医療法人の節税対策にも使える!経営強化税制について解説!

2024.04.17

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経営強化税制(中小企業経営強化税制)は、一定の要件を満たす場合に特別償却または税額控除の適用を受けられる制度です。

医療法人も要件を満たせば経営強化税制を利用できるため、上手く活用すれば節税につながります。

 

経営強化税制には全体に共通する要件のほか、類型別の要件も定められています。

また、税制の適用を受けるために必要な手続きが多いため、制度について十分な理解が必要不可欠です。

 

今回は経営強化税制について、要件や適用を受けるための手続き等を詳しく解説します。

 

以下の記事でも医療法人の節税に活かせる税制を紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください。

 

 

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CONTENTS

医療法人も適用可能 経営強化税制の概要

経営強化税制の正式名称は「中小企業経営強化税制」です。

青色申告の中小企業者等が対象で、医療法人も要件を満たせば適用を受けられます。

中小企業経営強化税制とは

経営強化税制(中小企業経営強化税制)は、一定の要件を満たす資産を取得した場合に、特別償却または税額控除の適用を受けられる制度です。

資産を取得し、指定事業の用に供した日を含む事業年度に適用となります。

 

特別償却の場合、取得価額の全額を即時償却できます。

税額控除の限度額は取得価額の7%相当額です。

なお、その事業年度に全額を控除しきれなかった場合、1年間に限り繰越しが認められています。

中小企業経営強化税制の対象法人

同税制の対象となるのは、以下すべてを満たす法人です。

  • ・青色申告の中小企業者
  • ※同制度における中小企業者とは、資本金等が1億円以下、資本金等がない場合は従業員数が1,000人以下の法人等を指します。
  • ・経営力向上計画の認定を受けた
  • ・新品の特定経営力向上設備等を取得(もしくは製作・建設)し、指定事業の用に供した

指定事業に医療、福祉業が含まれるため、医療法人も要件を満たせば同税制の適用を受けられます。

 

また、同税の適用を受けるには、各類型の要件も満たす必要があります。類型ごとの要件を紹介します。

A類型

生産性向上要件を満たす設備で同税制の適用を受ける場合、A類型に該当します。

A類型の要件は以下の通りです。

  • ・年1%以上の生産性向上を達成している
  • ・メーカー経由で工業会証明書を取得する

医療法人で同税制の適用を受ける場合、A類型の対象となるケースが多くみられます。

B類型

収益力強化設備で同税制の適用を受ける場合、B類型に該当します。

B類型の要件は以下の通りです。

  • ・投資利益率が年平均5%以上である
  • ・税理士または公認会計士による事前確認を受ける

C類型

C類型は以下のいずれかを可能にする設備を導入した場合に対象になります。

  • ・遠隔操作により事業を非対面でできる、もしくは通常出勤している場所以外で行えるようになる
  • ・デジタル技術によるデータの集約・分析を行うことができる
  • ・デジタル技術による自動制御化ができる

認定経営革新等支援機関による事前確認書が必要です。

D類型

設備を取得した年度の修正ROAもしくは有形固定資産回転率が要件を満たす場合に受けられます。

税理士または公認会計士による事前確認書が必要です。

中小企業経営強化税制の適用対象資産

同税制の適用となるのは、以下の規模以上の資産です。

  • ・取得価額160万円以上の機械および装置
  • ・取得価額30万円以上の工具、器具および備品
  • ・取得価額60万円以上の建物附属設備
  • ・取得価額70万円以上のソフトウェア

これまでに紹介した要件を満たしていても上記の規模より小さい場合、同税制の適用を受けられません。

 

医療法人で対象となる可能性が高い資産として、医療機器以外の器具備品、ソフトウェアが挙げられます。

なお、医療機器および医療保険業を営む事業者が取得する建物附属設備は同税制の対象外です。

中小企業経営強化税制の適用を受けるための手続き

同税制の適用を受けるには、確定申告書に以下の書類を添付する必要があります。

  • ・経営力向上計画に係る認定申請書の写し
  • ・経営力向上計画に係る認定書の写し

特別償却の場合、償却限度額の計算に関する明細書も必要です。税額控除の場合は、控除を受ける金額を確定申告書に記載します。

 

