節税に欠かせない経費を徹底解説!基礎知識から計上のポイント・注意点も紹介

2023.11.07

経費とは、事業のために使った支出のことです。

事業売上から経費を差し引いた額が事業所得となります。

 

経費は節税対策で特に重要性が高い要素の1つです。

税負担を最小限に抑えるためには、経費となる支出を漏れなく計上する必要があります。

また、税務調査において否認され追徴課税となるのを防ぐため、経費計上できない支出についての正しい理解も必要です。

 

今回は節税に欠かせない概念である経費について詳しく解説します。

 

個人事業主が実施できる経費関連以外の節税対策については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。

 

 

CONTENTS

節税対策に欠かせない経費に関する基礎知識

はじめに、経費について基本的な事項を紹介します。

経費とは

経費とは、事業のために要した支出のことです。

 

所得税や法人税を計算する際、売上額に税率を乗じるわけではありません。

事業売上から経費を差し引いた額が事業所得となり、課税所得を基に税額を計算します。

経費の額が増えれば増えるほど、売上収入から差し引く金額が高くなります。

つまり、経費が増えるほど所得が減るため節税につながるのです。

 

個人事業主の場合、事業に関する費用(支出)=経費と考えて良いでしょう。

事業における費用と経費はほぼ同じ意味の言葉として用いられます。

 

法人の場合、経費・費用・損金は似ているものの、厳密にはそれぞれ異なる意味を持つ用語です。

 

費用は、事業に関する支出全般を意味します。

減価償却費や貸倒引当金繰入額等、現金の支出を伴わないコストも含まれます。

会計上は「経済的価値の減少」を意味する言葉です。

 

損金は、法人税の計算に際して経費にできる費用です。

法人税の計算時に収益から差し引ける支出のことで、税務上の費用とも表現できます。

会計上経費とできるものと、損金として計上できるもの(=税務上経費となるもの)は異なるため、法人税の計算時には注意が必要です。

 

経費は、事業における費用のうち、金銭の支出を伴うものを指すのが一般的です。

しかし、費用と損金ほどの明確な定義はなく、費用や損金と同じ意味で使われるケースも多くみられます。

 

以降の文章では、個人事業主の経費を中心に解説します。

経費にできる支出の条件

経費として計上できるのは、売上を得るために必要な支出のみです。

具体的には、以下の条件を満たす支出が経費となります。

  • ・売上を得るために直接要した費用
  • ・事業のために要した販売費、一般管理費、その他業務上必要となる費用

経費になる支出の例

前項で紹介した条件を満たす支出はすべて経費になります。

中でも発生する頻度が高い・高額になりやすい・見逃しやすい経費として、以下の例が挙げられます。

 

  • 消耗品費
  • 事務用品や文房具など、事業に必要な消耗品の購入費用です。
  • また、使用期間が1年未満または取得価額が10万円未満の備品も消耗品として扱われます。
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  • 通信費
  • Wi-Fi代、スマートフォンの使用料、電話代、切手代などが挙げられます。
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  • 旅費交通費
  • 電車代やタクシー代のような移動にかかった費用や、出張時に利用した宿泊代などが該当します。
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  • 交際費
  • 取引先や関係者への接待を目的とした支出です。
  • なお、個人事業主は交際費を全額経費として計上できますが、法人は税務上の経費(損金)にできる額や条件に違いがあります。
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  • 会議費
  • 会議の際に要した飲食代のほか、カフェ等で仕事をした時の飲み物代も会議費として経費計上が可能です。
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  • 地代家賃
  • オフィス物件の家賃や駐車場の賃料等が該当します。
  • 自宅兼事務所の場合、事業で使用している割合で家賃を按分した額を経費として計上できます。
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  • 水道光熱費
  • 地代家賃と同様、自宅兼事務所の場合は家事按分をすれば事業に要した分の経費計上が可能です。
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  • 広告宣伝費
  • チラシやメディアへの掲載費、屋号が入ったグッズの制作費用等が該当します。
  •  
  • 図書研究費
  • 事業に関する情報収集や勉強を目的とした支出は、図書研究費として経費計上が可能です。
  •  
  • 支払手数料
  • 商品やサービスに付随する手数料、専門家への報酬、銀行や郵便局で発生する手数料など広く当てはまります。

