寄付をすると節税になる?寄附金控除について解説!

2023.05.08

寄付金控除とは、要件を満たす寄付金の支出がある場合に受けられる所得控除です。

所得額から寄付金控除が差し引かれるため、所得税の節税につながります。

また、寄付金のなかには所得控除ではなく寄附金特別控除という税額控除の適用を選択できるものもあります。

寄付金控除と寄附金特別控除はどちらか好きな方を選択できるため、自身にとって有利な方を選ぶことが大切です。

寄付金による節税効果を高めるためには、寄付金控除の仕組みや注意点をしっかり押さえる必要があります。

今回は寄付による節税に際して知っておくべき情報を詳しく解説します。

寄付の中でも特に身近な制度として、ふるさと納税が挙げられます。

ふるさと納税については以下の記事で詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。

CONTENTS

寄付が節税につながる?寄付金控除の仕組みを解説

寄付が節税につながるのは、寄付金控除という制度があるためです。

この寄付金控除について、詳しく解説します。

所得を計算する方法・仕組み

寄付金控除の仕組みを詳しくみる前に、まずは前提として所得の計算方法を解説します。

 

所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額です。

所得税は収入額ではなく、所得に対して発生します。

したがって所得税を計算するためには、まずは所得を計算する必要があります。

 

収入から経費を引いた額に所得税の税率を乗じるわけではありません。

所得から所得控除を引いた額が課税所得金額となり、この課税所得金額に税率を乗じて所得税の額を算出します。

 

所得控除とは納税者の個人的事情を加味し、税負担を調整するために用意されている制度です。

所得控除には以下の15種類が存在し、それぞれ一定の要件が定められています。

  • ・基礎控除
  • ・扶養控除
  • ・配偶者控除
  • ・配偶者特別控除
  • ・社会保険料控除
  • ・生命保険料控除
  • ・地震保険料控除
  • ・小規模企業共済等掛金控除
  • ・医療費控除
  • 寄附金控除
  • ・障害者控除
  • ・寡婦控除
  • ・ひとり親控除
  • ・勤労学生控除
  • ・雑損控除

所得から所得控除を差し引いた課税所得金額に税率を乗じて所得税額を算出します。

そして、ケースによっては所得税額から税額控除を差し引くことも可能です。

 

税額控除は所得税額から一定額を直接控除できる仕組みです。

税額控除には複数の種類がありますが、中でも特に適用例が多いものとして寄附金特別控除や住宅ローン控除が挙げられます。

 

所得税額から税額控除を差し引いた額が、最終的な納税額です。

寄付金控除とは

寄付金控除は、寄付金の支出があった場合に受けられる所得控除です。

すべての寄付金が対象になるわけではなく、一定の要件を満たす特定寄付金のみが寄付金控除の対象となります。

※特定寄附金については後述します。

 

寄付金控除による控除額の計算式は以下の通りです。

その年中に支出した特定寄附金の合計額-2,000円=寄付金控除の額

 

特定寄附金の合計額は所得の40%相当額が限度となっています。

寄付金全額を寄付金控除の計算に含められるとは限らない点に注意が必要です。

 

なお、単に寄付金控除と呼ぶ場合は所得控除の一種である寄付金控除を指すケースが一般的です。

しかし、寄付金の支出によって利用できる控除には、税額控除に該当する制度も存在します。

税額控除に該当するものを寄附金特別控除と呼びます。

 

以下いずれかに該当する寄付金の場合、所得控除である寄付金控除と税額控除である寄附金特別控除のどちらか有利な方の選択が可能です。

  • ・政党等寄附金
  • ・認定NPO法人等寄附金
  • ・公益社団法人等寄附金

寄付金の種類によって控除額の計算方法が異なるため、事前にご確認ください。

 

寄付額がよほど高額な場合を除き、税額控除の方が高い節税効果を得られるケースが多いです。

ただし、寄付金控除と寄附金特別控除のどちらが有利であるかはケースによって異なるため、事前にシミュレーションを行うことをおすすめします。

【参考】法人が寄付をした場合

法人が寄付をした場合、寄付した金額のうち一定額を損金算入できます。

寄付金の支出によって、所得額が直接減るイメージです。

 

