
本記事は2023年12月までの旧制度に関する解説記事です。
2023年1月スタートの新NISAについては以下の記事で解説していますので、最新情報はこちらをご覧ください。
つみたてNISAは個人ができる節税対策としてオススメされることが多い手法のひとつです。
単純に節税効果があるだけでなく、手軽でリスクが小さいなどさまざまなメリットがあります。
一方で注意点やデメリットもゼロではありません。メリット・デメリットの両方を把握した上での実施することが大切です。
今回はつみたてNISAについて、節税につながる仕組みやメリット・デメリットなどを詳しく解説します。
個人におすすめの節税対策について以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
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CONTENTS
つみたてNISA(積立NISA)は節税に効果的?

まずはつみたてNISAの仕組みやメリット・デメリットを紹介します。
つみたてNISAが節税につながる詳しい理由もまとめました。
つみたてNISAとは
つみたてNISAは2018年1月にスタートした、少額からの長期・積立・分散投資を支援する投資制度です。
通常の証券取引用口座や投資信託用口座とは違い、NISA口座と呼ばれる口座を別途開設して取引を行います。
主な特徴として以下の3つが挙げられます。
- ・投資によって得られる分配金や譲渡益が最長20年間非課税となる
- ・長期の積立や分散投資に適する投資信託のみが対象商品
- ・毎年40万円が非課税投資枠の上限(非課税投資枠の未使用分を翌年以降に繰り越すことは不可)
通常、投資によって得た分配金や譲渡益は課税対象です。
しかしつみたてNISAで購入した商品は、その後20年間非課税になります。
なお非課税期間の終了時期は、投資した年から数えて20年目の年末です。投資した年から数えた20年後ではありません。
たとえば2023年1月に投資した場合と、2023年12月に投資した場合では、投資した年は同じであるため非課税期間の終了時期も同じになります。
つみたてNISAのメリット
続いて、つみたてNISAのメリットを6つ紹介します。
非課税期間が最長20年間と長い
つみたてNISAは一般NISAと比較すると、非課税期間が最長20年間と長いことが大きな特徴です。一般NISAの非課税期間が5年間であるのに対し、つみたてNISAでは長期にわたって節税効果を享受できます。
また、つみたてNISAの対象商品は長期・積立・分散投資に適した投資信託に限定されており、手数料が低水準で分配金の頻度が高くないなどの条件を満たした商品のみが選定されています。このため、投資初心者でも安心して長期的な資産形成を行いながら、効率的に節税効果を得ることができるのです。
つみたてNISAによって得た利益および分配金は非課税
つみたてNISAのもっとも大きなメリットが、つみたてNISAによって得た利益および分配金は非課税である点です。
通常の投資では、投資によって得た分配金や売却によって得られる利益は課税対象となります。
しかし、つみたてNISAの場合毎年40万円の非課税投資枠内であれば、投資によって得る利益に課税されません。
これが、つみたてNISAが節税に効果的といわれる理由です。
なお、つみたてNISAの利用に際して、確定申告の必要はありません。
確定申告をせずとも節税効果を得られるため、誰でも利用しやすい・節税対策を行う上で最初に選びやすい方法ともいえるでしょう。
最初に設定するだけで積立ができるため手間が小さい
つみたてNISAは文字通り積立投資の制度です。
商品の購入時に毎月の積立額を設定すれば以降は自動で引き落とし・積立されるため、運用の手間が小さく済みます。
長期投資が前提のため資産形成にも効果的
つみたてNISAは主に長期・積立・分散投資を支援するための制度です。
長期運用が前提となっているため、節税効果を得るだけでなく、老後などに備えた将来の資産形成にもつながります。
つみたて額の変更や停止が自由なため安心
つみたてNISAはつみたて額の変更や停止に制限がなく、自由に設定を変えることができます。
毎月の積立が負担になった・金額を抑えたいという場合でも安心です。
好きなタイミングで引き出しができる
つみたてNISAは好きなタイミングで売却・現金化による引き出しができます。
好きなタイミングで引き出し可能というメリットは、原則60歳まで引き出し不可のiDeCoとの比較で言及されやすい部分です。
iDeCoについては以下の記事で解説しておりますので、ぜひご覧ください。
