社用車として使える車種やブランドに明確なルールはありません。
会社が保有している事業用の車である・プライベートで使用しないという要件を満たせば、取得価額に関係なく社用車にできます。
そのため、節税対策として取得価額の高い高級車を社用車として購入・経費計上するというテクニックが存在します。
高級車も原則として経費計上ができるものの、一般的な車と比べて注意するべき点が多く、税務調査で指摘を受ける恐れが大きいのも事実です。
そこで本記事では、高級車を社用車として購入する際の注意点や、確実な節税効果を得るためのポイントを紹介します。
社用車を使った節税対策について以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。
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CONTENTS
高級車の経費計上は可能?
はじめに、高級車の経費計上が可能であるか、考え方やルールについて解説します。
経費にできる支出とは
大前提として、経費にできる支出は以下の要件を満たすもののみです。
- ・事業に関係する支出である
- ・売上を出すために必要である
- ・私用ではない
事業に関係する支出であったとしても、売上に必要と認められなければ経費計上ができません。
例として、必要以上の交際費や会議費、売上への貢献が認められない備品などが挙げられます。
売上との関係性・売上のための必要性を明確に説明できるものが経費となります。
このように経費計上できるか否かを判断する際、金額そのものが基準になるわけではありません。
少額でも事業に関係なければ経費計上ができず、高額でも売上を出すために必要であれば経費計上が可能です。
ただし実際のところ、高額な支出ほど経費性が怪しまれ、税務調査でチェックされやすいのは事実といえます。
高級車は経費で落とせるのか
前項で紹介したように、経費性を判断するにあたって金額そのものは基準になりません。
あくまで売上との関係性・売上のための必要性の有無が判断基準となります。
一般的な車より高額の高級車であっても、事業における必要性が説明でき、かつ常識の範囲内であれば経費計上が可能です。
前述したように、高額な経費は税務調査で重視され、指摘を受けやすい部分でもあります。
そのため、運転記録など事業で使用していた実績を証明できる資料を残しておくのが理想です。
また、社用車としての高級車は私用車と明確に分ける必要があります。
プライベートでも使用している場合は経費にできない可能性があります。
なお、スポーツカーのように趣味性の高いものは社用車と認められないケースが多いです。
経費として計上できるのは、事業との関係性と必要性の両方が明確である支出のみです。
数ある選択肢の中から社用車としてスポーツカーを選ぶ必要性の説明ができない限り、経費計上を否認されてしまうリスクが高いでしょう。
社用車で節税対策を行うポイント・注意点
これまで紹介したように、高級車であっても要件を満たせば社用車として経費計上が可能です。
そして高級車は取得価額が大きいため、一般的な車よりも大きな節税効果が期待できます。
この章では、社用車を活用した節税対策のポイントと注意点を紹介します。
中古車の方が高い節税効果を得やすい
高級車に限らず、新車よりも中古車を購入した方が高い節税効果を得やすいです。
理由として、減価償却の仕組みが挙げられます。
車に限らず、固定資産は購入時に取得価額の全額を費用計上できるわけではありません。
耐用年数に応じた減価償却により、少しずつ費用計上を行う仕組みです。
耐用年数は固定資産の種類ごとに定められており、普通自動車は6年、軽自動車は4年です。
しかし、購入した固定資産が中古の場合、耐用年数は法定耐用年数ではなく以下の計算式で求めます。
- 新品の場合の耐用年数(法定耐用年数)-経過年数+経過年数×20%
2年落ちの中古車の場合、法定耐用年数6年-2年+2年×20%=4.4年、1年未満の部分は切り捨てるため耐用年数は4年となります。
このように、中古資産は新品の場合よりも耐用年数が短くなる仕組みです。
減価償却では取得価額を耐用年数に応じて配分するため、耐用年数が短いほど1回に計上できる金額が大きくなります。
したがって、中古車の方が新車よりも高い節税効果が期待できるのです。
プライベートとの区別が必須
すでに少し触れたように、高級車を社用車とする場合はプライベートとの区別が必須です。
私的利用はしない前提とし、どうしても必要性が生じた場合を除き避けるのが無難といえます。
前提として、社用車の私的利用自体は違法ではありません。
社用車の私的利用は事故発生時の責任や運転記録の明確化などが難しいなどリスクが高いため、禁止している会社が多いのは事実です。
しかし、社内規定や社用車に関するルールを明確に定めた上で、福利厚生の一環として社用車の利用を認めている会社も存在します。
一方、高級車のように税務調査でのチェックが厳しくなりやすい支出は、指摘のリスクをなるべく排除するのが理想です。
たとえ社用車の私的利用について厳格なルールを定めていても、説明や証拠が不十分である場合、私的利用を理由に経費計上が否認される恐れがあります。
社用車の私的利用が違法ではないといえ、税務調査での指摘につながりやすい要素であるのは事実です。
経費として確実に計上できるよう、プライベートとは明確に区別しましょう。
事業で使用した実績を証拠として残す
高級車の経費計上を確実に行うためには、否認につながる要素を避けると共に、経費性を認めさせるための準備を万全にすることも大切です。
経費性を証明する方法のひとつが、事業で使用した実績を証拠として残すことです。
具体的な方法として、運転記録の作成・保存が挙げられます。
運転記録の作成はすべての会社に義務付けられているわけではありません。
乗車定員が11人以上の社用車を保有、もしくは定員問わず社用車を5台以上保有している場合は運転日誌が義務付けられています。
この条件を満たさない場合は運転日誌のように記録をつける義務はありませんが、事業で使用した実績の証明として、運転記録をつけるのが確実です。
社用車の運転記録に記載するべき項目として、以下の6点が挙げられます。
- ・日時(運転開始および終了)
- ・運転者
- ・運転した車両の登録番号
- ・行先
- ・走行距離
- ・給油や洗車の有無
運転記録は、給油や洗車のタイミングを正確に把握し、特定の社員に運転の負担がかかりすぎていないかを判断する上でも役立ちます。
出張旅費規定を作成する
社用車とプライベートの車を明確に分けていると証明するため、出張旅費規定を作成するのも効果的です。
出張旅費規程とは、出張関連の経費の扱いについてルールを定めたものです。
立替経費として認める支出の範囲や日当の有無・金額など、細かなルールまで記載します。
出張旅費規程について明確な法律はないため、常識的・妥当な範囲に抑えつつも、自社である程度自由に決められます。
高級車である社用車の経費計上を確実に行うためには、車で出張した際の経費について明確なルールの設定が必要です。
社用車に関するルールとは別に、自家用車を用いた場合の交通費について明確に規定することで、社用車がビジネス用途のみであると強く証明できます。
当然ですが、社用車で出張に行った場合は、自家用車を使う場合とは違い交通費を支給しないというルールも必要になります。
まとめ
高級車を社用車として使う場合でも、ルールをしっかり守っていれば経費として問題なく計上できます。
しかし、金額が大きい支出は税務調査でチェックされやすい部分であり、指摘を受けるリスクが高いのも事実です。
そのため社用車として高級車を購入・利用する場合、ポイントや注意点をしっかり押さえる必要があります。
もし社用車の節税について疑問や不安があれば、専門家である税理士へご相談ください。
経費性を確実に説明するために必要な準備や対策について、適切なアドバイスが可能です。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士