
コインランドリー節税とは、名前の通りコインランドリー経営における節税対策です。
コインランドリー経営には適用を受けられる税制が複数あり、上手くいけば大きな節税効果を得られます。
そのため、コインランドリー経営では優遇税制の適用を受けて税負担を抑える手法が多くみられます。
しかし、2023年度の税制改正によってコインランドリー経営で適用を受けられる税制が少なくなりました。
現在のコインランドリー経営で税負担を最小限に抑えるには、以前とは異なるポイントに注意する必要があります。
今回はコインランドリー節税について、税制改正前と現在の違いや、税制改正後の注意点を紹介します。
節税対策としておすすめできるテクニックは以下の記事でも紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください。
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【税制改正前】コインランドリー節税で利用できる税制

コインランドリー節税とは、名前の通りコインランドリー経営における節税対策のことです。
前提として、コインランドリー経営は安定した収入を得やすい、人件費が安く済む等の理由から高い人気があります。
また、コインランドリー経営には適用を受けられる税制が複数あり、上手くいけば大きな節税効果を得られます。
コインランドリー経営において優遇税制の適用を受けて税負担を抑える手法を、コインランドリー節税と呼ぶのが一般的です。
しかし、2023年4月の税制改正により、現在は以前のようなコインランドリー節税ができなくなりました。
この章では、税制改正前にコインランドリー節税で利用できていた税制について解説します。
中小企業経営強化税制
中小企業経営強化税制とは、青色申告の中小企業者が一定の要件を満たす設備を取得した場合に適用対象となる制度です。
優遇措置は以下のいずれかを選択できます。
- 特別償却
- 対象設備の取得価額の全額をその年に償却(即時償却)できます。
- 税額控除
- 対象設備の取得価額の7%相当額を税額から直接控除できます。
対象となるのは、特定経営力向上設備等に該当する一定以上の規模の資産です。
規模については以下のように定められています。
- 機械および装置:1単位あたりの取得価額が160万円以上のもの
- 工具、器具および備品:1単位あたりの取得価額が30万円以上のもの
- 建物附属設備:一の取得価額が60万円以上のもの
- ソフトウェア:一の取得価額が70万円以上のもの
中小企業投資促進税制
中小企業投資促進税制とは、青色申告の中小企業者が指定期間中に一定の要件を満たす設備を取得した場合に適用対象となる制度です。
前述した中小企業経営強化税制との違いとして、適用対象となる資産の範囲や特別償却限度額が挙げられます。
中小企業投資促進税制で受けられる優遇措置は以下のいずれかです。
- 特別償却
- 基準取得価額の30%相当額の特別償却限度額を、普通償却限度額に加えた金額です。
- 前項の「中小企業経営強化税制」は取得価額全額を即時償却できたため、中小企業投資促進税制の方が特別償却限度額は低くなります。
- 税額控除
- 対象設備の基準取得価額の7%相当額を税額から直接控除できます。
対象資産は以下の通りです。
- 機械および装置:1単位あたりの取得価額が160万円以上のもの
- 品質管理の向上等に用いる測定工具および検査工具:1単位あたりの取得価額が120万円以上のもの
- 上記に準ずる測定工具および検査工具:取得価額の合計が 120万円以上のもの
- ソフトウェア:一の取得価額が70万円以上のもの
- 一定の要件を満たす普通自動車:車両総重量3.5トン以上のもの
- 内航海運業の用に供される船舶
生産性向上特別措置法に基づく特例
生産性向上特別措置法に基づく特例とは、市区町村の認定を受けた設備投資について、固定資産税が3年間軽減される制度です。
「中小企業等経営強化法による固定資産税の特例措置」とも呼ばれます。
制度の適用を受けるためには、認定経営革新等支援機関から発行される確認書が必要です。
同制度の適用により、通常は固定資産税の課税標準が3年間にわたって2分の1になります。
