会社設立は自分でできる?費用や手続き方法、注意点について徹底解説!

2023.04.19

これから会社を設立しようとする方にとって、どのような手続きが必要で、どれくらいの費用がかかるのか、気になるところではないでしょうか。

実際には、自分で手続きを行うか、専門家に依頼して設立を代行してもらうか、また、どのような会社を設立するかによって、費用は変わってきます。

経営者として会社を設立する際には、その手続きや費用について理解しておくことが大切です。今回は、会社設立に伴う手続きや費用について詳しく解説します。

 

会社設立に関する内容は以下の記事でも解説しています。是非ご覧ください。

 

CONTENTS

会社設立の手続きの種類とは?

会社設立のための手続きにはどのようなものがあるのでしょうか。

まず初めに、各工程の詳細について解説していきます。

基本事項決定

株式会社の設立手続きは、発起人を決定することから始まります。

発起人には、将来的に株主となる人たちを集めることが求められます。

その後、株式会社では株式を発行し、資本金を得ることで会社が成立します。その際に持株比率を決定します。

 

持株比率は将来的に株主に支配権を与えることになるため、慎重に決めなくてはなりません。

また、役員構成や経営に大きくかかわる役員報酬も基本事項として取り決めます。

定款作成

定款は、会社運営の重要な基本ルールであり、絶対的事項を定めるものです。これを欠くと定款の効力が生じません。

絶対的事項の内容としては、会社の名称、資本金の額、事業の内容、営業区域、取締役の選任・解任、重要事項の承認・締結、会社の解散などが挙げられます。

 

会社が法的に設立されたとみなされ、関係する利害関係者、株主、取締役、従業員の保護を保証するためには、これらの必須項目を定款に記載することが必要です。

定款記載事項の詳細を以下に解説します。

事業目的

新たにスタートする事業については、その内容を十分かつ明確に記載する必要があります。

事業の内容がはっきりと示されていないと、新しい顧客獲得や資金調達の際に潜在的な困難が生じることがあるからです。

さらに、定款に記載された事業目的以外の事業は行うことが認められていません。

 

したがって、事業目的を記載する際には、慎重に注意を払う必要があります。

ただし、将来的に事業規模を拡大することを計画している場合は、事業目的を複数記載することも可能です。

社名

企業が社名を決定する際には、使用する名称や文字の規制に注意を払う必要があります。

例えば、商号は本店所在地の管轄法務局で確認する必要があります。

他社と同じ社名の使用は禁止されているため、同一の商号がすでに存在している場合は新たに使用することはできません。

 

社名にはこの他にも法律上定められた制限があるため、それらの注意事項を踏まえた上で慎重に検討する必要があります。

所在地

設立時は市区町村だけの記載で問題ありません。
しかし、もし設立後に本店所在地を移転する場合は、市区町村の記載だけでなく番地や建物名など、さらに詳細な情報を含めることが求められます。

移転先が同じ市区町村であれば、定款の変更をする必要はありません。

出資される財産の減額や最低限

出資金額には、定められた決定額または最低額が定款に記載されます。

最低額は、出資実行において一部の出資が完了している場合でも、その部分の金額を最低額として記載することができます。

つまり、出資者が追加で出資する必要がある場合でも、最低出資額を下回らないように定められています。

 

このルールによって、企業が正確かつ明確に出資金額を取り扱うことができるため、投資家からの信頼を高めることができます。

発起人の住所・氏名

会社を設立する場合、発起人について決定した情報を申請書類に明記する必要があります。

発起人は、個人であれば氏名と住所が必要ですが、法人であれば法人名と所在地が必要です。

個人が会社を設立する場合も、発起人を法人とすることができます。

発行可能株式総数

株式会社の設立において、発行可能な株式の総数は重要な要素の一つです。

株式総数は、設立登記の手続きを行う前に定款に明記する必要があります。

この数値は、会社が発行可能な株式の数を決定する上で非常に重要な役割を果たします。
株主の持株比率に影響し、株式の買い取り、譲渡や新株の発行等にも関与するからです。

 

株式の発行枚数は、投資家や債権者からの信用力にも関わってきます。

そのため、会社の将来の発展を見据えた上で慎重に決定する必要があります。

 

絶対的記載事項とは言えないものの、株式会社の設立に際しては必ず盛り込まれるべき重要な事項の一つです。

定款認証を受ける

法人格を取得するためには定款が必要ですが、ただの記述ではなく正しく作成されたものでなければなりません。

そのため、公証人による定款チェックと認証を受ける必要があります。

この認証は、本店所在地のある都道府県内の公証役場で受けることができます。
公証人は、定款が法的に違反してないか、不備がないかなどを精査します。

合同会社の場合、定款の作成は必要ですが認証は不要です。

会社印の作成

会社設立登記において、会社印は必須のアイテムです。

会社印の作成には時間がかかることがあるため、定款作成の前に注文しておくのがおすすめです。会社経営に必要な代表者実印や銀行届出印、角印などを同時に作成することもできます。

会社印が完成したら、取締役全員(合同会社の場合は代表社員)の印鑑証明書を取得しておきましょう。

出資金を支払う

株式会社や合同会社を設立する場合、資本金を支払います。
通常は、定款認証を受けた日以降に行います。

株式会社の場合、通常発起人は株数に応じた資本金を金融機関に支払います。

会社設立前では会社名義の銀行口座を作ることができないため、支払い先の口座は発起人個人のもので構いません。
発起人が複数いる場合は、発起人代表の口座へ振り込みます。

