医療法人が生命保険を活用するメリットとは?注意点も解説!

2023.03.27

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クリニックを医療法人化するメリットのひとつとして、生命保険料の経費計上が可能な点が挙げられます。

個人事業主の場合、いかなる場合も生命保険料の経費計上はできません。

生命保険料の経費計上は、個人クリニックではできない、医療法人ならではの節税方法といえるでしょう。

 

経費にできるという以外にも、医療法人で生命保険に加入するメリットは複数あります。

一方で上手く活用するためには、事前に注意点の確認も欠かせません。

今回は医療法人で生命保険を活用するメリットや押さえておきたいポイントについて解説します。

 

医療法人化のメリット・デメリットは以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

 

CONTENTS

医療法人で生命保険に加入するメリット

最初に触れたように、個人経営のクリニックでは生命保険料の経費計上はできません。

一方、医療法人で加入・医療法人が受取人の定期保険であれば経費にできるケースがあります。

生命保険料を経費にできる点以外にも、医療法人での生命保険加入にはメリットがあるため、上手く活用することで大きな効果を得られるでしょう。

 

医療法人で生命保険に加入するメリットを3つ紹介します。

法人税等の節税につながる

要件を満たす生命保険であれば、保険料の経費計上が可能です。

経費の額が増えれば利益が小さくなるため、結果として法人税等の節税につながります。

 

個人で生命保険に加入する場合、たとえ個人事業主であっても生命保険料の経費計上はできません。

個人事業主が経費にできる支出は、事業に関係する(プライベートは関係しない)ものや、売上を出す上で必要不可欠なものに限ります。

生命保険料はプライベートな支出と見なされ、経費計上は不可となります。

所得控除のひとつである生命保険料控除の対象ではありますが、控除額に上限が設定されています。

 

法人で契約する生命保険の場合、要件を満たせば経費計上が可能です。

そして経費計上できる額には上限がありません。

保険の種類に応じた損金算入額の決まりを守る必要はありますが、個人で加入するよりも節税効果は大きくなります。

 

なお、掛け捨ての定期保険で支払う保険料は、原則として保険料全額の損金算入が可能です。

しかし保険の種類はさまざまであり、ものによって仕組みや決まりが違います。

また、法改正に伴う変化が起こる可能性もあります。

契約前に保険商品ごとに仕組みや損金算入割合を確認するのはもちろん、最新情報も必ずチェックしましょう。

家族の備えにもなる

法人で生命保険に加入すれば、役員や従業員にもしもの事態が起きたときに給付を受け取れます。

ある程度まとまった金額が給付されるため、死亡退職金や弔慰金の財源に役立ちます。

すなわち医療法人で生命保険に加入すれば、相続人である家族や遺族への備えも用意できるのです。

 

医療法人に限らず、法人に勤める家族が亡くなれば、その分の収入がなくなり世帯収入が激減します。

死亡によって精神的に大きな衝撃を受ける上、金銭面の懸念も存在する状態はかなりの負担です。

 

これらの備えとなるのが死亡退職金や弔慰金ですが、財源がなければ支給できません。

法人で生命保険に加入していれば死亡による給付が発生するために、万が一の事態が起きた際、遺族へ支払う死亡退職金や弔慰金の財源を十分に確保できるのです。

 

そもそも生命保険は、死亡や病気といった万が一の事態が起きた際に給付を受けられる制度です。

生命保険料の経費計上はあくまでも副次的な効果であり、本来の意味では備えとして活用するべきといえるでしょう。

事業継続のための資金確保にも効果的

医療法人の生命保険加入は、万が一の事態が起きてしまった場合の事業継続の資金確保の手段としても効果的です。

 

医療法人のトップである理事長が亡くなると、当然ですが病院の運営に大きな影響を与えます。

十分な資金がなく事業継続が難しくなり、医療法人を解散せざるを得ない状況に陥ることも考えられます。

 

