社名は会社設立に際して必ず決めなければならない事項のひとつです。
会社運営・事業展開のさまざまな場面で必要になるだけで、会社イメージを左右することもあります。
そのため納得のいく社名にしたい・社名にこだわりたいという人も多いでしょう。
そんな社名ですが、使用できる文字や符号、使ってはいけない単語などいくつかのルールを守る必要があります。
納得のいく社名をつけるために、大前提として社名のルールを押さえておきましょう。
今回は会社設立時の社名の決め方について、ルール・注意点を詳しく解説します。
会社設立日の決め方に関する記事もぜひご覧ください。
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CONTENTS
会社設立 社名に関するルール
会社設立時に押さえる必要のある社名に関するルールとして、大きく5つのものが挙げられます。
それぞれ詳しく解説します。
会社の種類をつける必要がある
社名をつける際、社名の先頭か末尾に株式会社・合同会社・合名会社・合資会社といった会社の種類をつける必要があります。
登記事項として登録される商号(社名)も、会社の種類を含めたものです。
当然ですが、実態と異なる会社の種類名を社名に加えることはできません。
たとえば設立する会社の種類は株式会社であるのに、「〇〇合同会社」という社名にはできないというイメージです。
会社名に使用できる文字に決まりがある
会社名に使用できる文字には決まりがあります。
使用できる文字は以下の6種類です。
- 漢字
- 日本語に使用される文字であれば基本的に利用可能です。
- 常用漢字に限らず、旧字体・異体字・特殊な字体も利用できます。
- ひらがな
- カタカナ
- アルファベット
- 大文字・小文字どちらも利用可能です。登記情報は全角で登録されます。
- なおアルファベットで複数の単語を表記する場合、単語を区切る目的でスペースの挿入が可能です。
- アラビア数字
- 0,1,2,3…といった一般的な数字です。
- 一部の符号
- 使用できる符号は以下の6つに限られます。
- 中黒(・)
- アンド(&)
- カンマ(,)
- ピリオド(.)
- ハイフン(−)
- アポストロフィ(’)
- 符号は字句を区切る目的で使用します。いずれも先頭には使えません。
- また、ピリオド以外は末尾につけることも不可です。
- ピリオドについても末尾に使用できるのは、ピリオドの直前がアルファベットであり、省略を表す目的で使う場合に限られます。
「使用できる文字」として紹介した文字・符号以外はすべて使用不可です。
たとえば星マーク(☆)やエクスクラメーションマーク(!)などの符号は使えません。
また、スペースを使えるケースや符号をつける場所といった細かなルールを守る必要もあります。
同一住所に同一会社名をつけることはできない
同一住所に同一の会社名をつけることはできません。
本店所在地としてシェアオフィスやバーチャルオフィスを使用する場合に注意が必要なルールです。
なお、同一住所でなければ、すでに存在している会社と同じ社名であっても会社設立登記が可能です。
ただし後述する「事業内容や会社を誤認させる恐れのある名前は禁止」というルールに注意する必要があります。
事業内容や会社を誤認させる恐れのある名前は禁止
前項で少し触れましたが、事業内容や会社を誤認させる恐れのある社名にはできません。
事業内容を誤認させる恐れのある名前の例として「銀行」「保険」「信託」といった単語を使う社名が挙げられます。
前述した3つの単語は、当該事業を行う者以外は社名に使用できないと法律で定められています。
また「学校」という単語も、学校関係の事業と関係しない場合は使用禁止です。
有名企業と似た名前や、すでに商標登録されているブランド名・商品名を社名にすることも避ける必要があります。
不正競争防止法の違反や商標権の侵害に該当する恐れがあります。
全国的に知名度が高い企業に限らず、たとえば特定の地域において住民のほとんどが知っているような企業の名前なども避けるのが無難です。
少し手間にはなってしまいますが、トラブル防止のため、事前に登記されている社名や特許情報などを確認することをおすすめします。
