クリニック開業に必要な資金はいくら?診療科別に解説!

2022.11.07

一言でクリニックの開業に必要な資金といっても、内訳としてさまざまな項目が存在します。
何にどれぐらいのお金がかかるか把握することで、開業に向けた資金計画がしやすくなるでしょう。

また、必要な開業資金は診療科によっても大きく異なります。

 

本記事では、クリニックの開業資金について、内訳や診療科別に詳しく解説します。

 

クリニック開業時に使える融資については、下記の記事で解説しています。こちらも是非ご覧ください。

 

 

CONTENTS

クリニック開業資金の主な内訳

クリニックの開業に必要な資金の主な内訳は、以下のとおりです。

物件の初期費用
内装工事費
医療機器・備品の購入代
その他諸経費


それぞれの金額や内容について、詳しく解説します。

物件の初期費用

クリニックを開業・運営するためには物件が必要です。
物件には毎月の家賃といったランニングコストだけでなく、契約時に支払う初期費用があります。

物件の初期費用は、主に以下の項目から構成されます。


敷金: 月額賃料の6~12か月分が目安
仲介手数料: 月額賃料の1か月分が目安
初月の賃料: 物件によっては2か月分の支払いが必要なケースも


物件の初期費用は賃料によるため一概にはいえませんが、500万円前後かかるケースが多いようです。

内装工事費​

内装工事費も診療科の違いに関係なく、クリニック開業に際して必ず発生する費用です。
空調、照明、院内のサイン工事など、より細かな内訳があります。

内装工事費は、X線室の有無による違いが大きいです。
X線室が不要な場合、坪単価20~60万円が目安となります。
内科・外科などX線室が必要な場合、坪単価が最低でも30万円となる見込みです。

なお、歯科の場合は内装工事費が高額になりやすく、坪単価で100万円近くになるケースもあります。

クリニックの広さや診療科によりますが、内装工事費のトータルは2,000万円がひとつの目安です。

医療機器・備品の購入代

医療機器・備品の購入代は内装工事費と同様、クリニックの規模や診療科によって違いが特に大きい部分です。
同じ診療科であっても、手術の有無や対応範囲によって必要な医療機器が異なるため、初期費用にも違いがみられます。

備品はデスクや椅子、待合室用のソファなど、さまざまなものが必要です。
患者さんが利用するスペースだけでなく、クリニックのスタッフが使う休憩室用の備品もそろえる必要があります。

その他諸経費

クリニック開業の資金で特に金額が大きい項目を紹介しましたが、ほかにもさまざまな経費が発生します。
クリニック開業時に発生する諸経費の例は以下のとおりです。

広告宣伝費
ホームページやDM・チラシの作成、ポータルサイトへの登録など

消耗品費
診察券の作成に使う紙や各種文房具、医薬品など

採用費
採用サイトの制作費や、人材紹介会社に支払う費用など

研修費
研修費の規定はクリニックによって異なるが、クリニック側が負担するケースが多い

医師会など諸会費
クリニック開業のためには医師会や団体への加入が必要

運転資金
売上金が入るまで時間がかかるため、開業~2ヶ月程度運営できるだけの資金があると安心

細々とした支出が続くため、資金計画や支出管理などを徹底する必要があります。

診療科別のクリニック開業資金

続いて、クリニックの開業資金について診療科別に紹介していきます。

同じ診療科であっても、テナント開業か戸建て開業かで開業資金の額は大きく異なります。
今回はテナント開業のケースを取り上げます。

内科

内科のクリニック開業資金は、トータルで5,000万円~8,000万円程度です。

一言で内科といっても、一般内科・呼吸器内科・消化器内科・内分泌内科など、種類によって必要となる開業資金に大きな差があります。

内科のうち、もっとも医療機器代がかかるのは消化器内科です。
内視鏡検査・レントゲン・超音波検査など、必要な医療機器が多いため、初期費用も大きくなります。

また、内科のなかでも循環器内科は特に立ち上がりが弱い(安定した売り上げが入るまでに時間がかかる)診療科です。
医療機器代は特別大きいわけではありませんが、運転資金に余裕を持たせると安心のため、結果として開業資金の額も大きくなります。

皮膚科

皮膚科の開業資金はトータルで4,000万円超です。

皮膚科は導入する設備によって、医療機器・備品の金額が大きく左右されます。
たとえば美容系の施術を行う場合、レーザーやエステ室などが必要となるため、その分設備費や医療機器代が大きくなりがちです。

レーザーを導入しない場合、ほかの診療科よりも安く済むケースも多くなります。
クリニックで扱う内容を明確化し、そのうえで開業資金を計算する必要があります。

整形外科

整形外科クリニックの開業資金は、6,000万円~8,000万円程度です。

整形外科にはリハビリ設備が必要なため、初期費用が大きくなりやすいです。
また、対応する範囲によっては、理学療法士や作業療法士など専門知識を有するスタッフを雇用する必要があるため、採用費も高額になります。

設備や施術内容を充実させようとすると、初期費用が際限なく大きくなってしまいます。
開業時にいきなりすべての設備や人員を揃えるのではなく、軌道に乗ってから少しずつ充実させていく方法もあります。

小児科

小児科クリニックの開業資金は、4,000万円~5,000万円程度です。

小児科はおたふくなど、感染力の強い病気にかかった患者が来院することも多くあります。
そのため、通常のスペースとは別に、隔離用の入口や待合室があると安心です。
子供が退屈せず快適に過ごせるよう、広めのキッズスペースも用意するのも理想です。