ただし賃上げ方針を計画内に位置付けて従業員に表明した場合、課税標準は3分の1になり、期間は以下のように延長されます。
- ・令和6年3月31日までに取得した設備:5年間
- ・令和7年3月31日までに取得した設備:4年間
小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例とは、相続や遺贈によって取得した宅地等が一定の要件を満たす場合、対象の宅地の評価額が減額される制度です。
要件や減額割合は相続開始の直前における宅地等の利用区分によって異なります。
コインランドリーは貸付事業以外の事業用の宅地等に該当し、400平方メートルまでの宅地の評価額が80%軽減されます。
単に更地として保有しているよりも、コインランドリーを建設し運営した方が相続税を大幅に抑えられるのです。
2023年度の税制改正によるコインランドリー節税への影響

2023年度の税制改正によってコインランドリー業に関する変更が行われたのは、中小企業経営強化税制と中小企業投資促進税制の2つです。
以下の要件をすべて満たす資産については、中小企業経営強化税制および中小企業投資促進税制の対象外になりました。
- 1.主要事業ではないコインランドリー業の用に供する資産
- 2.1の資産のうち、管理のほぼすべてを外部に委託するもの
副業のコインランドリー業に用いる機械のうち、管理を外注しているものが対象外になるイメージです。
コインランドリー業が主要事業の場合や、副業事業でも機械の管理を自身で行っている場合は、これまでと同様に税制の適用を受けられます。
しかし、優遇税制を活用したコインランドリー節税は副業で行うケースが多いため、実態としてはコインランドリー節税の封じ込めといえるでしょう。
コインランドリー事業の運営と成功事例を徹底解説

コインランドリー事業は参入しやすく、安定した収益を期待できる不動産投資の一つです。ただし、競争が激化する中で成功するには、サービス品質の向上や経営戦略の工夫が不可欠です。ここでは、経営の基本と成功ポイント、実際の成功事例、コスト管理の工夫、そして地域特性を活かした事業展開について詳しく解説します。
コインランドリー経営の基礎知識と成功のポイント
コインランドリー経営の基本は、利用者のニーズを的確に把握し、快適で便利な洗濯環境を提供することです。成功のために押さえるべきポイントは以下の通りです。
- 市場調査
- 利用者層に応じた立地選定(ファミリー層の多い住宅街や商業施設の近くなど)
- 設備投資
- 大型洗濯機や乾燥機の導入で利便性を向上
- 節水・節電機能付きの機器を選び、運用コスト削減
- 清潔な店舗環境
- 定期的な清掃と設備メンテナンスで清潔感を維持
- 利便性の向上
- Wi-Fi提供や24時間営業で利用者の満足度を向上
- 適切な価格設定
- 地域の相場を考慮しながら、適正な価格でサービスを提供
これらのポイントを押さえることで、リピーターの獲得と安定した収益につなげることができます。
成功事例に学ぶ効果的な経営戦略
実際に成功したコインランドリーの事例を紹介します。
【事例1】 デザインとサービスで差別化したA店舗
- ・南国風の外観と内装でおしゃれで明るい雰囲気を演出
- ・ペット専用ランドリーを設置し、サービスの差別化に成功
- ・外国人が多い地域特性を考慮し、多言語対応の案内看板を設置
地域特性と独自のサービスを組み合わせることで、リピーターの増加に成功した事例です。
【事例2】 洗濯+αの体験を提供するB店舗
- ・美容室との併設で「ついで利用」を促進し、相乗効果を生み出す
- ・写真コンテストやイラストコンテストを開催し、来店頻度を向上
- ・SNSを活用し、話題性を高めてメディア取材を獲得
洗濯を単なる家事ではなく、楽しい体験として提供することで、話題性を高めた事例です。
初期投資と運営コストを抑える方法
収益性を高めるには、初期費用と運用コストの適切な管理が重要です。以下の方法でコスト削減が可能です。
- 中古設備の活用
- 高品質な中古設備を導入し、初期投資を削減
- 設備の耐用年数を考慮し、長期的な視点で投資判断を行う
- 節水・節電機能の導入
- 水道・電気代を抑える最新設備の導入
- LED照明や電力会社の見直しによる節電対策
