経営者必見!決算前でも間に合う、法人におすすめの節税対策8選!

2023.08.23

決算が近くなったタイミングで「思ったよりも利益が出て法人税の負担が大きくなりそう」「何とかして節税したい」と悩む経営者の人も多いのではないでしょうか。

法人の節税対策の中には、決算直前に実施しても大きな効果を得られるテクニックがあります。

決算前だからといって節税対策を諦める必要はありません。

今回は決算直前でも間に合う、法人におすすめの節税テクニックを8つ紹介します。

法人の節税対策について以下の記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。

CONTENTS

決算直前でもできる節税対策8選

決算直前でも実施でき、十分な効果を得られる節税対策を8つ紹介します。

30万円未満の備品を購入する

原則として、減価償却資産は耐用年数に応じて減価償却をして費用計上します。

しかし青色申告の中小企業であれば、取得価額が30万円未満の減価償却資産について、合計300万円までは購入した年に全額の費用計上が可能です。

この仕組みを少額減価償却資産の特例制度といいます。

 

通常は決算直前に高額の固定資産を購入しても費用計上できる額はごくわずかですが、少額減価償却資産の特例制度を使えば一度に大きな額を費用にできます。

 

30万円未満の備品を購入する方法は、簡単かつ効果的な節税対策です。

中古の固定資産を購入する

前項で、減価償却資産は耐用年数に応じて減価償却をして費用計上すると紹介しました。

取得価額が30万円未満のものを購入した年に全額費用計上できるのは、あくまで例外的な制度です。

 

そして、固定資産を購入した年は1年ではなく月割りでの減価償却となります。

たとえば決算月が3月の会社が1月に固定資産を購入した場合、計上する減価償却費は3ヶ月分です。

 

以上の理由から、事業年度の途中に高額の固定資産を購入しても節税効果が少ないと考えるかもしれません。

しかし、高額の固定資産の購入における節税効果を大きくする方法があります。

それは、新品ではなく中古の固定資産を購入する方法です。

 

中古資産の場合、耐用年数は資産ごとに定められた法定耐用年数ではなく、事業に使い始めた以後の使用可能期間として見積もられる年数となります。

使用期間の見積もりが難しい場合、法律で定められた簡便法による見積もりも可能です。

いずれにせよ、法定耐用年数よりも短いことに変わりはありません。

そして耐用年数が短いほど、毎期の減価償却費として計上できる額は大きくなります。

 

中古でも新品同様に状態が良いものは珍しくありません。

新たな固定資産の購入を検討しているのであれば、節税を兼ねて中古資産を選ぶのもおすすめの手段です。

 

なお、中古資産であっても、購入した年は1年ではなく月割りでの減価償却となるのは同様です。

そのため決算直前ギリギリのタイミングではなく、早いうちに実施するほど大きな効果を得られます。

使用していない固定資産を処分する

使用していない固定資産を処分する方法も、節税対策としておすすめです。

 

固定資産の売却額が帳簿価額よりも安い場合は、差額を売却損として費用計上できます。

また、売却ではなく廃棄した場合、処分した資産の帳簿価額を除却損として計上可能です。

 

このように、使用していない固定資産の処分によって計上できる費用が増え、結果として節税につながることが期待できます。

共済に加入・掛金を支払う

もし共済に加入していないのであれば、共済に加入するのもおすすめです。

共済の掛け金は費用計上できるため利益が少なくなり、結果として法人税の額が押さえられます。

 

中小企業におすすめの共済として、経営セーフティ共済が挙げられます。

経営セーフティ共済は、取引先の倒産による中小企業の連鎖倒産や経営難を防ぐための制度です。

取引先の倒産により債権の回収が困難になった場合、無担保・無保証人で、回収困難となった債権等の額または納付済み掛金の総額10倍の借入れができます。

 

単に節税につながるだけでなく、リスクへの備えとしても効果的な制度です。

社員旅行や慰労会などを実施する

想定よりも大きくなりそうな利益を従業員に還元する方法もあります。

そのひとつが、社員旅行や慰労会の実施です。

 

社員旅行や慰労会など従業員の慰安目的の支出は、福利厚生費として費用計上ができます。

従業員の士気を高める・従業員に感謝を伝えることができるなど、節税以外にもメリットの大きい方法です。

 

