
法人が支払う税金のうち、特に大きな額になるのが法人税です。
せっかく利益が出ても、多額の法人税が課されると手元に残る金額は少なくなってしまいます。なるべく大きなお金を手元に残せるように節税対策をするのがおすすめです。
本記事では法人におすすめの節税対策として、10つのテクニックを紹介します。
個人事業主の節税テクニックについては、以下の記事をご覧ください。
会社員の節税テクニックについては、以下の記事をご覧ください。
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法人税の基本知識と節税の重要性

法人税は企業の所得に対して課される国税で、事業年度の利益に応じて税額が決定されます。中小企業では年間所得800万円以下の部分に15%、800万円超の部分に23.2%の税率が適用され、大企業では一律23.2%となっています。
さらに法人住民税や法人事業税も加わるため、実効税率は約30%程度となり、利益の3分の1近くが税金として徴収されることになります。例えば年間利益が1,000万円の場合、約300万円が税金として支払われるため、手元に残る資金は700万円程度となります。
このような高い税負担を軽減し、事業資金を確保するために適切な節税対策が不可欠です。合法的な節税により資金繰りを改善し、設備投資や人材採用などの成長投資に回すことで、企業の持続的発展が可能となります。
法人が節税対策をするためには青色申告が必須

法人が節税対策をするのであれば、青色申告にすることが大前提です。
青色申告とは法人税の申告方法のひとつであり、実施するためには申請書の提出や一定のルールに沿った帳簿付けなどが必要です。
青色申告には、以下のように節税面でのさまざまなメリットがあります。
欠損金の繰越控除ができる
青色申告の法人では、発生した赤字(欠損金)を最大9年間繰り越すことができます。
繰り越した欠損金は翌期以降の利益と相殺できるため、法人税額を抑えられます。
欠損金の繰戻還付を申請できる
発生した欠損金を前期の利益と相殺し、相殺した分の納付済み法人税の還付もできます。
少額減価償却資産の損金算入が適用される
中小企業の場合、青色申告を行うことで少額減価償却資産の損金算入の適用を受けられます。
30万円未満の減価償却資産を一括で費用計上できるため、節税対策に効果的です。
このように、青色申告では節税効果のあるさまざまな特例の適用を受けられます。
逆に言うと青色申告ではない法人の場合、いくら節税対策をしても節税できる額に限界があります。
青色申告は白色申告に比べて手間が多くなりますが、それ以上に節税面でのメリットが大きいため、節税のためには青色申告にするべきです。
法人の節税対策として効果的な方法を紹介

法人ができる節税対策について、具体的な方法を紹介します。
役員報酬を適切な額に設定・損金計上する
役員報酬は賞与を含め、要件を満たせば損金計上が可能です。金額が大きくなりやすい部分であるため、役員報酬の増額によって大きな節税効果が期待できます。
ただし、役員報酬の額を大きくしすぎると役員にかかる税金や社会保険料などの負担が大きくなります。また不自然に大きな金額は税務調査で指摘され、損金計上が認められないリスクも高いです。
節税目的で役員報酬を増額する場合は、バランスを考え適切な額を設定しましょう。
役員報酬の損金算入要件と注意点
役員報酬を損金算入するには、法人税法で定められた厳格な要件を満たす必要があります。主な要件として、定期同額給与では毎月同額を継続的に支給し、金額変更は事業年度開始から3ヶ月以内に行う必要があります。事前確定届出給与では、支給時期と金額を事前に税務署に届け出て、その通りに支給することが求められます。
また、不相当に高額な報酬は損金不算入となるため、同業他社の水準や会社規模、業績を考慮した適正な金額設定が重要です。税務調査では役員報酬の妥当性が重点的にチェックされ、過大と判断された場合は否認されるリスクがあります。
