
決算が近くなったタイミングで「思ったよりも利益が出て法人税の負担が大きくなりそう」「何とかして節税したい」と悩む経営者の人も多いのではないでしょうか。
法人の節税対策の中には、決算直前に実施しても大きな効果を得られるテクニックがあります。
決算前だからといって節税対策を諦める必要はありません。
今回は決算直前でも間に合う、法人におすすめの節税テクニックを8つ紹介します。
法人の節税対策について以下の記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。
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決算対策とは?効果的な節税のタイミング

決算対策とは、企業が決算期末に近づいた時点で実施する財務戦略の一つです。主に当該会計年度の利益が予想を上回り、法人税などの納税額が大幅に増加すると見込まれる場合に行われます。
効果的な決算対策を行うには、適切なタイミングでの実行が重要です。理想的には第2四半期経過後から10ヶ月目までに決算予測を行い、計画的に対策することをお勧めします。決算直前の対策も有効ですが、より大きな効果を得るには早めの準備が鍵となります。
なお、節税は法律の範囲内で行うことが絶対条件であり、脱税とは明確に区別する必要があります。
決算3ヶ月前に取り組むべき対策
決算3ヶ月前は、企業の財務状況を見直し、効果的な節税策を実施するのに適した時期です。この時点では、当期の業績見通しがある程度立ち、具体的な対策を講じる余裕があります。
未払費用の計上、固定資産の除却、中古固定資産の購入検討、役員退職金の支給計画など、比較的時間を要する対策に着手できます。特に中小企業の場合、償却資産税の免税基準である課税標準額を150万円未満に抑えるための資産見直しも有効です。早めに取り組むことで、より戦略的かつ計画的な節税が可能になります。
決算3ヶ月前からの対策は、直前の慌ただしい対応よりも計画的に実施できるため、より効果的です。特に固定資産の購入や除却など、検討や手続きに時間がかかるものこそ、早めに着手しましょう。
決算直前でもできる節税対策10選

決算直前でも実施でき、十分な効果を得られる節税対策を8つ紹介します。
30万円未満の備品を購入する
原則として、減価償却資産は耐用年数に応じて減価償却をして費用計上します。
しかし青色申告の中小企業であれば、取得価額が30万円未満の減価償却資産について、合計300万円までは購入した年に全額の費用計上が可能です。
この仕組みを少額減価償却資産の特例制度といいます。
通常は決算直前に高額の固定資産を購入しても費用計上できる額はごくわずかですが、少額減価償却資産の特例制度を使えば一度に大きな額を費用にできます。
30万円未満の備品を購入する方法は、簡単かつ効果的な節税対策です。
中古の固定資産を購入する
前項で、減価償却資産は耐用年数に応じて減価償却をして費用計上すると紹介しました。
取得価額が30万円未満のものを購入した年に全額費用計上できるのは、あくまで例外的な制度です。
そして、固定資産を購入した年は1年ではなく月割りでの減価償却となります。
たとえば決算月が3月の会社が1月に固定資産を購入した場合、計上する減価償却費は3ヶ月分です。
以上の理由から、事業年度の途中に高額の固定資産を購入しても節税効果が少ないと考えるかもしれません。
しかし、高額の固定資産の購入における節税効果を大きくする方法があります。
それは、新品ではなく中古の固定資産を購入する方法です。
中古資産の場合、耐用年数は資産ごとに定められた法定耐用年数ではなく、事業に使い始めた以後の使用可能期間として見積もられる年数となります。
使用期間の見積もりが難しい場合、法律で定められた簡便法による見積もりも可能です。
いずれにせよ、法定耐用年数よりも短いことに変わりはありません。
そして耐用年数が短いほど、毎期の減価償却費として計上できる額は大きくなります。
中古でも新品同様に状態が良いものは珍しくありません。
新たな固定資産の購入を検討しているのであれば、節税を兼ねて中古資産を選ぶのもおすすめの手段です。
なお、中古資産であっても、購入した年は1年ではなく月割りでの減価償却となるのは同様です。
そのため決算直前ギリギリのタイミングではなく、早いうちに実施するほど大きな効果を得られます。
