クリニックに相応しい内装とは?設計のポイントを解説!

2023.02.07

クリニックの開業で必要な作業のひとつに、内装設計が挙げられます。
内装はクリニックの印象だけでなく、使いやすさ・快適さを決めるうえでも重要な要素です。

クリニック開業に向けた内装設計では、理想的な内装に仕上げるためのポイントをしっかり押さえることが大切です。

今回はクリニック開業の内装設計について、進め方や注意したいポイントを詳しく解説します。

クリニック開業について、以下の記事でも解説しておりますのでぜひご覧ください。



CONTENTS

クリニック開業 内装設計の進め方

クリニック開業に向けた内装設計では、以下の作業が必要です。

  • 1.コンセプトを決定する
  • 2.診療科目や対応範囲に合わせてイメージを固めていく
  • 3.必要な部屋やスペースの広さなどを明確にしていく

それぞれの工程ごとに詳しく解説します。

コンセプトを決定する

はじめに、クリニック全体のコンセプトの決定が必要です。

コンセプトを決めることで内装の方向性が明確になるため、イメージのブレが起こりにくくなります。

また、関係者間での共通認識が持ちやすくなる点も、最初にコンセプトを決定するメリットのひとつです。人によって持っているイメージが異なると、関係者同士がまとまらない・軸がない内装設計になるなどの恐れがあります。

コンセプトの決定は、軸を定める・ゴールを明確にするために欠かせない要素です。

診療科目や対応範囲に合わせてイメージを固めていく

クリニックのコンセプトが決まっても、すぐに内装設計を進めるわけではありません。続いては診療科目や対応範囲に合わせてイメージを固めていきます。

一言でクリニックの内装といっても、診療科目や対応範囲によって理想的な内装・雰囲気は大きく異なります。診療科目ごとに押さえたいポイントも存在するため、クリニックのコンセプトを軸としつつ、対応する診療科目ならではの要素も大切にしましょう。

 

内装設計にあたって、診療科目ごとに押さえたいポイントを紹介します。自身が開業するクリニックの診療科目および対応範囲に合わせて内装イメージを固めていきましょう。

一般内科・呼吸器内科

一般内科・呼吸器内科は感染症患者の来院が多いため、十分な隔離対策が求められます。
スペースの都合で隔離対策が不十分になりそうな場合、午前と午後など時間を区切って診療するのもひとつの手段です。

整形外科・神経内科

リハビリを伴うケースが多いため平面構成が基本です。段差や階段、狭いスペースなどを作らないよう注意しましょう。

小児科

子どもが退屈しないようなキッズスペースや絵本、緊張感を和らげる楽しげな内装が求められます。明るさ・賑やかさが大切な要素となる点が、ほかの診療科目との大きな違いです。

精神科・心療内科

プライバシー保護のため、徹底した防音対策が必要です。
ほかにも、患者同士の視線が合いにくい・スムーズな移動がしやすい・患者同士の距離を保てるスペースを確保するなど、快適さの追求も重要といえます。

美容系(美容皮膚科・美容整形外科など)

ほかの診療科目と違い、ある程度の高級感が求められます。
また、パウダールームの充実・プライバシーへの配慮・患者同士の目が合いにくい設計なども必要です。

必要な部屋やスペースの広さなどを明確にしていく

内装イメージの方向性がある程度固まったら、必要な部屋やスペースの広さなどを明確にしていきます。

クリニックには複数の部屋が必要です。自身が開業するクリニックにおいて、どのような部屋が必要か・部屋ごとにどれだけのスペースが必要かを明確にしていきます。

必要となる部屋を明確にせず設計を進めてしまうと、レイアウトが完成してから不足している部屋に気づく・動線の設計が上手くできないなどのリスクがあります

必要な部屋およびスペースの大きさを明確にしてから、各部屋を配置するようにレイアウトを設計するのが効率的です。

 

クリニックで必要となる部屋やスペースの具体例を以下に紹介します。
診療科目や対応範囲によってほかにも必要な部屋があるため、しっかり検討しましょう。

受付

受付はクリニックの出入り口から見えやすい場所(正面など視認性の高い場所)にあるのが理想です。患者さんが迷わず利用できるだけでなく、スタッフが患者さんの来院に気づきやすい効果もあります。