つみたてNISAのデメリット
このように、つみたてNISAには多くのメリットがありますが、デメリットにも注意が必要です。
つみたてNISAで押さえたいデメリットを3つ紹介します。
毎月のつみたて額に上限がある
つみたてNISAは好きなだけ積立ができる制度ではありません。
毎年の非課税枠上限が40万円、すなわち毎月の積立額の上限は3万3,333円となります。
つみたてNISAを使って多額の投資を行うことはできない点に注意しましょう。
元本割れのリスクがある
つみたてNISAは元本割れのリスクが低いとはいえ、元本割れの恐れが全くのゼロというわけではありません。
つみたてNISAに限らず、投資には元本割れのリスクがある点をあらかじめ把握する必要があります。
短期での利益獲得には向いていない
つみたてNISAは長期の積立や分散投資を前提とした制度です。
短期での利益獲得には向いていません。
つみたてNISA(積立NISA)で節税効果を得るためのポイント

つみたてNISAの仕組みやメリット・デメリットを紹介しました。
これまでに取り上げた内容は、つみたてNISAを行うために最低限必要な知識といえます。
つみたてNISAをより上手く活用し節税効果を得るためには、単純な概要だけでなく、ポイントを押さえることも大切です。
つみたてNISAのポイントを2つ紹介します。
長期の運用を前提にする
つみたてNISAを行うのであれば、短期運用や即効性を狙わず、長期の運用を前提にしましょう。
つみたてNISAは長期運用を前提とするべき理由を3つ紹介します。
短期運用では大きな節税効果を得られない
つみたてNISAの大きな特徴は、運用益が最大20年間非課税になる点です。
そして非課税期間のメリットは短期運用では活かしきれません。
つみたてNISAは好きなタイミングでの売却が可能ではありますが、売却した段階で対象商品の非課税期間は終了します。
短期運用では運用益が非課税となる期間も短くなってしまうため、トータルでの節税効果も小さくなってしまいます。
元本割れのリスクが低下する
投資は長期運用の方が元本割れのリスクが低くなります。
その理由は、投資によって得られた利益を再投資することで獲得した利益部分にも利益がつくようになり、結果として利益が増幅するためです。
(利子に利子がつくことを複利といいます)
長期運用をするほど複利の効果が大きくなるため、元本割れのリスクが低下していきます。
つみたてNISAの仕組み的に長期運用が前提になっている
つみたてNISAは長期・積立・分散投資を支援する制度と公表されています。
長期運用を前提とした制度であるため、短期運用より長期運用の方が、成果が出やすい仕組みとなっています。
余裕資金で行う
つみたてNISAは家計で最優先にするべき支出ではありません。
生活費や貯蓄などを差し引いたあとに残る余裕資金で行いましょう。
資金的に余裕がない中でつみたてNISAを行うと、節税効果や資産形成のメリットを得られるどころか、かえって負担になる恐れがあります。
つみたてNISAは収入・支出・貯金それぞれを考慮し、そのうえで資金に余裕がある場合に行うのが理想です。
自身にとって無理のない範囲の積立額を設定しましょう。
毎月の積立が負担に感じる場合は、積立額の減額や停止もひとつの手段です。
購入した投資商品の売却・現金化をしなければ非課税効果は継続されます。
つみたてNISAとiDeCoの節税効果の違いを理解する
つみたてNISAとiDeCo(個人型確定拠出年金)はどちらも資産形成に役立つ制度ですが、節税効果の仕組みが異なります。
つみたてNISAは運用益にかかる税金(約20.315%)が非課税になる制度であるのに対し、iDeCoは掛金が全額所得控除されるうえに運用益も非課税となります。また、iDeCoは受け取り時に退職所得控除や公的年金等控除の対象となる点も大きな違いです。
ただし、iDeCoは原則60歳まで引き出しができないのに対し、つみたてNISAはいつでも引き出し可能という柔軟性があります。両制度は併用可能なので、それぞれの特性を理解して効果的に活用することで、より大きな節税効果を得ることができます。
積立額の選び方で節税効果を最大化する
つみたてNISAでは、毎月の積立額をどのように設定するかによって節税効果が変わってきます。年間投資枠40万円を最大限活用するなら、毎月約3.3万円の積立が目安となります。
例えば、月3.3万円を25年間年利3%で運用した場合、節税効果は約97.9万円に達します。さらに30年間運用すれば、約149.3万円もの節税効果が期待できます。
