
住民税は個人に課せられる税金のひとつです。
金額が高くなるケースも珍しくないため、住民税を減らしたいとお悩みの方も多いのではないでしょうか。
住民税として課せられる金額を減らすためには、住民税の仕組みを理解した上で、自身に合った節税対策を行うことが大切です。
今回は住民税の仕組みや節税方法など、住民税節税のために押さえたい内容を解説します。
個人にできる節税対策については以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
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【基本】住民税の節税についてみる前に

住民税の節税対策を紹介する前に、まずは住民税の基本事項の確認です。
住民税の概要や税額が決まる仕組み、計算方法について解説します。
住民税の概要
住民税とは都道府県民税と市区町村税の総称であり、地方自治体へ納付する地方税です。
住民税として徴収された金額は、消防・救急・教育など、行政サービスの維持費・経費となります。
住民税は所得割と均等割によって構成されており、それぞれの意味は以下のとおりです。
- ・所得割:所得額に対して一定の税率を乗じた金額
(所得額-控除額)×税率-税額控除で計算する - ・均等割:所得の額に関係なく、住民税の対象となる人すべてに一律で課せられる金額
住民税はその年の1月1日に住んでいた自治体に納付します。
住んでいる自治体によって所得割の税率や均等割額が異なるケースがあるため、同じ所得額でも住民税額が異なる可能性もあります。
たとえば、東京23区の住民税は以下のとおりです。
- ・所得割:都民税4%と特別区民税6%の合計10%
- ・均等割額:個人都民税1,500円と個人区市町村民税3,500円の合計5,000円
東京23区と住民税が同じ自治体に、北海道・埼玉県・千葉県・新潟県などがあります。
東京23区よりも住民税が高額となる自治体の例として、兵庫県豊岡市が挙げられます。
兵庫県豊岡市の住民税は以下のとおりです
- ・所得割:県民税4%と市民税6.1%の合計10.1%
- ・均等割:県民税2,300円と市民税3,500円の合計5,800円
納付する住民税の額は自治体から届く住民税決定通知書に記載されていますが、事前に住民税の額を計算したい際は、自治体ごとの税率・均等割額の確認が必要です。
住民税の納付方法
住民税の納付方法には、特別徴収と普通徴収の2種類があります。
それぞれの特徴や具体的なやり方について解説します。
特別徴収
給与所得者に適用される住民税の納付方法です。
毎月の給与から住民税が天引きされ、会社が本人に代わって自治体へ住民税を納付します。
給与所得者は原則として特別徴収になるため、会社員の人の中には、自身で直接住民税を支払ったことがない人も珍しくありません。
普通徴収
個人事業主のように、給与所得者以外の人に適用される納付方法です。
普通徴収の場合、自治体から送付される納付書を使い、納税者自身で支払いを行います。
毎年6月・8月・10月・翌年1月の4回に分けて1年分の住民税を納付します。
納付回数が4回と少ないため特別徴収に比べて1回あたりの住民税額が大きくなりますが、住民税の総額自体は同じです。
なお、給与所得者であっても2か所以上の会社から給与を得ている・給与以外の所得がある場合、住民税の一部を普通徴収で支払うケースもあります。
【実践】住民税の具体的な節税方法

住民税を節税するためには、課税所得を減らすことが基本です。ここでは、会社員から個人事業主まで、多くの方が活用できる具体的な節税方法を解説します。ご自身の状況に合わせて利用できる制度がないか、ぜひチェックしてみてください。
適用対象となる控除制度を最大限活用する
住民税の計算基礎となる所得額を小さくするためには、適用対象となる控除制度を最大限活用することが大切です。
所得控除のうち、利用しやすく効果が大きいものを5つ紹介します。
生命保険料控除
生命保険料や個人年金保険料の支出がある場合に適用できる制度です。
保険会社によって発行される保険料控除証明書という書類に、控除額の計算に用いる金額が記載されています。
控除額の計算方法は明確に定められており複雑ではないため、簡単な計算・処理のみで適用できる控除制度です。
地震保険料控除
地震保険料および旧長期損害保険料の支払いがある場合に適用される控除です。
大まかな仕組みや適用を受ける方法は、生命保険料控除とほぼ同じといえます。
配偶者控除
