仮想通貨の節税対策とは?仕組みから注意点まで徹底解説!

2023.03.06

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日本では仮想通貨の売買における利益は雑所得に区分され、他の所得と合算して所得税が課されます。
そのため、仮想通貨の利益が20万円を超える(または、仮想通貨の利益を含めた合計所得が年間20万円以上を超える)場合は、確定申告が必要です。

 

本記事では、仮想通貨取引に関わる確定申告の注意点と節税のポイントについて概説します。

 

投資関連でおすすめの節税対策について以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

 

 

 

CONTENTS

仮想通貨 確定申告における注意点

前述のように、仮装通貨によって発生した利益は所得税の対象です。

仮想通貨の利益が20万円を超える(または、仮想通貨の利益を含めた合計所得が年間20万円以上を超える)場合は、確定申告が必要となります。

 

確定申告をスムーズに、そして確実に行えるよう、利用した取引所やウォレットの記録を年内のうちに取得しましょう。

 

仮想通貨の利益を申告する確定申告書を作成するためには、利用した取引所やウォレットの記録を取得する必要があります。

そして、取引記録は基本的に年内に取得しておくのが安心です。

翌年以降に取引記録を取得することも可能ではありますが、取引所によっては1ヶ月の単年度の取引記録しか取得できない場合があります。

取引所が突然倒産して閉鎖された場合は、取引履歴を取得できない恐れもあります。

取引履歴を取得できない場合、仮想通貨の取引で発生した利益を自分で計算しなければなりません。

さらに、仮想通貨の損益計算には通貨の購入価格と売却価格の両方が必要であり、どちらか一方が欠落していると正確な金額の算出が難しくなります。

取引の証拠を手にすることができない場合は、取引所に問い合わせるか、送金履歴から不足分の取引明細を補填しなければなりません。

 

国税庁の照会制度により、税務署は国内外の取引所の取引履歴を入手することが可能です。

そのため詳細が不明な送金履歴については、税務調査が入る恐れがあります。

 

不測の事態に備えて万全を期すためにも、取引所やウォレットから得られる情報を再確認することをお勧めします。
日頃から取引ログを積極的に保存し、万が一に備えてバックアップ用のウォレットを用意しておくとよいでしょう。

仮想通貨の節税対策のポイント

仮想通貨取引によって得られた所得は、雑所得に分類されます。

雑所得には累進課税と呼ばれる税率が適用されていて、所得が大きくなればなるほど税金も高くなります。
折角仮想通貨で大きな利益が出ても比例して税金の負担も大きくなるため、投資家はできるだけ所得を低く抑えたいところです。

 

ここでは、仮想通貨取引における税金対策として5つの方法を紹介します。

含み損益を理解した上で売買を行う

仮想通貨の税金対策としては、まず、損益通算をして課税対象額を減らすことが挙げられます。
損益を圧縮するだけで、数十万円から数百万円の節税が可能な場合があります。


例えば、未回収の赤字を示す通貨Aを保有し、トータルの達成損益が有利な場合、通貨Aを1回放棄して赤字を解消することで、全体の達成損益を減らすことができます。

 

この方法はすべての資産を売却する必要がなく、1つまたは複数の通貨の含み損益を必要なときまで残せばよいので、投資家にとって最も負担の少ない方法です。

同様に、完全な実現損益が不利な場合、含み益のある通貨Bを保有していれば、一旦通貨Bを売却して利益を出し、それによって翌年以降の税額を低くすることができるのです。

 

なお、仮想通貨取引による損失も雑所得に分類され、翌年以降に繰り越すことはできません。

年間を通じて損失がある場合は、含み益を実現し、損益をゼロに近づけることで、翌年の所得を相対的に下げることができます。

 

つまり、仮想通貨取引で利益が出た場合だけでなく、損益を正確に認識することで、節税効果を高めることができるのです。

 

実現損益の減少額を計算する際には、購入時期やレートが異なる仮想通貨の平均コストを計算する仕組みになっているため、必ず移動平均法を利用するようにしましょう。

 