発起人が1人の場合は、自らの銀行口座への預け入れで問題ありません。

支払いが完了すると、口座通帳のコピー(通帳の表紙、表紙の裏面、振込み記帳ページ)を取得し、払込証明書を作成します。
合同会社の場合も同様です。

設立登記を申請する

本店所在地の管轄法務局で設立登記の手続きを行うには、設立登記申請書とともに必要書類を提出する必要があります。

設立登記申請書には、会社の名称や本店所在地、役員の氏名や住所、事業目的などが含まれます。

一方、必要書類には、法人設立の登記事項証明書や役員の印鑑証明書、申請人の履歴書などがあります。

 

設立登記申請は、資本金の支払い後2週間以内に行わなければなりません。

そのため、設立の予定日から逆算して申請書を提出するタイミングを計画する必要があります。会社の実印も必要となりますので、忘れずに準備しておきましょう。

会社設立に必要な費用

日本では、株式会社か合同会社のどちらかの形態が一般的です。

どちらの形態で会社を設立するかは、悩ましいところでしょう。

以下では、2つの形態の具体的な違いや、会社設立にかかる費用について説明します。

株式会社の場合

ここでは株式会社がどのようなものなのか、株式会社設立に必要な費用について解説していきます。

株式会社について

株式会社の特徴は、株主が会社に資本を提供し、経営者が資本に基づいて会社を経営することです(所有と経営の分離)。

会社が利益を上げると、その利益は株主に分配されます。

株主は会社の経営に直接関与することはありませんが、株主総会で意見を述べることができます。

 

一般に、意思決定は取締役会が行い、取締役会は会社の適切な経営について株主に対して説明責任を負います。

株式会社の付則や定款には、基本的な意思決定に必要な手続きを明記しておく必要があります。会社が倒産した場合、株主は出資額以上の責任を負わないことになっています(有限責任)。

株式会社設立に必要な費用

定款貼り付け用の収入印紙代

40,000円

設立登記の際の登録免許税

60,000円

合計

100,000円

株式会社の登記にかかる登録免許税は、資本金の0.7%または15万円のいずれか高い額となります。

このほか、定款認証に5万円、定款謄本は部数に応じて手数料がかかり、定款に貼付する収入印紙税もかかります。

印鑑登録料や商業登記簿謄本提出料などの行政手数料も必要です。

 

また、原本の署名が必要な書類には、収入印紙2枚を押印する必要があります。

さらに、定款や登記申請書に署名するなどの目的で、設立者ごとに個別の印鑑が必要です。

これらすべての費用を考慮すると、会社設立にかかる費用は24万円を超えると言われています。

合同会社の場合

ここでは合同会社がどのようなものなのか、合同会社設立に必要な費用について解説していきます。

合同会社について

「合同会社」とは、出資者が経営者となり、その資本金で会社を経営する持分会社の形態です。出資者が経営者と同じであるため、意思決定がスピーディーで柔軟に行うことができます。

また、経営に直接関わらず出資のみを行う人もいます。

 

出資者は株式会社と同じく有限責任となり、倒産の際にも出資額以上の負担はありません。

合同会社設立に必要な費用

定款貼り付け用の収入印紙代

40,000円

設立登記の際の登録免許税

60,000円

合計

100,000円

登録免許税は、資本金の0.7%もしくは6万円のどちらか高い方が適用されます。

合同会社設立には定款の認証が必要なく、認証手数料や謄本手数料が発生しないため、費用が抑えられます。

 

その結果、株式会社設立より安い10万円の費用で会社設立が可能になります。

会社設立手続きは自分でできる?

会社設立の手続きを紹介してきましたが、これらを自分で対応することは可能なのでしょうか。
以下で詳しく解説します。

煩雑だが、自分で行うことは可能

一見難しそうに見える会社設立手続きですが、一つ一つ調べながら自身で行うことは可能です。
近年では、freee会社設立やマネークラウドフォワード会社設立といったサポートサービスもあるため、自分で手続きするハードルは以前と比べて下がったと言えるでしょう。

 

自分でやれば費用も最低限に抑えられるため、多少時間や手間がかかっても余計な出費を抑えたいという人は全ての手続きを自分一人で行っているケースもあります。

 

マネークラウドフォワード会社設立の詳細については下記の記事で詳しく解説していますので是非ご覧ください。

 

難しい場合は専門家へ依頼

前述の通り、会社設立を自分で行うことは可能です。
しかし実際には、手続きが煩雑だったり必要書類が多くて内容が難しいといった理由から、手続きの一部または全てを専門家に依頼する人もまた多くいます。

専門家は難しい手続きを代行してくれるだけでなく、豊富な知識で会社設立に関するアドバイスもしてくれるため、そういった面でも利用するメリットは高いでしょう。

自分一人で対応するのと比べて費用がかかってしまいますが、多少コストがかかっても自分の労力を最小限に抑えたい、ミスや手戻りなく確実に手続きを進めたいという方は専門家へ依頼するのがおすすめです。

会社設立を専門家に依頼する場合の選択肢や費用の相場については、下記の記事で詳しく解説していますので是非ご覧ください。

 

まとめ

このように、会社設立自体はやり方を調べながら自分で手続きを行うことは可能です。

しかし、必要書類の準備や煩雑な手続きを自分自身ですべて対応することが難しいと感じる方もいるでしょう。

その場合は、無理せず専門家に任せることが得策です。

専門家は長年の経験を踏まえて、適切なアドバイスや手続きの代行を行ってくれるため、事業の立ち上げに時間と労力を割くことなく本業に集中することができます。

自分で手続きをするか専門家に依頼するか、それぞれのメリットとデメリットを踏まえ、自分に合ったやり方を検討しましょう。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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