使用していない固定資産を処分する
使用していない固定資産を処分する方法も、節税対策としておすすめです。
固定資産の売却額が帳簿価額よりも安い場合は、差額を売却損として費用計上できます。
また、売却ではなく廃棄した場合、処分した資産の帳簿価額を除却損として計上可能です。
このように、使用していない固定資産の処分によって計上できる費用が増え、結果として節税につながることが期待できます。
共済に加入・掛金を支払う
もし共済に加入していないのであれば、共済に加入するのもおすすめです。
共済の掛け金は費用計上できるため利益が少なくなり、結果として法人税の額が押さえられます。
中小企業におすすめの共済として、経営セーフティ共済が挙げられます。
経営セーフティ共済は、取引先の倒産による中小企業の連鎖倒産や経営難を防ぐための制度です。
取引先の倒産により債権の回収が困難になった場合、無担保・無保証人で、回収困難となった債権等の額または納付済み掛金の総額10倍の借入れができます。
単に節税につながるだけでなく、リスクへの備えとしても効果的な制度です。
社員旅行や慰労会などを実施する
想定よりも大きくなりそうな利益を従業員に還元する方法もあります。
そのひとつが、社員旅行や慰労会の実施です。
社員旅行や慰労会など従業員の慰安目的の支出は、福利厚生費として費用計上ができます。
従業員の士気を高める・従業員に感謝を伝えることができるなど、節税以外にもメリットの大きい方法です。
ただし、極端に高額の場合は会社の費用として認められない恐れがあります。
費用として妥当といえる、常識的な範囲に抑えましょう。
金額の判断が難しい場合、専門家である税理士に相談するのが安心です。
決算賞与の支給を決める
利益を従業員へ還元するもうひとつの方法が、決算賞与の支給です。
決算賞与とは文字通り決算前後のタイミングで支給する賞与であり、その年の業績に基づいて金額が決定されます。
通常の賞与と同様に損金計上が可能であるため、決算直前の節税対策として効果的です。
決算賞与の支給が当期中に間に合わない場合でも、以下の要件を満たすことで当期の費用として計上できます。
- ・事業年度終了の日までに対象者全員に支給額を通知している
- ・事業年度終了日の翌日から1ヶ月以内に、通知内容の通りに支給する
- ・通知額を当期中に費用として経理処理している
法人向け生命保険の加入や見直しを行う
前述した「共済に加入・掛金を支払う」と似た方法です。
法人向け生命保険に加入していない・加入済みだがプランや内容の見直しをしばらくしていない場合、加入や見直しを行うことで節税につながる可能性があります。
法人向け保険の保険料は、一定の要件を満たすことで損金算入が可能です。
また、損金算入できる割合は保険の種類やタイプによって異なります。
そのためすでに保険に加入している場合でも、契約内容の見直しや変更によって損金算入できる額が大きくなることも有り得ます。
また、法人向け保険の活用によって、死亡退職金や運転資金などの資金確保・福利厚生の充実も可能であるため、節税以外にも大きなメリットが存在します。
このようにさまざまなメリットがありますが、保険の種類やタイプによって得られる効果が大きく異なります。
そのため十分な検討をせずに加入してしまうと、理想に合わない保険を選んでしまう恐れが大きいです。
節税のために決算直前で慌てて加入するのはリスクが高い点にご注意ください。
不良在庫を処分する
在庫が多い場合、不良在庫の処分による節税効果も期待できます。
在庫はそのままの状態では売上原価として計上できず、棚卸資産として貸借対照表に記載されます。
在庫分を販売し売り上げを得ることで、はじめて売上原価として計上ができます。
つまり、在庫を売れば売上原価が大きくなるため利益が少なくなって法人税を抑えられるのです。
また、在庫を原価よりも安く売却することで、差額を売却損として計上できます。
販売せずに処分した場合は廃棄損の計上が可能です。
このように、高値で売れる見込みがない・保管するメリットがない不良在庫は、節税を兼ねて決算前のタイミングで処分するのもひとつの手段です。
未払費用の計上を検討する
決算期に近づいた時点で、未払費用を適切に計上することで節税効果を得られます。社会保険料など当月分を翌月に支払う費用や、15日締めの給与の後半分、水道光熱費やリース料といった翌月払いの費用も当期の経費として計上可能です。
