会社設立にかかる登録免許税とは?概要と減免制度についても解説!

2023.04.17

登録免許税とは、登記や登録・特許・許認可・認定などに際して課税される税金です。

会社設立では法務局における登記が必要であるため、必然的に登録免許税も発生します。

登録免許税の額や納付の方法は定められています。

また、要件を満たすと登録免許税の減免対象にもなるため、減免制度に関する理解や要件の確認も必要です。

 

今回は会社設立時にかかる登録免許税について詳しく解説します。

 

会社設立にかかる費用・会社設立登記の流れを詳しく解説した記事もありますので、ぜひご覧ください。

 

 

 

CONTENTS

会社設立時にかかる登録免許税の概要

はじめに、会社設立時にかかる登録免許税について、支払い方法や金額など概要を解説します。

登録免許税とは

登録免許税とは登記や登録・特許・許認可・認定などにおいて課税される税金です。

会社設立登記に限らず、不動産登記や抵当権設定といった各種登記で発生します。

 

一口に登記といってもさまざまな種類があり、それぞれ課せられる登録免許税の税額も異なります。

登録免許税の税額は以下いずれかのパターンで定められているのが一般的です。

  • ・課税標準に一定税率を乗じた額(例:不動産登記、船舶登記など)
  • ・登記1件ごとに定額(例:役員登記、個人の商業登記、法人の登記事項の変更など)
  • ・課税標準の定めがあるものの、一定金額に満たない場合は件数ごとの最低額を納付(例:会社設立登記など)

会社設立登記に際して課せられる登録免許税は、後述するようにシンプルなルールで金額の算定が出来ます。

一方で船舶登記のように、課税標準の価額を算出する作業自体が複雑なケースもあります。

登録免許税は単純そうに見えて複雑な仕組みであるため、登記手続きを進める前に、登録免許税について理解を深めておくのが安心です。

以降の章では、会社設立に際して発生する登録免許税に絞って解説します。

登録免許税を支払うタイミングと支払い方法

登録免許税を支払うタイミングは原則として、法務局への登記申請時です。

登記申請を紙で行う場合とオンライン申請を行う場合で、登録免許税の支払い方法として選べる手段が異なります。

登記申請を紙で行う場合・オンライン申請の場合、それぞれの支払い方法を解説します。

登記申請を紙で行う場合

登記申請を紙で行う場合、収入印紙または現金での納付となります。

 

収入印紙で納付する場合の流れは以下の通りです。

  1. 1.登録免許税分の収入印紙を購入する。
  2. 2.登録免許税納付用台紙に収入印紙を貼り付ける。
  3. 3.その他の必要書類とあわせて法務局に提出する。

なお、収入印紙に割印してしまうと無効になるためご注意ください。

 

現金で納付する流れは以下の通りです。

  1. 1.金融機関または税務署で入手できる領収済通知書に必要事項を記入する。
  2. 2.金融機関または税務署の窓口で、領収済通知書とあわせて現金を支払う。
  3. 3.窓口で受け取る領収証書を登録免許税納付用台紙に貼り付ける。
  4. 4.その他の必要書類とあわせて法務局に提出する。

オンライン申請の場合

登記申請をオンラインで行う場合、インターネットバンキングおよびATMでの納付が可能です。

法務省の登記・供託オンライン申請システムを利用して納付を行います。

必要な作業は利用するインターネットバンキングやATMによって異なる可能性があるため、詳細は登記・供託オンライン申請システムのホームページをご確認ください。

 

なお、オンライン申請の場合でも収入印紙および現金での納付が可能です。

収入印紙または領収証書を貼り付けた登録免許税納付用台紙に、オンライン申請の受付番号等を記載した上で、申請先の法務局に提出します。

会社設立でかかる登録免許税の額

会社設立でかかる登録免許税の額は、設立する会社の種類によって異なります。

株式会社・合同会社・合名会社および合資会社それぞれ紹介します。

株式会社

株式会社の設立時にかかる登録免許税の額は、以下のいずれか大きい金額です。

  • ・資本金の金額×0.7%
  • ・15万円

よって、株式会社の設立時にかかる登録免許税の最低額は15万円となります。

合同会社

合同会社の設立時にかかる登録免許税の額は、以下のいずれか大きい金額です。

  • ・資本金の金額×0.7%
  • ・6万円

合同会社設立時にかかる登録免許税は、最低額が6万円となります。

合名会社および合資会社

合名会社および合資会社の設立時にかかる登録免許税は、資本金の額に関係なく1件6万円と定められています。

【参考】登録免許税の会計処理

会社設立時に支払う登録免許税は費用計上が可能です。

登録免許税以外の会社設立費用も経費として扱うことができます。

 