さらに、役員報酬を増額すると役員個人の所得税や住民税、社会保険料負担も増加するため、法人と個人の税負担を総合的に検討した最適な金額設定が必要です。
社宅制度を導入する
社宅制度も節税効果が期待できます。
社宅制度とは、社宅制度住宅用の賃貸物件を法人契約し、その物件に役員や従業員を住まわせる制度です。法人の経費が大きくなるだけでなく、役員・従業員の家賃負担が減るため、両者にメリットがあります。
なお、社宅家賃を経費として計上するためには、細かな要件を満たす必要があります。
要件を満たさない場合は社宅として認められず、かえって税負担が発生する恐れがあるため注意が必要です。
社宅制度の適正家賃と税務上の取扱い
社宅制度を導入する際は、役員・従業員から適正な家賃を徴収することが税務上の要件となります。役員の場合、固定資産税評価額の12分の1に1.2を乗じた金額が最低徴収額となり、これを下回る場合は差額が給与として課税されます。
従業員の場合は、固定資産税評価額の12分の1の金額が基準となります。豪華社宅に該当する場合は、通常の計算方法とは異なる厳格な基準が適用され、時価の10%相当額を徴収する必要があります。
適正家賃の計算を誤ると、差額部分が給与認定され、源泉所得税の徴収漏れとして指摘される可能性があります。また、社宅として使用する物件の選定においても、業務上の必要性や社会通念上の妥当性が求められるため、過度に高額な物件は避けるべきです。契約書の整備や家賃徴収の記録も適切に管理することが重要です。
出張手当を導入する
出張が多い会社の場合、出張手当の導入によって大きな節税効果が期待できます。
出張手当とは出張に際して発生する経済や心身の負担を慰労する目的で支給する手当です。
交通費や交際費などの実費精算する経費とは違い、出張の発生時に一律で支給します。
ただし、出張手当はあくまでも常識的な範囲内の金額である必要があります。
節税目的で必要以上に大きな額を設定することは認められません。
役職や移動距離ごとの相場を確認した上で妥当な金額を設定しましょう。
また経費としてしっかり主張できるよう、出張旅費規程への明記も必要です。
保険や共済に加入する
保険や共済の掛け金は損金計上できるため、加入することで節税につながります。
法人の節税に効果的な保険・共済制度として、以下の例が挙げられます。
団体定期保険
法人が保険料を全額負担するタイプと従業員が任意で保険料を支払うタイプがあります。
一般的な個人向け保険に比べ料金が安く加入しやすいものが多いです。
経営セーフティ共済
取引先の倒産による資金繰り悪化に備える共済です。
取引先が倒産した際、無担保・無利子の貸付を受けられます。
保険や共済の加入は、節税効果が得られるだけでなくもしもの時の備えとしても大きなメリットもあります。
制度によって損金計上できる額や割合が異なるため、事前に確認が必要です。
生命保険を活用する
法人契約の生命保険は、保険の種類と契約内容により損金算入割合が大きく異なります。定期保険では保険料の全額が損金算入可能で、終身保険では2分の1が損金算入されます。
養老保険では被保険者と受取人の関係により取扱いが変わり、役員・従業員が被保険者で法人が受取人の場合は全額損金算入、役員・従業員の遺族が受取人の場合は2分の1が損金算入となります。
がん保険や医療保険などの第三分野保険は全額損金算入が可能です。解約返戻金のある保険では、将来の退職金準備としても活用でき、節税と資金準備の両方の効果が期待できます。
ただし、保険料が会社規模や収益に比して過大な場合は、税務調査で合理性を問われる可能性があります。また、短期間での解約は税務上不利になる場合があるため、長期的な視点での活用が重要です。
社用車を購入する
車での移動が多いのであれば、社用車の購入も効果的です。
社用車を購入すると以下のようにさまざまな費用が発生して経費が大きくなるため、結果として利益の縮小(=節税)につながります。
・車の購入費
・ガソリンなど燃料費
・保険料や車検費用などの維持費
ただし、台数を増やしすぎると費用がかさみ、節税効果以上に負担が大きくなる恐れがあるため、バランスの見極めに注意が必要です。