一方で、無理のない範囲で継続することも重要です。月1万円からでも25年間運用すれば約29.7万円、30年間なら約45.2万円の節税効果があります。
自分の家計状況に合わせた積立額を設定し、長期間継続することで、複利効果と非課税メリットを最大限に活かした資産形成が可能になります。
2024年からの新NISA制度と節税効果の変化

2024年1月から始まった新NISA制度では、非課税保有期間が無期限化され、年間投資枠・非課税保有限度額も拡充されました。新制度では「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠が設けられ、より柔軟な投資が可能になりました。
特に節税効果の面では、非課税期間が無期限になったことで、長期保有による節税メリットがさらに大きくなっています。例えば、月5万円を30年間年利3%で運用した場合、約226.2万円もの節税効果が期待できるようになりました。
新NISA制度では、つみたて投資枠で安全性を確保しながら、成長投資枠でリターンを狙うといった柔軟な運用戦略も可能になり、より効果的な資産形成と節税が実現できるようになっています。
つみたてNISAの節税効果に関するよくある質問

ここでは、特に多く寄せられる質問を3つピックアップし、それぞれ詳しく解説します。非課税制度の仕組みや節税効果の具体例、他の制度との違いなどをわかりやすく説明することで、つみたてNISAの活用方法がより明確になるでしょう。
つみたてNISAでどれくらい節税できるの?
つみたてNISAの節税効果は、投資額や運用期間、利回りによって異なりますが、長期的な運用ほどその効果は大きくなります。例えば、毎月3万円を年利5%で20年間運用した場合、総投資額720万円に対して運用益は約620万円となります。
この運用益に通常であれば約20.315%(約126万円)の税金がかかりますが、つみたてNISAでは非課税となるため、この126万円がそのまま節税効果となります。また、複利効果によって運用益が増えるほど節税額も大きくなるため、長期的な視点でコツコツ積み立てることが重要です。
つみたてNISAとiDeCoの節税効果はどう違う?
つみたてNISAとiDeCo(個人型確定拠出年金)はどちらも節税メリットがありますが、その仕組みと効果には違いがあります。つみたてNISAは運用益が非課税になる制度であり、年間40万円までの投資枠を活用して長期的な資産形成を行うことができます。
一方、iDeCoは掛金が全額所得控除されるため、所得税・住民税を減らす即時的な節税効果があります。ただし、iDeCoは原則60歳まで引き出しができないという制約があります。
例えば年収500万円の方が年間40万円をiDeCoに拠出した場合、所得控除による年間約8万円の節税効果があります。
一方でつみたてNISAでは即時的な控除はありませんが、長期的な運用益非課税による大きなメリットがあります。それぞれの特性を理解し、自分のライフプランに合った制度を選ぶことが重要です。
どんな人につみたてNISAがおすすめ?
つみたてNISAは特に以下のような人におすすめです。まず、長期的な資産形成を目指している人です。つみたてNISAは最長20年間非課税で運用できるため、老後資金や教育資金など将来必要になるお金を計画的に準備するのに適しています。
また、投資初心者にもおすすめです。つみたてNISAで購入できる商品は金融庁によって厳選されており、手数料が低くリスク分散された投資信託やETFのみなので安心して始められます。
さらに、流動性を重視する人にも向いています。iDeCoとは異なりいつでも引き出し可能なので、ライフイベントに合わせた柔軟な対応が可能です。このように、自分の目的やライフスタイルに合った使い方ができる点で、多くの人にとって魅力的な制度といえるでしょう。
まとめ
つみたてNISAは運用益が非課税であるため、通常の投資信託を利用する場合に比べ大きな節税効果が得られます。
少額からの長期・積立・分散投資の支援を目的とした制度であり、投資初心者も実施しやすい点も大きなメリットといえるでしょう。
ただし短期運用には適していないなど、デメリットもきちんと把握する必要があります。
つみたてNISAで大きな効果を得るためには、長期運用によって非課税期間の仕組みを最大限活用することが大切です。
また、つみたてNISAに限らず、投資はあくまでも余裕資金で実施する前提も押さえておきましょう。
つみたてNISAについて理解を深め、制度を上手く活用して大きな効果を得ましょう。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士







