会社設立するためには、法務局への登記申請が必要です。
会社設立登記(法人登記)は、必要書類の作成や事前準備などを行う必要があります。
厳格なルールが定められた手続きもあるため、事前に十分な確認と理解が欠かせません。
今回は会社設立登記を行う上で必要となる基礎知識や具体的な方法、登記事項に変更が生じた際の手続きについて解説します。
会社設立の流れや必要な手続きについて以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
CONTENTS
会社設立登記の概要
はじめに、会社設立登記の概要について解説します。
会社設立登記とは
会社設立登記とは、会社に関する事項を法務局に登録し、一般に開示することです。
会社設立を行う、すなわち会社として認めてもらうためには、法務局における登記申請が欠かせません。
そもそも登記とは、重要な権利義務や概要・状況などを社会に向けて公示し、登録した内容を保護した上で円滑な取引を行うために定められている制度です。
ルールに従って登記を行うことで、登記事項に関する権利や確固たる証拠の主張などができるようになります。
また、取引を行う人の安全性や信頼を確保する上でも重要な制度です。
会社設立登記は、会社と取引を行う人・組織の信頼や取引の安全性を担保する目的で必要とされています。
なお、会社設立登記は法人登記とも呼ばれますが、会社設立に限らず、法人に関する登記はすべて法人登記に該当します。
そのため、会社設立に関する登記申請に絞って表現したい場合は、会社設立登記・法人設立登記と呼ぶとわかりやすいでしょう。
会社設立登記までに必要な作業
法務局における登記申請は、会社設立手続きの中で最後に行うものです。
登記申請までに必要となる他の作業について解説します。
※会社設立の流れの詳細については、以下の記事をご覧ください。
会社概要を決める
会社名・本店所在地・事業目的・資本金の額など、会社概要を決めます。
会社概要はのちに定款に記載する内容であり、会社設立登記においても重要な事項であるため、時間をかけた入念な検討と準備が必要です。
印鑑作成
書面による登記申請では実印の届出書も必要であるため、印鑑作成も行う必要があります。
オンライン申請の場合は印鑑届出が必須ではなく任意ですが、設立後に必要なシーンもあるため会社設立までに印鑑を作成するのが一般的です。
定款を作成する・定款認証を受ける
定款とは、会社運営のルールをまとめた会社の憲法としての性質を持つものです。
株式会社設立のためには、会社設立登記の前に公証役場での定款認証を受ける必要があります。
資本金の払込
会社設立に際して資本金の払込が必要です。
会社設立前の段階では法人口座を持たないため、発起人の個人口座に払い込みます。
会社設立登記の注意点
会社設立登記の注意点として、登記申請のタイミングが挙げられます。
会社設立日として登録されるのは登記申請を行なった日です。
登記申請の書類や手続きの内容に問題がなければ、登記申請日が会社設立日となります。
会社設立日としたい日に希望がある場合、その日に合わせて登記申請が必要です。
会社設立登記に必要な書類
会社設立登記では、さまざまな書類を提出する必要があります。
この章では会社設立登記に必要な書類について解説します。
会社設立の必要書類について以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
定款
定款は前述したように、会社運営のルールをまとめたものです。
定款に記載する事項はさまざまなものがあり、以下の3種類に分けられます。
- 絶対的記載事項
定款に必ず記載が必要な事項。
絶対的記載事項に漏れがあると、定款そのものが効力を持たない。 - 相対的記載事項
記載がなくても定款認証はできるものの、記載しなければ効力を持たない事項。 - 任意的記載事項
定款への記載有無がどちらでも問題のない事項。
登記申請書
法務局での登記申請に必要な書類です。
申請書に記載する事項は登記申請の内容によって異なるため、法務局の公式サイトから商業・法人登記の申請書様式を確認しましょう。
