設立可能な会社の種類は?それぞれの特徴とメリット・デメリットを紹介!

2023.09.12

現行の会社法において、新たに設立できる会社形態は4種類です。

会社形態によって、設立や運営におけるルールやメリット・デメリットが異なります。

会社形態の違いを理解せずやみくもに会社設立を進めてしまうと、後にトラブル・想定外のギャップ等が発生する恐れがあります。

会社形態の違いを押さえた上で、自分の理想に合う形態の会社を設立する必要があります。

 

今回は設立可能な会社4種類について、それぞれの特徴とメリット・デメリットを紹介します。

 

会社設立の流れや必要な費用について以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。

 

 

 

CONTENTS

設立可能な会社は4種類

現行の会社法において、設立可能な会社は以下の4種類です。

  • ・株式会社
  • ・合同会社
  • ・合名会社
  • ・合資会社

このうち、株式会社以外の3社は持分会社に該当します。

 

詳しくは後述しますが、株式会社は会社の所有者である出資者と経営者が分かれている点が特徴です。

一方で、持分会社に該当する3種類は出資者と経営者が同じであり、所有と経営の分離がありません。

そして、持分会社である3種類には様々な共通点が存在します。

 

会社形態ごとの最も大きな違いは、社員が負う責任の範囲です。

出資金の範囲内で責任を負う社員を有限責任社員、責任に限度がない社員を無限責任社員と呼びます。

会社形態によって、出資者が有限責任社員・無限責任社員のどちらであるかが異なります。

会社の種類によって見られる違いは、出資者の責任の範囲の違いに所以するものがほとんどです。

 

設立可能な会社形態4種類について、それぞれ特徴やメリット・デメリットを紹介します。

株式会社

株式会社は、株式を発行して株主から資金を調達し、その資金を基に運営する会社形態です。

 

株式会社の大きな特徴は、前述したように出資者と経営者が異なる点です。

これを所有と経営の分離と呼びます。

そして、株主総会によって選ばれた人が経営者として会社経営を行う仕組みです。

※中小規模の株式会社は、出資者と経営者が同じであるケースも多くみられます。

 

株式会社の株主は有限責任社員であり、出資金の範囲を上限に責任を負います。

 

設立できる会社形態4種類のうち、株式会社が最も一般的で多く見られる形態です。

メリット

株式会社の大きなメリットは、会社形態4種類の中で最も社会的信用度が高い点です。

株式会社は決算公告が義務付けられており、会社の財務状態や経営状況を明らかにする必要があります。

外部から会社の状態を把握しやすいため、結果として取引先や投資家からの信用を得やすくなります。

 

また、融資や助成金の面で優遇されやすく資金調達がしやすい点もメリットです。

資金調達しやすいため、事業拡大や設備投資のチャンスを逃すリスクが低くなります。

デメリット

株式会社のデメリットのひとつが、決算公告が義務づけられており手間がかかる点です。

メリットの項で紹介したように、決算公告によって外部関係者からの信用を得やすいというメリットはあります。

しかし、決算公告は会社運営で発生する作業の中でも、特に大きな労力を要するといえます。

決算公告の義務が発生する以上、持分会社よりも会社運営上の手間が大きくなります。

 

会社設立および運営のコストが高い点もデメリットです。

まず会社設立ですが、合同会社をはじめとした持分会社の場合、相場は11~17万円程度となります。

一方で株式会社の場合、相場は25~30万程度と持分会社の倍以上です。

 

また、株式会社は赤字の場合も、最低7万円ほどの法人税(法人住民税の均等割)を課されます。

合同会社

合同会社は2006年の新会社法により新設された会社形態です。

持分会社の一種である合同会社は、出資者と経営者が必ず同じとなります。

株式会社と同様、出資者全員が有限責任社員です。

メリット

合同会社の大きなメリットが、設立コストが低く手続きも容易な点です。

すでに少し触れていますが、合同会社を設立する際の費用は11~17万円が目安となります。

株式会社の半分程度で済むため、費用を抑えて会社設立をしたい場合に適した会社形態です。

また、株式会社は会社設立時に定款認証が必要ですが、合同会社の場合は定款認証が不要です。

 

