クリニック開業に相応しい立地とは?チェックポイントを解説!

2023.01.18

クリニック開業に向けて欠かせない作業のひとつが、開業地の選定です。
クリニックの立地によって、経営が上手く進むか左右されるケースも珍しくありません。

一言で開業地の選定といっても、開業に適した立地は診療科目によって異なります。そのため、クリニック開業に際して、立地選びのポイントを押さえることが大切です。

本記事では、クリニック開業に相応しい立地の特徴や開業地を選ぶ際のポイントについて解説します。

なお、クリニック開業で押さえたいポイントは立地選びだけではありません。
ほかのさまざまなポイントについて詳しく解説した記事もありますので、ぜひそちらもお読みください。





CONTENTS

クリニック開業に適した立地を探す方法

クリニック開業に適した立地を探すためには、診療圏調査が必要です。

診療圏とは、医療機関へ患者が訪れやすいエリアです。
対象の医療機関を中心におき、患者が訪れやすい範囲まで半径を広げて円を描きます。円の内側の範囲が診療圏といえます。

診療圏調査とは、その場所で開業した場合に1日あたりどれくらいの来院が見込めるか把握するための調査です。

診療圏調査の大まかな流れは以下のとおりです。

 

1.開業予定地の候補を決める

開業予定地が決まっていない状態では診療圏の設定および調査もできません。
まずは開業予定地の候補をいくつか設定する必要があります。

 

2.仮の診療圏を設定する

候補として挙げた開業予定エリアをより絞り込み、仮の診療圏を設定します。
開業するクリニックを中心におき、患者が訪れやすい範囲まで半径を広げて描いた円の内側が診療圏です。詳しくは後述しますが、診療圏の範囲は診療科目によって異なります。

 

3.診療圏内に存在する医療機関(競合)をチェックする

診療圏内に存在する医療機関は競合となる存在です。
クリニックに限らず、競合調査は開業前に欠かせない作業のひとつといえます。

 

4.診療圏の交通手段や周辺環境からアクセス面の分析・推測をする

交通手段や周辺環境も、患者数に影響を与える要因です。
交通手段や周辺環境が与える影響やチェックするポイントについて詳しい内容は後述します。

クリニック開業に適した立地とは

クリニック開業に適した立地の特徴を押さえることで、開業地の選定をスムーズに進めやすくなるでしょう。
この章では、クリニック開業に適した立地のポイントや、診療科目による違いについて解説します。

クリニック開業に適した立地の例

クリニック開業に適すると考えられる立地について、具体的な例を紹介します。

医療機関数より医療ニーズの方が大きい

医療機関数より医療ニーズの方が大きいとは、すなわち医療機関の需要が供給を上回っている状態です。以下のケースに当てはまる場合、医療ニーズが大きい可能性が考えられます。

・人口のわりに医療機関数が少ない
・高齢者が多く医療ニーズが高いと考えられる
・医師の高齢化により既存の医療機関が閉業となる可能性が高い

診療圏内に競合が少ない・競合が弱い

診療圏内に競合が少ない・競合が弱いエリアも、クリニックの開業および運営に適した立地といえます。

視認性が高く認知されやすい

クリニックは視認性の高さも重要です。駅や大通りでクリニックが目に入る・遮蔽物が少なく場所を把握しやすい場所は、クリニック開業に適しています。

アクセスを阻害する要素が少ない

大きな道路・線路・橋などの要素はアクセスを阻害する原因となります。
アクセスを阻害する要素が少なく、患者さんが来院しやすい立地を選ぶのが理想です。

診療科目ごとの適した立地

クリニック開業に適した立地は、診療科目による違いもあります。
一般内科・マイナー科目・超マイナー科目の3つに分けて紹介します。

一般内科

一般内科はアクセスのしやすさが重要です。
電車移動がメインの都市部であれば、駅から徒歩3分以内、ビルなら1階に入っているのが理想といえます。車社会の場合は車で5~10分程度が診療圏と考えられます。

