医療機器をリースで導入するメリットとデメリットを徹底解説!

2022.12.30

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医療機器を導入する方法として、リースと購入の2種類が挙げられます。
リースとはユーザーとリース会社が契約し、リース会社から機器や設備などを長期間借りて利用することです。医療機器はクリニックに設置された状態ですが、所有者はクリニックではなくリース会社となります。

医療機器をリースと購入どちらで用意するかを検討するためには、それぞれの手法について理解を深めることが大切です。
本記事では医療機器をリースで導入するメリット・デメリットについて解説します。

医療機器を購入する場合との比較は、以下の記事で解説しています。

CONTENTS

医療機器をリースで導入するメリット​

医療機器をリースで導入する大きなメリットは以下の4つです。

・導入の手間が少ない
・管理費を抑えられる
・会計処理が手軽
・機器の入れ替えや処分がしやすい

それぞれメリットについて詳しく解説します。

導入の手間が少ない

リースは購入に比べて、医療機器を導入する際の手間が少ない方法です。

高額な医療機器を購入する場合、保険や固定資産関連の手続きが必要です。
開業手続きで忙しいなか、医療機器の導入に関する手続きが増えるのは大きな負担になる可能性があります。

一方で、リースはあくまでリース会社から借りるだけであり、医療機器がクリニックの所有物になるわけではありません。そのため、購入時に発生する保険や固定資産関連の手続きなどが不要です。

また、リースの場合は購入より初期費用を抑えられます。医療機器の導入を目的とした借入金も不要なケースがほとんどです。
大きな資金を用意する必要がない点も、導入の手間を少なくできる理由のひとつです。

管理費を抑えられる

リースによる医療機器の導入には、医療機器の管理費を抑えられるというメリットがあります。

購入の場合、保険料や固定資産税などの支払いが必要です。
発生する金額はケースによって異なるため一概にはいえませんが、年間で総額数万円~数十万円になる可能性もあります。

リースの場合、保険料や固定資産税などをクリニックで支払う必要がありません。
管理費の支払いは基本的にリース会社が行います。

医療機器のリースで発生するランニングコストは、基本的にリース料のみとなります。
医療機器をリースで導入すれば、医療機器に付随するさまざまな諸費用を抑えられるのです。

会計処理が手軽

会計処理が手軽な点も、医療機器をリースで導入する大きなメリットのひとつです。

購入の場合、医療機器を購入した年に全額を経費計上できるわけではありません。
耐用年数に応じて減価償却を行い、減価償却費を費用として計上します。
減価償却費の計算は手間がかかるため、会計処理の負担が大きくなります。
また、償却資産の申告も毎年行う必要があります。

リースの場合、支払ったリース料をそのまま経費として計上できます。
医療機器にかかった費用の把握が容易なため、会計処理の負担も軽くなります。
医療機器の所有者はリース会社であるため、償却資産の申告を行う必要もありません。

このように、医療機器のリースは購入に比べて会計処理の手間を少なくすることができます。

機器の入れ替えや処分がしやすい

医療機器をリースで導入・利用すると、購入した場合よりも機器の入れ替えや処分がしやすくなります。

購入の場合、医療機器を入れ替えるためには機器の処分手続きや処分費用の支払いなど行う必要があります。新たな機器を導入する際も、資金の用意や購入手続き、保険関連手続きなどが煩雑な対応が発生します。
このように非常に大きな手間がかかるため、購入した医療機器の入れ替えや処分は簡単に実施できるものではありません。

リースの場合、契約期間の終了に合わせて新たな機器を契約すれば手軽に入れ替えができます。医療機器を手放す際の処分費用や特別な手続きも必要ないため、機器の入れ替え・処分が容易です。