- 自動化の推進
- コイン計数機や洗剤自動投入機を活用し、人件費を削減
- 無人営業を取り入れ、運営コストを最小化
- 適切な在庫管理
- 洗剤や消耗品の在庫を最適化し、無駄な発注を防ぐ
これらの工夫により、初期投資と運用コストのバランスを最適化し、利益率の向上が可能になります。
地域特性を活かしたコインランドリーのビジネス展開
コインランドリーの成功には、地域特性を活かした経営が欠かせません。地域ごとのニーズに合わせた事業展開を行いましょう。
- 学生向けエリア
- 深夜営業を実施し、アルバイト学生の利用ニーズに対応
- 学生向けの割引キャンペーンを実施し、リピーターを確保
- 高齢者が多い地域
- 洗濯代行サービスを提供し、高齢者の負担を軽減
- バリアフリー設計や見やすい案内表示の導入
- 観光地
- 多言語対応の案内表示や荷物預かりサービスの提供
- 地域の観光情報を提供し、観光客の利便性を向上
- ファミリー向け住宅地
- キッズスペースを設置し、子連れでも利用しやすい環境を整備
- 子供向けイベントを開催し、地域密着型の運営を推進
地域特性を理解し、利用者のニーズに応じたサービスを提供することで、競合との差別化と安定した集客を実現できます。
税制改正後 コインランドリー節税を行う際の注意点

2023年の税制改正により、コインランドリー経営で優遇税制を受けるための条件は厳しくなりました。
しかし、あくまでも条件が厳しくなったというだけで、税制の適用が不可能なわけではありません。
この章では、税制改正が行われた現在もコインランドリー経営で優遇措置を受ける方法や、コインランドリー節税における注意点を紹介します。
自身がコインランドリー経営に携わるようにする
中小企業経営強化税制または中小企業投資促進税制の適用を受けるためには、自身がコインランドリー経営に携わるようにしましょう。
前章で紹介したように、副業のコインランドリー業に用いる機械で、管理を外注しているものについては同税制の適用を受けられません。
言い換えると、コインランドリー業が主要事業の場合や、副業事業でも機械の管理を自身で行っている場合は、これまでと同様に税制の適用を受けられます。
具体的には、以下のいずれかに該当する場合は従来通り優遇措置の適用が可能です。
自身でコインランドリーを運営する
自身が雇用する従業員や自社の役員を使う場合も税制の対象になります。
コインランドリー運営のほぼすべてを管理会社等に外注する場合は対象外です。
事業者本人がコインランドリーの管理経営に携わる
店舗の清掃や接客、集客のためのポスティング等が該当します。
優遇措置の対象になるよう、コインランドリー経営に自身が直接かかわる必要があります。
将来的に優遇税制が廃止される可能性もある
現在は制度の活用によって節税が出来ていたとしても、将来的には優遇税制が廃止される可能性もあります。
中小企業経営強化税制と中小企業投資促進税制は、いずれも指定期間中に要件を満たす機械を購入した場合に適用を受けられる制度です。
もともと期間限定の優遇税制であり、将来は税制そのものが廃止される可能性があります。
制度が廃止となれば、今回紹介したコインランドリー節税の封じ込めに関係なく、当該税制の適用を受けられません。
そもそも、中小企業経営強化税制と中小企業投資促進税制の2つに限らず、どのような節税スキームも税制改正によって使えなくなる可能性があります。
コインランドリー節税をする際は、最新の税法の確認や将来的な税制改正の予定についても確認が必要不可欠です。
まとめ
コインランドリー節税は、一般的にコインランドリー経営において優遇税制の適用を受けて税負担を抑える手法を指します。
コインランドリー経営は適用対象となり得る優遇税制が複数存在したため、上手くいけば大きな節税効果を得られました。
しかし、2023年の税制改正により、コインランドリー経営で優遇税制の適用を受けられる範囲が狭くなりました。
現在コインランドリー節税を行うためには、税制の適用対象となる要件を満たすための工夫が必要です。
コインランドリー節税の仕組みを押さえ、税負担を最小限にしましょう。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士