登録免許税を含む会社設立費用は、創立費という勘定科目で処理します。

会社設立費用は経費処理ができると紹介しましたが、創立費は繰延資産に該当する勘定科目です。

厳密に言うと、創立費として計上した段階では帳簿上費用の扱いにはならないのです。

費用として計上するためには、創立費を創立費償却に振り替える必要があります。

 

創立費は会計上、定額法で5年償却と定められていますが、税務上は任意償却で期間の定めもありません。

したがって、利益が発生する年・利益が大きくなりそうな年に焼却処理をして費用計上することが可能です。

会社設立時の登録免許税には減免制度がある

会社設立時に支払う登録免許税は株式会社で最低15万円、合同会社では最低6万円と決して安くありません。

登録免許税が負担になるケースもあるでしょう。

 

そんな登録免許税ですが、一定の要件を満たすことで適用を受けられる減免制度が存在します。

会社設立における登録免許税の減免制度について詳しく解説します。

登録免許税の減免制度とは

登録免許税の減免制度とは、特定創業支援等事業の支援を受けることで登録免許税を半額にできる制度です。

株式会社の場合は15万円が7.5万円、合同会社の場合は6万円が3万円に減額されます。

 

特定創業支援等事業とは、地域の創業や起業の促進を目的とする制度です。

支援計画に基づき創業希望者向けにセミナーやイベントなどを実施しています。

創業者は特定創業支援等事業に該当するセミナーなどを受け、特定創業支援事業証明書を発行してもらうことで、登録免許税の減免が可能です。

 

なお、特定創業支援事業証明書には登録免許税の減免以外にも以下のメリットがあります。

  • 創業関連保証の支援対象期間が長くなる。
     通常は創業開始の2か月前からですが、創業開始の6ヵ月前からになります。
  • 新創業融資制度の自己資金要件を満たすとみなされる。
  • 新規開業支援資金の利率が引き下げとなる。

登録免許税の減免を受ける方法

登録免許税の減免を受けるためには、対象のセミナーやイベントなどに参加し、特定創業支援事業証明書の発行を受ける必要があります。

その後、特定創業支援事業証明書を法務局に提出すれば登録免許税が半額になります。

実施されるセミナーやイベントの内容はタイミングや自治体によって異なるため、自治体の公式サイト等でご確認ください。

登録免許税の減免制度に関する注意点

登録免許税の減免制度に関する注意点を3つ紹介します。

自治体が異なると登録免許税の減免を受けられない

特定創業支援事業証明書の発行を受けた自治体と会社設立を行う本店の自治体が異なる場合、登録免許税の減免を受けられません。

登録免許税の減免制度を利用するには、設立する会社の本店所在地と特定創業支援事業証明書の発行を受ける自治体が同じである必要があります。

 

設立する会社の本店所在地の場所について希望がある場合は、該当の自治体で実施しているセミナーやイベントを確認しましょう。

会社設立をする場所の希望が特にない場合、先にさまざまな自治体における特定創業支援事業の内容を調べ、希望するセミナー・イベントが実施される自治体を本店所在地として選ぶのも1つの方法です。

特定創業支援事業を実施していない自治体もある

特定創業支援事業はあくまでも自治体ごとの取り組みであり、実施は義務付けられていません。

そのため、特定創業支援事業を実施していない自治体も存在します。

 

登録免許税の減免を確実に受けるためには、会社設立を予定している自治体で特定創業支援事業を実施しているか否かを早めに確認しましょう。

証明書の発行まである程度時間がかかる

登録免許税の減免制度を利用するには、特定創業支援等事業に該当するセミナーやイベントに参加する必要があると紹介しました。

特定創業支援等事業の修了までに要する期間は自治体やケースによって異なりますが、最短でも1ヶ月はかかります。

また、証明書の申請にも手続きが必要な上、申請から証明書発行までには10日程度の時間を要します。

 

特定創業支援事業証明書は、登録免許税の減免を受けるために必須の書類です。

証明書の発行まである程度の時間がかかるため、会社設立日の希望がある・なるべく早く会社設立をしたい場合には注意する必要があります。

まとめ

会社設立時には必ず登録免許税の支払いが発生します。

登録免許税の金額は明確に定められているため、早めに準備しておくのが安心です。

また、納付のタイミングや支払い方にもルールがあります。

万が一のミスやトラブルを防ぐためにも、登録免許税について事前に理解を深めることが大切です。

 

会社設立では登録免許税の支払い以外にも、さまざまな手続きを必要とします。

必要な書類も多く、専門知識のない人がミスや漏れなく行うのは容易ではありません。

会社設立をスムーズかつ完璧に行うため、専門家に相談しサポートを受けるのが安心です。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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