総平均法は利用できますが、取引後に買い戻すと、全体の購入した金額が変化して損益が変化し、逆にその通貨を再び売却すると価格が下がって利益額が大きくなります。

相場の変動によっては翌年以降も含めてトータルで税金を減らせない可能性がある点は留意しておきましょう。

仮想通貨の取引でかかった経費を計上する

次の節税対策は、取引にかかった費用を費用化することです。

雑所得には控除がありませんが、経費計上することで節税効果が期待できます。

 

経費として計上できる主な例としては、「暗号資産取引専用パソコンの購入」「インターネット接続料」「マイニング機器の購入」「仮想通貨の取得」「資金の引き出し」などが挙げられます。

正当な経費として認められるためには、その経費が仮想通貨投資のために発生したものであることを証明する必要があり、仮想通貨取引と直接関係のない支出は経費として計上できないので注意が必要です。

 

また、申請に必要な領収書や請求書などの証憑書類は必ず保管しておきましょう。

ふるさと納税を活用する

仮想通貨の節税対策として、ふるさと納税も有効です。

ふるさと納税は、任意の自治体に寄付をすることで税金の控除を受けられる制度です。

実際には納税先が変わるだけで納税額が下がるわけではありませんが、自己負担金2,000円で様々な返礼品をもらえるメリットは非常に魅力的で、近年人気の制度です。

利益を確定するタイミングを考える

仮想通貨取引による所得は、実際に売却したときにのみ発生します。

仮想通貨に含み益があっても、売却しなければ所得は確定せず課税対象にはなりませんが、タイミングによっては多額の税金が発生してしまうリスクがあります。
そのため、含み益のある仮想通貨を売却するタイミングは慎重に見極めましょう。

特に、年末ギリギリに売却して利益を確定させてしまうと税金の計算に大きな影響を与えるため注意が必要です。

すでに仮想通貨で発生している所得に売却益が加算されると、所得金額が更に大きくなり、比例して税金も上がってしまいます。


含み益のある仮想通貨の売却時期は、実現しうる利益とそれに伴う税負担を天秤にかけた上で慎重に判断することが大切です。

法人成りをする

仮想通貨の取引による利益が大きい場合、法人成りも効果的な節税手段として挙げられます。

 

個人にかかる所得税は所得が大きくなるにつれて税率も上がる累進課税制度を採用しています。

※正確には「超過累進税率」であり、課税対象の所得が一定の金額以上になると、超過部分に高い税率が適用される仕組みです。

税率は5%から45%の7段階に区分されており、所得額が900万円を超えると税率が33%と非常に高くなります。

 

一方で法人の所得に課せられる法人税は税率が一定です。

適用される税率は、資本金1億円以下の普通法人であれば、年800万円以下の部分は15%(適用除外事業者は19%)、800万円を超える部分は23.2%となります。

すなわち所得が一定を超える場合、所得税よりも法人税の方が税負担が軽くなるのです。

 

ただし、法人成りのためには様々な手続きが必要な上、会社設立費用や社会保険料などのコストも発生します。

税額を抑えられる可能性は高いものの、別の部分に負担が発生する点に注意が必要です。

法人成りをするべきか否かは様々な面から総合的に判断するべきといえるでしょう。

 

仮想通貨の取引における効果的な節税や、法人成りに関する適切な判断を行うためには、専門家である税理士に相談するのがおすすめです。

まとめ

仮想通貨取引に関わる確定申告の注意点と節税のポイントについて解説しました。

大前提として、取引履歴の取得は非常に重要です。確定申告の直前だけ履歴を取得すればよいという考えではなく、日頃から取引履歴をバックアップするように心がけましょう。

また、仮想通貨はまだ新しい概念で、制度自体も複雑且つこれから変わっていく可能性があります。利益が大きくなるほど税率も上がる累進課税であることも含め、より効果的且つ確実な節税対策を求めるのならば、税理士などの専門家に相談するのがおすすめです。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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