配偶者の所得額が一定以下の場合に適用を受けられる制度です。
納税者本人の所得額によって控除額が異なります。
なお、配偶者の所得額が一定を超えているため配偶者控除の対象にならない場合でも、配偶者特別控除は適用を受けられるケースがあります。
扶養控除
所得税法上の控除対象扶養親族がいる場合に適用を受けられる制度です。
配偶者は配偶者控除などの対象になるため、扶養控除は対象外となります。
医療費控除
自分および生計を一にする配偶者や親族のために支出した医療費が一定額を超える場合に適用を受けられる制度です。
治療費や医薬品購入費のほか、出産費用・入院費用も対象となります。
ただし医療費であっても、予防医療や審美目的の支出は対象外です。
なおこれまで紹介した所得控除の制度と違い、医療費控除は年末調整では適用を受けられません。
医療費控除を受けるためには、会社員の人であっても確定申告が必要です。
セルフメディケーション税制
セルフメディケーション税制は、医療費控除の特例制度です。健康の維持増進や疾病の予防への取組として一定の健康診査や予防接種などを行っている人が、対象となるスイッチOTC医薬品を年間12,000円を超えて購入した場合に利用できます。
控除額の上限は88,000円で、ドラッグストアなどで購入した特定の市販薬のレシートを保管しておくことが重要です。家族のために購入した分も合算できるため、日頃から対象医薬品を購入している場合は、医療費控除よりも節税効果が高くなる可能性があります。
ただし、通常の医療費控除とは併用不可のため、どちらか一方を選択する必要があります。
小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済等掛金控除は、個人事業主や会社の役員などが加入できる「小規模企業共済」や、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」の掛金が全額所得控除の対象となる制度です。
例えば、小規模企業共済で毎月7万円(年間84万円)を積み立てた場合、その全額が課税所得から控除されます。これは将来のための積立をしながら、住民税や所得税を大きく節税できる非常に有効な手段です。ただし、iDeCoは原則60歳まで引き出せないなどの注意点も理解した上で活用しましょう。
個人型確定拠出年金(iDeCo)を行う
個人型確定拠出年金(iDeCo)は個人で積み上げる年金制度です。
毎月一定の掛金を支払い、掛金は預金や投資信託として運用されます。
掛金として支払った全額が所得控除の対象になるため、所得税や住民税の節税に効果的です。
iDeCoには節税以外にも以下のメリットがあります。
- ・運用によって発生した利益は非課税
- ・掛金は自動で引き落とされるため、運用に際して手間がかからない
- ・掛金の額は年1回変更可能・支払いの停止もできるため、掛金支出が負担になりすぎる事態を防げる
手軽に実施できる節税方法である上、将来への備えや資産形成という意味でも効果的です。
iDeCoについては以下の記事で詳しく解説しています。
ふるさと納税を行う
ふるさと納税は好きな自治体を選び寄付を行うと、寄付をした自治体からお礼として返礼品を受けられる制度です。
ふるさと納税は厳密にいうと、節税方法ではありません。
自治体に寄付した金額から自己負担額である2,000円を引いた額が、所得税や住民税といった税金から控除される仕組みです。
税金を減らすのではなく、税金の前払いという性質を持ちます。
ただし、ふるさと納税には大きなメリットが2点あります。
- ・応援したい自治体に直接寄付ができる
- ・2,000円の自己負担で返礼品がもらえるため、単に税金を払う場合に比べて得られるものが大きい
なお、ふるさと納税は所得額に応じて控除できる上限額が決まっています。
上限額を超えた部分は控除対象にはならず、完全に自己負担となってしまうため注意が必要です。
ふるさと納税による控除額の計算方法や適用の受け方については、以下の記事で詳しく解説しています。
【個人事業主向け】さらに効果的な住民税の節税方法

個人事業主の方は、会社員に比べて活用できる節税の選択肢が広がります。事業所得を正しく計算し、利用できる制度を最大限活用することで、住民税の負担を大きく軽減できる可能性があります。ここでは、特に効果の高い方法を3つご紹介します。
青色申告で最大65万円の特別控除を受ける