経営上必要な事務作業も株式会社より少なく済みます。

株式会社に必要で合同会社では不要なものの例として、決算公告や株主総会が挙げられます。

また、合同会社には役員の任期がないため、退任や再任の手続きが必要ありません。

デメリット

合同会社の大きなデメリットは、社会的信用度が株式会社より低い点です。

社会的信用を得にくいため、大きな取引やビジネスチャンスの獲得は難しくなります。

融資や助成金といった資金調達についても、株式会社より難易度が高いでしょう。

 

また、出資者を増やすと意思決定が難しくなりやすいため、規模を大きくするのが難しいという面もあります。

将来的に事業を拡大したい・規模の大きい会社に成長させたいと考える場合、株式会社の方が適しているでしょう。

合名会社

合名会社は持分会社の一種で、無限責任社員のみで構成されます。

同じ志の人が出資し合ってひとつの会社を設立することから、複数の個人事業主によって成り立つ会社というイメージです。

メリット

合名会社のメリットとして、社員一人ひとりが業務執行権および代表権を有する点が挙げられます。

前述したように、合名会社は複数の個人事業主によってひとつの会社が成り立つイメージです。

社員一人ひとりの個性や権利が重視されている会社形態であり、全員が経営に深く携われます。

 

合同会社と同じく、コストが低く手続きが容易な点もメリットです。

会社設立の流れや運営におけるルールは、持分会社3種類全体で共通している点が多くあります。

そのため、合同会社のメリットは合名会社でも享受できるものが多いと考えて良いでしょう。

デメリット

合名会社の最も注意するべきデメリットは、無限責任のため経営失敗時のリスクが大きい点です。

出資者全員が無限責任であり、会社経営の失敗時は全ての責任を負う必要があります。

個人の資産に影響が及ぶ恐れもあります。

 

また、合名会社は定款変更や社員持分の譲渡などに社員全員の同意が必要です。

社員一人ひとりの個性が重視されている点はメリットでもありますが、このように手間がかかる面もあります。

合資会社

合資会社は、有限責任社員と無限責任社員の両方によって構成される会社です。

出資者はスポンサーのような性質で有限責任、経営者は無限責任となります。

出資者である有限責任社員は原則として経営に参加しません。

 

有限責任社員と無限責任社員の両方によって構成されるという会社の性質上、設立時に最低でも2人の社員が必要です。

メリット

合資会社のメリットは、設立費用やランニングコストが低い点と、手続きが簡便な点です。

これまで持分会社のメリットとして紹介した内容とほぼ共通しています。

デメリット

合資会社のデメリットは、経営失敗時に無限責任社員に大きな負担がかかる点です。

合名会社のデメリットでも紹介しましたが、無限責任社員が負うリスクが大きい点は、最も注意するべきデメリットといえます。

 

また、合資会社だけはこれまで紹介した3種類と違って一人では設立できません。

設立の手間が大きい点も、合資会社の大きなデメリットといえます。

会社設立 どの種類が良い?

現在、新たに設立される会社はほとんどが株式会社か合同会社です。

 

合名会社と合資会社は無限責任社員にかかるリスクが高いため、設立数は非常に少なくなっています。

持分会社のメリットは3種類とも共通する部分がほとんどであるため、あえてリスクの高い合名会社・合資会社を選ぶ理由はないといえるでしょう。

 

株式会社と合同会社どちらにするかを判断する基準として、以下の例が挙げられます。

  • ・会社設立にかかる費用や手間
  • ・ランニングコスト
  • ・会社運営における手続き
  • ・社会的信用
  • ・事業拡大のしやすさ

 

株式会社と合同会社は異なるメリット・デメリットを持つため、どちらが良いと一概にはいえません。

どのような会社にしたいか、会社設立および運営で何を重視するかを考慮した上で、設立する会社形態の種類を決めましょう。

まとめ

会社設立を行う際、まずは設立する会社の種類を明確にする必要があります。

近年新たに設立される会社は、株式会社と合同会社のどちらかがほとんどです。

会社形態によってメリット・デメリットが大きく異なるため、違いを押さえた上で自分の理想に合う種類を選びましょう。

 

設立する会社の種類を決めかねている・将来の節税を見据えた会社設立をしたいとお悩みの人は、ぜひ税理士へご相談ください。

会社運営の展望や理想をお聞きした上で、一人ひとりに合うアドバイスやサポートを行います。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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