会社設立に印鑑は必要?不要?電子化に伴う変化と必要シーンについて解説!

2023.03.06

近年はコロナ禍の影響もあり、さまざまな場面で電子化が進んでいます。

会社設立手続きもそのひとつで、書面を使った手続きだけではなくオンラインでの提出も可能になりました。
また、従来書面での提出が必須とされていた印鑑届出も、2021年2月15日の改正により、オンラインで登記申請した場合は任意となりました。

届出が任意になったとはいえ、本当に印鑑を作らなくていいのかとお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は会社設立において印鑑が必要になる場面や、会社で使う印鑑の種類について詳しく解説します。

会社設立の流れについて以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

CONTENTS

会社設立に印鑑は必要?

結論から言うと、印鑑が必要かどうかは、法務局において書面で申請するかオンライン申請するかで異なります。

 

書面による申請の場合、登記申請までに印鑑の作成が必要です。

登記申請で必要な書類のひとつに代表者印の印鑑届書があるため、登記申請までに最低でも代表者印は作成しなければなりません。

 

一方、オンラインで登記申請する場合は印鑑の提出が任意です。

そのため、オンラインでの登記申請する場合、会社設立の工程においては印鑑は不要です。

代表者の印鑑証明書が必要などの理由がある場合は、登記申請とあわせてオンラインで印鑑届出が可能です。

 

しかし、法人登記完了後も、会社運営に際して印鑑が必要な場面は多数あります。
各領域で電子化が進められているとはいえ、法律上印鑑を必要とする書類があったり、取引先の事情で電子化できない書類などもあるでしょう。

オンラインで登記申請した場合でも、いずれは印鑑が必要になる可能性が高いため、予め備えて印鑑を用意しておいた方が安心です。

会社設立時に必要な印鑑の種類

会社で利用される主な印鑑の種類として、以下の3つが挙げられます。

  • ・代表者印
  • ・銀行印
  • ・角印

このうち、会社設立時に必要となるのは代表者印です。

書面による登記申請の場合は、代表者印の印鑑届出が必要となります。

 

会社設立に必要な印鑑という意味では、代表者印さえ作成すれば問題ありません。

法律上必要不可欠な印鑑も代表者印のみとなっています。

しかし実際は、手間や実務的な理由などから代表者印・銀行印・角印の3本セットで作るのが一般的です。

 

この章では会社で用いる印鑑の種類ごとに、役割や使う場面を紹介します。

代表者印

代表者印は法人代表者の意思や決定を表す印鑑であり、会社においてもっとも重要度の高い印鑑です。

実印・代表実印・丸印などとも呼ばれます。

登録できる印鑑は、一辺の長さが1㎝を超え、3㎝以内の正方形に収まる大きさと規定されています。

なお、代表者印が丸い形状であるのは法的な決まりではなく慣例に基づくものであり、規定があるのは大きさのみです。

 

代表者印が利用される場面として、以下の例が挙げられます。

  • ・取引の契約書
  • ・不動産売買
  • ・有価証券の取引

代表者による意思決定を証明する必要のある重要な場面で利用される印鑑です。

銀行印

銀行印は金融機関に届出をする印鑑です。

法人口座の開設や金融取引の契約など、金融機関関連の手続きで必要となります。

銀行届出印・金融機関届出印とも呼ばれます。

 

銀行印は必ず別途用意しなければいけないものではなく、代表者印を銀行印として使うことも可能です。

しかし、代表者印の紛失・盗難・悪用といったリスクを小さくするために、代表者印と銀行印は別にするのが一般的です。

 

銀行印も代表者印と同様に丸い形をしています。

銀行印と代表者印と明確に区別できるよう、それぞれの大きさを分けて作るのが安心です。

代表者印よりも銀行印を小さく作るケースが多くみられます。

角印

角印は日常的な実務で使う印鑑です。名前の通り四角形をしています。

会社印・社判・角判とも呼ばれ、会社における認印のような役割を有します。

 