個人事業主が確定申告を行う際、白色申告ではなく青色申告を選択することで、最大65万円の青色申告特別控除が受けられます。この控除により課税所得が直接減るため、住民税率10%で換算すると最大で6.5万円の節税に繋がります。
65万円の控除を受けるためには、複式簿記での記帳や、e-Taxによる申告または電子帳簿保存が必要です。帳簿作成の手間はかかりますが、それを上回る節税メリットがあるため、個人事業主にとって必須の節税策と言えるでしょう。
必要経費を漏れなく計上する
事業を行う上でかかった費用を「必要経費」として漏れなく計上することは、節税の基本であり最も重要です。例えば、自宅兼事務所の家賃や光熱費(事業使用分を家事按分して計上)、通信費、消耗品費などが挙げられます。
また、青色申告をしている場合、30万円未満のパソコンや機材などを一括で経費にできる「少額減価償却資産の特例」も活用できます。経費を正確に計上することで課税所得が圧縮され、所得税だけでなく住民税の節税にも直接繋がります。
経営セーフティ共済(倒産防止共済)を活用する
経営セーフティ共済は、取引先の倒産に備えるための制度ですが、節税効果も高いことで知られています。支払った掛金は全額を必要経費に算入でき、最大で年間240万円、累計800万円まで積み立てが可能です。
掛金を経費にすることで課税所得を大きく圧縮できるため、利益が多く出た年度の節税対策として非常に有効です。
ただし、解約時には返戻金が収入として課税されるため、出口戦略も考慮して計画的に利用することが重要です。
住民税の節税についてよくある質問

ここでは、住民税の節税に関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式で解説します。ご自身の状況と照らし合わせながら、制度への理解を深めていきましょう。
住民税はいつの所得に対してかかりますか?
住民税は、前年1月1日から12月31日までの1年間の所得に対して課税され、翌年の6月から納付が始まります。例えば、2024年中の所得に対する住民税は、2025年6月から納付することになります。
そのため、今年の所得が高かった場合、来年の住民税負担が大きくなることを念頭に置いておく必要があります。節税対策は、所得が発生したその年のうちに行うことが重要です。
副業の収入も住民税の対象になりますか?確定申告は必要ですか?
はい、副業で得た所得も住民税の課税対象です。給与所得以外の副業所得が年間20万円を超える場合は、所得税の確定申告が必要です。所得が20万円以下で確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は別途必要になるため注意が必要です。
申告を怠ると、延滞税などのペナルティが課される可能性があります。副業収入がある場合は、お住まいの市区町村のルールを確認し、適切に申告しましょう。
専業主婦(主夫)でもできる節税方法はありますか?
専業主婦(主夫)の方自身に所得がない場合、直接的にご自身の住民税を節税することはありません。しかし、パート収入が一定額以下の場合、配偶者が「配偶者控除」や「配偶者特別控除」を受けられるため、世帯全体での節税に繋がります。
また、iDeCoに加入して掛金を支払った場合、その掛金は配偶者の所得から控除することはできませんが、ご自身の将来の資産形成には繋がります。世帯単位で最適な控除の適用を考えることが大切です。
住宅ローン控除は住民税の節税になりますか?
はい、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は住民税の節税にも繋がります。住宅ローン控除は、まず所得税から控除されますが、所得税だけでは控除しきれない金額がある場合、その残額を翌年度の住民税から控除することができます。
住民税からの控除には上限額が定められていますが、非常に大きな節税効果が期待できる制度です。年末調整や確定申告で忘れずに手続きを行いましょう。
まとめ
住民税の金額を抑えるためには、住民税所得割の計算基礎となる所得税の額を減らすことが効果的です。
節税と聞くと難しいイメージを持つかもしれませんが、個人でも簡単に実施できる方法や制度も存在します。
自身に合った方法を上手く取り入れて、住民税の節税を実現しましょう。
もし節税について疑問や不安があれば、ぜひ専門家である税理士にご相談ください。状況や希望に合わせた適切な節税対策について、アドバイスやサポートが可能です。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士
