医療法人で生命保険に加入していれば、死亡によってまとまった金額の給付を受けられます。

一時的に事業が不安定になっても、十分な資金を確保できていれば再び持ち直し事業継続することができるでしょう。

医療法人で生命保険に加入する際の注意点​

医療法人で生命保険に加入する際に注意するべきポイントを3点紹介します。

目的に合う保険を選ぶ

医療法人で生命保険を上手く活用するためには、目的に合った保険を選ぶことが大切です。

 

一口に保険といっても、保険のタイプや商品によって特徴・メリットが大きく異なります。

 

たとえば節税が大きな目的であれば、保険料全額を損金に算入できるものが良いでしょう。

一方で役員退職金や事業継続の財源確保を目的とする場合、死亡時に受け取れる給付額や給付スピードが重要となります。

 

目的に合わない保険を選んでしまうと、期待したメリットを得られないのはもちろん、無駄な支出となってしまいます。

保険に加入する目的を明確にした上で、それに合った保険を選びましょう。

期間・積立金の有無・コストをしっかり確認する

生命保険を選ぶ際には以下3つの要素を確認する必要があります。

  • ・期間
     生命保険に加入する目的によって保障が必要な期間が異なるため、適切な保険期間の設定が必要です。

  • ・積立金の有無
     積立金がある保険は、満期時や途中解約時に一定の資金を受け取れます。

  • ・コスト
     単純に保険料額の大きさだけで判断するのではなく、目的に見合うコストか・コストの対価は見合っているかの確認が大切です

もっとも効果的な生命保険を選べるよう、3つの面から保険を比較検討しましょう。

長期的な目線で考えた上で判断する

保険料の経費計上はすぐ出来ますが、保険料の受け取りが発生するような出来事は生命保険に加入してすぐに起こるものではありません。

むしろ、給付金の対象となる事態が起こらないままに満期を迎える可能性が高いです。

万が一の事態が発生する可能性が低いからこそ、生命保険の加入は長期的な目線で考えた上で判断する必要があります。

 

保険料の経費計上は法人税の節税につながるため、即効性があり短期的な目線でも効果があると考えるかもしれません。

しかし将来的に売り上げ減少や支出の増大が発生した場合、保険料の支払いがかえって負担になる恐れもあります。

今現在は利益が発生しており経費を増やしたい状態でも、いずれ生命保険の加入を悔いるケースも十分起こり得ます

 

本当に生命保険に加入するべきか・将来的にメリットはあるか、長い目で見て考えましょう。

医療法人で生命保険に加入する際は専門家のサポートを受けるのが安心

医療法人の生命保険活用にはメリットと注意点の両方が存在します。

そしてすべての医療法人が、生命保険に加入するべき・活用するべきとは限りません。

医療法人を運営していても個人で加入するべきケースや、生命保険の加入がかえってデメリットになる恐れもあるでしょう。

 

また、一口に生命保険といっても多くの種類があり、内容によって税務処理の仕方が異なります。

どの保険がもっともお得か・メリットが大きいかはケースによって異なり、専門知識がない中で最適な判断をするのは困難です。

特に節税目的で生命保険に加入する場合、保険・税務の両方に関する高度な知識が必要となります。

生命保険料の正しい会計処理も欠かせません。

 

自身やスタッフのみで対応しようとした結果、目的に合わない生命保険への加入や、誤った処理をしてしまう恐れが大きくなります。

医療法人で生命保険に加入する際は、事前に税理士に相談するのがおすすめです。

まとめ​

医療法人で生命保険に加入すれば、要件を満たした保険料は経費に計上できるため、法人税の節税につながります。

また遺族への備えや事業継続の資金確保が可能な点も大きなメリットです。

 

一方で、医療法人の生命保険加入にあたって注意するべきポイントも複数あります。

保険は複雑かつ種類が多いため、目的に合う保険選びやメリットの有無を判断するのは容易ではありません。

 

医療法人で生命保険を上手く活用するためには、加入の前に専門家に相談するのが安心です。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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