角印が使われる場面の例は以下の通りです。

  • ・請求書
  • ・発注書
  • ・見積書
  • ・領収書

このように、重要性が高いものの代表者印を使うほどではない場面で用いられます。

実務において特に利用頻度が高い印鑑といえるでしょう。

 

銀行印と同様、角印も作成が必須なわけではありません。

しかし契約書など日常的な業務において代表者印を利用すると、紛失・悪用のリスクが高まる恐れがあります。

そのため、日常的な業務用の印鑑として角印を用意するのが一般的です。

 

近年の電子化に伴い、実務で押印が必要な個所は減少傾向にあります。

しかし、見積もりや契約といった商取引の場においては、意思や効力を示す意味で印鑑が必要とされる場面も未だに多くあります。

会社運営をスムーズに進めるために、会社設立に際してあわせて角印も作成するのがおすすめです。

ゴム印も作成すると便利

これまで紹介した印鑑に比べると重要性が低いですが、ゴム印も作成すると便利です。

ゴム印は会社名や住所などを簡単に記載したい場面で役立ちます。

 

ゴム印が使われる場面として以下の例が挙げられます。

  • ・封筒
  • ・領収書
  • ・申込書

正式な署名や押印は不要であるものの、会社名などの明記が必要な場面で便利です。

例に領収書や申込書では角印を使う場面も多いですが、角印では会社名や住所等が鮮明になりません。

そのため、角印で会社としての意思を示し、記載するべき事項はゴム印で簡略化するように併用するケースが多いです。

 

ゴム印は最低限、会社名・住所・電話番号・代表者名は作成しておくと便利です。

場面に合わせて使い分けできるよう、サイズやタテヨコ複数作成することをおすすめします。

会社設立時の印鑑作成についてよくある質問

会社設立で必要となる印鑑は代表者印のみですが、一度にまとめて作成した方が手間を抑えられます。

必要な場面ですぐに使えるという意味でも、早いうちから印鑑を作成しておくのが良いでしょう。

 

最後に、会社設立時の印鑑作成についてよくある質問に3つお答えします。

印鑑作成にかかる費用の目安は?

代表者印・銀行印・実印の3本セットで10,000円~20,000円が目安です。

印鑑ケースが不要であれば10,000円以下になる場合もありますが、利便性や安心感を考えると、ケース付きでの購入がおすすめといえます。

 

法人印鑑の費用は、印鑑に使う素材によって大きく異なります。材質については後述します。

印鑑の注文から納品までどれぐらいの時間がかかる?

インターネットで注文する場合、店によっては翌営業日出荷と短時間で納品されます。

注文から納品まで1~3日程度が平均的な日数となります。

ただし、地域や特筆事項の有無にもよるため、店舗ごとに確認が必要です。

余裕を持って各種手続きを進めるため、1週間程度見込んで印鑑作成を注文するのが安心でしょう。

印鑑の材質はどれが良い?

前提として、法人印鑑の材質に規定はありません。
材質によって費用感や特徴が異なるため、自社のイメージに合うものを選ぶと良いでしょう。

今回は3つの材質を紹介します。

柘(ツゲ)

コストパフォーマンスが高く、比較的安価に作成できる材質です。

使用後こまめに手入れを行なえば長く使い続けることができるでしょう。

真樺(サイカ)

耐久性の高さと美しい木目が特徴です。

環境保全を考えて作られたエコな材質です。

牛角(うしつの)

水牛の角を使ったもので、高価ながらも美しさ・耐久性ともに優れています。

牛角の中にもグレードが存在し、クリームやグレーのように珍しい色味のものは特に高額です。

まとめ

会社設立で印鑑が必要な場面として、法務局における代表者印の届出が挙げられます。

印鑑届出は書面申請の場合は必須ですが、オンライン申請の場合は任意です。そのためオンライン申請の場合は必ずしも必要とは限りません。

ただし、会社運営では印鑑が必要な場面が多く存在するため、会社設立の準備とあわせて印鑑を作成するのが効率的です。

 

一言で印鑑といっても複数の種類があり、それぞれ異なる役割を有します。

印鑑ごとの特徴を押さえ、場面に合わせて適切な使い分けをしましょう。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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