家族経営クリニックのメリットとは?デメリットもあわせて解説!

2023.01.04

法人成りをしていない小規模なクリニックは、家族経営をしているケースが多いです。
家族経営には多くのメリットがありますが、同時に注意しなければならないデメリットも存在します。クリニックの家族経営を検討しているのであれば、メリット・デメリットどちらも把握する必要があります。

本記事では家族経営のクリニックについて、メリットやデメリット、押さえておきたいポイントを解説します。

 

冒頭で登場したクリニック「法人成り」については、以下の記事で詳しく解説しています。

CONTENTS

家族経営のクリニックのメリット​

家族経営のクリニックならではの大きなメリットは以下の4つです。

・税金対策につながる
・臨機応変な対応やお願いがしやすい
・金銭管理やセキュリティ面で信頼できる
・アットホームな雰囲気を実現しやすい


それぞれ詳しく解説します。

税金対策につながる

家族経営によるメリットのひとつが税金対策です。
青色申告の事業主が専従者に支払った給与は全額経費計上が可能です。この制度を青色事業専従者給与といいます。

青色事業専従者と認められるには、以下すべての条件を満たす必要があります。

・個人事業主と生計を一にする親族である
・その年の12月31日現在で年齢が15歳以上である
・該当の事業に専従している期間が6ヶ月を超える

個人事業主としてクリニック経営のすべてを1人で行うよりも、家族をスタッフとして雇うほうが節税につながります。

なお、白色申告の場合家族に支払った給与の経費計上はできませんが、事業専従者控除の適用が可能です。
ただし、青色事業専従者給与と違い上限額が定められているため、青色申告に比べて節税効果が小さくなります。

臨機応変な対応やお願いがしやすい

臨機応変な対応やお願いがしやすい点も、クリニックを家族経営にするメリットのひとつです。

スタッフの欠勤を埋めるための急な出勤やスタッフに頼みにくい業務などについて、事業主である医師が対応するケースが珍しくありません。
これでは、スタッフを雇っているメリットを活かしきれていないといえます。
気心知れた家族であれば、ほかのスタッフには依頼しにくい業務もお願いしやすいでしょう。
家族は業務外でも共に過ごす時間が長いため、クリニックで無理なお願いをしたあとにフォローしやすい面もあります。

1人での対応に限界を感じている、ほかのスタッフにお願いすることに心理的ハードルを感じる人にとっては、特に大きなメリットです。

金銭管理やセキュリティ面で信頼できる

金銭管理やセキュリティ面で信頼できる点も、家族ならではの大きなメリットです。
クリニック経営では、金銭管理や高度なセキュリティ対策が求められる業務も多くあります。
すべての業務を経営者が行うのは困難であるため、一部をスタッフに依頼するのが一般的です。
しかし、他人であるスタッフを信頼できず、任せる上で不安を感じるケースも少なくありません。
互いをよく知った家族は信頼しやすいため、金銭管理やセキュリティ対策が求められる業務も安心して任せられます。
万が一の事態があっても、家族であれば第三者相手よりも捜索や居場所の特定がしやすい点もメリットです。

家族とはいえお金や情報管理を徹底する必要がありますが、信頼できる相手であるため不安や悩みを最小限にできるでしょう。

アットホームな雰囲気を実現しやすい

気心の知れた家族とクリニック運営をすることで、アットホームな雰囲気を実現しやすくなります。

アットホームな雰囲気の職場であれば、仕事のストレスを1人で抱える、良好な人間関係のために自分が我慢するといったことは起きにくいでしょう、
同じクリニック経営でも、1人で経営する場合や他人であるスタッフを雇う場合と比べて、心理的な負担が軽くなります。

アットホームなクリニックを理想とする人にとって、家族経営は効果的な手段の一つです。

家族経営のクリニックのデメリット​

家族経営のクリニックで注意するべきデメリットとして、以下の3つが挙げられます。


・不公平感が生まれる恐れがある
・ルールや指示などが曖昧になりやすい

・トラブルがこじれやすい/発展しやすい

デメリットについてそれぞれ詳しく解説します。

不公平感が生まれる恐れが大きい

クリニックに限らず、家族経営は不公平感が生まれる恐れが大きい形態です。
家族以外のスタッフを雇っている場合、家族と他のスタッフへの態度・対応の違いから、スタッフが不公平感を覚える恐れがあります。
院長や家族にそのつもりがなくても、家族相手だからひいきしていると捉えられるリスクも低くありません。

家族ではないスタッフが疎外感を覚えるケースもあります。
家族同士が会話している中に加わらない・常に一定の距離を保つなど、スタッフ側が遠慮する可能性も高くなりがちです。
同じクリニックで働く人の間に不公平感が生まれてしまうと、雰囲気の悪化やトラブルの恐れが大きくなります。

ルールや指示などが曖昧になりやすい

ルールや指示などが曖昧になりやすい点も、家族経営によるデメリットのひとつです。
家族だから、信頼しているからという理由で、クリニック運営にあたってルールが曖昧な部分が多くなりがちです。
「こんな言い方で伝わるだろう」という思い込みから指示も大雑把になりやすく、結果としてミスが起きる恐れが大きくなります。

曖昧なルールや指示は認識の相違や誤解を生み、結果としてトラブルにつながるリスクが高いです。

気心が知れた家族とクリニックを運営できるというのは一見大きなメリットですが、過ぎた信頼はかえってリスクとなります。

トラブルがこじれやすい・発展しやすい

気心知れた家族だからこそ、トラブルがこじれる恐れも大きくなります。
家族でないスタッフが相手の場合は、仕事として割り切った対応ができます。
一方、家族は仕事という割り切りがしにくく、トラブルがこじれ長期化するケースが少なくありません。
家族への信頼は「やってくれて当然」「気兼ねなくお願いできる」といった傲慢な姿勢につながりやすい点も、トラブルがこじれやすくなる理由のひとつです。

家族は仕事以外でも一緒にいる時間が長い相手です。そのため、仕事とは関係ない部分で発生したトラブルが解決せず、クリニック運営にも悪影響を及ぼす恐れもあります。

家族経営のクリニックで押さえたいポイント​

家族経営のクリニックで押さえたいポイントを3つ紹介します。

仕事という意識を持ち、ある程度の割り切りをする
家族経営のデメリットは、家族ならではの信頼や距離の近さが原因であるケースが多いです。
クリニック経営は仕事という意識を持ち、家庭とは違うとしっかり割り切りましょう。

家族経営だからこそ明確なルールを設定する
信頼や親しみ故の曖昧さは、クリニック経営におけるトラブルを生み出す原因になりがちです。家族経営だからこそ明確なルールを設定し、曖昧な部分をなくすよう徹底しましょう。

不公平感を発生させないよう意識する
家族ではないスタッフがいる場合、スタッフに不公平感を発生させないよう意識する必要があります。家族とそうでないスタッフに業務量や内容に差をつけない・評価基準を同じにする・仕事中は家族同士での接し方も仕事モードに変えるなど配慮しましょう。

まとめ​

クリニックを家族経営することで、信頼して業務を依頼できる、アットホームな雰囲気を作りやすいなどの効果が得られます。家族との間にある信頼関係は、心地よいクリニックの実現につながる要素です。

一方で、ほかのスタッフとの不公平感が生まれやすい、ルールや指示などが曖昧になりやすいといったデメリットもあります。家族経営だからこそのリスクに注意が必要です。

家族経営のクリニックで押さえたいポイントを意識して、理想的なクリニック経営を実現させましょう。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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