短いスパンで医療機器を入れ替えたい・医療機器入れ替えの手間を抑えたいなどの場合、リースの方がメリットが大きいでしょう。

医療機器をリースで導入するデメリット​

続いて、医療機器をリースで導入するデメリットを紹介します。
主なデメリットは以下の4つです。

・中途解約ができない
・購入に比べて選択肢が少ない
・クリニックの所有物とはならない
・総額は高くなる可能性がある


それぞれ詳しく解説します。

中途解約ができない

医療機器をリースで導入する大きなデメリットのひとつが、中途解約ができない点です。

ほとんどのリース契約では、契約期間満了より前の中途解約ができません。
中途解約するのであれば、高額な解約手数料を支払う必要があります。解約手続きにともなう手間も大きいです。

機器が必要なくなった、または別の機器に交換したいといった場面でも、好きなタイミングで利用を止めることは原則としてできません。

リースは中途解約ができない前提で考え、しっかり検討したうえで契約する必要があります。

購入に比べて選択肢が少ない

購入に比べて選択肢が少ない点も、リースによって医療機器を導入するデメリットのひとつです。

リース会社や医療機器の種類によるため一概にはいえませんが、購入よりリースのほうが選べる医療機器が少ない可能性が高いです。
特に最新機器や特殊仕様の機器は選べないことがほとんどです。

また、医療機器によってはそもそもリースが適さないケースもあります。
それでもリースを利用したい場合、選択肢が少ない前提とし、医療機器選びが難航する覚悟を持ちましょう。

クリニックの所有物とはならない

リースによって導入した医療機器は、クリニックの所有物とはなりません。

所有者はあくまでもリース会社のままです。

リースによってクリニックに医療機器を導入しても、リースした医療機器の所有者は別に存在します。そのため設置されているクリニックが自由に扱えるわけではなく、利用に際して守らなければならないルールも多いです。
契約に反する行為をした場合は、違約金の支払いが生じる恐れもあります。

購入した場合と比べて、自由度が低い・注意点が多い点は押さえておきましょう。

総額が高くなる可能性がある

医療機器をリースによって導入した場合、購入と比べて総額が高くなる可能性があります。

リースは1回あたりの支出額は小さいものの、手数料として設定されている価格が高額です。
そのため、利用期間の長さ・支払い回数によっては、トータルの支払額がかなり大きくなるケースもあります。

初期費用の大きさや合計額のわかりやすさから、購入のほうが金額のインパクトは大きいかもしれません。
しかし、医療機器をなるべく低価格で使いたいと考える場合、長い目でみたときのリース料総額も考慮する必要があるでしょう。

医療機器をリースで導入するべきクリニックとは​

リースによる医療機器の導入にはメリット・デメリットの両方が存在するため、リースが良い・悪いと一概に判断はできません。
しかし、いくつかの判断基準を用いることでリースを選ぶべきかの判断がしやすくなります。

医療機器をリースで導入するのがおすすめのケース例を紹介します。

管理の手間を小さくしたい
保険や償却資産関連の手続きが不要であるため、リースのほうが管理の手間が小さく済みます。

1回あたりの費用を抑えたい
1回あたりの支払額だけで考えると、リースの方が小さく済みます。

機器の入れ替えペースが早い可能性が高い
医療機器入れ替えの手間を考えると、入れ替えペースが早いクリニックはリースが適している可能性が高いでしょう。

上記に該当する場合でも、ほかの条件によっては購入のほうが良いケースも有り得ます。
リース・購入の向き不向きはケースバイケースであるため、クリニックの事情や希望などを考慮したうえで総合的に判断することが大切です。

まとめ​

リースによる医療機器の導入には、メリット・デメリットの両方が存在します。
リースを選ぶべきか購入にするべきか、クリニックによって適した手段は異なります。

リースを選ぶべきか否かを考える際、良い面だけ・悪い面だけといった偏った基準のみで判断するのは危険です。
リースのメリットとデメリット両方を押さえたうえで、クリニックの事情や希望などを考慮し、総合的に判断しましょう。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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