認定書を取得するまでの流れは以下の通りです。

  • 1.適用を受けようとする類型別の方法で、認定申請書へ添付する書類を発行する
  •  A類型:設備を生産するメーカーに工業会証明書の発行を依頼する
  •  B類型:税理士または会計士に投資計画案の確認依頼を行い事前確認書の発行を受ける
  •  C類型:認定経営革新等支援機関に投資計画案の確認依頼を行い、事前確認書の発行を受ける
  •  D類型:税理士または会計士に投資計画案の確認依頼を行い、事前確認書の発行を受ける
  • 2.(B~D類型の場合)投資計画案と1で取得した事前確認書を経済産業省へ提出し、投資計画の確認書を取得する
  • 3.工業会証明書または事前確認書を添付し、事業部門別の担当省庁へ経営力向上計画の申請を行う

3で認定を受けた後に認定書が発行されます。

【参考】医療法人が適用対象となるその他の優遇税制

この章では、医療法人が適用対象となるその他の優遇税制を2つ紹介します。

医療機器の特別償却制度

一定の医療機器を取得した際に特別償却の適用を受けられる制度です。

その年に計上できる減価償却費が増えて所得を軽減できるため、大きな節税効果を得られます。

 

同制度は以下の3種類に分けられます。

  • ・高額な医療用機器の特別償却制度:償却割合は取得価額の12%
  • ・医師及びその他の医療従事者の労働時間短縮に資する機器等の特別償却制度:償却割合は取得価額の15%
  • ・地域医療構想の実現のための病床再編等の促進のための特別償却制度:償却割合は取得価額の8%

以下の記事で詳しく解説しています。

 

 

中小企業投資促進税制

中小企業投資促進税制は、要件を満たす新品の資産を取得して指定事業の用に供した場合に受けられる制度です。

一般的には略称である「投資促進税制」と呼ばれます。

 

同税制の適用を受けるには、以下すべての要件を満たす必要があります。

  • ・対象期間である1998年6月1日から2025年3月31日までの間に資産を取得、指定事業の用に供する
  • ・資本金等の額が1億円以下、資本金等がない場合は従業員数が1,000人以下

対象となる資産は以下の5種類です。

  • 1.取得価額160万円以上の機械および装置
  • 2.一定の要件を満たす、取得価額120万以上の測定工具・検査工具
  • 3.取得価額70万円以上のソフトウェア
  • 4.貨物の運送の用に供される普通自動車で、重量が3.5トン以上のもの
  • 5.内航海運業の用に供される船舶

経営強化税制と同様に、医療機器は適用対象になりません。

 

同税制では以下いずれかの優遇措置を選択できます。

  • ・特別償却:償却限度額は基準取得価額の30%相当額+普通償却限度額
  • ・税額控除:限度額は基準取得価額の7%相当額

詳細は以下の記事で解説しています。

 

 

まとめ

経営強化税制は、特別償却または税額控除の適用を受けられる制度です。

医療法人も対象となる可能性があり、上手く活用すれば大きな節税効果が期待できます。

 

ただし、医療法人の設備投資の大部分を占める医療機器は同税制の対象外です。

また、優遇措置を受けるにあたって、事前に様々な書類の準備や手続きをする必要があります。

場合によっては、得られる節税効果よりも税制適用のための手続きにかかる手間の方が大きくなる可能性があるため注意しましょう。

他の優遇税制の方が適している場合もあるため、制度ごとのメリット・デメリットを比較する必要があります。

自身ですべて対応しようとせず、専門家である税理士に相談してアドバイスやサポートを受けるのもおすすめです。

 

優遇税制を上手く活用し、医療法人での節税を実現しましょう。

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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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