経費にできない支出の例

続いて、経費にできない支出の例を紹介します。

 

まず、事業と関係のないプライベートの支出は経費の対象外です。

個人事業主はプライベートの支出と経費がまざりやすいため、明確に区別するよう注意しましょう。

 

事業に関係するものであっても、以下のような支出は経費として計上できません。

  • ・所得税や住民税等の税金
  • ・スピード違反等の罰金
  • ・領収書等の資料が残っていない支出
  • ・事業に関する支出であると証明できないもの
  •  ※それだけではプライベートの支出ではないと判断できないものが該当します。
  •   別の資料を用意する・領収書の裏にメモを残す等対策が必要です。

また、売上を出す上で必要とはいえないもの、売上に直接貢献はしないものも経費になりません。

具体的な例を紹介します。

  • ・ビジネス関係の航空券でファーストクラスをとる
  • ・出張で高級ホテルに宿泊する
  • ・特別な理由なく高額のものを贈る等を挙げる

経費は事業に関係し、かつ、売上を出すために必要な支出のみが該当します。

事業との関連性だけでなく、事業における必要性も重要です。

節税効果を得るために押さえたい経費計上のポイント・注意点

節税効果を得るために押さえたい経費計上のポイントおよび注意点を2つ紹介します。

プライベートと事業を兼ねた支出は家事按分をして計上する

プライベートと事業を兼ねた支出は家事按分をして計上しましょう。

 

家事按分とは、プライベートのものと事業に関するものが混在している支出について、事業にかかる分を算出することです。

主な例として、自宅で仕事をする場合の家賃や電気代が挙げられます。

前章で、プライベートの支出は経費にできないと紹介しました。

しかし、事業部分とプライベート部分が混在する支出であれば、家事按分によって事業部分を算出すれば経費計上ができます。

 

家事按分をする場合、以下2つを証明できるよう準備が必要です。

  • ・事業にかかる分を算出した根拠
  •  使用面積や使用時間で按分するのが一般的です。
  • ・該当の家事関連費が事業のために必須であること

家事按分のやり方に明確なルールは定められていませんが、家事按分の基準について合理的な説明ができるよう準備が必要不可欠です。

領収書や資料はすべて保管する

計上した経費が否認されるのを防ぐため、領収書や資料はすべて保管する必要があります。

 

経費として計上できるのは領収書等の証拠が残っている支出のみです。

たとえ実際にあった支出でも、証拠書類が残っていないものは経費計上ができません。

 

また、交通費や宿泊費のように領収書だけでは事業との関連性を証明できない取引の場合、事業に関する支出と証明できる資料も必要です。

交際費なら裏面に相手の名前や人数を記録する、交通費や宿泊費など出張関係なら目的を記録した書類を残す等の対応をしておくのが良いでしょう。

 

なお、帳簿書類は一定期間の保存が義務付けられています。

保存期間が経過する前に処分してしまうと計上した経費が否認される恐れがあるため注意が必要です。

領収書等、取引を証明する書類の保存期間は以下の通りです。

  • ・青色申告の場合:7年
  • ・白色申告の場合:5年

まとめ

所得税は事業売上ではなく、事業売上から経費を引いた額である事業所得が計算基礎となります。

個人事業主の節税では、どれだけ経費を計上できるかが重要といえるでしょう。

また、本来経費にできない支出を経費として計上してしまうと、税務調査で指摘を受けて追徴課税の対象になる恐れがあります。

節税効果を最大限にする・追徴課税を防ぐためには、経費に関する正しい知識が必要です。

 

経費は事業の基礎的な部分ながらも、専門知識が必要な個所や複雑な部分も存在します。

経費について疑問や不安があれば、一人で解決しようとせず専門家である税理士へご相談ください。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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