また、少し性質が異なりますが、公序良俗に反する単語や文字も社名に使用できません。
具体例として「詐欺」「暴力」などが挙げられます。
会社の部門を示す単語も利用不可
会社の部門を示す単語を使った社名もつけられません。
単語の具体例として「支店」「部門」「営業部」「支社」などが挙げられます。
会社設立時 社名の決め方例
前章で紹介したように、社名をつける際はいくつかのルールを守らなければなりません。
言い換えると、ルールさえ守れば自由な社名をつけられます。
大切な要素でありながらも自由度が高いため、どのような社名にするか悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。
この章では会社設立時の社名の決め方として、5つの例を紹介します。
社名が決まらない・社名の付け方がわからないという人の参考になれば幸いです。
会社名に理念やビジョンなどの意味合いを持たせる
理念やビジョンなどに関係する単語を使い、社名全体に意味を持たせる方法です。
理念やビジョンなどの意味合いを有する社名の具体例を2つ紹介します。
弥生株式会社
会計ソフトや給与計算ソフトなど、会計・経理関係のソフトウェアの開発や提供を行う企業です。
「中小企業の経理業務を楽にしたい」という理念を、日本企業の決算時期が3月に集中していることから旧暦の3月である「弥生」という単語を使って表しています。
サイボウズ株式会社
社会のチームワーク向上を目的に、クラウドベースのグループウェアの開発・販売・運用などをする企業です。
サイボウズという名前は「サイバー」と子供の呼び方のひとつである「ボウズ」を組み合わせています。
「電脳社会の未来を担う者たち」という意味が込められた名前です。
創業者の名前や地域名を入れる
創業者の名前や地域名を入れた社名は国内外で多くみられます。
具体的な例を2つ紹介します。
トヨタ自動車株式会社
トヨタ自動車株式会社の創立者は豊田喜一郎(とよだきいちろう)氏です。
名前の由来は創立者である豊田氏の苗字ですが、「トヨダ」ではなく「トヨタ」となっています。
理由として「だく音がなくさわやか」「トヨタの総画数は縁起が良いと言われている8画」と公表されています。
株式会社ヨドバシカメラ
ヨドバシカメラの前身である「淀橋写真商会」は、1967年に新宿区淀橋で設立されました。
1974年に商号変更が実施されましたが、地名である「ヨドバシ」は表記を変えた上で現在も使用されています。
語呂や縁起の良い名前にする
会社として知名度を上げるためには、覚えやすい社名にする方法も効果的です。
そのため語呂の良さを重視するケースも多くみられます。
また社名は使用する場面が多いため、縁起の良さを重視して決めるのもひとつの手段です。
前述した「トヨタ」のように、画数を考慮して決められた社名も多く存在します。
外国語の意味や発音を考慮する
グローバル展開を見据えて、外国語の意味や発音を考慮した社名をつけるのも良いでしょう。
なお、日本語では問題のない名前でも、外国語ではマイナスの意味になる・マイナスの意味を持つ単語と似た発音になるといったケースがあるため注意が必要です。
ドメインを取得できるか確認する
現代の会社運営や事業活動には、コーポレートサイトの活用が必要不可欠といえます。
そのため、検討している社名でドメインを取得できるかの確認も大切です。
社名の候補を複数用意し、ドメインを取得できるものに決めるという方法もあります。
まとめ
会社設立に向けて社名を決める際、守るべきルールが複数存在します。
ルールを知らずに社名を決定してしまうと、登記できない・後に他社とトラブルになるといった恐れがあります。
トラブルなくスムーズな社名決定ができるよう、事前にルールを確認した上で社名を検討する必要があります。
今回、社名の決め方として5つの例を紹介しました。
どれも選択肢のひとつであり、「その通りにしなければならない」ものではありません。
大切なのは、自身が納得のいく社名にすることです。
社名のルールを守ることを大前提に、自身が「これだ」と思える社名を決めましょう。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士