損益分岐点とは?計算方法と活用のポイントをわかりやすく解説

2026.01.16

損益分岐点とは売上と費用が等しくなる売上高のことです。

売上高が損益分岐点を上回れば利益が、下回れば損失が発生します。

 

損益分岐点は経営分析で用いる指標の1つです。

損益分岐点を上手く活用するためには、計算方法や活用方法について知っておく必要があります。

 

今回は損益分岐点に関して知っておくべきポイントについて詳しく解説します。

 

損益計算書については以下の記事で詳しく解説しています。

 

 

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CONTENTS

損益分岐点とは

損益分岐点とは、売上と費用が等しくなる売上高、すなわち損益がプラスマイナスゼロになる売上高です。

売上高が損益分岐点を上回れば利益が、下回れば損失が発生します。

損益分岐点の計算方法

損益分岐点となる売上高の計算方法は「固定費 ÷ 限界利益率」または「固定費÷(1-変動費率)」の2種類です。

 

限界利益率は文字通り、売上高に対する限界利益の割合を意味します。

限界利益は売上高から変動費を引いたもので、商品やサービスの販売によって直接得られる利益です。

 

以下の例を用いて実際に計算しましょう。

  • ・商品の販売価格: 5,000円/個
  • ・変動費(製造費、仕入等):2,000円/個
  • ・1ヵ月あたりの固定費:24万円

 

今回の例の場合、変動費率は2,000円÷5,000円=0.4です。

したがって、計算式および結果は以下のようになります。

  • 24万円÷(1-0.4)
  • =24万円÷0.6
  • =40万円

すなわち、売上高40万円が損益分岐点です。

損益分岐点の算出に必要な要素

続いて、損益分岐点の算出に必要な要素を6つ紹介します。

売上高

商品やサービスの販売によって得た収入額です。

損益計算書では「売上高」の欄に表示されます。

 

受取利息や受取配当金、為替差益などの営業外収益は考慮しません。

計算に用いるのはあくまでも商品やサービスの販売といった本業によって獲得した収益のみとなります。

固定費

売上に関係なく発生する費用です。

生産量や販売量によって左右されることなく、常に一定額が発生します。

 

固定費に該当する支出の例は以下の通りです。

  • ・正社員の人件費
  • ・役員報酬
  • ・店舗やオフィスの賃料
  • ・保険料
  • ・広告宣伝費
  • ・機械や什器備品などの減価償却費

変動費

売上高や販売量などによって金額が変動する費用です。

該当する支出として以下の例が挙げられます。

  • ・原材料費
  • ・仕入
  • ・外注費
  • ・パートやアルバイトの人件費
  • ・残業手当
  • ・販売手数料
  • ・配送費
  • ・消耗品費

 

なお、どのような支出が変動費に該当するかは事業内容や利用実態などによって異なります。

例えば、長期契約で毎月定額の外注サービスを利用している企業であれば、外注費は固定費になるでしょう。

上記の勘定科目はあくまで参考程度と考え、細かい部分は自社の状況に応じて判断する必要があります。

 

なお営業外収益と同じく、営業外費用も計算に含めません。

支払利息や為替差損など本業以外に関する支出を含めないよう注意しましょう。

 

営業外費用や特別損失については以下の記事をご覧ください。

 

 

 

変動費率

売上高に占める変動費の割合です。

変動費率は以下の計算式で求められます。

  • 変動費率(%)=変動費÷売上高×100

前節で用いた例では、商品の販売価格は5,000円、変動費は2,000円でした。

したがって、変動費率は2,000円÷5,000円×100=40%となります。

 

前述のように損益分岐点売上高の計算方法には2種類ありますが、そのうちの1つでは計算に変動費率を用います。

限界利益

売上高から変動費を差し引いた利益です。

商品やサービスの販売により直接得られる利益が限界利益となります。

 

限界利益の計算や分析により、商品やサービスの販売で利益を得られているかを把握できます。

限界利益がマイナスの場合、価格設定に問題がある、もしくはコストがかかりすぎている可能性が高いです。

生産や販売をすればするほど損失が大きくなるため早急な対処が必要といえます。

 