決算賞与を支給する
決算賞与も要件を満たせば損金に計上できます。
具体的な要件は以下のとおりです。
・事業年度終了の日までに支給額を全従業員に通知している
・決算賞与として通知した金額を決算から1ヵ月以内に支給している
・当期中に損金として経理処理している
・賞与明細書を発行している
節税効果が得られるほか、従業員に利益を還元できるというメリットもあります。
ただし、役員への決算賞与は損金に計上できないため注意が必要です。
退職金制度を活用する
退職金制度は従業員にとって税制上極めて有利な所得であり、法人にとっても全額損金算入が可能な優れた節税手段です。退職所得は他の所得と分離して課税され、退職所得控除により大幅な税負担軽減が図られます。
中小企業退職金共済制度(中退共)を活用すれば、毎年の掛金を損金算入しながら将来の退職金を準備できます。中退共では国の助成金制度があり、新規加入時は掛金月額の2分の1(上限5,000円)を4ヶ月間、掛金増額時は増額分の3分の1を1年間助成されるため、実質的な負担を軽減できます。
確定拠出年金制度も同様に掛金の損金算入が可能で、従業員の老後資金準備と節税を両立できます。
ただし、退職金規程の整備や適正な金額設定が必要であり、過大な退職金は税務上問題となる可能性があるため、同業他社の水準を参考に適切な制度設計を行うことが重要です。
広告宣伝を活発にする
広告宣伝を活発に行うことも節税対策として効果的です。
広告宣伝に要した費用は、広告宣伝費として経費計上が可能です。
パンフレットやカタログなど配布物のほか、ホームページ作成費用・コマーシャル作成費用・各種媒体への広告掲載費用など、さまざまな費用が該当します。
広告宣伝は単に費用が大きくなりやすいだけでなく、企業や商品・サービスの認知度を高めるという効果にもつながります。
節税面以外でも、企業にとって大きなメリットのあるテクニックです。
交際費と広告宣伝費の区分と限度額
中小企業では年間800万円まで交際費の損金算入が認められていますが、広告宣伝費との適切な区分により、より多くの費用を損金算入することが可能です。
交際費は特定の相手方に対する接待、供応、慰安、贈答などの行為に要する費用ですが、不特定多数を対象とした宣伝的色彩の強い費用は広告宣伝費として全額損金算入できます。
具体的には、カレンダーや手帳の配布、新聞・雑誌への広告掲載、展示会への出展費用、ホームページの制作・運営費用などが広告宣伝費に該当します。また、1人当たり5,000円以下の飲食費は交際費の限度額から除外されるため、効果的に活用できます。
ただし、税務調査では交際費と広告宣伝費の区分が厳格にチェックされるため、支出の目的や相手方を明確にし、適切な証憑書類を保存することが重要です。判断に迷う場合は事前に税理士に相談することをお勧めします。
在庫や古い器具備品を処分する
会社に不要な在庫や古い器具備品があれば処分するのも効果的です。
在庫や器具備品の処分費用は損金に計上できるため、節税効果が得られます。
処分に際して発生する費用として、以下の例が挙げられます。
売却損
在庫や備品を原価よりも安く売却した際に発生する損失です。原価-売却価格で計算します。
廃棄損(除却損)
売却できない在庫や備品を処分する場合、原価の全額を廃棄損として計上できます。
処分費用
廃棄に際して発生した手数料や撤去費用なども損金計上が可能です。
なお、器具備品などの処分費用を確実に損金計上するためには、廃棄業者から廃棄証明書を取得するのが理想です。
もし廃棄証明書の取得ができない場合、廃棄の事実を証明できる客観的な資料を用意しましょう。
福利厚生制度を充実させる
福利厚生制度の充実は法人の節税に効果的です。
節税効果が得られるだけでなく、従業員の満足度向上にもつながります。
福利厚生として、ぜひ取り入れたい制度の例を紹介します。
健康診断
節税効果だけでなく従業員の健康維持にもつながるため、ぜひ取り入れたい制度のひとつです。
社内イベント
