、業務プロセスをどのように構築・改善するべきか」です。

評価指標は財務関連と顧客関連に大別できます。

  • 【財務関連】
  • ・製品の生産にかかる時間
  • ・不良品発生率
  • ・棚卸資産回転率
  • ・設備利用率
  •  
  • 【顧客関連】
  • ・1人あたりの契約数、販売数
  • ・レスポンスタイム、リードタイム
  • ・顧客処理にかかる時間
  • ・新製品注文数

学習と成長

学習と成長の視点における軸は「経営目標やビジョンを達成するため、人材育成や組織の活性化、能力向上をどのように行うか」です。

評価指標の例を紹介します。

  • ・従業員満足度(ES)
  • ・従業員定着率
  • ・従業員の資格取得率
  • ・入社希望者数
  • ・生産性向上率

バランススコアカードで期待できる効果

続いて、BSCの活用によって期待できる効果を3つ紹介します。

多角的でバランスの良い業績評価ができる

BSC活用による大きなメリットの1つが、多角的でバランスの良い業績評価ができることです。

 

従来の財務業績を軸とした分析および経営戦略の策定には、財務以外の要素が軽視されやすいという問題があります。

実際、利益率向上のために従業員を減らした、長い付き合いのあった信頼できる取引先から安価な業者へ切り替えた等の事例は多く存在します。

短期的には利益率が上がるかもしれませんが、職場環境の悪化や取引面でのトラブルなどマイナスの事態を引き起こす恐れがあります。

 

このように財務ばかりを重視してしまうと、中長期的な視点での戦略策定ができない可能性が高いです。

BSCを活用すればバランスの取れた多角的な評価ができるようになり、中長期的な視点で持続可能な経営戦略を策定できる可能性が上がります。

経営戦略を明確化できる

BSCを作成する過程では、事業に影響する様々な要素や評価指標を細かく言語化していきます。

そのため、以下のような効果を期待できます。

・目標達成に向けて具体的に何をするべきかを言語化し行動まで落としこめる

  • ・自社の強み、弱み、現状のリスク、課題などに気付ける
  • ・目標までの乖離および進むべき方向を正確に把握できる

戦略策定に必要な要素を正確に把握できるため、必然的に戦略策定の明確化も可能になるのです。

組織の一体化につながる

前項の通り、BSCの作成によって具体的にとるべき行動や課題、進むべき方向などが明確になります。

したがって、従業員が「目標達成のために何をすれば良いか」「自分はどのような役割を求められているか」を把握しやすくなります。

企業の一員という自覚や貢献意識が強くなり、結果として組織の一体化が進むでしょう。

バランススコアカード作成の流れ

BSC作成の流れは大きく5つのステップに分けられます。

それぞれのステップについて詳しく解説します。

中長期的な経営ビジョンおよび経営戦略を策定する

BSCはあくまでも経営管理方法の1つであり、目的を達成するために活用する手段です。

そのため最初にBSCを活用する目的として、中長期的な経営ビジョンおよび経営戦略を策定する必要があります

すでに経営ビジョンや戦略が存在する場合、現在の自社および市場状況に適した内容であるかの見直しを行いましょう。

ビジョンや戦略実現のための目標を設定する

前節で設定した中長期的なビジョンや経営戦略実現のための目標を設定します。

 

目標設定の際に用いるのがBSCの考え方です。

「財務」「顧客」「業務プロセス」「学習と成長」の4つの視点に基づいて具体的な目標を設定します。

 

目標設定が完了したら、戦略マップを作成しましょう。

各視点で設定した目標を1枚の紙にまとめ、関係のある項目同士を図式化(矢印で結ぶ)します。

マップに落とし込み因果関係を視覚的に把握できる状態にすることで、戦略の構築・実行を進めやすくなります。

重要成功要因を決定する

重要成功要因とは、戦略目標を達成するために必要となる具体的な成功要因です。

CSF(Critical Success Factor)やKSF(Key Success Factor)とも呼ばれます。

例えば「売上アップ」が目標であれば「新規顧客の獲得」「顧客1人あたりの売上高アップ」「リピート率改善」などが重要成功要因となります。

戦略目標を達成するために必要となる具体的な成功要因

KPIとは「Key Performance Indicator」の略で、日本語では重要業績評価指標を意味します。

最終的なゴールに至るまでに達成するべき中間目標として設定する指標です。

目標達成の度合いを客観的に把握できるよう、数値で具体的に定めるのが理想です。

 

目標・重要成功要因・KPIの設定例を紹介します。

  • ・目標:売上アップ
  • ・重要成功要因:顧客1人あたりの売上高アップ
  • ・KPI:客単価平均5%アップ

 

なお、現状からは達成困難と思われるような高すぎる数値目標は達成のイメージがしにくく、かえって意欲が低下する原因になり得ます。

現状よりも上ではありつつ、達成のビジョンをイメージできて挑戦したくなるような数値にすることが大切です。

アクションプランを作成する

最後に、目標達成のためにとるべき具体的なアクションプラン(行動計画)を作成します。

アクションプランは以下のように3段階で設定するのがおすすめです。

  • ・企業全体として共通して意識するべき行動方針
  • ・部署、部門ごとの業務の性質等を考慮した行動指針
  • ・従業員一人ひとりがとるべき具体的な行動

 

全体的な方向性を明確にしつつ個人レベルにまで落としこむことで、一人ひとりが目標達成に向けてやるべきことを実行しやすくなります。

まとめ

BSCとは企業の経営状況を「財務」「顧客」「業務プロセス」「学習と成長」の4つの視点から評価する経営管理方法です。

BSCの活用により、多角的でバランスの良い業績評価、経営戦略の明確化、組織の一体化などを期待できます。

 

BSCを活用するには、BSC自体の性質だけでなく、戦略目標や重要成功要因、KPIなどについても理解が必要です。

多角的でバランスの良い経営戦略を作るために、ぜひ今回紹介した内容を参考にしてください。

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吉岡 伸晃

記事監修
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