ただし、極端に高額の場合は会社の費用として認められない恐れがあります。

費用として妥当といえる、常識的な範囲に抑えましょう。

金額の判断が難しい場合、専門家である税理士に相談するのが安心です。

決算賞与の支給を決める

利益を従業員へ還元するもうひとつの方法が、決算賞与の支給です。

決算賞与とは文字通り決算前後のタイミングで支給する賞与であり、その年の業績に基づいて金額が決定されます。

通常の賞与と同様に損金計上が可能であるため、決算直前の節税対策として効果的です。

 

決算賞与の支給が当期中に間に合わない場合でも、以下の要件を満たすことで当期の費用として計上できます。

  • ・事業年度終了の日までに対象者全員に支給額を通知している
  • ・事業年度終了日の翌日から1ヶ月以内に、通知内容の通りに支給する
  • ・通知額を当期中に費用として経理処理している

法人向け生命保険の加入や見直しを行う

前述した「共済に加入・掛金を支払う」と似た方法です。

法人向け生命保険に加入していない・加入済みだがプランや内容の見直しをしばらくしていない場合、加入や見直しを行うことで節税につながる可能性があります。

 

法人向け保険の保険料は、一定の要件を満たすことで損金算入が可能です。

また、損金算入できる割合は保険の種類やタイプによって異なります。

そのためすでに保険に加入している場合でも、契約内容の見直しや変更によって損金算入できる額が大きくなることも有り得ます。

 

また、法人向け保険の活用によって、死亡退職金や運転資金などの資金確保・福利厚生の充実も可能であるため、節税以外にも大きなメリットが存在します。

 

このようにさまざまなメリットがありますが、保険の種類やタイプによって得られる効果が大きく異なります。

そのため十分な検討をせずに加入してしまうと、理想に合わない保険を選んでしまう恐れが大きいです。

節税のために決算直前で慌てて加入するのはリスクが高い点にご注意ください。

不良在庫を処分する

在庫が多い場合、不良在庫の処分による節税効果も期待できます。

 

在庫はそのままの状態では売上原価として計上できず、棚卸資産として貸借対照表に記載されます。

在庫分を販売し売り上げを得ることで、はじめて売上原価として計上ができます。

つまり、在庫を売れば売上原価が大きくなるため利益が少なくなって法人税を抑えられるのです。

 

また、在庫を原価よりも安く売却することで、差額を売却損として計上できます。

販売せずに処分した場合は廃棄損の計上が可能です。

 

このように、高値で売れる見込みがない・保管するメリットがない不良在庫は、節税を兼ねて決算前のタイミングで処分するのもひとつの手段です。

決算直前に節税対策を行う際の注意点

今回紹介した節税テクニックは、いずれも決算直前に行っても十分な効果を得られます。

しかし、決算直前の節税対策はやりすぎないよう注意が必要です。

 

過度の節税対策は、税務調査の際に脱税目的の行為として指摘を受ける恐れがあります。

特に不良在庫や固定資産の処分は指摘を受けやすい部分です。

決算直前のタイミングで実施したことについて、正当な理由がある旨を説明できるよう準備が必要となります。

「翌期以降の新事業に向けて不要なものを処分する必要があった」「業務に余裕ができたため、固定資産の整理や洗い出しを実施できた」など、利益を抑える以外の理由があったと説明できるのが理想です。

 

また、決算直前に限らず、節税対策をやり過ぎて赤字になるのはかえって逆効果の恐れがあります。

赤字であれば法人税が発生しないため、節税という面では効果的に思うかもしれません。

しかし、赤字の状態は金融機関や取引先からの悪印象につながる恐れがあります

節税対策を行う場合でも、赤字にはならないよう注意が必要です。

まとめ

今回紹介した節税対策は、いずれも決算が近いタイミングでも実施できる・十分な効果が期待できるテクニックです。

決算直前であっても、節税テクニックを上手く活用すれば法人税の負担を抑えられます。

ただし、過度の節税対策は税務調査で指摘を受ける恐れがあります。

特に固定資産や不良在庫の処分は、正当な理由がある旨を説明できるよう準備が必要となります。

また、節税対策のし過ぎで赤字になってしまうのは逆効果です。

節税対策はテクニックを上手く活用しつつ、やり過ぎないことが大切といえます。


法人・個人事業主の節税対策は
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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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