このように、小児科には広いスペースが求められます。
医療機器代はほかの診療科よりも抑えやすいですが、広い建物を用意するためのお金や、それぞれの部屋を整備するための内装工事費などが大きくなりやすい傾向があります。

産婦人科

産婦人科クリニックの開業資金は、分娩なしの場合で5,000万円前後です。

分娩なしの産婦人科であれば、医療機器や備品がそれほど高額になりません。
ただし、利用者が女性であり、ほかの診療科目に比べて立地や清潔感が求められるため、物件や内装工事費が高額になりやすい傾向があります。

眼科​

眼科クリニックの開業資金は、5,000万円~8,000万円程度です。

眼科は対応する範囲(購入する設備)によって開業資金の合計額が大きく異なるため、開業資金として紹介した額の幅も広くなっています。
たとえば、白内障手術を行う・レーザー機器を導入する場合、医療機器代が大きくなります。

また、ターゲット層によっても費用がかかるポイントが変わります。
ターゲット層が若い世代の場合、コンタクトレンズの診断をするための設備が必要なため、医療機器代が高額になりがちです。
一方でお年寄りの場合、バリアフリーのために内装工事代などが高額になるでしょう。

耳鼻咽喉科

耳鼻咽喉科クリニックの開業資金は、5,000万円~8,000万円程度です。
先ほど紹介した眼科と同様、対応する範囲(購入する設備)によって開業資金の額が大きく異なります。

なお、耳鼻咽喉科は待合室と検査コーナーそれぞれが必要なため、面積が広めの物件を選ぶ必要があります。
したがって、テナント代や内装工事費が高額になる傾向があります。

精神科・心療内科

精神科・心療内科クリニックの開業資金は1,500万円~2,500万円程度で、開業資金がもっとも小さい診療科です。

精神科・心療内科は導入が必要な医療機器が少ないため設備費が小さく、その分開業資金を抑えられます。
広さや立地の良さもそれほど重要ではないため、物件・内装工事費もほかの診療科より小さく済みます。

クリニック開業 資金調達方法と自己資金の目安

これまで紹介したように、クリニックの開業にはトータルで数千万という大きな資金が必要です。

これほどの開業資金をすべて自身で賄うのは容易ではありません。

実際のところ、クリニックの開業資金を自己資金のみで賄うのは稀といえます。

ここではクリニック開業における資金調達の方法や、用意しておきたい自己資金の目安を紹介します。

開業資金の調達手段は融資が一般的

クリニックの開業資金の用意に際して、融資制度を活用するのが一般的です。

融資には様々な種類があり、新規開業や医療機関に特化した制度も存在します。

クリニック開業時に利用できる主な融資として、以下の4つが挙げられます。

日本政策金融公庫の融資制度

日本政策金融公庫は一般の金融機関が行う金融の補完を目的に、中小企業や小規模事業者の支援を行う政策金融機関です。

クリニックに限らず、開業・創業時に利用できる融資制度を複数設けています。

様々な制度がありますが、比較的低金利・返済期間が長期な傾向です。

医師信用組合の融資制度

地域の医師信用組合によるクリニック開業向けのローン制度を利用するケースも多くみられます。

医師信用組合のクリニック開業向けローンの特徴として、資金用途が広く自由度が高い点が挙げられます。

ただし自治体や組合によって融資制度の内容に違いがみられるため、詳細の確認が必須です。

民間金融機関の融資制度

民間金融機関の融資制度を利用する方法もあります。

メガバンクに比べて信用金庫や地方銀行の方が低金利の傾向です。

金融機関によっては医療機関向けの融資制度を用意しているため、そちらを利用するのも良いでしょう。

金融機関や融資制度の種類によって内容が異なるため、入念な情報収集および検討が必要です。

リース会社による貸付制度

医療機器のリース会社による貸付制度を利用するのもひとつの手段です。

リース会社によってはクリニック開業資金の貸付制度を設けていることもあります。

 

リース会社による貸付制度は、審査がスピーディー・他の融資制度に比べて通りやすい点が特徴です。

ただし、医療機器のリースが必須条件かつ金利が高めな点に注意する必要があります。

 

クリニック開業時に利用できる融資制度の詳細は以下の記事で詳しく解説しておりますので、ぜひこちらもご覧ください。

 

自己資金の目安

クリニック開業時に用意したい自己資金の目安は、開業資金総額の2割程度といわれています。

例えばテナントの一般内科であれば開業資金の目安は5,000万円程度です。

この場合、自己資金として1,000万円は用意できると安心でしょう。

自己資金が大きいほど、融資審査に通過しやすいのは事実です。

しかし自己資金が少なくても、無理なく返済できる見込みである・将来性があり優良であると判断されれば、融資を受けられる可能性が高くなります。

融資申し込みの際に提出する事業計画書、および面接における受け答え内容の方が重要といえます。

まとめ

クリニックの開業資金は、大きく物件代・内装工事費・医療機器や備品の購入代・その他に分けられます。
診療科によってどの項目にどれほどの金額を要するかが異なるため、トータルでの開業資金も大きく異なります。

クリニックの開業資金について考える際は、診療科ごとの平均額を押さえることが大切です。
そのうえでどの項目にどれぐらいの金額をかけるかを計画すると、実際に必要となる開業資金がイメージしやすいでしょう。


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吉岡 伸晃
吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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