登記申請書作成時の注意事項についても記載されています。
登録免許税納付用台紙
会社設立に必要な登録免許税分の収入印紙を貼り付ける用紙です。
登記申請の際は、登録免許税納付用台紙に収入印紙を貼付した上で提出します。
なお、会社設立に必要となる登録免許税の額は以下の通りです。
- 株式会社の場合: 資本金の金額×0.7%または150,000円のいずれか大きい方の金額
- 合同会社の場合: 資本金の金額×0.7%または60,000円のいずれか大きい方の金額
発起人の決定書
本店所在地が発起人全員の合意によって決定されたことを証明する書類です。
以下の場合は不要となります。
- ・定款で本店所在地を番地含めて記載している
- ・設立時代表取締役の定めがある
設立時取締役の印鑑証明書
設立時取締役が複数人いる場合は全員分の印鑑証明書が必要となるため、漏れなく取得しましょう。
就任承諾書
代表取締役・取締役・監査役それぞれが就任を承諾していることを証明するための書類です。
以下のように、一部の就任承諾書は不要となるケースもあります。
- 設立時取締役が1名:
対象の設立時取締役が自動的に代表取締役になるため、代表取締役の就任承諾書は不要です。 - 監査役を設置しない:
監査役として就任する人が存在しない場合、監査役の就任承諾書は不要です。定款の末尾に取締役の記名押印がある:
定款において、取締役の就任を承諾している旨が示された状態です。
この場合、就任承諾書の用意自体が不要です。
「登記すべき事項」を記載した書面又は保存したCD-R
資本金の払込証明書
定款に記載された資本金が銀行口座に払い込まれていることを証明する書類です。
前述したように会社設立前の段階では法人口座が存在しないため、発起人の個人口座へ払込を行います。
なお、必要事項を記載した払込証明書に加え、以下の書類もあわせて提出が必要です。
- ・資本金が払い込まれた発起人個人口座の通帳の表紙
- ・支店名・口座番号・口座名義人など、口座の基本情報が記載されたページ(通帳表紙の裏面)
- ・払込金額が確認できるページ
印鑑届出書
法人実印(代表者印)の届け出に必要な書類です。
前述したように、オンライン申請の場合は印鑑届出の実施は任意となっています。
書面による会社設立登記では必ず用意する必要があります。
実印には一辺が1㎝超3㎝未満というサイズ規定があるため、この枠内に納める必要があります。
会社設立登記の内容に変更が生じた場合の手続き
会社設立登記に際して申請した内容に変更が生じた場合、法人登記変更の手続きが必要です。
法人登記変更が必要なケースとして、以下の例が挙げられます。
- ・本店移転
- ・商号(会社名)変更
- ・役員の新任や退任などの変更
- ・現役員の氏名や住所の変更
- ・事業目的の変更
- ・株式分割やストックオプションなど、株式発行に関する変更
登記申請書に記載した内容に変更が生じた場合は法人登記変更が必要と考えて良いでしょう。
法人登記変更に必要な書類は変更する内容によって異なるため、事前に確認が必要です。
必要書類を用意して法務局へ登記申請を行います。
なお、法人登記変更は登記事項に変更が生じた日から2週間以内に行わなければなりません。
期日を過ぎてからの変更や、登記事項の変更があったのに法人登記変更を行わなかった場合、過料が課せられる恐れもあるため注意しましょう。
まとめ
会社設立登記ではさまざまな書類を用意する必要があり、尚且つ書類によっては厳格なルールが定められています。
書類や手続きに不備・漏れがある場合、やり直しが必要となり手間になってしまいます。
会社設立登記をスムーズに進めるためには、手続きについて事前に十分確認し、正しい方法で進めることが大切です。
しかし、会社設立に関する知識や経験がない人が、いきなり会社設立登記を完璧に実施するのは容易ではありません。
不備や漏れなどで手戻りが生じ、希望日に会社設立できないリスクもあります。
会社設立登記が初めてである・会社設立が不安といったお悩みをお持ちであれば、専門家に相談するのが安心です。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士