日常的で利用頻度が高い・予約による来院が少ない診療科目であるため、通院するうえでの負担が小さいクリニックが選ばれやすいです。

マイナー科目

眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科・整形外科・精神科などが該当します。

マイナー科目は一般内科よりも診療圏が広いです。都市部の場合は駅から1km、車社会なら半径4km程度が診療圏といえます。

超マイナー科目

超マイナー科目として、産婦人科・泌尿器科・美容皮膚科などが挙げられます。

超マイナー科目はさらに広い診療圏になり、遠くの駅から患者が訪れる可能性も高いです。

ただし、長い電車移動に加え徒歩移動の時間もかかると、通院の負担が大きくなりすぎてしまいます。そのため遠くの駅も診療圏には含まれますが、クリニックの立地は最寄り駅からは近いのが理想です。

駅からの所要時間がそれほど長くなければ、多少奥まった場所やビルの3階以上といった、やや視認性が悪い場所でも問題ないでしょう。

クリニック開業の立地を選ぶ際のポイント

診療科目や立地条件に関係なく、クリニック開業の立地を選ぶ際に必ず押さえたいポイントについて解説します。

複数の要素から多角的に分析する

クリニック開業に適した立地は、特定の要素で決められるわけではありません。
クリニック開業の立地を選ぶ際は、複数の要素から多角的に分析することが大切です。

 

たとえば駅から近い立地は一見理想的ですが、住民の移動手段が電車以外の場合、住民にとってかえって通いにくい場所の恐れがあります。

また、自宅からクリニックまでに、橋・信号が少なく渡りにくい道路・線路などがある場合、来院までのハードルが上がります。このような診療圏では、想定よりも患者さんが来ない恐れが大きいです。

建物の場所がわかりやすいか・わかりにくいかでも、来院数に大きな違いが起こります。

近隣住民に存在を認知してもらえなければ、そもそもクリニックに人が来ません。
駅からの所要時間そのものは同じでも、道1本違うだけで集患数が全く異なるケースも有り得ます。駅からの所要時間が多少長くなっても、視認性が高くわかりやすい場所を選んだほうが良い場合もあるでしょう。

複合商業施設や学校など多くの人が訪れる施設の近くは人の目に入る可能性が高く、アクセスが悪くても来院数が見込めるケースがあるため、近隣施設も来院数に影響する要素です。

 

このように、クリニック開業の立地選びではその地域における主要な移動手段・視認性・近隣施設など、さまざまな要素を加味する必要があります。

競合調査は必須、ただし競合の気にし過ぎは避ける

診療圏調査の一環として、エリア内に存在する医療機関(競合)の調査は必須です。

ただし、すでに医療機関が存在するからといって、そのエリアでの開業が上手くいかないとは限りません。診療科目や対応範囲の違いによっては、連携によってかえってメリットが生まれる可能性もあります。

診療圏調査を行なったときは競合が少なかったために開業を決めたとしても、その後ほかの医師による開業が続くケースも有り得ます。競合が少なく魅力的に見えるエリアは、ほかの医師が開業地として狙うのも自然です。

診療圏について正しく理解するために、競合調査は欠かせない工程となります。

しかし、競合を気にしすぎるのも避ける必要があるでしょう。

診療圏に競合が存在する場合でも、開業地を変えるべきとは言い切れません。

競合となる医療機関と上手く協力する方法を探す・地域医療への貢献度を高める・差別化を目指すといった方法もひとつの手段です。

まとめ

クリニックの運営が成功するか否かは、開業地の選定によって左右される可能性があります。
クリニック開業・運営の成功率を高めるためには、ポイントを押さえた開業地選定が欠かせません。

クリニック開業に適した立地は特定の要素のみで判断できるものではなく、複数の要素から多角的な分析が必要です。
本記事で紹介したポイントを押さえながら、理想的・適切な立地を選びましょう。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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