待合スペース

患者同士の間隔を十分に保ちつつ、なるべく多くの患者さんが座って待てるよう、広いスペースを確保できるのが理想です。

診察室

診療科目や対応範囲によって必要な広さが異なるでしょう。プライバシー保護のため、ほかの患者さんから見えない設計や防音対策が求められます。

処置室

治療や検査などを行う処置室では、器具や薬品を保管する十分なスペースや、導線確保が重要です。

X線室

扱いにあたって厳重な注意が必要なため、法律・各種規定のチェックや必要な設備の確認などを徹底しましょう。

トイレ

体調不良や怪我がある状態でも使いやすいよう、バリアフリー設計が求められます。感染症が疑われる患者さん向けの隔離トイレや、スタッフ専用トイレも用意するのが理想です。

スタッフルーム

スタッフの働きやすさや快適さを追求するため、スタッフルームにも力を入れる必要があります。スタッフの数や福利厚生などを考慮して、快適なスタッフルームを設計しましょう。

クリニック開業の内装設計で注意したいポイント

クリニック開業の内装設計で注意したいポイントを3つ紹介します。

早い段階で給排水の位置を確認する

内装設計にあたって、早い段階で給排水の位置を確認しましょう。

 

クリニックでは流し台やトイレなどの給排水設備が必要不可欠です。

テナント開業の場合、排水管などの設備は既存のものを使うケースが多くなります。

そのため、はじめに給排水設備の位置を決定し、それからほかのレイアウトを決めると効率的です。

給排水設備の位置を確認せずに内装設計を進めてしまうと、後に設備上の都合でレイアウト設計のし直しが必要になる可能性があります。

 

テナントでも、物件によっては新たに設備の施行ができるケースもありますが、管理者やほかの入居者との調整が必要です。大掛かりな工事になりやすいため、内装工事費が予想以上に高額になる恐れがあります。

 

早い段階で給排水の位置を確認し、そのうえでレイアウトの設計や必要な設備・工事の明確化を進めましょう。

患者だけでなくスタッフの動線も考える

クリニックの内装設計にあたって、患者を思う気持ちから、患者を最優先にした動線を設計してしまうケースが少なくありません。

しかし快適なクリニックの実現・スムーズな診療のためには、スタッフの動線も考える必要があります。

 

仮に、スタッフが別の部屋に移動する際に待合スペースや患者が通る廊下を使う必要があると、患者の移動を妨げる事態が起こりやすいでしょう。

単に移動が不自由になるだけでなく、スタッフに干渉された印象から不快感を覚える恐れもあります。

 

スタッフの動線を考慮した内装設計は、結果として患者にとっても快適な内装につながります。

たとえばスタッフ専用通路を用意すれば、患者とスタッフの動線を完全に分けることが可能です。

多少待合スペースや診療室が狭くなったとしても、トータルで考えるとプラスになるでしょう。

 

患者さんを優先したレイアウトやスペース配分は大切ですが、スタッフの動線の考慮も忘れないよう注意が必要です。

法規制やバリアフリーにも注意する

内装設計では、建築基準法・バリアフリー法・建築業法などさまざまな法規制を守る必要があります。

法規制を考慮せずに内装設計を進めるとトラブルが起こる恐れがあり、法規制を守ることが内装設計の前提条件となります。

 

バリアフリーについても考慮が必要です。

特に高齢者の来院が多いと見込まれる場合や、車いす・ベビーカーなどを使う人も利用しやすいクリニックにしたい場合、バリアフリー完備が求められます。

バリアフリーに関する法律を守るだけでなく、その先まで考慮するのが理想です。

 

法規制は、クリニックを開業する都道府県の条例や、施設の規模・設備内容による違いもあります。内装設計や法律に詳しい専門家に相談するのが安心です。

まとめ

クリニックの内装設計は、クリニック開業に向けて非常に重要な作業のひとつです。

内装はクリニックの印象や使いやすさを大きく左右する要素であるため、細かな部分まで考慮する必要があります。


設計のポイントについていくつか紹介しましたが、クリニックのコンセプトや診療科目など、さまざまな条件によって注意するべきポイントは変わります。
自身のクリニックならではの要素を考慮して内装設計を進めましょう。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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