限界利益については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひこちらもご覧ください。

 

 

限界利益率

売上高に占める限界利益の割合です。

限界利益率は以下の計算式で求められます。

  • 限界利益率(%)=限界利益÷売上高×100

限界利益率の数値が大きいほど販売によって直接得られる利益が多く、事業が好調であると判断できます。

損益分岐点の活用方法

続いて、損益分岐点の活用方法について解説します。

売上高にどのくらいの余裕があるか分析する

損益分岐点の活用により、売上高にどのくらいの余裕があるのかの分析が可能です。

 

売上高の余裕を分析する上で用いる指標として、売上高と損益分岐点にどれほどの差分があるかを示す「損益分岐点比率」が挙げられます。

計算方法は以下の通りです。

  • 損益分岐点比率(%)=損益分岐点売上高÷売上高×100

例えば損益分岐点売上高が350万円、現在の売上高が400万円の場合、損益分岐点比率は350万円÷400万円×100=87.5%になります。

 

もし売上が減少しても、現在の87.5%までであれば赤字にはならない状態です。

反対に、売上が現在の87.5%よりも下がれば赤字です。

 

損益分岐点比率が低いほど余裕があり、赤字転落の可能性は低いと判断できます。

 

なお、損益分岐点比率は90%以下が目安です。

70~80%以下であれば赤字転落のリスクが低い優良企業と判断されます。

反対に90%を超えている場合、少しの変化によって赤字転落となる恐れがあるため早急な対処が必要です。

安全性を分析する

損益分岐点は安全性の分析に用いる「安全余裕率」とも関係があります。

 

安全余裕率は現在の売上が損益分岐点をどれほど上回っているかを示す指標です。

以下のように計算します。

  • 安全余裕率(%)=(売上高-損益分岐点売上高)÷売上高×100

 

前節でも用いた例で、今度は安全余裕率を計算しましょう。

使用した例は損益分岐点売上高が350万円、現在の売上高が400万円でした。

これらを安全余裕率の計算式に当てはめると以下のようになります。

(400万円-350万円)÷400万円×100%=12.5%

安全余裕率は12.5%、すなわち売上が今より12.5%落ちると赤字になる状態とわかります。

 

安全余裕率の目安は10%以上です。

20%を超えると安全性が高い、反対に10%を下回ると早急な対処が必要と判断されます。

経営改善の必要性を分析・把握する

損益分岐点の計算や分析によって、経営状況について以下の内容を把握できます。

  • ・損益分岐点比率までの余裕(赤字転落までの余裕)
  • ・売上に対する固定費や変動費の割合
  • ・価格設定が適正であるか
  • ・目標利益を達成するために必要な売上高や販売数量
  • ・早急な対処が必要か、現時点では安全性が高いといえるか など

 

損益分岐点比率が高い(安全余裕率が低い)場合は早急な対処が必要といえるでしょう。

売上アップ、もしくはコスト削減の施策が必要です。

 

なお、コスト削減の方法として以下の例が挙げられます。

  • ・テレワークやリモートワークの導入
  • ・外注サービスの活用
  • ・広告宣伝費の見直し
  • ・採用および教育体制の見直し
  • ・リースやレンタルの見直し
  • ・仕入先の見直し
  • ・消耗品等の購入ルールの見直し、購入品の変更
  • ・出張費の削減、オンライン面談の活用

 

どのような方法が良いかはケースによって異なるため一概にはいえません。

固定費と変動費のどちらを削るかによっても適した方法は変わります。

経営改善に効果的な施策を検討するためにも、損益分岐点をはじめとした指標を上手く活用しましょう。

まとめ

損益分岐点とは売上高と費用が等しくなり、利益がゼロになる売上高です。

「固定費 ÷ 限界利益率」または「固定費÷(1-変動費率)」で計算できます。

 

売上高の余裕や安全性の把握など、様々な場面で活用されます。

損益分岐点の活用により、経営改善の必要性を分析および把握することも可能です。

自社の状況を分析し正しく読み解くことができれば、経営改善につながる最適な方法を選べる可能性も上がります。

 

経営分析や経営改善に、損益分岐点を上手く活用しましょう。

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吉岡 伸晃

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