法人が損金算入できる寄付金の額には上限があり、特定の計算式によって算出します。

個人の税額控除と同様に、寄付金の種類によって計算式が異なります。

限度額を超える部分については損金に算入できません。

 

個人と法人では、寄付金の扱い方や控除の仕組みが大きく異なります。

法人の寄付金については仕組みが複雑で正確な計算が難しいため、専門家のサポートを受けるのが確実です。

寄付による節税を行う際の注意点

寄付金の支出は所得控除または税額控除の対象になるため、寄付が節税につながるのは事実です。

そして、寄付による節税を効果的に行うためには、控除制度の仕組みや利用方法を正しく抑える必要があります。
この章では、寄付による節税を行う際の注意点を2つ紹介します。

控除の対象となるのは特定寄附金のみ

すでに触れたように、控除の対象となるのは要件を満たす特定寄附金のみです。

すべての寄付金が控除の対象になるわけではありません。

 

特定寄附金に該当する寄付金の例を紹介します。

  • ・国や地方公共団体に対する寄付金
  • ・公益社団法人や公益財団法人などに対する寄付金
  •  ※一定の要件を満たすものとして財務大臣が指定したもの
  • ・独立行政法人
  • ・国立大学
  • ・日本私立学校振興・共済事業団
  • ・日本赤十字社
  • ・社会福祉法人
  • ・更生保護法人

ほかにも特定寄附金に該当するものは多数あるため、詳しくは国税庁の公式サイトをご確認ください。

 

特定寄附金に該当せず、寄付金控除・寄付金特別控除の対象外となる寄付の例を紹介します。

  • ・募金箱への寄付
  • ・神社やお寺のお賽銭
  •  ※寄付金控除・寄付金特別控除の適用には寄付の事実を証明する書類が必要です。
  •  そのため領収書が発行されない寄付金は控除の適用を受けられません。
  • ・商業団体や個人へのクラウドファンディング
  •  ※自治体やNPO法人主体のものは控除の対象になるケースもあります。

寄付による節税を考えている人は、控除対象となる寄付金の種類を必ず押さえておきましょう。

寄付金控除の適用には確定申告が必要

寄付金控除の適用を受けるためには確定申告が必要です。

寄付金の支出が控除の適用対象に該当する場合でも、自動で控除が適用・計算が行われるわけではありません。

所得が給与所得のみの会社員は原則として確定申告が不要ですが、確定申告をしなければ適用を受けられない控除制度もあります。寄付金控除もその一つです。

確定申告で必要な手続きを行わなければ寄付金による控除を受けられないため注意しましょう。


確定申告は翌年の2月16日から3月15日まで(土日祝にかぶる場合は翌平日)の間に実施する必要があります。


確定申告の方法は以下の4種類です。

  • ・確定申告書を税務署に持参
  • ・確定申告書を税務署の時間外収集箱に投函
  • ・確定申告書を税務署に郵送
  • ・e-Taxで提出する
  •  ※e-Tax :Web上で実施できる国税電子申告・納税システム

なお、寄附金控除の一種であるふるさと納税の場合、ワンストップ特例制度を活用すれば確定申告が不要です。

ふるさと納税の詳細は以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

まとめ

個人が支出した寄付金について、一定の要件を満たすものは寄付金控除または寄付金特別控除の適用対象となります。

寄付金控除は所得控除、寄付金特別控除は税額控除に該当する制度です。

寄付金の中には、所得控除と税額控除どちらか好きな方を選べるものも存在します。

どちらの方が有利になるかはケースによるため、事前にシミュレーションするのがおすすめです。

 

なお、すべての寄付金が控除対象になるわけではありません。

寄付による節税を検討している方は、事前に控除対象となる寄付金の種類の確認が必要です。

また、ふるさと納税のワンストップ特例制度を利用する場合を除き、寄付金による控除を受けるためには確定申告が必須です。

 

寄付金の仕組みやルールをしっかり押さえ、節税に上手く活用しましょう。


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吉岡 伸晃
吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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