社内の懇親会やランチミーティングなどの社内イベントも福利厚生に該当します。
社内研修
自己啓発など業務に直接関係のない内容であっても、従業員全員を対象とした社内研修であれば福利厚生として制度化が可能です。
資格取得支援
資格取得の勉強に使う書籍代やセミナー代などを補助する制度は、福利厚生のなかでも特に人気が高いです。
社員旅行
社員旅行の費用も経費として計上できます。
いくつかの要件を満たす必要があるため必ず確認しましょう。
なお、いずれの制度についても、損金計上するためには所定の要件を満たす必要があります。
一部の従業員のみ対象としている、社会通念上妥当な範囲を超えているなどの場合は損金として認められないため注意が必要です。
福利厚生費の損金算入要件と上限額
福利厚生費として損金算入するには、全従業員を対象とし、社会通念上妥当な金額である必要があります。
慶弔見舞金では、結婚祝金は3~5万円程度、出産祝金は1~3万円程度、死亡弔慰金は5~10万円程度が相場とされています。
忘年会や新年会の費用は1人当たり5,000円程度が適正とされ、これを超える場合は給与として課税される可能性があります。レクリエーション費用については、参加者の50%以上が参加し、1人当たり10万円以下であることが要件となります。
健康診断費用や制服代、通勤手当(月額15万円まで)なども福利厚生費として損金算入可能です。
ただし、役員のみを対象とした制度や、特定の従業員のみに偏った給付は給与として課税されるリスクがあります。また、金額が過大な場合も同様に給与認定される可能性があるため、同業他社の水準を参考に適切な制度設計を行うことが重要です。
節税対策実施時の注意点とリスク管理

節税対策を実施する際は、税務調査での指摘リスクを十分に考慮し、適切なリスク管理を行う必要があります。
過度な節税は税務署から否認される可能性があり、重加算税や延滞税などの重いペナルティが課される場合があります。特に、経済的合理性を欠く取引や、租税回避を主目的とした人為的な取引は厳しくチェックされます。また、節税のために不要な支出を行うことは本末転倒であり、事業の実態に即した合理的な対策を選択することが重要です。
税制改正により節税効果が変わる可能性もあるため、定期的な見直しが必要です。さらに、会計処理の適正性も重要で、恣意的な会計処理は税務上問題となる可能性があります。
節税対策を安全に実施するためには、税理士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることが推奨されます。短期的な節税効果だけでなく、長期的な事業発展を見据えた総合的な判断が求められます。
税務調査対策と適切な記録保存
節税対策を実施した場合は、税務調査に備えて適切な記録保存と証憑書類の整備が不可欠です。契約書、領収書、請求書、議事録、稟議書などの証憑書類を体系的に整理し、節税の根拠と合理性を明確に説明できる資料を準備しておく必要があります。
特に役員報酬、交際費、福利厚生費、減価償却資産については、税務調査で重点的にチェックされるため、支出の妥当性と事業関連性を証明できる詳細な記録が重要です。電子帳簿保存法の改正により、電子データでの保存も可能となっていますが、適切なシステム整備と運用が求められます。
また、税務調査官からの質問に対して迅速かつ正確に回答できるよう、経理担当者や経営者自身が節税対策の内容と根拠を十分に理解しておくことが重要です。日頃から税理士と連携し、適切な会計処理と記録保存を心がけることで、税務調査への不安を軽減できます。
まとめ
法人の節税対策として10つのテクニックを紹介しました。
単純な節税効果だけではなく、従業員の満足度向上や社内体制の整備につながる方法も多く存在します。
なお、いずれのテクニックも節税効果を得るために満たすべき要件や注意点があります。
節税対策について疑問や不安があれば、ぜひ専門家へご相談ください。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士


