例えば、従業員賞与を未払計上して当期の費用とすることも効果的ですが、役員賞与には適用されないため注意が必要です。この処理により、当期の課税所得を減少させ節税効果を得られますが、継続適用が必要なため、翌期以降も同様の処理を行わなければなりません。適切な計上で効率的な節税を実現しましょう。
法人税の税額控除制度を活用する
法人税を直接減らせる税額控除制度の活用は、効果的な節税手段です。特に中小企業が対象となる各種控除制度は見逃せません。例えば、新しい機械設備を導入した場合、その購入価格の7%相当額(法人税額の20%が限度)を税額から控除できる制度があります。
他にも研究開発税制や賃上げ促進税制など、業種や事業内容に応じた様々な控除制度があるため、自社に適用可能な制度を税理士に相談して確認することをお勧めします。これらの制度を上手に活用することで、納税額を適正に抑えながら企業の成長投資も促進できます。
決算直前に節税対策を行う際の注意点3選

決算直前に節税対策をする際の注意点は以下の3つがあります。
- ・経費の使いすぎに注意する
- ・節税と脱税の違いを理解する
- ・継続性の原則を守る
それぞれ解説していきます。
経費の使いすぎに注意する
節税対策として経費を使って利益を減らす方法は効果的ですが、使いすぎには注意が必要です。現金の過度な支出は資金繰りを悪化させ、企業経営に悪影響を及ぼす可能性があります。特に決算直前の慌てた経費計上は、本当に必要なものかどうか冷静な判断が難しくなるため危険です。
経費支出は「必要性」と「効果」のバランスを考慮し、将来の事業展開に必要なものに限定することがポイントです。一時的な節税効果だけでなく、長期的な企業価値向上に貢献するかという観点から支出を判断しましょう。
節税と脱税の違いを理解する
節税とは法律の範囲内で税金を合法的に節約することであり、脱税とは法律に反して税金を免れる行為です。この違いを正しく理解することは、経営者にとって非常に重要です。適切な節税対策は企業の財務健全性を高め、将来の投資余力を生み出す重要な取り組みです。
一方、法律で定められていない手段を用いることは脱税となり、罰則対象となる重大な犯罪です。節税対策を検討する際は、必ず税理士など専門家に相談し、法令を遵守した方法で実施することが不可欠です。企業の信頼とコンプライアンスを守るためにも、適正な節税対策を心がけましょう。
継続性の原則を守る
決算対策を行う際は「継続性の原則」に留意することが重要です。一度採用した会計処理方法は、正当な理由なく変更してはならないという原則です。例えば、未払費用の計上方法や減価償却の方法など、一度選択した方法は毎年継続して適用する必要があります。
この原則を無視した恣意的な会計処理は税務署から否認される可能性があり、追徴課税などのリスクを伴います。決算対策は一時的な対応ではなく、長期的な視点で継続可能な方法を選択することが大切です。節税効果だけでなく、会計の一貫性と透明性を保ちながら実施しましょう。
効果的な決算対策のために専門家に相談するメリット

決算対策は法律の正しい理解と適切な実行が求められるため、税理士などの専門家に相談することで大きなメリットが得られます。専門家は最新の税制改正情報に精通しており、企業の財務状況に最適な節税策を提案できます。また、単なる節税だけでなく、長期的な経営戦略に基づいたアドバイスも期待できます。
決算直前の対応だけでなく、年間を通じた計画的な対策をサポートしてもらえるため、より効果的な節税が可能になります。特に中小企業では、内部に税務の専門家を置くことが難しいため、外部の専門家との連携が重要です。決算期の数ヶ月前には相談を始め、計画的な対策を講じましょう。
まとめ
今回紹介した節税対策は、いずれも決算が近いタイミングでも実施できる・十分な効果が期待できるテクニックです。
決算直前であっても、節税テクニックを上手く活用すれば法人税の負担を抑えられます。
ただし、過度の節税対策は税務調査で指摘を受ける恐れがあります。
特に固定資産や不良在庫の処分は、正当な理由がある旨を説明できるよう準備が必要となります。
また、節税対策のし過ぎで赤字になってしまうのは逆効果です。
節税対策はテクニックを上手く活用しつつ、やり過ぎないことが大切といえます。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士





